サ高住の費用に注意!予想外にお金がかかることも
「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」は、その初期費用の安さから人気を集めてきています。じっさいに新設されるサ高住も多く、急速に数を増やしています。
しかし、パンフレットなどで示されているサ高住の費用は、最低限のものしか書いておらず、食事などを頼むと出費が大きく増えてしまう事があります。そのため、サ高住を選ぶときは、家賃以外の費用にも注意する必要があります。
このページでは、サ高住にかかる費用について細かく説明していきます。
サ高住って何?
「サ高住」は、高齢者向けの賃貸住宅です。確とした規定のない「シニア向け分譲マンション」などとは違い、サ高住はしっかりと国の基準に則って作られています。
サ高住は、その他の高齢者向け施設と違い、食事などの生活支援サービスはついていません。介護も含めて、必要なサービスがあれば、入居者が個別に契約して利用するという形になります。
サ高住の概要に関しては、以下のページで詳しく説明してあります。
サ高住の入居時費用
サ高住の入居時費用については、サ高住のタイプによって以下の3パターンがあります。
- (通常型)敷金などが必要。費用は「数十万」程度。
- (通常型)前払金が必要。費用は「数十万~数千万円」程度。
- (介護型)入居一時金が必要。費用は「数十万~数千万円」程度。
まずサ高住には、「通常型」と「介護型」の2種類があります。介護型は、自治体等に「特定施設入居者生活介護」の認定を受けている特別なサ高住となります。
普通のサ高住では、入居時費用として「敷金」「礼金」「保証金」がかかります。このあたりの費用は、一般的な賃貸契約の時と変わりありません。
しかし通常型サ高住でも、「前払金」が必要なものもあります。この場合、一定期間分の家賃を最初にまとめて支払うことになります。
介護型サ高住の場合、「入居一時金」がかかるのが普通です。
入居時費用の返還について
入居時費用の返還についても、サ高住のタイプによって異なります。
通常型サ高住の「敷金」や「保証金」などは、退去時に返還されます。ただし普通の賃貸契約と同様に、原状回復費用が必要なら、その分は敷金から差し引かれます。
「前払金」「入居一時金」については、住んでいた期間に応じて返還されます。
入居して3月以内の場合、住んだ日数分の家賃をのぞいて全額返金されます。それ以降は、毎月償却がおこなわれていき、返ってくるお金が減っていきます。償却により入居一時金などが0円になれば、それ以後に退去してもお金は返ってきません。
サ高住の月額費用
サ高住では、「家賃」「管理費」「サービス費」「光熱費・水道費」などの月額費用がかかります。
サ高住のサービス費というのは、基本的には安否確認の「見回りサービス」と、「相談サービス」だけを意味しています。
ただし、管理費にサービス費用が含まれているサ高住もあります。
また介護型の場合は、食事がついてきますので「食費」も月額費用としてかかります。さらに「介護費」も発生します。
タイプ | 合計月額費用 |
---|---|
一般型 | 5万円~25万円程度 |
介護型 | 15万円~40万円程度 |
その他サ高住でかかる費用
以下のような場合に、月額費用以外の費用がかかります。
- 食事や買物代行などの「生活支援サービス」を利用した場合。
- 「介護サービス」を利用した場合。
- おむつなどの「消耗品」を利用した場合。
- 「クラブ活動」や「イベント」などに参加した場合。
パンフレットなどだけで月額費用を考えてしまうと、こうしたその他の費用を忘れがちです。サ高住では、その他の費用が意外にかかりますので、注意したほうが良いでしょう。
食事提供サービスの罠
安全面の問題から、居室にキッチンを用意していないサ高住もあります。そういうサ高住では、食事サービスがあります。
また居室にキッチンがあるサ高住でも、食堂を用意しているのが多数派です。96%ほどのサ高住では、なんらかの食事サービスを実施しています。
サ高住の食事サービスでは、手間の問題から、それぞれの居室に食事が届けられることはめったにありません。たいていは、食堂で集まってご飯を食べる形になります。しかしこの食事には注意が必要です。
手作りの美味しい食事を用意してくれるサ高住ももちろんありますが、手抜きして冷凍食品を出すだけのサ高住もあるのです。
だいたいのサ高住では、1食500円程度で、月に5万円程度を食費として設定しています。入居者全員から毎月5万円を集められるとなれば、これはかなりの金額になります。
そのため、この食費を自分たちが儲けるために利用しているような悪徳業者も存在しています。サ高住を選ぶときには、食事についてもよく確認しておいたほうが良いでしょう。
サ高住でも介護保険を利用できる?
家賃や管理費などのサ高住の基本的な費用は、介護保険の対象にはなりません。しかし外部の介護サービスを利用した場合は、その費用には介護保険が適用されます。
また、特定施設入居者生活介護の認定を受けている介護型サ高住の場合、その介護費用に介護保険を利用できます。
不要な介護サービスを使わされることも
自社で介護サービスをおこなっているサ高住の場合、ケアマネジャーを、そのサ高住が指定した人に変えることが入居条件になっていることがあります。こうしたケアマネジャーは、サ高住側の利益のために、利用者の利益を無視することがありえます。
具体的には、介護保険の限度額いっぱいまで不要な介護サービスを勧めてくる事があるのです。
じっさいに、普通の家に住む高齢者は介護保険限度額の4~6割程度しか利用していないのに対して、サ高住に住む高齢者は介護保険限度額の7~9割ほども利用しているという調査結果が出ています。
8割くらいのサ高住では、デイサービスや診療所などの施設を併設しています。これらは便利なものですが、運営側がお金儲けに利用しようとしている場合もありますので、気をつけたほうが良いでしょう。
悪徳業者にだまされないようサ高住選びは慎重に
ただし、食事などの生活支援サービスがついておらず、必要なら個別に契約しなければいけません。こうした費用を足していくと、月額費用が高くなってしまう可能性もありますので気をつけなければいけないでしょう。
また、サ高住は短期間で数を増やしたために、あまり質の良くないところも混じっています。選択時には慎重に検討するようにしましょう。