
入院費用は22万円が平均!入院費用の内訳と負担軽減策をご紹介
入院すると、薬や検査の費用のほかに、入院基本料、希望して個室や少人数の部屋に入ったときの差額ベッド代、食費などがかかります。
通院よりもお金が多くかかりそうで不安になりますよね。
合計でどれくらいお金がかかるかは症状や入院日数によりますが、ひとまず入院費用の目安を知っておきましょう。
いざ入院となったときに、慌てたり不安にならずにすみますよ。
入院費用の負担を軽くするために知っておきたい制度についても紹介します。
入院にはどんなお金がかかる?入院基本料、差額ベッド代とは
入院中はもちろん薬、点滴、検査代以外にも、入院基本料、差額ベッド代、食費などが必要です。
入院基本料や差額ベッド代って、名前だけじゃ、どんな費用なのかわかりにくいですね。それぞれについて紹介します。
入院基本料には診察・看護の費用も含まれている
入院基本料は入院1日についてかかる費用です。2泊3日の入院なら3日分かかります。
診察、看護、ベッド、寝具の代金が含まれていて、金額は病院のランクによって違います。
2018年7月現在では9,600~15,910円。急性期医療を担う病院ほど高くなります。
患者の自己負担は、紹介した金額の1~3割です。
入院30日までは金額が上乗せされて少し高くなり、長期入院だと金額は下がります。
入院基本料の仕組みについては、コチラの特集記事で紹介しています。
負担大!差額ベッド代は保険が効かないので全額自己負担
入院基本料はいわゆる「大部屋」に入るときの金額です。
個室など、以下の基準を満たす部屋を希望すると、追加で「差額ベッド代(特別療養環境室料)」がかかります。
- 1部屋にベッド4床以下
- ひとり当たり面積6.4平方メートル以上
- ベッドごとにプライバシーを確保できる
- 個人用の照明、机、いす、収納設備あり
差額ベッド代の金額は、病院が独自に決めています。
病院 | 差額ベッド代 |
---|---|
関東地方A病院(私立) | 7,560~64,800円 |
関東地方B病院(公立) | 9,000~18,000円 |
差額ベッド代は保険が効かないので全額自己負担。入院が長引くと大きな負担になります。
食事代は原則1食460円!所得や病気によって減額される
食事代の自己負担額は、原則として1食460円です。
低所得者や指定難病患者などは、金額が安くなります。
区分 | 食事代自己負担額 |
---|---|
一般(下の3つ以外) | 460円 |
住民税非課税世帯(に属する人)※ | 210円(入院90日以内) 160円(入院91日以上) |
※のうち、70歳以上で所得が基準に満たない人 | 100円 |
指定難病・小児慢性特定疾病の患者 | 260円 |
(2018年7月15日現在)
住民税非課税の人が食事代を減額してもらう場合、加入している健康保険で「限度額適用・標準負担額減額認定証」を発行してもらい、病院の窓口に提出します。
意外にかかる!日用品やおやつ代も入院費用
入院基本料や食事代のほか、こんなこまごましたお金もかかります。
- 病院食以外のおやつや飲み物代
- 暇つぶし用の雑誌や新聞などの費用
- テレビカード代
- コインランドリー代
「病院指定のパジャマをレンタルしてください」と決まっている病院なら、レンタル料もかかります。
ちなみに、入院時に5~10万円くらいの「保証金」が必要な病院もあります。保証金は入院費用にあてられるので、保証金より入院費用のほうが少なければ、戻ってきます。
また、シャンプーなど、入院前に用意する持ち物を買うのにも、お金がかかりますね。持ち物についてはコチラで紹介しています。
入院費用の総額は平均22万円!10~20万円かかった人が多い
入院基本料や食費などを合わせた入院費用は、どれくらいかかるのでしょうか。
生命保険文化センターが2016年に行った調査では、自己負担が10~20万円かかったと答えた人が多くなりました。
入院費用の総額は日用品費用も入れて22万円が平均!
公益財団法人生命保険文化センターでは、3年に1回「生活保障に関する調査」を行っていて、入院経験がある人に「直近の入院時の自己負担費用」を聞いています。
2016年の調査結果では、入院基本料、食事代、差額ベッド代、交通費(外出や見舞いの家族の分)、入院中の日用品の費用も含んだ自己負担額の平均は、約22万円でした。
分布では「10~20万円」が39.3%、「5~10万円未満」が17.5%、「20~30万円未満」、「30~50万円未満」が13.1%となっています。
1日あたりの自己負担額は約20,000円!
同じ調査では、自己負担の総額を入院日数で割って、1日あたりの自己負担額も調べています。
この平均は19,800円。分布では「10,000~15,000円未満」が24.5%、「20,000~
30,000円未満」が14.1%でした。
費用総額が大きくなる!入院日数が長くなりがちな病気
医療の進歩などによって、入院日数はどんどん短くなっていますが、病気によっては長期入院になるものも。
厚生労働省の「2014年患者調査の概況」によると、主な病気の平均在院日数は以下のとおりです。
病気 | 平均在院日数 |
---|---|
統合失調症 | 546.1日 |
アルツハイマー病 | 266.3日 |
脳血管疾患(脳卒中など) | 89.5日 |
慢性腎不全 | 62.9日 |
結核 | 58.7日 |
骨折 | 37.9日 |
悪性新生物(がん) | 19.9日 |
耳の病気 | 7.8日 |
目の病気 | 4.1日 |
長期入院だと入院基本料は下がっていきますが、長く入院すると費用の総額は大きくなります。
なお、統合失調症などの患者が入院する精神科では、一般病棟よりも入院基本料は安いです。
入院費用をおさえたい!負担軽減策を2つご紹介
入院費用をできるだけおさえるには、どうしたらいいのでしょうか。
「高額療養費」の制度や、差額ベッド代を請求しない病院についてご紹介します。
差額ベッド代を請求しない病院があります
入院費用のうち、大きな負担になるのが、個室などを希望した時にかかる「差額ベッド代」でしたね。
「できれば払いたくないなぁ」と思っている人も多いでしょう。
医療生協(医療生活協同組合)に加盟している病院の多くは、患者の希望ではなくて、すべて医療上の必要に応じて部屋を割りふっています。
ですから、個室に入る場合も差額ベッド代を請求しません。
「日本医療福祉生活協同組合連合会」のサイトで、各地の医療生協や病院を調べることができます。
「個室は費用負担が大きいから絶対に嫌」という人は、これらの病院を入院先として考えてみるのもいいですね。
高額療養費制度で医療費の払い戻しが可能です
私たちが支払う医療費には、1ヶ月あたりの上限額が設けられています。上限額を超えたら、超えた分の払い戻しを受けられます。
医療費が高額になるとあらかじめわかっているなら、事前に手続きして、病院に支払う金額を上限額までにすることも可能。
実は、私もこの「高額療養費制度」を利用して、払い戻しを受けたことがあります。手続きは意外に簡単でしたよ。
上限額の計算方法や手続き方法は、「知らないと損する高額療養費制度!医療費の自己負担を減らす方法」で詳しく紹介しています。
入院費用は10~20万円!長期入院で総額が大きくなる可能性も
入院費用としては、入院基本料、差額ベッド代、食費、その他の日用品の費用などがかかり、総額は10~20万円になることが多いです。
ただ、高齢の場合や、アルツハイマー病や脳卒中などでの入院の場合は、入院日数が長くなり、費用の総額が大きくなります。
高額療養費制度などを活用して、負担を減らしましょう。病院に所属する医療ソーシャルワーカーも、経済的な不安や、制度の利用方法についての相談に乗ってくれますよ。