不動産投資のオーバーローンとフルローンの特徴と違いを解説!
不動産投資を始めようと考えた時に、まず資金面の問題がでてくるでしょう。投資の中でも特に資金量が必要で、不動産投資ローンを活用と思っても分からないことが多くなかなか踏み切れないものです。
しかし、折角不動産投資を始めてみようと考えたのであれば、不動産投資ローンについても上手く活用して収入を得たいものですよね。
では、不動産投資ローンについて仕組みの他に、どのような内容を知っておくと良いのでしょうか?
不動産投資ローンを利用する際の考え方や活用方法、オーバーローンやフルローンといったローンの特徴やメリット・デメリットについて、ポイントを押さえながら分かりやすく解説していきます。
不動産投資ローンは単なる借り入れではない!
不動産投資のローンと聞くと、多くの方は不足した自己資金分のための借り入れといったイメージがあるでしょう。しかし、ローンを単なる借り入れとして考えていると、のちのち収支バランスが厳しい状況になる可能性があります。
不動産投資ローンの種類について知る前に、まずはローンの概要や考え方について見ておきましょう。
不動産投資ローンは計画を立てる事
基本的に不動産投資は、土地・建物や諸費用を含めて多くの資金が必要です。ですので、自己資金(頭金)と金融機関や銀行からローンを利用して、不動産投資を始めます。
この時、不足した自己資金を借り入れるための一時的支出をローン、賃貸料や利回りなどを収入と、単純に分けて考えている初心者の方が多いです。
また、特に収入ばかりに目を向けてしまうと、収支バランスが見えなくなるので、黒字化が難しくなります。
つまり不動産投資はローンと収入のバランスや、返済方法・期間・借入機関など、融資も含めて総合的な投資計画を立てる必要があるということ。
住宅ローンは基本的に収益を得る為ではなく、住宅購入(土地含む)の際に自己資金が不足している分を補うために行います。
対して、不動産投資ローンは、将来的に物件の利回りや収益率がどのように推移するのか考えた上で、融資を受けるようにします。
総合的な投資計画といっても、住宅ローンと同じような感覚で不動産投資ローンを組まないように注意しましょう。
不動産投資ローンを上手く活用する4つのポイント
不動産投資ローンは、収益率をいかに落とさないようにするかを考えた上で、組むことが大切です。
では、不動産投資ローンで考えるべき4つの項目を簡単に紹介します。
- 金融機関
- 金利
- 返済年数
- 頭金や自己資金額
基本的に上記の項目を、不動産投資計画に含めて考えます。金融機関というのは、銀行や信用金庫、メガバンクやノンバンク(信販会社・消費者金融)などの、どこからローンを組むか決める事です。
例えば銀行は金利を低めに設定しますが、その代わり審査が厳しいのでローンを組みにくい傾向があります。
頭金や自己資金額の項目は、自己負担額の大小が、長期的に返済額と収益のバランスに大きく影響することを表しています。
後述でも詳しく紹介しますが、フルローンやオーバーローンといった自己資金の割合によっても黒字化できるかに関わります。
そこで、ローンを含めた不動産投資計画を立てることで、投資を軌道に乗せることが必要になります。
不動産投資ローンを組む時はここに注目!
不動産投資とローンの関係については、大まかにイメージできましたよね。
不動産投資ローンを組む際に考えるなければいけないことは、「不動産経営を黒字化させる」ことです。
次は、不動産投資を黒字化させるために、押さえておきたいポイントを覚えましょう。
どの金融機関でローンを組むか
不動産投資ローンで忘れがちなことが、どの金融機関が自身の投資計画に合っているのかという点です。
地方銀行や信用金庫などの融資条件の1つに、支店と住んでいる場所や投資物件の距離が近い状態でないと融資を受けにくい傾向があります。
メガバンクなどは、金利が低い代わりに審査条件である年収・過去の融資履歴・勤続年数・勤務先の会社情報などを、厳しく判断します。
つまり、信用や返済能力が高いと判断されないと、ローンを組むことが難しいでしょう。
このように、不動産投資に掛かるローンを組むといっても、金融機関を選ぶだけで将来的な収支バランスに影響することが分かります。
ただし各金融機関で明確な審査基準は公開されていませんので、審査を受けるだけでも価値はあるといえます。
自己判断で銀行の融資は受けられないだろうと思わず、まずは1度問い合わせてみる事が大切です。
不動産投資のローンには種類がある
後述で詳しく紹介しますが、不動産投資のローンを組む際には自己資金・頭金の割合や、どの範囲まで融資を受けるか決めるために、2種類の組み方が存在します。
2種類の不動産投資ローンを解説しましょう。
- オーバーローン
- フルローン
はじめにオーバーローンとは「投資対象の物件価格を超える融資額のローン」を指します。
物件価格を超える費用になる理由は、不動産投資に各種税金や登記費用など様々な諸経費が掛かり、それらも含めたローンを組むからです。
簡単に言い換えると、「自己資金0」で不動産投資を始められます。
一方でフルローンは「投資対象の物件価格と、同額の融資を受けるローン」です。
日本語で「全額融資」とも呼ばれる方法ですが諸経費は、自己資金で支払います。こちらも、物件の購入費用だけを見ると「自己資金0」で始められます。
※オーバーローンについて詳しく知りたい方は特集記事へ
諸費用まで含める!不動産投資のオーバーローンとは?
