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介護保険で住宅改修!対象のリフォーム内容や手続き方法を解説

介護保険で住宅改修!対象のリフォーム内容や手続き方法を解説

在宅での介護が始まると、「家に段差が多いし、手すりがないから、ひとりでは移動が難しい。介護するほうも大変」「家の和式トイレでは、かがむのが辛い」と苦労する人が多いです。

そんなときにも、介護保険が役立ちます。介護保険には、家のバリアフリー化にかかった費用を補助してくれる「住宅改修費の支給」という制度があるんです。

対象になる住宅改修の内容、手続き方法や必要書類、支給される金額の上限、知っておきたい注意点についてお伝えします。

どんなリフォームが対象?介護保険が適用される条件とは

住宅改修費の支給対象になるリフォームは、「要介護・要支援認定を受けた本人が、自立して生活できるようにする」、または「介護者の負担を軽くする」ものが対象です。

単に「家が古いからリフォームしたい」という理由は認められません。

支給を受けられる人の条件や、対象になるリフォーム内容をご紹介します。

まずは要介護認定を受ける!住宅改修費の支給を受ける条件

住宅改修費の支給を申請できる条件は、以下の通りです。

  • 要介護、要支援認定を受けている
  • 在宅で生活している
  • 住民票に記載されている住所の家を改修する

在宅が条件なので、基本的には入院中だと申請できませんが、退院のめどが立っている場合は例外として申請ができます。

賃貸住宅での住宅改修も支給対象になりますが、所有者(大家さん)の許可が必要です。退去時の原状回復費用は、住宅改修費の支給対象ではありません。

大家さんに「リフォームはしちゃだめ」って言われたら、どうしたらいいのかな?
福祉用具のレンタルや購入で代用するのが現実的ですね…どんな福祉用具が利用できるのかは、「介護保険で福祉用具の購入やレンタルが可能!費用や条件をご紹介」を参考にしてください。

便器の取り換えや手すり取り付けが対象!住宅改修の内容

住宅改修費の支給対象になる工事は、大きく分けて5種類です。

住宅改修の対象になる工事内容
工事 詳細
手すりの取り付け 玄関、トイレ、お風呂、廊下、階段などに、転倒予防や移動を助けるために設置します。
段差の解消 敷居を低くする、スロープ設置、お風呂の床のかさ上げなどです。
床材の変更 畳敷きから板材への変更、お風呂の床を滑りにくいものに変えるなどの工事です。
ドアの取り替え 開き戸から引き戸やアコーディオンカーテンなどへの変更。扉の取り外しや、ドアノブを変える工事も対象です。
便器の取り替え 和式便器から洋式便器への取替え工事や、便器の位置や向きを変える工事が対象です。

上記の工事をするために必要と認められる工事も、支給対象になります。

基礎や枠組みだけ残して間取りをガラッと変えるような大規模な改修は対象外です。

「工事をするために必要な工事」ってなに?よくわかんなーい!
「手すりを付けるために壁の下地を補強する」「ドアの取り替えに伴って、壁や柱も改修する」「和式トイレを洋式に交換すると同時に、給水・排水の設備工事をする」などです。

住宅改修費の支給額の上限は20万円!自己負担額はいくらになる?

支給対象になる住宅改修費の上限は、ひとりにつき一生涯で20万円です。

ただ、場合によっては20万円まで使いきっても、再度20万円まで支給対象になることがあります。

自己負担額の計算方法や、20万円の上限が再設定されるケースについてご紹介します。

20万円までは1~3割負担!20万円を超えた分は全額自己負担

上限は20万円ですが、「改修にかかった費用が20万円以下なら全額支給される」わけではありません。

費用の1~3割(収入によって異なります。平成30年8月からは3割負担となる人がいます)は必ず自己負担です。

20万円を超えた分は、全額自己負担となります。自己負担額の例を挙げてみます。

自己負担額の例
改修にかかった費用 自己負担額(自己負担1割の場合)
15万円 15万円×10%=15,000円
25万円 25万円-(20万円×90%)=7万円
35万円 35万円-(20万円×90%)=17万円

ちなみに、同じ家に要介護認定を受けている人が2人住んでいたら、ひとつの家に対して、合わせて40万円まで支給対象で工事ができることになりますね。

ただし、ひとつの工事の費用を、2人で分け合うことはできませんので注意してください。例えば、便器交換に40万円かかったとき、2人が20万円ずつ申請することは認められていません。

費用をネットで調べてみたら、階段や廊下に手すりをつけるのが10万円、便器交換やトイレの手すりに30万円!20万円に収まらなくて、自己負担額が大きくなりそうです。
費用を重視するなら、便器取り換えではなく、腰掛便器を購入するという選択肢もありますよ。
なるほど!腰掛便座なら、安く洋式トイレ風にできますね。体も十分楽になりそうだわ。
福祉用具のレンタルや購入も上手に組み合わせてくださいね。それから、独自に住宅改修の助成制度を設けている自治体もありますよ。住んでいる市区町村に独自制度がないか、調べてみましょう。

