お墓・葬送

霊園とは?墓地との違いと公営霊園・民営霊園で異なる特徴を徹底比較

お墓が多く集まる場所を「霊園」や「墓地」と呼ぶことがあります。いったい、この言葉の違いによって、お墓にはどのような違いがあるのでしょうか?この記事では、よく耳にする「霊園」について詳しく解説します。

宗教による制限や、住む地域による応募条件、選べるお墓の種類や費用も、お墓によって異なります。今さら聞けない「霊園」の意味と特徴を知り、お墓を選ぶ際の参考にしてくださいね。数ある選択肢から、ご自身に合ったお墓選びをするための一助となれば幸いです。

「霊園」ってどんな意味?民営霊園・公営霊園・寺院墓地の特徴を解説

お墓によって、◯◯霊園〜、◯◯墓地〜など、呼び方が違うのはなぜなんですか?
基本的には「お墓が集まっているところ」として同じ意味を持ちます。今回は、お墓の基本をより理解するために「霊園」について掘り下げてみましょう。

霊園と墓地の違い

霊園も墓地も、どちらもお墓の集合地帯を指す言葉です。お墓の”運営母体”によって、その呼び方が変わります。

霊園は、一般的に寺院に属さない墓地を意味します。

一方、墓地とは寺院の境内にある墓地を指すことが多く、「寺院墓地」と呼ばれることもあります。寺院墓地の場合「檀家制度」として、そのお寺に檀家になることが必要なケースがあります。

檀家制度とは

特定の寺院に所属をし、お葬式や法要を任せる代わりに、お布施をしてお寺を経済的に支援するしくみのことです。

寺院へのお布施は、境内の管理や運営に使用されます。檀家になることで、手厚く供養を受けることができるでしょう。

しかし、寺院墓地といっても、すべてのお寺で檀家になる必要があるわけではありません。最近では、檀家にならなくてもお墓をつくることのできるお寺が増えています。

民営霊園と公営霊園

霊園には、運営母体によって「民営霊園」と「公営霊園」の2つに分かれます。

民営霊園 公益法人や宗教法人、民間企業が管理・運営する霊園
公営霊園 都道府県や市区町村など、自治体が管理・運営する霊園

民営霊園は、基本的に宗教法人や公益法人が、民間企業に委託をして霊園を管理・運営しています。民営霊園は、寺院墓地や公営霊園に比べて申し込みに制限が少なく、お墓の種類や施設形態も多様なことが多いです。

公営霊園は、市区町村や地方公共団体といった自治体が管理・運営する霊園です。公営霊園は、基本的にだれでも平等に利用することができるお墓です。基本的には、その自治体に住民票がある人が対象となります。

民営霊園、公営霊園ともに、基本的には宗旨・宗派を問いません。

霊園を選ぶときは、何を比較すればいい?費用相場と特徴をチェック

お墓といっても、運営母体によってそれぞれ違うんですね。いったい、なにを基準にお墓を選べばいいのでしょうか?
寺院墓地、民営霊園、公営霊園、それぞれのメリット・デメリットと費用相場をみてみましょう!

寺院墓地の特徴

寺院墓地は、多くの場合お寺の檀家となり、お布施を払ってお墓の管理や法要をしてもらいます。

お寺の境内にお墓があることから、直接的に住職へ相談をしやすく、手厚いサポートを受けられる点が特徴的です。

寺院墓地に契約する際は、代々お墓を継承するための「永代使用料」を支払う必要があります。永代使用料の相場は、寺院や立地によっても異なりますが、約20万円〜200万円といわれています。

その他、施設管理費や入壇料、法要ごとにお布施を支払うケースが出てきます。あくまで、お布施は”お礼”としてお渡しするもので、料金が決まっているわけではありません。

寺院墓地のメリット・デメリット
メリット ・檀家として手厚くサポートを受けられる
・葬儀や法要について、寺院に直接相談をしやすい
デメリット ・宗派や宗旨による制限が多い
・檀家にならなければならないケースがある
相場 150万円〜300万円

民営霊園の特徴

民営霊園は、宗旨や宗教を問わないところが多く、契約の際にも制約が少ない点が特徴です。

駐車場や送迎バスなど、設備やサービスが充実していることも多く、利用者にとっては快適さがあるでしょう。

その分、永代使用料や管理費が比較的高いことがあります。また、多くの民営霊園では石材店を指定していることも多く、提携している石材店でしか墓石を購入できないケースもあります。費用相場は、寺院墓地とほぼ同等となっています。

民営霊園のメリット・デメリット
メリット ・お墓の形やデザインの自由度が高い
・施設サービスが充実していることが多い
・契約条件の制約が少ない
デメリット ・永代使用料や管理費が割高傾向にある
・民間企業が管理しているため経営破綻の恐れがある
相場 200万円〜300万円

