生命保険(死亡保険)の見直しポイントは?乗り換えの時期と注意点
人生はライフイベントによって変わってくるので、生命保険の見直しは定期的にする必要があります。家族が増えても契約内容を見直さずにいたら、いざというときに保障金額が足りなくなってしまったなんてケースも。
常に自分にあった生命保険(死亡保険)に加入している状態が保てるようにしたいですね。この記事では生命保険の見直しポイントや注意点を解説していきます。
生命保険の見直しにはなぜ必要なのか?
人は就職・結婚・出産などライフイベントが多く待っています。そんなライフイベントに合わせて死亡保障を備えるのが理想です。例えば独身時代は扶養している人がいないのであまり大きな保障は必要ありません。
しかし結婚して配偶者や子どもがいると、万が一亡くなった時に収入源である人の場合、子どもの養育費や生活費が一気に途絶えてしまいます。
そのため数カ月の生活費をまかなえるような保障が必要になります。
「せっかく悩んで納得して加入を決めたのに、また保険を探さなきゃいけないなんて面倒だなぁ」そう感じる人も多いでしょう。一度加入したら見直す必要なんてないと思う人もいるかもしれませんが、将来自分と家族が困らないようにしっかりと検討していきましょう。
世帯主が万が一死亡したら、必要な生活費や資金を支出見込額から収入見込額を引いて差額分を保険でまかないます。この「必要保障額積み上げ方式」については後ほど詳しく説明します。
生命保険の見直しで損になる可能性がある
生命保険の保障をニーズにあったものにするために「見直し」をしますが、見直しをすることで損をしてしまうこともあります。これは契約者であるわたしたちも注意しておかなければいけません。
保険会社もアドバイスはしてくれますが、利益のために見直しを提案することもあるかもしれません。だからこそ自分に加入している生命保険としっかりと比較してみましょう。
生命保険の見直しで損してしまうケースとして「転換」というものがあります。
元の契約の積立金を利用して新しい契約をすることです。元の契約は新しい契約が成立すると消滅します。
昔の保険は利率が高いものが多いので今のマイナス金利の影響を受けや保険と比べると手元に入るお金が少なくなってしまう可能性が高いので損をしてしまうことがあります。
転換のメリットとデメリットは以下のとおりです。確認してから転換を検討しましょう。
- 保険料が安くなることが多い
- 保障を増やすことができる
保険料は転換時の年齢によって決まりますが、保険料が上がると加入者も転換をしたがらないので保険料は元の契約より抑えて提案してくるでしょう。もう一度告知は必要になりますが、特約を追加したり保障額を上乗せしたりできることがメリットです。
- 解約返戻金や満期保険金がなくなってしまう
- 保険会社の利益になるような商品を勧められやすい
- 利率が元の保険より低くなってしまう
解約返戻金や満期保険金となる積立金を原資(下取り)として新しい契約に加入するのでもらえるものはなくなってしまいます。転換は満期が近いと勧められることも多いでしょう。
保険会社は定期特約がついているものなどを勧める傾向があります。もちろんどこの保険会社もそういうわけではありません。利率はどうしても昔のように高い利率のものに加入することは難しいでしょう。
生命保険をどのように見直す?項目ごとの着目点
生命保険の見直しといっても見直しする点はさまざまです。まずは保障内容について確認するために、支出と収入の見込額を計算してみましょう。
ここでは公衆財団法人「生命保険文化センター」の必要保障額積み上げ方式を参考に計算します。
末子独立までの遺族の生活費 | 現在の年間生活費×70%×(末子の独立時年齢−末子の現在の年齢) |
---|---|
末子独立後の配偶者の生活費 | 現在の年間生活費×50%×末子の独立時の配偶者の平均寿命 |
別途必要資金 | 教育資金・結婚資金・住居費用・葬儀費用・相続費用・予備費etc… |
社会保障 | 遺族年金など |
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企業保障 | 死亡退職金・弔慰金など |
自己資産 | 預貯金・有価証券・売却可能資産など |
その他収入見込 | 妻の収など |
保険 | 既加入の世帯主の生命保険 |
上記の支出見込額と収入見込額を差し引きしたものが生命保険で必要な保障額です。自分の生活費などを当てはめて考えてみましょう。この金額が万が一亡くなった場合の保障金額です。
