住宅ローンの固定金利の特徴や種類をご紹介
住宅ローンを契約する際、固定金利か変動金利のどちらかを選択しなければいけません。ただ、固定金利について正しい情報はきちんと把握していると自信を持って言えますか?
ただ、ずっと金利が決まってるっていうことだけだと思ってませんか?実は、固定金利と言っても色々な種類があります。
固定金利はどのように決まるのか、どんな種類があり、メリット・デメリットはどのような点が挙げられるのか、詳しくご紹介していきましょう。
住宅ローンの固定金利って何?
住宅ローンの固定金利について、基本情報をご紹介していきましょう。
固定金利とは借り入れから決められた期間、決められた金利が適用されるというものです。
固定期間が短いほど金利が低くなる傾向にあり、固定金利適用期間中は金利、返済額が変わらない特徴があります。
では、固定金利はどのような仕組みで決まるのかについてご紹介しましょう。
固定金利は、長期金利に連動し、10年国債※の利回りに大きく影響されます。
国が発行する「国庫債券」の略称。この国債を購入することで、国は資金調達ができ、また出資者は国金利を半年に1回受け取ることができます。満期になると元本が償還されるというものです。
住宅ローンの固定金利は国債の金利を基準としているため、国債の動向を見ていれば住宅ローンの金利もわかるようになっています。
つまり、10年国債をチェックすれば固定金利の動きも分かるのです。
固定金利の金利はどう決まる?10年国債が変動する要因とは
固定金利は、10年国債などの長期金利に影響します。つまり、10年国債の変動要因を知れば、住宅ローンの固定金利が変動する要因も分かるわけです。
長期金利は、新聞などに記載されていますので定期的にチェックしておきたいですね。
これまでの住宅ローン固定金利の推移とは
ここで、今まで住宅ローン固定金利がどのように推移してきたかについて見ていきます。
固定金利は、毎月月初のタイミングで変わります。
金融機関が固定金利を決定するのは月末で、その決定した金利をほとんどの銀行が月初めの1日に公表しますが、稀に中旬ごろに設定している銀行もあります。
つまり、住宅ローンを月末に申し込んだ場合「申し込み時」と「融資実行時」どちらの金利が適用されるのかについても、金融機関や商品によって違いますので、確認しておくことが必要です。
固定金利は、現在1~3%台という比較的低金利を維持している状況。住宅ローン固定金利で代表的なフラット35の金利も、1%台を保っている状態です。
ただ、過去には平成2年に5.5%という金利だったケースもあります。これからもこの低金利が続くかどうかは、景気動向次第、長期金利次第と言えるでしょう。
固定金利のメリット・デメリット
固定金利はずっと金利が変わらないということですが、それにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
メリット | デメリット |
---|---|
・金利が変わらない ・返済額が一定 ・支出予測が立てやすい |
・変動金利より割高 ・固定期間終了後は大きく返済額が上がる可能性がある ・契約時よりも金利が低くなった場合でも当初の金利のまま |
固定金利のメリットは、全期間固定であれば契約時から返済総額が決まっている、毎月の返済額に変動がないという点です。
金利が変動して返済額も変動すれば、家計に大きく影響して返済が苦しくなってしまう恐れもあります。しかし、全期間固定金利であれば、毎月の返済額は確定していますので返済額が増える心配はありません。
ただ、デメリットとしては変動金利より高い金利設定になるということ、そして固定期間が決められているものであれば、期間終了後に大きく金利が上がる恐れがある点です。
実は、変動金利は金利がどんなに変動しても、月々の返済額は1.25倍までと制限があります。しかし、固定金利にはこの制限がありません。
ですから、固定金利期間終了後の金利次第では、返済額が大幅にアップしてしまう恐れがあるわけです。
変動金利について興味がある方には、こちらの記事がオススメです。
どうして期間終了後っていう話になるの?
そちらについては、また後ほど詳しくご紹介します。
住宅ローンは全期間固定と一定期間固定どっちがお得?