公営霊園の特徴

公営霊園は、自治体による管理・運営されているため、経営破綻のような心配がいりません。宗旨や宗派を問わず応募できるので、誰でも平等に利用することができます。

その一方、該当の自治体に住民票を置く人しか利用できないことが一般的です。

利用者多数の自治体であれば、応募倍率が高く抽選になることも多いです。寺院墓地や民営霊園に比べて費用が安い傾向にあります。掃除や管理は行き届いていますが、民営霊園に比べると施設やサービスは劣ることがあります。

公営霊園のメリット・デメリット
メリット ・宗旨・宗派を問わない
・費用相場が安い
・自治体が運営しているので経営破綻の恐れがない
デメリット ・自治体によって選べる霊園が限られる
・人気のある区画は抽選になる
・お墓の形やデザインは制限されることがある
相場 150万円〜250万円

寺院墓地、民営霊園、公営霊園には、それぞれに違った特徴があります。「お墓」と一括りにせず、しっかりと比較検討することが大切ですよ。

自分に合った霊園探しのポイント!コストと条件のバランスを考えよう

実際にお墓を探すときは、どこに注意したらいいのでしょうか?
霊園探しの際に気をつけたい、選び方のポイントをご紹介します。

霊園や墓地を探すときは、優先順位を決めよう

お墓探しをする際は、多様な視点から比較検討することが大切です。複数項目から、特に優先度の高いものをあらかじめ決めることで、数ある選択肢から最適なものを選びやすくなりますよ。

お墓選びのポイント
  • 宗派
  • エリア
  • 費用
  • お墓の形式
  • 継承の有無
  • 施設やサービスの充実度
  • アクセス利便性
  • 相談のしやすさ

すべての項目を理想通りに叶えることは難しいかもしれませんが、目安として譲れない条件や、優先したい条件を絞っておきましょう。

宗派へのこだわりがない人、お墓選びの自由度を優先したい人、施設の充実を求める人は、民営霊園がおすすめです。

予算を抑えて宗派問わずお墓をつくりたい人は、公営霊園を検討してみましょう。先祖代々の宗派を尊重し、僧侶と近い距離でお墓を置きたい場合は、寺院墓地がおすすめです。ご自身やご親族のご意向に合わせた重要度の整理が大切です。

検討したい霊園は、必ず事前見学に行こう

もしも条件が合う霊園が見つかったら、事前に必ず見学に行くようにしましょう。

現地に足を運び、直接確認してみないと、実際の霊園の雰囲気や管理体制を知ることは難しいといえます。たとえば駅からのアクセスのよい立地であっても、急勾配の坂を通らなければならない可能性もあります。

ホームページやパンフレット上の情報だけでなく、ご自身の目で見て確認することを怠らないようにしましょう。見学をする際は、霊園までのアクセスや設備の管理状況、スタッフの対応などさまざまな視点からチェックしてみてくださいね。

抽選になることも!霊園の候補地は複数検討しておこう

人気の高い霊園や区画であれば、応募多数によって抽選となる場合があります。

とくに、公営霊園の場合は申し込み期間も限られているため、応募が間に合わなかった、なんてことがないよう注意しましょう。

抽選は公平におこなわれますが、落選してしまう可能性もゼロではありません。そのため、複数の候補地を挙げておくことがおすすめです。もし、予算をどうしても抑えたい場合は、公営霊園だけでなく、郊外の民営霊園を検討するのもよいでしょう。

立地や条件によっては、運営母体に依らず価格帯も大きく差があります。広い視点で候補地を探すのことも、良い霊園に出会うための一つの手段です。

霊園以外のお墓も検討してみよう

霊園や寺院にも複数の種類がありますが、最近では墓石を建てないタイプのお墓も登場しています。

時代とともに変わりゆくお墓のスタイルを合わせて検討することで、よりご自身のご意向に沿った選択ができるかもしれません。

霊園・墓地以外のお墓の例
  • 樹木葬
  • 散骨
  • 納骨堂

近年では、お墓を継承しないタイプのお墓や、遺骨を埋葬しないタイプのお墓など新しい供養のあり方が増えています。予算を抑えたい人や、後継者を気にしたくない人は、霊園に限らずさまざまなお墓のあり方を検討してみましょう。

お墓の選択肢は多種多様!霊園のキホンを抑えながら最適なお墓選びを

霊園という言葉ひとつにおいても、民営霊園や公営霊園などそれぞれに特徴があります。

お墓を選ぶときは、寺院や霊園などよく耳にするけれど違いのわかりにくい言葉について、曖昧なままにせずしっかりと調べることが大切です。

それぞれの特徴を知れば、ご自身やご親族に合った最適なお墓の条件が見えてくるでしょう。霊園に限らず、さまざまなお墓のあり方をよく理解し、費用や条件、メリットやデメリットを慎重に比較検討してくださいね。