生命保険
生命保険の告知ってどこまで?告知義務違反にならないためのポイント

生命保険の告知ってどこまで?告知義務違反にならないためのポイント

生命保険加入を検討しているあなた、加入する際に必ず行わなければならない「告知」というものをご存知ですか?

病歴や職業などを答えさせることで、加入者が病気にかかる可能性について調べる告知は、保険加入の際にはとても重要な手続きの1つです。告知によって、生命保険に加入できるかできないかが決まるといっても過言ではありません。

告知は正確なことを記載する必要があるもの。真実とは異なる記載をしてしまった場合、保険金がもらえないばかりか契約解除になる可能性もあります。

生命保険に加入する際、必ず行う必要がある告知について、詳しく学んでいきましょう。

あなたは知ってる?生命保険の告知ってそもそも何?

生命保険の「告知」とは、傷病歴や職業、現在の健康状態について保険会社に申告をすること。

生命保険は、「相互扶助のしくみ」というもので成り立っています。相互扶助のしくみとは、多くの人から広くお金を集めそのお金を必要としている人に保険金として支払う仕組みのこと。そのため、生命保険加入者には告知義務が発生するのです。

私たちが支払っている保険料が、保険金を必要としている人たちに支払われているのですね。元々のお金が私たちのものならば、しっかりと適切に使って欲しいものです。
そう、そのために細かな質問がある告知という制度が存在しています。できる限り平均的に保険金が支払われるために、保険金をもらう可能性が高い人は加入しづらい仕組みになっているのです。

「生命保険に加入すること=保険会社と契約を結ぶこと」です。契約をするために4つの書類を提出します。

契約をするために必要な4つの書類
  1. 申込書
  2. 意向確認書
  3. 告知書
  4. 本人確認書類

これらの書類を参考に契約してもいいのかどうか保険会社が決定します。

生命保険の告知書にはどのような質問があるの?

生命保険の告知といわれても、どこまで告知をすればいいのかわからないもの。ですが、告知書はあらかじめ形式が決まっており、保険会社が聞きたい質問がいくつか書かれています。

では、生命保険の告知書には、どのような内容の質問があるのでしょうか?

生命保険の告知書の主な質問例
  • 身長と体重はいくらか
  • これまでに悪性新生物か上皮内新生物になったことがあるか
  • 過去5年以内に7日以上の入院または手術をしたことがあるか
  • 3か月以内に医師による診察や投薬を受けたことがあるか
  • 2年以内に健康診断を受け、異常はなかったか
  • 妊娠しているか

告知書に記入する際には、生命保険告知書の見本を見せてくれることもあります。見本を見ながら正確に記入しましょう。

生命保険の告知方法は告知書だけじゃない?健康診断書も必要?

生命保険で告知を行う場合、告知書のみで告知が完了する場合もありますが、健康診断書など他の書類が必要になることもあります。

告知書のみなのか他の対応も必要になるのかは、保険金の額によって変わるのが一般的で、保険金の額が大きくなればなるほど詳しい検査が必要になります。

告知の種類
  1. 告知書のみ
  2. 告知書+健康診断書
  3. 告知書+診査(生命保険面接士)
  4. 告知書+診査(医師)
生命保険面接士による診査とは

保険会社の生命保険面接士が面接を行い「診査報状」と呼ばれる書類を会社に提出すること。医師による診査とは、診査医と呼ばれる委託を受けた医師が生命保険告知書の内容を調査することで、尿検査や血液検査が行われることもあります。

また、告知は書類で行うもの。そのため、口頭で保険会社に伝えたとしても、告知をしたことにはなりません。万が一生命保険の告知事項に間違いや申告忘れがあったことに気づいた場合には速やかに保険会社に連絡をしましょう。

保険料を支払う前ならば、「追加告知」という形で告知を追加することもできます。告知書には、正確な内容を記載することがとても重要です。

また、生命保険を更新する際には、再び告知を行う必要はありません。ですが、保障額の増額などを行う場合は、再び告知が必要になります。

えっ?知らなかった!生命保険に加入できない人とは?

