住宅ローンの借り換えはいつがお得?目安となるタイミングを解説
住宅ローンを借りてからだいぶ金利が下がっていると聞いたとき。自分が借りている金利と最近の変動する金利を比べるとだいぶ差があるなと思ったことはありませんか?
実はあなたの住宅ローンは借り換えを行った方がお得になるケースがあります。
しかし金利が下がっているとは言え、住宅ローンの借り換えでは手数料がかかると聞いたことがあるし、金利もどれだけ下がれば借り換えがお得になるのかわからない。こういった疑問もあることでしょう。
そこで今回は住宅ローンの借り換えを行うベストなタイミングを
- 住宅ローンの金利が下がってきたとき
- 住宅ローンの金利が上がってきたとき
- 転職や年齢などの条件が厳しくなったとき
に分けてご紹介します。
借り換えのタイミング①:金利が下がったら実際に計算をしてみよう
住宅ローンの借り換えを検討するタイミングは、基本的に借り入れたときの金利よりも下がってきてからです。
ここでは、金利が下がった場合に住宅ローンの借り換えるパターンを考えてみましょう。
住宅ローンの借り換えを検討すべき3つのタイミング
住宅ローンの借り換えはなぜ検討した方がいいのでしょうか?
それは住宅ローンを借り換えた方が、金利差によって返済額を少なくできるからです。
これが住宅ローンの借り換えを考える基本となります。要するに、借り換えをした方が無駄に多くの返済を行わなくても済むからなのですね。
住宅ローンの借り換えでお得になるかを判断するにはいくつかのポイントがあります。以下の3つの項目に当てはまったら住宅ローンの借り換えを考えていきましょう。
- 借り換えによって金利差が1%以上ある場合
- 残りの返済期間が10年以上
- 返済残高が1,000万円以上
本当にお得なのか?実際に借り換えシミュレーションをしてみよう!
借り入れ時と比べて現在の住宅ローン金利が下がっているなら、住宅ローンを借り換えた方がお得だということはイメージがわくかと思います。
しかし、具体的にいくらお得になるのか?以下の条件で調べてみました。
残りの返済期間25年、返済残高2,500万円、全期間固定金利2.5%とする。
- このまま金利2.5%のままの場合
- 1.5%の金利に借り換えた場合
金利2.5% | 金利1.5% | 差額 |
---|---|---|
33,646,064円 | 29,995,049円 | 3,651,015円 |
このシミュレーション結果からもわかるように、金利が1%下がるだけで返済額に約365万円もの差がつくことがわかりました。
金利が下がっているときに借り換えを行う場合の注意点
金利が下がっている場合に住宅ローンを借り換える場合。金利差から諸費用を差し引いた分、お得になることがわかりました。しかしせっかく住宅ローンを借り換えても、その後に金利が上昇してしまい借り換え前の金利を上回ってしまう…という可能性もあります。
金利の動向がどうなるかは誰にもわかりません。今後金利が上昇しそうだなと予想するのであれば、住宅ローンの借り換えをするとかえって損になることもあります。
借り換えのタイミング②:金利が上がってきたら固定金利へ切り替えも
住宅ローンの借り換えは金利が下がってきたら行う場合だけではありません。
金利上昇リスクを抑えるために、固定金利へと借り換えるパターンもあります。
それでは、住宅ローンを固定金利へと借り換えるタイミングとはいったいどのような場合なのでしょうか?見てみましょう。
返済額がアップする?それでも検討の価値アリの借り換えとは?
住宅ローンの金利は一定ではありません。下がることもあれば当然上がることもあります。
現在は政府のマイナス金利政策により、住宅ローンの金利も以前と比べてとても低い数字となっていますね。そのような低い金利の場合は、変動金利で借りると返済額を抑えることができます。
しかし、今後金利が上がることを想像したことはありますか?
