納骨堂が選ばれる理由とは?墓石を建てない納骨堂の費用と永代供養
墓石を建てる一般的なお墓のカタチ以外にも、選べるお墓の選択肢が広がりをみせています。その代表的な例に「納骨堂」があります。CMや広告でもよく耳にする納骨堂ですが、一般的なお墓と比べてどのような違いや特徴があるのでしょうか?
この記事では時代とともに変わりゆくお墓のあり方の一例として、納骨堂が選ばれる背景や理由を解説します。
お墓選びの際に重要となる、納骨堂の費用やメリット・デメリットも併せてご紹介しますので、大切なお墓選びの参考にしてくださいね。
よく聞く「納骨堂」ってどんなお墓?一般的なお墓との違い
納骨堂は建物内の納骨スペースに遺骨を収蔵するスタイルのお墓
一般的なお墓は、遺骨を墓石のある土の下に埋葬します。
それに対して納骨堂は、建物内の納骨スペースに遺骨を収蔵するお墓です。
一般的には墓石を必要としないため、比較的安く費用を抑えることができます。
お墓の後継者が心配な人や、お墓を管理する面倒を子どもに残したくない人、お墓にかかる費用を節約したい人にとって、納骨堂は選ばれやすいお墓の一つです。
また、納骨堂は建物内にあることが多く、広い土地を必要とする一般的なお墓に比べ、比較的交通アクセスのよい立地にあります。地元を離れ、お墓参りへわざわざ遠出をすることが難しい場合や、天候が悪い日であっても、納骨堂はお墓参りがしやすいんですね。
納骨堂なら手間のかかるお墓の管理が不要
納骨堂の運営母体は、寺院、民間、公営の3つに分かれます。
一般的なお墓はご遺族がお墓の手入れをすることがほとんどですが、納骨堂は運営母体が施設の管理をおこないます。
室内にあることが多いため、お墓周りの草むしりや掃除などをする手間もほとんど必要ありません。納骨堂であれば、残されたご遺族にとって、お墓の管理にかかる負担が少なくて済みます。
火葬後の遺骨をお墓に納めるときに行う儀式のことです。
お墓を管理しているお寺の僧侶に依頼し、納骨の儀式をおこなうようにしましょう。
一方、民間や公営の納骨堂の場合は、ご遺族やご親戚のみで納骨をおこなうケースもあります。もちろん、ご遺族間のご意向に合わせて、外部から僧侶を呼んで納骨式を執りおこなっても問題ありません。
納骨式をおこなう・おこなわないに関しては、ご親族間でよく話合い、それぞれが納得できる選択をしてくださいね。
納骨堂なら永代供養できるところも多い
「永代供養」とは、寺院や霊園が親族に代わり供養・管理していくお墓のこと。永代供養にお墓の形は問いませんが、納骨堂は永代供養のお墓として多く採用されています。
ほとんどの納骨堂では、17回忌や33回忌など一定期間を経ると、永代供養として他の遺骨と合祀されます。
一度合祀されると、後から遺骨を取り出すことが難しくなるため、合祀されるまでの期間は事前にチェックしておくと安心です。
もちろん、納骨堂であっても永代供養を前提とせず、ご遺族でお墓を継承していくパターンもあります。故人とご遺族の意思に沿って選ぶようにしましょう。
納骨堂のタイプと費用をチェック!墓石建設費が不要な分、お墓よりも安い
納骨堂の種類は大きく分けて5つ
納骨堂には、さまざまなタイプがあります。形態ごとの特徴をみてみましょう。
ロッカー式 | ロッカーのようにひとつ一つ区切られたスペースに納骨するタイプ |
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機械式 | 該当の遺骨をタッチキーやボタンで操作すると、専用の参拝スペースに遺骨が自動搬送されるタイプ |
仏壇式 | 納骨スペースにひとつ一つの仏壇が設けられたタイプ。スペースの独立性が比較的高い |
位牌式 | 参拝スペースに各位牌がズラリと並んでいるタイプ。遺骨の保管場所は、位牌から少し離れている場合もある |
墓石式 | 室内にありながら、小さめの墓石を建てるタイプ。通常のお墓にもっとも近い |
お墓としての存在感がしっかりとあり、独立性の高いタイプから、複数のご遺骨と共有スペースに納めるタイプなど、納骨堂の形態も多様です。故人やご遺族の意向に沿って、納骨堂のタイプもしっかりと検討しておきたいですね。
納骨堂の費用の相場は50万円から
納骨堂は、一般的なお墓に比べて建設費のかかる墓石や土地代を必要としないため、費用を抑えることができると言われています。
納骨堂(一人用) | 50万円程度 |
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納骨堂(家族用) | 100万円程度 |
納骨堂は、一般的なお墓よりも費用相場が安い傾向にあります。
しかし、立地や納骨堂のタイプによって大きく金額が異なります。