生命保険は相互扶助のしくみで成り立っており、保険金をもらう可能性が高い人は生命保険に加入しにくい仕組みになっていると説明しました。

では、実際にどのような人が生命保険にはいれないのか詳しく説明していきます。

病気にかかるリスクまたは手術を行うリスクの高い人

病気にかかるリスクまたは手術を行うリスクの高い人は、生命保険に加入しづらいのが現状です。主に次のような条件に当てはまる人のことをリスクが高い人とみなします。

病気にかかるリスクまたは手術を行うリスクの高い人
  1. 持病あり
  2. 肥満度が高い
  3. 妊娠中
  4. 5年以内に入院や手術経験がある

病気の種類にもよりますが、持病を持っている方は生命保険に加入しにくい可能性があります。生命保険に入れない病気の代表的な例は、「うつ病」です。

実はうつ病にかかっている場合、ほとんどの生命保険に加入することができません。

保険料は高いものの加入しやすい「引受基準緩和型」の保険においても、加入できる保険はほとんどないのが現状です。

高血圧症や高脂血症、高尿酸血症の人も加入しにくいとはいわれていますが、飲んでいる薬の種類によっては加入できる可能性もあります。

肥満度が高い人も保険に加入しづらいといわれています。一般的にBMI30以上ある場合は、生命保険に加入しにくいと考えておきましょう。

喘息を持病として持っている人も、生命保険に加入しにくいもの。ですが、喘息のために入院したことがない、きちんと治療を行っているという場合には、生命保険に加入できる場合も。個々の状況によって生命保険に加入できるかどうかは変わってくるため、保険会社にきちんと確認をしてみましょう。

また、妊娠中の人も生命保険に加入しにくいものです。

妊娠って病気ではありませんよね?でも、妊娠中は生命保険に加入しにくいのですか?
そう、妊娠は病気ではありません。ですが、普段の体とは違い様々なリスクを背負っている状態になります。そのため、生命保険には入りづらいのです。

保険への加入を検討しているなら、妊娠前に加入することが望ましいんですね。妊婦さんにおける保険について詳しくは「出産に保険は必要?妊娠からかかる費用と公的制度・民間保険の活用法」の記事でも解説しています。

刺青やタトゥーを入れている人

意外かもしれませんが、刺青やタトゥーを入れている人も生命保険に加入しにくくなります。というのも、刺青やタトゥーを入れていると、入れていない人よりも肝炎の感染リスクが高いため。

ですがファッションタトゥーならば、血液検査をし異常がなければ生命保険に加入できる場合もあります。

危険職種に就いている人

他の人よりも危険にさらされることが多い危険職種に就いている人も生命保険に加入しにくいのが現状です。

というのも、保険会社にとって保険金を支払わなければならないリスクが高くなるため。

代表的な危険職種
  • スタントマン
  • レーサー
  • プロ格闘家
  • 消防士
  • ダイバー

保険に一定の条件を付けることで加入できるようになる可能性もあります。

要注意!知っておきたい生命保険の告知義務違反とは?

生命保険の「告知義務違反」とは、告知書に事実とは異なることを書くこと。

持病がある場合は生命保険に加入できないことを知っていて持病を隠す、他の生命保険会社の審査で落ちたために嘘を書きたかったなどの場合、告知書に事実とは異なることを書きたくなることもあるかもしれません。

ですが、事実とは異なることを告知し告知義務違反が発覚した場合には、契約解除となる可能性があります。

生命保険の告知義務違反をしてしまった場合、どうなるの?

告知義務違反を意図的にしろそうでなかったにしろ、してしまった場合にはどうなるのでしょうか?

