介護と仕事の両立は難しい!でも介護離職は危険
親の介護が必要になると、そのために多くの時間が必要になります。仕事を休まざるを得なくなる事もあるでしょうし、会社を辞めて介護に専念したくなるかもしれません。じっさいに、介護離職をする人は増えてきています。
しかし介護のために離職してしまうと、いろいろな問題が起きてきます。どうしても仕事を辞めなければいけないのか、十分に考える必要があるでしょう。
このページでは、介護離職にはどんな問題があるのか、また介護と仕事を両立するためにどうしたら良いのかを解説します。
介護と仕事の両立は無理?介護離職してもよいの?
介護には時間がかかります。食事や入浴の介助などを完全におこなうとすれば、一日の大半が介護で潰れてしまうでしょう。そのため、働きながら介護をやっていくというのは非常に難しくなります。
しかし仕事と介護の両立が難しいからといって、介護のために離職してしまうのは考えものです。介護離職にはさまざまな問題点があるからです。
介護離職をすると経済的に困窮するリスクが
介護離職でまっさきに思い浮かぶのが、経済的な問題でしょう。介護離職すると、収入が大きく減ってしまいます。
収入が少なくなると、親の介護に必要な費用をまかなうのも厳しくなってくるかもしれません。
しかしそれ以上に問題なのは、子供(家族)自身の老後です。
介護離職をしても、親の介護は最期まで滞りなくおこなえるかもしれません。しかし自分が歳をとった時に、暮らしていけるだけの蓄えを作れないという危険性が高くなります。
介護離職の対策はどんなものがある?
介護離職をしないためには、以下のようなサービスを利用するのが良いでしょう。
- 介護サービスを利用する。
- 会社の制度を利用する。
- 行政サービスを利用する。
- 介護施設を利用する。
訪問介護サービスを利用する
仕事をしながら、自分だけで介護をこなすのは困難です。しかし人の手を借りれば、介護の負担を大きく減らすことができます。
介護保険サービスとして、へルパーを呼んで食事やトイレ、入浴などの訪問介護を頼むことが可能です。
また、デイケアセンターに被介護者が通う「デイサービス」も、介護者の負担軽減に効果的です。
会社の制度を利用する
介護に関して、「介護休暇制度」と「介護給付金制度」というものがあります。こうした制度は会社の規約に関係なく利用できますので、ぜひ使っていきたいところです。
介護休暇制度は、要介護者の介護が目的であれば年間で5日まで休暇が取れる制度です。両親がともに要介護の場合などでは、年間で10日まで休暇取得可能です。
介護給付金制度とは、介護のために仕事を休む場合に、給付金を受け取れる制度です。これで休業中でも収入が保証されます。
また、会社が独自に介護のための制度を設けている場合もあります。こうした制度がないか会社に確認してみたほうが良いでしょう。
行政のサービスを有効活用する
日本では、「地域包括支援センター」「高齢者福祉課」「社会福祉協議会」など、介護についての相談をできる組織が用意されています。
介護離職の決断をする前に、こうしたところに相談して、本当に離職が最善なのか検討する必要があるでしょう。
また行政の窓口以外に、会社内での相談も重要です。介護に合わせて、担当部署の変更や仕事の割り振りを変えてもらうなどができないか、話してみたほうが良いでしょう。
介護施設への入居
介護施設に入居してもらうというのも、一つの方法です。
親を介護施設に入れるのは、親を捨てるようなものと悪印象を持っている人もいます。しかし介護離職をすると、ストレスから親との関係が悪化してしまうケースもよくあります。
離職をせずにしっかり働いて、介護施設の利用費用を援助した方が良い結果に場合もあります。
親の介護で退職したら失業保険はすぐに貰える?
まず失業保険について、簡単に説明しておきます。失業保険の受給者には、以下の4パターンがあります。
名称 | 3ヶ月給付制限 | 受給日数優遇 |
---|---|---|
一般受給資格者 | 有り | 無し |
特定受給資格者 | 無し | 有り |
特定理由離職者1 | 無し | 有り |
特定理由離職者2 | 無し | 無し |
介護離職はどの区分に当てはまる?
介護離職の場合、「特定理由離職者2」に該当します。ですから3ヶ月給付制限は「無し」、受給日数優遇も「無し」になります。つまり区分で言えば、介護退職をしたらすぐに失業保険を給付してもらえることになります。
しかし失業保険の受給資格には、「働く意思があり、就職活動をしている事」という条件があります。つまり現在介護をしており、今後も介護のために働けない状況なら、失業保険の給付は受けられません。
さまざまなサービスを活用して介護を乗り切ろう
しかし介護離職はデメリットが大きいため、あくまで最後の手段と考えておいたほうがよいでしょう。
介護離職を避けるために、訪問介護や民間のサービスなどを利用して、介護の負担を抑えられるようにしましょう。