上限額の再設定って?再度住宅改修が必要になったとき使える制度

住宅改修費が20万円に達したら、それ以上工事をしても、支給対象にはなりません。もちろん、必要なら工事はできますが、自己負担が大きくなります。

ただ、以下の場合は、再度住宅改修が必要になるため、あらためて20万円までの上限額が設定されます。

  • 要介護状態区分が3段階以上あがった
  • 引越しした

工事前の事前申請を忘れずに!住宅改修費の申請方法と必要書類

住宅改修費の支給は、事前申請制です。工事が始まる前に、見積書などを自治体窓口に提出する必要があります。

詳しい申請方法や必要書類、注意点をご説明します。

住宅改修費の申請方法!まずはケアマネージャーへの相談が必要

工事から支給までは、一般的には次のように進んでいきます。原則として、費用はいったん自分で全額払って、あとから払い戻しを受けるかたちとなります。

  1. ケアマネージャーに相談
  2. 住宅改修業者と打ち合わせ
  3. 業者が見積書・工事図面作成
  4. 役所に住宅改修の申請
  5. 役所から「受理通知」などが届く
  6. 工事
  7. 業者に工事代金支払い
  8. 役所に支給申請
  9. 費用の1~3割が支給される

業者を探したりする前に、まず担当ケアマネージャー(要支援の場合は地域包括支援センター)に相談します。手続きにはケアマネージャーが作成する書類が必要なので、ケアマネージャーなしで進めることは不可能です。

また、工事前に自治体窓口で事前申請していないと、支給を受けることはできませんので注意してください。

まず業者に工事代金を全額払う必要があるなんて!工事代金が高額だと、正直大変です。先生、何とかなりませんかっ!
自治体によっては、業者に支払う金額を1~3割(自己負担額のみ)にする受領委任払い制度があったり、お金を貸してくれる制度があったりします。ケアマネージャーや役所に聞いてみてください。

申請の必要書類は?ケアマネージャーや業者が作成した書類が必要

自治体窓口での手続きは、工事が始まる前と後の2回必要です。それぞれに必要な書類を紹介します。

必要書類
工事前 事前承認の申請書、介護保険の被保険者証、住宅改修が必要な理由書、工事費見積書、工事図面、工事する場所の改修前の写真(日付入り)
工事後 支給申請書、領収書、請求書、工事費内訳書、住宅改修後の写真

「住宅改修が必要な理由書」はケアマネージャーが、見積書や図面は業者が作成します。

事前申請の際、本人が住宅所有者ではない場合(賃貸住宅に住んでいるなど)は「住宅所有者の承諾書」、入院中に申請を行う場合は「事前承諾書」も必要です。

事前申請後に届く「受理通知」などが、工事後の支給申請書の代わりになる自治体もあります。事前申請のときに確認して、役所から届く書類はなくさないようにしてください。

悪質業者に注意!業者との打ち合わせにはケアマネージャーも同席を

住宅改修の工事では、「必要ない工事の契約を強要される」「本人の希望がないがしろにされる」など、悪質な業者とのトラブルが起きています。

トラブルを防ぐため、住宅改修業者との打ち合わせでは、ケアマネージャー(または地域包括支援センターなどの担当者)に同席してもらいましょう。

業者に一方的に改修内容を決められるのを防いだり、改修内容が本当に支給対象なのかを確認したりするために、大切なことです。

このわしに限って、悪質業者に騙されるなんてことはありえんよ。心配ご無用じゃ。
油断禁物です!「ケアマネさんに紹介されました」とか「無料で家の点検できますよ」などと言葉巧みに近づいてきますよ。知らない業者とは1対1で会わないでくださいね。

介護保険で住宅改修費の負担をおさえる!工事前の申請をお忘れなく

介護保険を使った住宅改修費の支給は、リフォームの負担を減らせる、嬉しい制度ですよね。

ただ、費用を介護保険から出してもらえるといっても、工事が大掛かりだったり広範囲だったりすれば、どうしても自己負担額は大きくなってしまいます。

住宅改修に、福祉用具のレンタル・特定福祉用具の購入も組み合わせて、経済的に無理なく、家を快適にする方法を探すのがおすすめです。また、市区町村独自の助成制度があるかも調べてみましょう。

申請するときには、工事前の事前申請を忘れないように!事前申請しなかったり、書類に不備があったりすると支給を受けられません。

具体的な手続きは、ケアマネージャーや地域包括支援センターの担当者と十分に相談しながら進めてください。