介護生活の悩み
介護保険外サービスにはどんなものがある?提供者による違いは?

介護保険外サービスにはどんなものがある?提供者による違いは?

介護保険で受けるサービスについては、自己負担額が1割や2割など、少ない経済的負担で利用できます。しかし介護保険内のサービスは、あくまで最低限度必要なものに限っています。

そのため、介護保険内のサービスだけでは不足が出てきがちです。そうした時に使いたいのが「介護保険外サービス」です。

このページでは、介護保険外サービスとはどんなものなのか説明しています。

介護保険外サービスって何?

要介護者になると、介護保険法によって規定されたサービスを受けることができます。この「介護保険サービス」は、原則1割負担で利用できるため非常に有用です(条件により2割負担、3割負担)。

しかし介護保険サービスは、法律により厳格に定められていて、規定外のサービスは受けられません。また利用できるサービスに上限額があり、それ以上に利用すると全額自己負担になってしまいます。

こうした場合に有効なのが「介護保険外サービス」です。介護保険外サービスなら、介護保険サービスに設けられていないサービスでも、自由に選択して利用することができます。

えーと、ようするに介護保険外サービスって、介護保険法で決められたサービス以外の全部のサービスって事ですか?
そうですね。サービスを提供している団体も、自治体から介護事業者、一般の民間企業までさまざまです。

おもな介護保険内のサービスと保険外のサービス

介護保険サービスでは、掃除、洗濯、調理などの「生活援助」と、食事介助、入浴介助、排泄介助などの「身体介護」を受けられます。

しかし介護保険サービスで受けられるのは、要介護者が生きていくうえで最低限必要なサービスだけとなっています。

犬の散歩や、大掃除、来客者へのお茶の用意などの規定外の事をしてもらいたいなら、介護保険外サービスを利用する必要があります。

要介護の親と同居している場合って、私達の食事もいっしょに用意してもらえるのかしら?
それは無理ですね。というより、原則として健康な家族が同居している場合は、「生活援助」全般をやってもらえません。受けられる介護保険サービスは、「身体介護」のみとなります。

介護保険外サービスを受けるメリット

介護保険外サービスには、以下のようなメリットがあります。

  1. 多様なサービスを受けられる。
  2. 要介護認定の有無にかかわらず利用できる。

介護保険外サービスは、ニーズに合わせて最適なものを選ぶことが可能です。

介護保険のサービスは最低限の生活を支えるものですが、保険外サービスなら生活の質を高めて豊かな老後を過ごさせる事が可能になります。

また要介護認定を受けていない人も利用できる、という点も見逃せません。介護保険サービスを受けるためには、要介護認定が必要になりますので、介護保険外サービスしか選択肢が無いという人もいるでしょう。

介護保険外サービスを受けるデメリット

介護保険外サービスには、以下のようなデメリットもあります。

  1. 費用が高くなりがち。
  2. ケアマネジャーなどもサービスを把握しきれていない事がある。

介護保険外サービスは、全額自己負担になります。介護保険サービスは1割負担が基本ですので、単純に考えると同じサービスでも10倍の費用がかかってしまう事になります。

また介護保険外サービスには、自治体が実施しているものや、介護サービス業者がやっているもの、民間企業がやっているものなど、さまざまなものがあります。

担当のケアマネジャーでも、こうしたサービスすべてを理解しているとは限りませんので、適切なアドバイスを貰えない可能性があります。

特に民間企業のサービスに関しては、種類が多すぎるので自分で情報を集めて選ばなくてはいけないでしょう。

ケアマネジャーについて詳しく知りたい方はコチラの記事へ。

自治体が実施している高齢者向けサービスとは?

