投資信託の始め方
投資信託の売り時は?売却のタイミングと知っておくべき注意点

投資信託の売り時は?売却のタイミングと知っておくべき注意点

投資信託は安い時に購入し、高くなってから売却をすれば、利益を得ることができます。

ただし投資信託を解約するタイミングは何も利益が出た時だけではありません。

リスクが拡大した際にも、損失が発生する前にタイミングよく解約する必要があります。

今回は、投資信託はいつどのタイミングで売却するべきなのか、その売り時について解説していきます。

投資信託の売り時とは?

投資信託は株などと同じように、いつでも自分のタイミングで売却することができます。

しかし投資信託の売却価額は事後的に決定されるため、売却した時の価格通りに売却できるとは限りません。

投資信託を売却してから、実際に売却代金が口座に振り込まれるまでの間には数日ほどの日数を要します。間に土日や祝日を挟むと、1週間以上かかるケースも。

そのため投資信託の売却をする際には「確実に利益が出る」もしくは「これ以上保有すると損失が拡大する」と判断できたら、早々に売却をした方が良いでしょう。

投資信託ってだいたいどのくらいの期間、保有するものなんですか?
投資信託は長期投資向けの金融商品なので、数年から十数年と長めに保有する投資家が多いです。運用が上手くいっている限りは、無理して売らなくても良いですよ。

投資信託で損切を判断するポイント

長期投資が前提の投資信託で当初の予定よりも前に売却するべきタイミングは、これ以上運用を続けると損失が拡大してしまうとき。

例えば純資産残高が減少している投資信託は、今後効果的な運用ができなくなり運用成績が悪化する恐れがあります。そのため損失が発生する前に解約、つまり損切りをした方が良いでしょう。

他のファンドと比べて運用成績が悪化している投資信託や、価格が下落することで損失が発生し始めている場合も同様です。

損切りとは
損切りとは投資の世界でよく使われる単語です。損失が発生している金融商品を売却することで、損失を確定させることを指します。

それほど大きなリスクではない場合は、投資信託を全部ではなく一部だけ解約してリスクとリターンのバランスを是正するというやり方もあります。

いくらリスクがあるかといってすべて売却すると、もしもリスクを撥ね退けて運用が上手くいった時に、リターンを得られくなってしまいます。そのような失敗をしないためにも、リスクの範囲内で投資信託を一部だけ売却すると良いでしょう。

目標としている利益に到達した、もしくは損失の拡大が許容できる範囲を超えた時こそが、投資信託の売り時となります。

そうとは言っても、自分じゃ判断できないっすよ~。
損失は誰しも認めたくないものです。予めこの状態になったら損切りをすると決めておくと良いでしょう。

損切りのタイミングの例を紹介します。

  • 基準価額が低迷している
  • 純資産総額が30億円を下回った
  • 類似の他のファンドと比べて運用成績が悪化している

基準価額が低迷している

含み損を抱えることになったとしても、今後価格が回復する見込みが高いのであれば、損切りせずに保有し続けた方が良いでしょう。

しかし基準価格が回復する見込みがなく、このまま保有し続けても損失が増えるだけの可能性が高い場合は、早々に売却をし損失を確定するのがおすすめ。

損切りすべきタイミングを計る上で役立つ指標には「純資産総額」があります。

もしも現在保有している投資信託の純資産総額が30億円を下回った場合、損切りをした方が良いでしょう。

投資信託の純資産総額が30億円を下回ってしまうと、かなり危険な水準となります。場合によっては繰上償還をされるかもしれません。

繰上償還とは

満期になる前に元本の一部もしくは全部を償還すること。繰上償還をするということは、強制的に投資信託を売却させられるのと同じことです。

もしも含み損が最大になった時に繰上償還をされると、その時点で損失が確定してしまいます。そのような事態に陥る前に自分から投資信託を売却し、損失の拡大を未然に防いだ方が良いでしょう。

投資信託を売却する時の手数料に注意

投資信託を売却するとき信託財産留保額と呼ばれる手数料が発生することがあります。この手数料が高いとせっかく投資信託で利益を得ることができたとしても、手数料分だけ損をしてしまいます。

投資信託を購入する際には、信託財産留保額がいくらになるのかを事前にチェックしておきましょう。

信託財産留保額は、絶対に発生するものなのですか?
いいえ、投資信託の中には解約時に手数料がかからない銘柄もあります。解約する時のコストはどのくらいになるのかを事前に計算しておきましょうね。