先程も触れましたが、不動産投資のローンを組む方法の1つ、オーバーローンは次の3つのすべての費用をローンで支払う方法のことです。
- 建物の費用
- 土地代
- 登記費用や税金といった諸経費
オーバーローンでは1つ押さえておくポイントがあり、全ての金融機関でオーバーローンを組むことはできません。条件として、物件の担保評価額と借りる人の信用が必要になります。
担保評価額を簡単に説明すると、投資対象となる物件の価値が高いかどうかで、これを金融機関がチェックします。
信用は、借りる人の年収や勤続年数などの情報を基に、今後何10年と返済能力を保つことができるかという点です。
これらの条件をクリアしているかで、オーバーローンを受ける事ができるか変わります。
オーバーローンのメリット
- 自己資金0で不動産投資を始められる
- 自己資金を維持したまま次の投資が可能
- 資金を減らさず諸費用分を経費として計上できる
諸費用分のメリットを分かりやすく説明すると、オーバーローンは諸費用込みのローンを組んでいるので、借り入れた時点で自己資金は減っていません。
従って、例えば初年度の確定申告をする際に、自己資金を減っていないのですが諸費用を経費として計上できるメリットがあります。
また、自己資金0で不動産投資を始められるということは、自己資金を温存している状態なので2軒目の投資へ向けて動くことができます。ですので、スピーディな事業規模拡大が可能です。
オーバーローンのデメリット
- 月々の返済額が大きい
- 収支バランスの維持が難しい
- メンテナンスなどの際にローンを組むことが厳しい
オーバーローンのデメリットとして代表的なことは、やはり返済額が大きくなることでしょう。購入時は自己資金を減らさずに済みますが、その分建物・土地・諸費用全てをローンに組み入れているので、時には収支バランスが厳しくなる時もあります。
特に、不動産経営の難しさの1つが空室発生のリスクで、投資から5年目まではアパートが満室であっても、次第に入居者が少なくなる事例はあります。
そうした時のローンの支出補填も考えなくてはいけません。
不動産購入金額と同等!不動産投資のフルローンとは?
建物・土地代のみをローンに組み込む方法がフルローンです。フルローンも、オーパーローンと共通したメリット・デメリットがあるので、いくつか紹介していきます。
フルローンのメリット
- 自己資金の負担額を抑えられる
- 温存した自己資金で次の不動産投資が可能
基本的にオーバーローンと共通点の多いメリットなので、例えば自己負担金を抑えられる点や、2軒目の不動産投資へスピーディに取り組むことができます。
ただ違いといえば、登記手続き費用や登録免許税・不動産取得税などの諸費用を自己負担する必要があります。
フルローンのデメリット
- 月々の返済額が大きい
- 収支バランスの維持が難しい
- 諸費用の負担が大きい場合がある
諸費用の負担に注目です。フルローンの場合は、諸費用は自己負担ですので、建物・土地代ほどではないにしても、まとまった資金を用意する必要があります。
一般的に諸費用は、物件の0.8割から1割程度とされているので、1億円の物件であれば1000万円程は必要となります。
資金計画や収益予測の他に、世の中の景気の流れもチェックしましょうね。
賃貸用不動産の融資であれば「アパートローン」という選択肢もあります。
興味がある方は次の記事もあわせて参考にしてくださいね。
不動産投資計画はローンの項目も含めることが大切
特に、後者の場合は融資額が大きくなるので、毎月の返済額も大きくなる傾向があります。ですので、10年・20年後の返済計画までしっかり立てた上で、ローンを組みましょう。
フルローンやオーバーローンを上手く活用できるように、工夫することが大切で、最初の内はなるべく中古物件を選ぶなど、返済額を抑える事を優先する方法もあります。
フルローンやオーバーローンに限らず、不動産投資は空室などのリスクがつきものなので、いかにリスクを抑えられるかという観点で投資計画を立ててみましょう。