一人用の納骨堂の場合、ロッカー型であれば10万円〜20万円程のお手頃価格で利用できる一方、墓石型や機械型などの場合は100万円前後となるケースもあります。
また、家族用であれば、大きさにもよりますが50万円〜200万円が相場と言われています。納骨堂内の設備環境やサービス、また運営母体が公営か民営かによっても費用相場は異なるため、事前に見積もりで細かくチェックしましょう。
なお納骨堂の費用は、基本的に次のの2つに分かれます。
- 使用料
- 管理費
使用料は「永代使用料」とされることもあります。基本的に、使用料は契約時に支払うお金ですが、管理費は契約時に一括で支払うパターンと、毎年支払うパターンがあります。施設によって支払い条件や料金設定は異なります。初期費用だけでなく、ランニングコストも併せて検討することが大切です。
ペットもOKな納骨堂がある
すべての納骨堂で、ペットの納骨許可があるわけではありません。しかし、いくつかの施設では、ペットと人間の納骨をOKとしている納骨堂が出てきています。「ペットも家族の一員」という風潮が高まるなか、時代のニーズに応じたお墓のあり方といえそうですね。
選ぶ前に知っておきたい!納骨堂の具体的なメリット・デメリット
- 費用を安価に抑えられる
- アクセス利便性の高い立地が多い
- お墓の掃除や手入れがいらない
- お天気の悪い日もお墓参りしやすい
- お墓の後継人を気にせず永代供養できる
- 基本的には宗教・宗派を問わない
納骨堂は、一般的なお墓に比べて管理もラクで、費用も抑えられるメリットがあります。墓石を建てず、広い土地も必要としないため、アクセスしやすい立地にあるのもうれしいですね。
- お供え物を制限を受けやすい
- 参拝スペースを他人と共有する場合がある
- 一定期間経つと合祀されることがほとんど
- 一度合祀されると遺骨を取り出すことは難しい
- 親族からの理解を得られないケースもある
一方で、建物内にあるがゆえに火災リスクを鑑み、お線香を禁止してるケースや、お供えできるお花やお菓子にも制限を設けている施設もあります。墓石に比べて参拝スペースも小さく、お墓参りとしてはさみしい印象を受ける人もいるかもしれません。
メリット・デメリットの両者バランスをとりながら、悔いのないお墓選びを目指しましょう。
納骨堂はこんな人にオススメ!契約前のポイントもご紹介
納骨堂はコストを抑えたい人、お墓を残したくない人向け
納骨堂は一般的なお墓と比べて費用が低く、永代供養できるお墓を選べば、お墓の後継者を気にする必要もありません。
単身世帯が増え、お墓離れが進むなか、管理をする人がいない「無縁墓」になることを避けることができます。また、納骨堂選びの際は、使用料や管理費だけでなく、その他にかかる費用も検討しておく必要があります。
法要をおこなう際は、納骨堂も通常のお墓と同様、法要料やお布施を用意します。さらに、納骨堂によっては、法要に使用する会場使用料が発生するケースもあります。納骨堂を決める前に、トータルでかかる費用をきちんと把握しておきましょう。
合祀するまでの期間を事前に確認しよう
納骨堂の場合、お墓の継承をしないタイプであれば、一定期間を経ると合祀墓に移されます。複数の遺骨の眠る合祀では、あとから遺骨を取り出すことが難しくなります。
万が一、故人のお墓を個別に残したいと思ったときに備え、遺骨が取り出せる状態にある期間を把握しておくことは大切です。
納骨堂の施設や契約条件によって、一定期間後に合祀となるのか、合祀までの期間はどれくらいかは異なります。必ず事前に契約期間の確認をしてくださいね。
お墓参りに制限があることも。親族間でしっかり話し合おう
納骨堂のお墓参りは、屋内が多いため天気を気にせずに利用できるメリットがあります。しかし、お盆やお彼岸の時期にはお参りで施設内が混み合うケースがあります。
さらに線香やお花、飲食物のお供え物に対して、制限が設けられていることも少なくありません。
通常のお墓と違い、納骨堂には大きな墓石がないため、お参りが寂しいと感じてしまう人もいるでしょう。お墓参りをする際の格好は、基本的に普通のお墓と変わりはありませんが、施設によっては建物内の土足を禁止している場合があります。
一般的なお墓の形態と違うことに、親族の中には抵抗感を感じる人がいるかもしれません。あとから親族間でトラブルにならないよう、関係者間でしっかりと承認をとっておきましょう。
納骨堂は、費用や後継者の手間が少ない手軽なタイプのお墓
核家族化やお墓離れが進むなか、時代のニーズにマッチした納骨堂は多くの人に選ばれるようになっています。
納骨堂を検討する際は、故人とご遺族それぞれの想いが尊重できる選択をしましょう。費用や条件だけでなく、納骨堂の雰囲気を事前にしっかりと確認し、悔いのないお墓選びをしてくださいね。