
平成31/令和元年度版:国民年金保険料の計算方法・お得な納付方法
国民年金の保険料の金額は全国一律で、年ごとに決められています。その金額には、物価や賃金の変動なども影響しているのです。
国民年金保険料は、半年~2年分を前もって納める(前納する)と安くなります。
特に2年分を口座振替で前納した場合は、15,760円も保険料が値引きされるのでオススメです。
また月額400円の付加保険料を追加して納付することで、将来もらえる年金を増やすこともできるんですよ。支払った付加保険料の総額が多いほど、老後資金をより多く確保できます。
この記事では、国民年金保険料の金額や推移、計算方法について解説。知って得する納付方法についても解説します。
平成31年度の国民年金保険料はいくら?推移も見てみよう
平成31年度(2019年4月~2020年3月)の国民年金保険料は、月額16,410円です。
国民年金の保険料の額は、年度によって異なります。平成14年4月からの推移を見てみましょう。
期間 | 保険料(月額) |
---|---|
平成14年4月~平成15年3月 | 13,300円 |
平成15年4月~平成16年3月 | 13,300円 |
平成16年4月~平成17年3月 | 13,300円 |
平成17年4月~平成18年3月 | 13,580円 |
平成18年4月~平成19年3月 | 13,860円 |
平成19年4月~平成20年3月 | 14,100円 |
平成20年4月~平成21年3月 | 14,410円 |
平成21年4月~平成22年3月 | 14,660円 |
平成22年4月~平成23年3月 | 15,100円 |
平成23年4月~平成24年3月 | 15,020円 |
平成24年4月~平成25年3月 | 14,980円 |
平成25年4月~平成26年3月 | 15,040円 |
平成26年4月~平成27年3月 | 15,250円 |
平成27年4月~平成28年3月 | 15,590円 |
平成28年4月~平成29年3月 | 16,260円 |
平成29年4月~平成30年3月 | 16,490円 |
平成30年4月~平成31年3月 | 16,340円 |
平成31年4月~令和2年3月 | 16,410円 |
しかし国民年金の保険料額は制度改正などによる引き上げ・引き下げだけでなく、物価や賃金の変動も大きく影響しています。実際に支払う保険料が「ただ100円値上がる」というわけではないのです。
では国民年金保険料は、どのように決まるのでしょうか。次の章で、国民年金保険料の計算方法について説明します。
国民年金保険料の計算方法
国民年金保険料(実際の保険料)は「平成16年度の改正により決まった保険料額」を、物価・賃金の変動に応じて調整することで決定します。
調整に用いる計算方法は、次のとおりです。
「保険料改定率」は、次のように計算します。
では平成31年度の場合を例に、国民年金保険料を計算してみましょう。
計算に用いる数値は次のとおり。日本年金機構の公式ホームページのデータを参考にしました。
平成16年度の改正で決められた保険料額 | 17,000円 |
---|---|
前年度改定率 | 0.967 |
物価変動率 | 1.005 |
実質賃金変動率 | 0.993 |
これらの数値を、先ほどの計算式に当てはめてみます。
0.967×1.005×0.993=0.965
2、実際の国民年金保険料額を算出する
17,000円×0.965=16,405.5円
1円単位は四捨五入し、保険料は月額16,410円
これが、国民年金保険料の基本的な計算方法です。
ちなみに納付方法を少し工夫すれば、保険料が安くなったり、将来もらえる年金が多くなったりするんですよ。次の章から紹介していきます。
国民年金保険料は前納すれば割引される!
国民年金保険料は、前もって一定期間分を納めることで安くなります。
前納の方法は「現金およびクレジットカードによる前納」と「口座振替による前納」の2通り。現金またはクレジットカードで前納した場合の割引額は、次のとおりです。
前納区分 | 1回あたりの割引額 | 2年分の割引額 |
---|---|---|
2年前納 | 14,520円 | 14,520円 |
1年前納 | 3,500円 | 7,000円 |
6カ月前納 | 800円 | 3,200円 |
口座振替で前納した場合も見てみましょう。
前納区分 | 1回あたりの割引額 | 2年分の割引額 |
---|---|---|
2年前納 | 15,760円 | 15,760円 |
1年前納 | 4,130円 | 8,260円 |
6カ月前納 | 1,120円 | 4,480円 |
当月末振替(早割) | 50円 | 1,200円 |
同じ期間分の前納でも、現金より口座振替で行ったほうがお得です。
国民年金保険料の前納を行うメリットや手順、注意点については次の記事で説明しているので、こちらも読んでみてください。
付加保険料の納付(月額400円)でもらえる年金額を増やせる!
