生命保険
高齢者に生命保険は必要?相続税と葬式費用から考える加入の必要性

高齢者に生命保険は必要?相続税と葬式費用から考える加入の必要性

「もう高齢だし今から保険に加入してもあまり意味がない」「もう加入できる保険がない」と思っている人はいませんか?しかし高齢の方でも生命保険(死亡保険)に加入することはできるのです。

保険料は高くなってしまうというデメリットもありますが、メリットがある部分も。生命保険に加入しようか迷っている人はこの記事を読んで、本当に生命保険に加入が必要かどうかを検討してみましょう。

老後は年金生活となるので収入が少なくなってしまいます。もしものときの医療費について考えながら、自分にあった生命保険の考え方を見つけていきましょう。

高齢者の生命保険(死亡保険)の必要性を考えよう

そもそも高齢者に生命保険は必要なのかと考える人もいるでしょう。一方で葬式費用の捻出や税金の節税のために、加入を検討する人もいるかもしれませんね。

老後に受け取れることができると言われている年金の平均は「14万円」程度とされています。

高齢になれば若いときと比べるとけがや病気も多くなり、病院にお世話になることも多くなります。年金から生活費以外に医療費などの費用を出すとなるとほとんど貯蓄ができません。

孫ができたお年玉も渡さなければいけなくなりますね。ボーナスがあるわけでもないし老後に貯金をするのは厳しそう・・・。
孫にいろいろ尽くしてあげたいですよね。自分に万が一のことがあったとき残されたパートナーのためにお金を残しておきたいという人は生命保険に加入することを考えても良いでしょう。

必要となる葬儀費用の相場はおよそ100万円

葬儀費用の相場はだいたい100万円です。株式会社鎌倉新書の「第3回お葬式に関する全国調査」によると葬儀にかかる総額として170万円を超えています。

葬儀費用 1,171,111円
飲食代 292,946円
返礼品 318,459円

最近では家族葬が多いので費用が抑えられていますが、まだまだお葬式にかかる費用は高額な印象があります。

相続税はいくら?保険金を受け取る場合の相続メリット

また預金に貯蓄をしておくのも保険に加入しておくのも「相続税」がかかってきます。ただし、保険に対する相続税には控除分があるのです。

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
生命保険非課税枠=500万円×法定相続人の数

生命保険にあらかじめ加入しておくことで相続手続きも預金への貯蓄時より簡易的になるケースも多いです。法定相続人は配偶者や子、親などの民法で定められている相続人のことを指します。

高齢者でも加入できる保険はあるが、保険料に注意

高齢者って何歳からなのでしょうか?同じ年齢の高齢者でも元気な人もいますよね。
年齢は同じでもとても元気で生き生きとした人もいますよね。ただ健康状態などに関わらず年齢で決められた高齢者の定義があるので確認していきましょう。

統一されていない「高齢者の定義」

前期高齢者 65歳以上75歳未満
後期高齢者 75歳以上

高齢者医療制度では上記のように決められています。他にも世界保健機関(WHO)では65歳以上で高齢者と決められています。

統一されているわけではないのですね。
そうですね、制度によって異なります。だいたい定年退職をする65歳のタイミングから世間では高齢者と認知されているでしょう。

高齢者でも加入できる保険はある

「高齢になるタイミングと定期保険が満了してしまうタイミングが重なってしまった」「必要ではないと思って加入していなかった」という人でも保障が欲しいという人もいますよね。では何歳まで生命保険に加入できるのでしょうか?

実際の保険商品と加入年齢を見ていきましょう。

保険会社 加入年齢 保険期間 保険金額
ライフネット生命「かぞくへの保険」 20歳〜70歳まで 10年 1,000万円
オリックス生命「定期保険Bridge」 20歳〜65歳まで 10年 1,000万円
アクサダイレクト生命「定期保険2」 20歳〜69歳まで 10年 1,000万円
オリックス生命「終身保険RISE」 15歳〜75歳まで 終身 200万円
マニュライフ生命「こだわり終身保険v2」 ・男性28歳〜85歳まで
・女性31歳〜85歳まで
終身 200万円

高齢になっても加入できる保険はいくつかあります。60歳満了・80歳満了など満了がある保険がありますが、終わる頃には保険に加入しにくい年齢になってしまっていることも多いです。

加入可能な年齢は85歳が限度ですか?
実は一部の保険会社では90歳でも加入できる保険があるんですよ。最近は高齢化社会なので保険会社も世間のニーズに合わせて取り扱いを始めました。

日本生命保険相互会社で取り扱っている「一時払終身保険」では3歳〜90歳まで加入が可能となっています。

保険期間 終身
解約払戻金 あり
付加できる特約 リビング・ニーズ特約(自動付加)