保険金の受取人は誰か?メリット・デメリットを踏まえて再確認しよう
保険の見直しといえば保障内容を変えるというイメージがありますが、受取人の変更をすると課税される税金の種類が変わってくるのです。
今の保険金の受取人は誰になっているか自分の保険を確認してみてください。
相続税 | 500万円×法定相続人数=非課税額 |
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所得税 | (保険金+配当金-実払込保険料-50万円)×1/2=課税対象額 |
贈与税 | 受取り金額-110万円=課税対象額 |
契約者 | 被保険者 | 受取人 | |
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相続税 | 夫 | 夫 | 妻・子 |
所得税 | 夫 | 妻 | 夫 |
贈与税 | 夫 | 妻 | 子 |
もし家族(父・母・子1人)の場合は上の表のような形になります。契約者は保険料を負担している人という設定です。税金の中では贈与税が1番大きな負担なので受取人は配偶者または子に設定しておくと良いでしょう。
生命保険を見直すときの注意点やポイント
必要に応じて保障を増やしたり減らしたりしましょう。注意点は他のものと保障が重複していないかということです。重複している可能性があるケースといえば住宅を購入した時が考えられます。
そのほか家族に勧められて加入したり、友人や親戚の付き合いで加入していたりすると保障が二重になっていることもしばしばです。
しかし、生命保険の保障が重複してしまうこと自体は問題ありません。
なぜ注意しなければならないのかというと「保険料が高くなる」からです。家計を圧迫しないように保障が必要最低限にしておいたほうがよいでしょう。
もちろん、お金に余裕のある人は二重で保障を備えておくことはかまいません。つまり目的があって保障が重複している人は良いですが、知らない重複には注意が必要です。
生命保険の乗り換え・切り替えのタイミング
生命保険を見直すべき時期としてライフイベントがあった時には保険の見直しをするようにしましょう。
- 就職
- 転職
- 結婚
- 出産
- 家を建てた
- 子どもの進学
独身時代に加入している人であれば保障をもう少し手厚くする必要があります。また自営業をはじめた人や、転職してお給料は上がったけど福利厚生の条件が悪くなってしまった人も同様です。
別の生命保険に乗り換えする時には、解約する前に加入の手続きを済ませておきましょう。
なぜなら新しい生命保険に加入するときは、告知が必要だからです。前の保険に加入したときは健康状態に異常がなく、スムーズに加入することができたかもしれません。
ですが加入後に手術や入院をした場合、生命保険に新規加入ができなくなることもあります。特定の部位が不担保になる特別条件付きの保険になってしまうかもしれません。
既病歴がある場合は数年待てば加入できるようになる可能性もあるので、不安な人は保険会社にそういった点を相談してみましょう。
生命保険を見直す前に必要な書類や手順
生命保険の見直しには次のようなものが必要になります。
- 加入している保険証書
- 身分証明証
- 印鑑と通帳
保険会社または保険の相談窓口で見直しの相談をする際は、加入している保険証書を持っていくとよいでしょう。アドバイザーが加入状況をや現在の資産を踏まえた提案をしてくれます。
もし加入する保険が決まり元の契約を解約するのであれば、解約返戻金を振り込む口座を指定しなければいけません。念のため印鑑と通帳を持っていくと良いでしょう。
例えば来店型保険ショップでは「共済」は取り扱っていません。共済への加入を検討している人はコープやJA、全労済の窓口へいく必要があります。
共済と保険の違いは「県民共済の特徴は?民間の保険との違いをデメリットを踏まえて解説」で詳しく説明していますよ。
保険会社によっては会社の方針で勧めるものが決まっている可能性もあるのでいろんな話を聞いて自分で最終的に判断するようにしましょう。
生命保険(死亡保険)の見直しは慎重に!
保険会社に勧められて転換・解約したケース、ひとつの保障に目が行き別の保障があまりよくなかったというケースもあります。自分の目でしっかりと保険の保障内容を見極めましょう。
自分だけではどうしてもわからなければ家族やファイナンシャルプランナーに相談してみるのも良いですね。
無駄な保険料を払わないよう、万が一のときに必要な保障が得られるよう、定期的な見直しを心がけてみてください。