多くの自治体では、独自の高齢者向けサービスを実施しています。どんなサービスをおこなっているかは自治体により変わってきますが、よく見られるのは以下のようなものです。

  1. 配食サービス。
  2. 家事のサービス。
  3. 送迎サービス。
  4. 機器設置サービス。
  5. 寝具の丸洗いや理美容のサービス
  6. リフォームの助成。
  7. 紙おむつ購入費の助成、または現物給付。
自治体もいろいろやってくれてるんじゃなあ。
ただ、すべての自治体にこれらのサービスがあるとは限りませんので、注意してくださいね。
なるほどのう。費用はどうなっておるのじゃろうか。
有料サービスが多いですが、料金は自治体ごとに違っていますね。自治体が費用負担をしていますので、民間企業の同等サービスを利用するより安くなっています。

自治体の配食サービス

食事を作るのが難しい場合に、料理を届けるサービスがおこなわれています。材料費と調理費は自己負担なのが普通で、1食につき300円~600円程度はかかります。また利用回数には制限がある場合が多く、週に3回~12回程度しか使えません。

この配食サービスは、高齢者の安否確認も兼ねていて、安否確認をおもな事業目的にしている自治体もあります。

自治体の家事サービス

掃除や買い物代行などの、生活援助をおこなっている自治体もあります。費用についてはまちまちです。

また、ゴミ出しだけを無料でおこなってくれるなど、一部サービスだけが実施されている自治体もあります。

自治体の送迎サービス

病院や福祉施設に行く場合に、送迎サービスをおこなっている場合があります。

自治体の機器設置サービス

自宅で事故が発生した場合や、急病になった場合に利用できる「緊急通報システム」を貸与、設置してくれる自治体もあります。緊急時には、人員が派遣され、安否確認や救助をおこなってくれます。

また、火災報知器の給付や設置をおこなっている自治体もあります。

自治体のリフォーム助成制度

高齢者の安全を確保するために、家に手すりをつけたりバリアフリー化のリフォームを行う場合、助成金がおりる場合があります。

介護保険によるリフォームについて詳しく知りた方はこちらの特集記事へ。

介護サービス業者の介護保険外サービス

介護保険サービスをおこなっている事業者が、介護保険外サービスを提供している場合があります。

同じ事業者が、介護保険サービスと介護保険外サービスをやってくれるため、利便性が高くなっています。

ただし介護保険サービスは1割負担ですが、介護保険外サービスは全額負担ですので、どのサービスが介護保険外サービスなのか、よく確認する必要があります。

介護サービス業者の生活援助サービス

大掃除や手間のかかる料理や、同居家族のための調理や洗濯などの、介護保険が利用できないサービスを実施しています。

大掃除とか豪華な料理とかが介護保険で出来ないのは、まあわかる。けど家族分の料理なんか、いっしょに作っちまってもたいして手間は変わらんでしょう。なんでここだけ介護保険が使えないのか、納得できねえなあ。
そこは法律で決まっているから、としか言いようがないですね……。国の方針で、介護保険内と介護保険外のサービスはきっちり分けるように決められているんです。

介護サービス業者の身体介護サービス

趣味の外出や、冠婚葬祭などの付き添いサービスは、介護保険が適用できません。介護保険外サービスを利用すれば、こうした援助も受けられます。

民間企業の介護保険外サービス

民間企業もさまざまなサービスを提供しています。介護用と銘打っていなくても、介護のために使えるサービスもたくさんあります。

民間企業のサービスは種類が豊富で、頼んだらすぐにおこなってくれる即応性が便利です。一方、自治体などのサービスよりも費用が高くなります。

正直なところ、民間企業のサービスが1番使い勝手が良さそうじゃないですか?
たしかに、状況に合わせたきめ細かいサービスが欲しいなら、民間企業の保険外サービスは有力でしょうね。民間企業のサービスなら、余計な条件無しに、お金を出すだけで利用できるのも便利です。

介護保険外サービスはニーズに合わせて利用したい

介護保険でおこなえるサービスは、生活を維持するために必要なだけの支援に限定されています。それ以上のサービスが必要なら、介護保険外のサービスを利用しなければいけません。

介護保険外サービスでも、自治体が提供しているものは、費用が安く抑えられています。調べてみると便利なものが見つかるかもしれません。

お金に余裕があって、高品質のサービスを望むなら、民間企業のサービスが便利でしょう。