
生命保険の配当金とは?仕組みからわかる「いくら」と「税金」
配当金という言葉を聞いてどういうイメージを持っていますか?株の取引をしていると株主に配当金が支払われることは有名ですが、実は生命保険にも「配当金」があるのです。株と違ってもらえるお金はごくわずかですが、還元される仕組みが保険にもあります。
生命保険のチラシやパンフレットにも「配当金」という言葉が度々登場します。お金に関することというのは予想がつくかと思いますが、その仕組みなどはご存知でしょうか?この記事では「生命保険の配当金」について気になっている人のために、詳しく解説していきます。
生命保険の配当金とは?保険の契約者に還元されるお金
生命保険の配当金とは・・・予定利率と実際の差額を契約者に還元したもの
同じ配当金という言葉ですが、それぞれ上記のような意味合いがあります。
有配当といっても配当金は保険会社の状況によるので必ずもらえることを約束しているものではありません。
契約者が毎月(毎年)保険料を支払っていますが、保険会社はこの保険料を運用しています。
保険会社が年に予想する「事業費」「死亡者数」「運用利回り」を実際にかかった費用を年度末の決算時に差し引きます。
プラスになって余剰金(「予定死亡者数」+「実際の利回りによる実際の収入」+「予定事業費」の合計)が一定金額を超えた場合には契約者へ還元されます。
そして配当金は「予定」と「実際」の以下の3つの差益で成り立っています。
死差益 | 予定利率より実際の利回りが高い場合に生じる差益 |
---|---|
利差益 | 予定死亡率より実際の死亡率は低い場合に生じる差益 |
費差益 | 予定事業費より実際にかかる事業費が少ない場合に生じる差益 |
生命保険の配当金の受け取り方は?4種類それぞれの特徴を紹介
配当金の受け取り方法には4種類あります。
積立配当 | その都度受け取ることなく、保険金を支払うタイミングで一緒に支払われます。 途中で引き出すこともできますが、置いておくと利息がつきます。 |
---|---|
保険金買増 | 一時払いの保険料として充当して貯蓄型保険の買増しをして保障を増やす方法です。 |
相殺配当 | 配当金を保険料から相殺する方法です。配当金を受け取らずに相殺することでその年の保険料は少なくなります。 |
現金支払 | 配当金を現金で受け取る方法です。個人の保険では利用されず団体保険での利用が多いです。 |
配当金が支払われるタイミングは決まっています。基本的には以下の3種類あります。
基本的には毎年配当は主流となっていますが、契約後3年目の応答日から配当されていきます。
毎年配当 | 毎年配当金が支払われるタイプ |
---|---|
3年ごと配当 | 3年ごとに配当金が支払われるタイプ |
5年ごと配当 | 5年ごとに配当金が支払われるタイプ |
ちなみに「3利源配当」と「利差配当」という言葉を聞いたことがあるのですが、それはどういう意味なのですか?
生命保険の配当金に税金はかかるのか
生命保険の配当金が課税対象となるのケースは2つあります。
(1)保険金支払い開始日以降に受け取る
- 年金形式で受け取る場合は「雑所得」
- 一時金形式で受け取る場合は「一時所得」
(2)保険金と配当金を同じタイミングで受け取る
保険金と配当金を一緒に受け取ると保険金を含めた金額で課税されます。この場合は契約関係者をどのように設定したかによって税金の種類は変わります。
所得税
保険料を支払っている契約者が保険金を受け取る場合
贈与税
契約者・被保険者・保険金受取人がそれぞれ違う人の場合
相続税
契約者=被保険者で保険金受取人が法定相続人の場合
課税対象となる金額=死亡保険金−非課税限度額
第一順位・・・配偶者、被相続人の子ども
第二順位・・・両親などの直系尊属
第三順位・・・兄弟姉妹または代襲相続人
相続人が被相続人よりも先に亡くなっている場合は「代襲相続」となります。
配偶者や血族以外の人は基本的に法定相続人とはみなされません。もし法定相続人以外の人が受け取る場合は贈与税という扱いとなります。
保険金と一緒に受け取らなければ関係はないですが、もし保険金に含めて受け取る場合は贈与税の対象とならないように契約関係者を変更しておいた方が良いでしょう。また、贈与税の税率は人によって異なります。
税金の種類によっては税金として持っていかれる金額が大きくなってしまいます。
余計にお金を支払うのはもったいないので節税をするように心がけてみましょう。
契約期間中に受け取った配当金は課税対象とはなりませんが、確定申告や年末調整をするときには生命保険料控除額が小さくなるので注意しましょう。
お金がもらえるというとなんとなくお得に感じてしまうかもしれませんが、実は保険料が割高というカラクリがあります。本当にお得なのか保険料を比較して加入しましょう。
配当金より保険の内容に注目
あくまでもメインは保障なので重視する点が配当金にならないように注意してください。
ただし配当金の額が今後に上がることはゼロとは言い切れません。そんなときのために配当金の仕組みも覚えておくと役立つ日が来るかもしれませんね。