信託財産留保額の目安は0.1%から0.5%ほど。信託財産留保額が0.5%を超えると、高いと判断できる水準となるため売却時には注意しましょう。

そして信託財産留保額以外にも、売却時には税金が発生します。税率は利益に対して20.315%です。

税金がかかるということは確定申告が必要なのでは?
源泉ありの特定口座を使用すると、確定申告の手続きが不要になります。税金そのものを減らしたいなら、NISAを活用してみましょう。NISAについて詳しくは「投資信託をするならNISAがオススメ!?その理由を徹底解説」の記事を読んでくださいね。

投資信託を長期保有するメリットとデメリット

投資信託ができるだけ長期間にわたって保有した方が良いとされる理由を説明しましょう。

長期保有のメリット

投資信託の長期保有のメリットは、収益の安定化です。

投資信託を長期間保有すると、定期的にもらえる分配金を再投資にまわすことで、複利効果を働かせることができます。しかし短期間で投資信託を解約してしまうと、この複利効果を得ることができません。

たとえ価格が伸びず含み益が出なかったとしても、複利効果を発揮させることができれば資産を増やすことができます。複利効果は投資信託を保有する期間が長いほど、効果を発揮しやすくなるため、投資信託は長期にわたって保有し続けた方が良いでしょう。

さらに長期にわたって保有し続ければ、値動きのリスクは減っていきます。なぜなら投資信託の値動きは、時間の経過と共に縮小される傾向があるからです。

運用当初は価格も変動しやすい投資信託ですが、5年10年と時間を経過する毎に運用が上手くいき、価格が安定するようになります。

一旦価格が安定するようになれば、今後は変動リスクに怯える心配がなくなります。リスク管理をするという意味でも、投資信託は長期保有が望ましいです。

他にも長期保有をすることで、手数料などのコストの負担を軽くすることができるというメリットがあります。

やっぱり投資信託は長期保有の方が良さそうですね。
ただし期限が長い投資信託を購入しておかないと、購入してすぐに満期を迎えて償還されてしまう可能性があるので注意しましょうね。

長期保有のデメリット

長期投資の主要なデメリットは、時間の経過と共に価格が暴落するリスクに苛まれる点。この世に絶対に価格が上がり続ける金融商品などありません。どれほど素晴らしい金融商品にも、価格が落ちるリスクが内在しています。

投資信託を10年20年と長きにわたって保有し続けると、いつか大暴落に巻き込まれ含み損を抱える恐れがあります。

このようなデメリットを回避するためにも、投資信託の購入の際には一つに限定せず、複数の投資信託を購入してリスクを分散しておきましょう。

投資信託の保有中に注意すべきポイント

投資信託は長期保有だから、あとはほったらかしておけばいいんだよね!
長期保有を前提にしていても、定期的に状況をチェックしておいたほうが良いでしょう。もしも運用成績が悪化した場合、損切りをするべきか、それとも継続して保有するべきかを決断することになります。
えっ!運用成績の良し悪しはどう判断したらいいんすか?
判断に役立つのが「投資信託の運用報告書」です。運用報告書を逐一チェックすることで、投資信託のリターンとリスクを把握することができます。

もしも投資信託のリスクが増大するようであれば、保有中の投資信託の一部を売却し、リバランスをすると良いでしょう。

リバランスとは
保有中の資産の配分比率を調整しリスクの増大を防ぐことです。

投資信託を保有する際には、株や債券など他の金融商品の動向をチェックし、バランスや比率・配分などに目を配りましょう。

投資信託で売り時は重要!損切のタイミングをチェック

投資信託は、長期投資を前提としている金融商品です。一度購入すると決めたのであれば、長期にわたって保有し続けた方が良いでしょう。

ただ、運用成績が悪化し、これ以上保有してもリターンが無く、リスクの方が大きいと判断したら、早々に損切りをし、売却するのがおすすめ。

運用成績が良ければそのまま保有し続け、運用成績が悪化したら売却して損切りをする、それが投資信託で資産を増やすコツとなります。運用成績が悪い投資信託だけを損切りし、成績が良い投資信託だけを保有し続ければ、やがては計画通りに資産を増やすことができるでしょう。