住宅ローンには、全期間固定金利と一定期間のみ固定金利という2つの種類があります。また、一定期間のみ固定という場合もその期間は細かく分かれているのです。
住宅ローンの固定期間が選択できる商品を、固定金利選択型と呼びます。
では、この固定金利選択型にはどのような種類があるのでしょうか。金融機関によって異なりますが、固定期間を2年、5年、10年、15年、20年などから選択することができます。
ただ、固定金利選択型は、固定期間終了後は変動金利に移行するものがほとんどです。
固定期間終了後の金利がそのまま適用されるので、金利が高ければ返済額は増えますし、年に2回の金利見直しによってさらに金利が上がる可能性もあります。
固定金利選択型は、固定期間終了後の返済をうまく乗り切ることができるかどうかが重要となるのです。
だからこそ、固定金利の期間選択が重要になってくるのですね。
10年固定住宅ローン
10年固定住宅ローンは、借入時から10年は当初の固定金利が適用されるという商品です。
10年間は金利が固定されるというのがメリットであり、また、各社の優遇金利も充実しているというのも魅力でしょう。
しかも全期間固定金利と比べるとさらに低く金利が設定されていることが多いため、「10年固定されるなら安心だ」と考える方は多いです。
ただし、裏を返すと「現在の変動金利よりは割高なうえ、固定期間終了後は金利が高くなるリスクがある」とも言えますので、返済期間を踏まえたうえで利用をよく検討しましょう。
ただ、長期ローンを考えている場合は11年目から変動金利へと移行してしまいます。変動金利になると返済負担が大きくなるリスクはありますので、長期での返済を考えていいる人は注意が必要です。
逆に、選ばない方が良い人はどういう人なのでしょうか?
ただ、固定期間終了後に教育資金などで支出が増える可能性がある場合、10年固定の住宅ローン選択は避けた方が良いでしょう。
20年固定住宅ローン
20年固定住宅ローンも、注意すべき点は10年固定住宅ローンと同様に固定期間終了後の返済に注意しなければいけません。
固定期間終了後に変動金利になると、当初から変動金利を選択したときの5年ごとの返済額見直し、そして返済額の増額は125%まで、というルールが適用されません。
ただ、20年固定住宅ローンの場合は、固定期間終了後に変動金利ではなく固定金利を選択することが可能な商品もあります。再度固定金利を選択する場合は手続きが必要となりますので、20年固定金利を検討する際には事前にチェックしておきたいですね。
20年固定金利は、20年である程度返済が終わる方、収入が上がる見込みがある方、20年である程度支出が落ち着く方にオススメですが、やはり長期返済で固定期間終了後も返済が続く人にはオススメできません。
35年の全期間固定金利住宅ローン
35年の全期間固定金利は、完済まで金利が変わらないというのが最大のメリットです。
ただ、変動金利よりも金利が高くなるので、最終的に支払い総額は高くなる可能性はありますが、全期間金利が変わらないと言う安心感は大きいものです。
現在、固定金利・変動金利ともに超低金利であるため、その差は1%未満。とはいえ1%未満でも、借入金額が高ければ高いほどその目に見える金額の差は大きくなるため、注意しましょう。
毎月の返済を安定させたい方や、しばらくは支出が多くなりそうな方は、全期間固定金利がオススメです。
金利が割高になるのが気になる方は、繰り上げ返済をして支払い金利を抑えることも可能です。
繰り上げ返済については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
固定期間選択型ローンは金利がお得?
最も金利が低いのは変動金利で、固定期間が長くなるにつれて金利は高くなる傾向にあります。実際どの程度変わるのか、みずほ銀行を例に見ていきましょう。
金利種類 | 金利 |
---|---|
全期間変動金利 | 0.625% ~ 0.875% |
期間固定金利 | 5年…0.65%~0.90% 10年…0.70%~0.95% 15年…1.15%~1.40% 20年…1.20%~1.45% |
全期間固定 | 16~20年…1.08% 21~25年…1.11% 26~30年…1.13% 31~35年…1.14% |
これらは優遇金利を適用した後の金利になりますが、変動金利と全期間固定の最高金利の差は、0.8%にもなります。
固定期間が長くなるほど割高な金利になるということは、覚えておきましょう。
固定金利と変動金利、どちらを選択すべきか悩んでいる人は、こちらの記事をチェックしてみてください。
住宅ローンの固定金利がおすすめなのは安定した返済を望む人
ただ、一部期間のみを固定金利にする固定金利選択型の場合、その期間が終了後は変動金利に移行する商品がほとんどです。
その際、金利が高ければ返済額が一気に増える恐れがありますので、変動金利に切り替わるまでにしっかりと余裕のある資産を確保し、リスクに備える必要があります。
固定金利のメリットとデメリットを把握した上で、検討するようにしたいですね。
変動金利と固定金利には、その両方にメリットがあるため”こっちが絶対にお得!”と言い切ることはできません。それでも迷ったときには、”固定金利は変動金利よりちょっと高いけど、返済額が大きく変わらないなら安心料として高い方を選んでみようかな”という風に、発想を少し変えてみることもおすすめです。
4年ほど専任の宅建士として不動産業者に勤務し、現在はマンション管理士・消防設備士として独立。
宅建士としての知識や立場を活かし、不動産売買時の疑問点などの相談を受けている。