国民年金保険料は月額16,410円(平成31年度)ですが、さらに上乗せして納付することも可能です。このように追加して支払う金額を「付加保険料」といいます。
付加保険料は月額400円。
付加保険料を納付すると、将来もらえる年金(老齢基礎年金)を増やすことができます。
その内容について、詳しく見ていきましょう。
【1】付加保険料で上乗せされる年金の支給額
付加保険料の納付によって上乗せされる年金額を「付加年金額」といいます。付加年金額の計算式は次のとおりです。
実際どれくらい支給額が増えるのか、付加保険料を30歳から60歳まで(30年間)納めた場合を例に見てみましょう。
付加保険料を30年間納め続けた場合、1年分の年金に上乗せされるのは72,000円。つまり月々の支給額が6,000円ずつ増えるんです。早めに付加保険料の納付を始めれば、将来の老後資金を増やしやすくなります。
【2】付加保険料の受給条件
付加保険料を納めることができるのは、次のような人です。
- 国民年金第1号被保険者
- 任意加入被保険者※
国民年金基金※に加入している人は、付加保険料を納めることができません。
国民年金法の規定に基づく、公的な年金制度のこと。厚生年金のように、国民年金に上乗せされる形で加入するものです。
国民年金基金の内容やメリット・デメリットについては「国民年金基金で老後資金を準備しよう!個人型確定拠出年金にも注目」を読んでみてください。
付加保険料を納める場合は、市区役所または町村役場の窓口で申し込んでください。付加保険料の納付は、申し込みをした月分から始まります。納付期限は翌月末日です。
国民年金の付加保険料については次の記事で、メリットや注意点などを詳しく解説しています。こちらも参考にしてくださいね。
国民年金保険料は社会保険料控除の対象
国民年金保険料は、社会保険料控除※の対象です。
納税者が自分(または生計を同じくする家族など)の社会保険料を納めた場合、その支払い金額に応じて所得税や住民税が安くなる所得控除のことをいいます。
社会保険料控除の対象となるのは、原則としてその年のうち(1月1日~12月31日)に納付した保険料ですが、2年前納した場合は、各年分の保険料に相当する額を各年に申告することもできます。
未納分は年内に納付しないと、社会保険料控除の対象外になってしまうので注意しましょう。
国民年金保険料を払えないときは免除・猶予制度を利用
国民年金保険料は月額約16,000円。国民健康保険料や住民税などと合わせて月ごとに支払うとなると、安いとは言えないですよね。
しかし国民年金の納付は義務。
いつまでも滞納していると、最終的に給与や預金などの財産を差し押さえられてしまいます。
保険料の未納は、将来もらえる年金にも影響があるんですか?
国民年金は、2年前の分までなら後払いが可能です。
また「経済的な事情により納付が難しい」という人は未納のままにせず、国民年金保険料の免除・猶予制度を利用できないか検討しましょう。詳しくは次の記事でお伝えしています。
国民年金が義務である根拠や、滞納によるデメリット、国民年金を払えないときの対処法については、次の記事を参考にしてください。
国民年金保険料は前納・付加保険料の納付がオススメ!
一定期間分を前納しておくと、前納期間に応じて国民年金保険料を安くすることも可能です。
さらに付加保険料(月額400円)を納付すれば、将来もらえる年金を増やすことができます。付加保険料の納付を早めに始め、老後資金を確保しておくのがオススメです。
年内(1月1日~12月31日)に納めた保険料は社会保険料控除の対象となるので、年末調整や確定申告を行う際には控除証明書を添えて申告しましょう。
ただし未納分は、年内に納めないと控除の対象外になってしまうので要注意。年金額を減額されたり、年金自体もらえなくなったりする恐れもあるので、国民年金保険料は必ず納付しましょう。
保険料の納付は口座振替による2年前納がお得ですが、例年2月末日が申し込みの締切なので気をつけてください。
また、クレジットカード決済によるポイント付与を加味すると、口座振替よりもクレジットカードの方が有利になることもありますので、保有しているカードの還元率を調べてみるのもいいかもしれません。

日本年金機構、社労士法人勤務を経て開業。中小企業の労務管理に従事する一方、年金相談窓口や無料相談会などで年金相談を受けている。