変動金利で借りている場合、この先金利が上がっていく可能性があります(返済額の最大125%まで)。
変動金利は短期金利、固定金利は長期金利と影響される市場金利のタイプが異なります。
つまり、変動金利の動向ばかり見ていたら先に固定金利の方が上がっていたという恐れが出てくるのです。
そこで金利が低いうちに、金利上昇リスクを抑えるため固定金利へと借り換える手段は非常に有効な手段といえるでしょう。
固定金利へ借り換えた場合のシミュレーション結果を見てみよう!
残りの返済期間25年、返済残高2,500万円、現在の適用金利0.8%(変動金利)とする。
- 最初の5年間は0.8%、その後10年間1.8%、さらに残りの期間は3.0%と金利が上昇した場合
- 1.5%の全期間固定金利に借り換えた場合
①変動金利の総返済額 | ②固定金利の総返済額 | 差額 |
---|---|---|
30,540,556円 | 29,995,049円 | 545,507円 |
変動金利0.8%で借りている場合、毎月の返済額は91,971円です。全期間固定金利1.5%に借り換えると99,984円と月々の返済額が8,013円アップしてしまいます。
しかし最終的な総返済額を見てみると、固定金利へ借り換えた方が約54万円お得になることがわかりました。
このことからもわかるように、金利が低いうちこそ固定金利へと借り換えを検討すべきタイミングとも言えるでしょう。
金利上昇リスクを抑える借り換えで注意するべき点とは?
金利上昇リスクを抑える目的で住宅ローンの借り換えを行う場合。注意する点は、毎月の返済額がアップするということ。
マイホームにかかるお金は住宅ローンの返済だけではありません。固定資産税や修繕費などいろいろとお金がかかります。
毎月の返済額がアップしたところで家計のやりくりが大変にならないか?これは必ず計算するようにしましょう。
特集記事もございますので、もっと詳しく知りたい方はコチラへ。
借り換えのタイミング③:転職や年齢しだいでは審査が通らないことも
金利の条件はばっちり。さて住宅ローンの借り換えをしよう!となった際、まさか住宅ローンの借り換えをできない(審査に落ちる)場合があります。
住宅ローンの審査に落ちないようにするには、住宅ローンの借り換えのタイミングはいつがいいのでしょうか?
まず、住宅ローンの借り換えといっても、ローンの審査などは新規で借りる場合と同じ手続きとなります。つまり、契約者の条件も厳しくチェックされるのです。例えば、次のような項目には要注意です。
- 完済年齢
- 年収
- 団信加入のための健康状態
借り換えのタイミングでは、今借りている住宅ローンを契約したときからも年齢が上がっています。各ローンの審査基準によりますが、団体信用生命保険の加入上限が80歳であるため、それまでに完済できる計算でなければ借入することができません。
そのため完済年齢や定年退職などによる年収ダウン、健康状態の悪化には気をつけましょう。
さらに転職を考えている場合。転職直後に借り換えを行うと勤続年数の要件を満たせていないので審査に落ちることがあります。
そのため、転職を考えている人は「転職前」が借り換えのベストタイミングです。
また、こちらの記事ではここで紹介した以外にも住宅ローンの借り換えで気をつけるべきポイントを解説しています。
思い立ったら吉日!住宅ローンの借り換えは時期を見て早めに検討を
また借り換えではなく「金利タイプの変更」という形で、現在の借入先に手数料を支払うだけで変動金利から固定金利へと切り替えができる場合があります。ただし、固定金利から変動金利への切り替えは、全期間固定金利を選択していた場合には不可能なので、借り換えを検討する必要があります。
住宅ローンの借り換えを検討するタイミングは、恐らく何度も出てくるでしょう。金利が下がってきたなと思ったら、早めの行動が吉です。
借り換えはいつがお得か?と聞かれると、早ければ早いほど良い、というのがひとつの答えになります。
かといって、借り換え時の諸費用や金利の動向を踏まえることなく焦って借り換えを済ませてしまうと、せっかくの手間や費用が無駄になります。
もし借り換えの検討で迷った時は、専門家にしっかり相談することをおすすめします。
4年ほど専任の宅建士として不動産業者に勤務し、現在はマンション管理士・消防設備士として独立。
宅建士としての知識や立場を活かし、不動産売買時の疑問点などの相談を受けている。