つけることができる特約は「リビング・ニーズ特約」のみとなっています。

リビング・ニーズ特約とは
余命6カ月以内と医師から判断されたときに、死亡保険金の全部または一部を受け取ることができる。

生命保険の加入には告知が必要になります。告知事項には身長・体重・職業のほかに3カ月以内に診察や検査、治療などを受けたかという質問もあります。

また人間ドックや健康診断で異常があったときにも告知が必要となります。健康状態に不安のある人は保険会社に一度相談してみましょう。

告知って自分から伝えるんでしょ。じゃあ通院履歴や持病があっても「元気です」って言ったらバレないんじゃね?
嘘の告知は違反になるので絶対にやめてください。虚偽の告知をした場合には相応のペナルティがあります。詳しくは「生命保険の告知ってどこまで?告知義務違反にならないためのポイント」で解説していますから、マルピーさんはしっかり読んでおくように。

高齢者はどのような生命保険の加入を検討するべきなのか

老後の生活費には一人暮らしで大体16万円必要となります。万が一配偶者が亡くなってしまった場合に月に5万円ほど上乗せされるような保険金額を設定することができれば残された配偶者や家族も安心です。

けがや病気で病院にお世話になる場合、65歳以上は高齢者医療制度を利用することができます。高齢者医療制度は65歳〜74歳が「前期高齢者医療制度」75歳以上が「後期高齢者医療制度」と区別されています。

この制度には高齢者の医療費の負担を軽減する役割があります。こういった制度を利用しても補うことのできない費用をまかないたい場合、生命保険への加入を検討すると良いでしょう。

そして老後の生活資金には年金以外にも「退職金」があります。

大学卒(管理・事務・技術職) 2,562万円
高校卒(管理・事務・技術職) 2,272万円
高校卒(現業職) 1,872万円

平成25年の厚生労働省の「退職給付(一時金・年金)の支給実態」調査によると35年以上勤務した定年退職者には表のような結果が出ています。

退職金は学歴によって変動しますが、年金と合わせて老後の収入と支出の判断材料にすると良いでしょう。

高齢者が生命保険に加入するメリットとデメリット

高齢になってから加入するとなると見直しをすることもなくなってくるため、慎重に選ばないといけません。65歳以降で生命保険に加入するメリットとデメリットを確認していきましょう。

高齢者が生命保険に加入する加入するメリット

高齢者が生命保険に加入するメリットとしてまず1番にあげられるのが「お葬式費用に備えられる」ことです。冒頭でも言った通り年金生活で貯蓄することは大変です。

生命保険に加入しておくことによって自動的に引き落としされるので貯金が苦手な人でも上手く貯蓄することができます。

次に「相続税対策になる」ことです。残された預金で相続税がかかるよりも生命保険の方が節税することができ、死亡保険金を指定できるので資産の争いも回避されます。

高齢者が生命保険に加入するデメリット

高齢になってから生命保険に加入するデメリットとしては「保険料が高い」ことです。生命保険は年齢が上がるほど保険料が高くなるという特徴があります。

年齢が上がると病気やけがで死亡のリスクが高まり、保険会社が保険金の支払いする可能性が高まることが理由の1つです。

一般的に高齢者の生命保険料は8,000円〜10,000円ほどになります。

保険料が高いと老後の家計に負担がかかりますね・・・。
もう少し若いうちに加入して備えておくのが理想ですね。

年金の額は個人差があるのでまだ年金をもらっていない人は自分の年金額を把握しておきましょう。保険料が支払えなくなり途中で解約してしまうと、一番損をしてしまうことになります。


無理して生命保険に加入せず保険料をそのまま貯蓄にまわすという選択肢もあるので、家族やファイナンシャルプランナーなどのお金の専門家に相談するのも良いでしょう。

父が一時払終身保険を勧められたそうなのですが、これはどんな保険なんでしょうか?
一時払終身保険とは保険料を一括で支払う終身保険のことです。一時払いの場合は大体500万円の保険料を一括で支払うことになります。

一括で支払うことで「月払」や「年払」よりも保険料の払い込み総額が安く抑えられます。最近の一時払終身保険では利率に期待はできませんが、資産運用としても活用されている保険商品です。

高齢者と生命保険のトラブルに注意を

生命保険に加入した高齢者が、後ほど消費生活トラブルセンターに相談するというケースが増えています。加入したはいいものの元本割れする契約だったり、高額な保険料を支払わされたりとトラブルが多発しているからです。

保険会社もしっかりと理解するまで契約内容の説明をする必要がありますが、契約者本人もしっかりと生命保険について理解しておく必要があります。

もしも一人で説明を聞くのが不安であれば家族に付き添ってもらい、一緒に説明を聞いてもらってトラブルを回避しましょう。また高齢者を支える家族側も日頃からコミュニケーションをとるなどをして、お金に関しての不安を取り除けると良いですね。

高齢になってからの生命保険への加入はメリット・デメリットを良く考えて

高齢になると若いときとは少し違った保障が必要になっていきます。若いうちに加入していた保険もいらない特約などを外すことで見直しをしておくと余計な保険料を支払わずに済むかもしれません。

生きているうちに自分が亡くなった時にはどんなお葬式をしたいかなどを家族に相談してどのくらいの費用が必要か算出しておくと良いでしょう。

若い時よりは死亡保障の必要性は低くなっていますが、必要最低限の備えをしておくと家族への負担を抑えることができるので検討してみるのも選択肢のひとつ。ただし、家計の負担が大きい人は無理して加入せずに退職金などでまかないましょう。