告知義務違反をしてしまった場合、5つのパターンになる可能性が考えられます。

告知義務違反をしたときの契約
  1. 保険金ももらえたうえ、契約も継続
  2. 保険金はもらえなかったものの、契約は継続
  3. 保険金はもらえたものの、契約は解除
  4. 保険金はもらえなかったものの、解約返戻金はもらえた
  5. 保険金ももらえず、解約返戻金ももらえなかった

「保険金ももらえ契約も継続されるケース」としては次のことが考えられます。

  • 告知義務違反の原因となったケガや病気が重大なものではなかった
  • たとえ告知をしていたとしても生命保険に加入することができた
  • すぐに回復した病気で、本人に病気の自覚がなかった

告知義務違反の原因となった病気自体軽いもので、告知をしていなくても審査とはほとんど関係なかった場合と考えるとよいでしょう。

「保険金はもらえなかったものの契約が継続されるケース」としては、「帝王切開の手術歴があったものの、病気ではないと考えた」という場合などがあります。

この場合、再び帝王切開をすることになった際に保険金は支払われませんが、保険自体は帝王切開に関する部位のみを保険の対象外とするという形で保険が継続する可能性があります。

特定の部位だけ保険の対象外にするなんてこと、できるのですか?
生命保険では可能ですよ!部位不担保といい、特定の部位についてのみ病気や手術をしても保険金がもらえないという制度です。

「保険金はもらえたものの契約が解除される場合」とは、保険金の支払いの原因となった病気やケガとは直接関係はないものの、生命保険の告知上重要な病気やケガの申告を忘れていた場合が考えられます。

直接関係がないため保険金をもらうことはできますが、告知義務違反という重大な違反をしたため保険に加入し続けることはできません。

「保険金はもらえないものの解約返戻金はもらえるケース」とは、申告忘れのケガや病気と保険金請求の原因であるケガや病気に因果関係がある場合。その場合、いくらわざとではなかったといえ、保険金ももらえず契約を続けることもできません。

「保険金ももらえず解約返戻金ももらえないケース」とは、告知をする際にわかっていながら嘘の申告をした場合です。この場合は保険会社から詐欺だと思われています。そのため、支払った保険料も戻ってきません。嘘の申告をするのはやめましょう。

生命保険の告知義務違反はどういうときにばれるの?

生命保険の告知義務違反をしたらどうなるかわかりました。ではどういうときにばれるのでしょうか?

生命保険の告知義務違反がばれるのは次の2つのパターンが考えられます。

  • 保険金の請求を行ったとき
  • 同じ保険会社の違う保険に加入したとき

保険金の請求を行った際は、医師の診断書を確認する、医師に話を聞くなどの対応を保険会社は行います。その際に、過去の病歴などについても調査するのが一般的。そのため、保険金請求の際に、告知書の内容と異なる箇所が発見される可能性が高くなります。

また、同じ保険会社の異なる保険に加入した際に告知内容が以前のものと異なる場合には、生命保険の告知義務違反が行われているとしてどちらが正しいのか保険会社は調査します。

調査は保険調査員という保険会社の担当者が行います。医療機関にはカルテは5年間保存してあるもの。医療機関に聞けば、生命保険の告知義務違反なのかどうか判断することが可能です。

生命保険の告知義務違反には時効があるって本当なの?

生命保険の告知義務違反には2年間の時効があるという話を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。というのも、生命保険の告知義務違反は契約を開始してから2年を超えても保険金の請求がなかった場合、告知義務違反とはならないケースがあるため。

告知義務違反があった告知から2年以上経過した後に保険金の請求があった場合、告知をしていなかったことが原因とは考えづらく、契約解除されにくいといわれています。ただし、保険金が必ずもらえるわけではありません。ただ契約解除される可能性は低いというだけ。

告知内容の間違いに気付いた場合には、速やかに保険会社に連絡をすることをおすすめします。

忘れないで!生命保険の告知は正確さが大切!

生命保険に加入するためには、これまでどのような病気やケガをしたかを書く「告知書」を必ず出す必要がありました。それは、保険金の支払いが特定の人にだけ片寄ることがないようにするため。

告知書にはすべてのことを正確に書く必要があります。嘘の申告をすると告知義務違反となり、最悪の場合保険金がもらえないばかりか支払った保険料も返ってきません。

持病などがあり保険に加入できない可能性があると知っている場合などは、嘘の申告をしたくなることもあるでしょう。ですが、嘘をついてもいずればれるもの。告知書には正確に書くことが大切です。