
耐用年数と不動産売却の関係や耐用年数の過ぎた家の売却方法
家を売却する際には、家の価値がどれくらい残っているのかを調べる必要があります。
家の価値を決める基準のなかに、「耐用年数」と「築年数」があります。
今回の記事では、耐用年数についての詳細や、耐用年数を過ぎた不動産を売却する際のポイントについてもお伝えしていきます。「耐用年数なんて知らなかった」「築年数の古い物件を売りたい」といった方は、ぜひ確認してみましょう。
耐用年数は不動産に残る資産価値を示すもの!建物によって異なる
耐用年数は国税庁によって、建物の構造別に分けられています。
建物の種類 | 非事業用 (マイホーム等) |
事業用 (賃貸住宅等) |
---|---|---|
木造 | 33年 | 22年 |
軽量鉄骨 | 40年 | 27年 |
鉄筋コンクリート造 | 70年 | 47年 |
住宅は基本的に、築年数が経過するほど価値が下がります。
耐用年数を過ぎた不動産は、税法上では価値が0円であることを意味するのです。
不動産売却において耐用年数がどのように影響するかについては、あらかじめ理解しておくのがおすすめ。
次の章でまとめていますので、一緒にみてみましょう。
耐用年数は不動産売却でも影響あり!売り手・買い手別に解説
耐用年数は税法上のものとはいえ、不動産売却において「売り手」「買い手」両方に影響があります。
いずれにしても、耐用年数が長く残っている不動産ほど売却に有利です。
ここでは、耐用年数による「売り手側への影響」と「買い手側への影響」を順番に説明します。
売り手側への影響:耐用年数が経過した物件は売りにくいが、税金は安い
耐用年数の残りが少ない物件は、残りが多い物件に比べて売り手側に次のような影響を与えます。
- 築年数が古くなるため、売りにくくなる
- 売却後に支払う税金が高くなる可能性がある
不動産売却では、次の場合に「譲渡による所得税の支払い義務」が売り手側に発生します。
つまり売却して利益が出た場合に、所得税の支払いをする必要があるのです。
取得費は、購入時の取得額(購入価格)から減価償却費相当額を差し引いて求めます。
耐用年数が経過した不動産(築年数の古い不動産)は、新しい不動産よりも取得費が安くなり、譲渡所得税は高くなるのです。
不動産売却における税金については、次の記事でも詳しく解説しています。
買い手側への影響:耐用年数の経過が住宅ローンに影響することも
耐用年数の長さが銀行の借り入れ条件などに影響し、それが不動産の買い手の購入意識にも影響を及ぼす可能性があります。
銀行は住宅ローンの審査をする際に、その融資条件として耐用年数を考慮に入れます。耐用年数の残存期間によって、銀行で組める住宅ローンの融資額や融資期間が異なることがあるのです。
例えば耐用年数が過ぎてしまった中古物件の場合、建物の価値は理論上ゼロとなるために融資額が低くなってしまいます。反対に耐用年数の残存期間が多く残っている場合は建物部分の評価も期待できるため、融資額もその分だけ多くなる傾向も。
借り手が「リフォームしたい」などで少しでも多く借入れたい場合、あまり融資してもらえない物件は「買いたくない」と思われる可能性があるのです。
ただし実際に借入れ可能な融資額や融資期間の長さについては、その金融機関の審査内容や買い手の収入状況などによっても異なりますので、耐用年数だけによるものではないことは覚えておきましょう。
耐用年数の過ぎた家やマンションを売却する4つのポイント
耐用年数が過ぎてしまった家やマンションを売却するには、次のようなポイントをおさえましょう。
- 誰なら買うかを考える
- 売れやすいタイミングを考える
- 物件をなるべくキレイにしておく
- 信頼できる不動産会社に仲介を依頼する
詳しくみていきましょう。
ポイント1:誰なら買うかを考える
耐用年数の過ぎた家の売却は一般的には住宅ローンの融資条件も厳しくなり、売りづらいと考えられがちです。しかし、中には耐用年数の過ぎた物件を購入対象として検討してくれる人もいます。
買い手のターゲット層を変えることで、耐用年数が過ぎた物件でも売却を成功させることは十分に可能なのです。
例えば価格を相場よりも若干落として販売すれば、住宅ローンを組む必要のないほど潤沢な自己資金を持っている高所得者が節税対策から購入してくれる場合があります。
このような人の中には会社経営者も多く、耐用年数に関わらず資金使途が自由なローンによって金融機関から資金を引っ張り、自己資金以外で購入できる人も一定数います。
また、リフォームを前提に再販売を専門でおこなう買い取り業者に売却するという方法もあります。この場合もやはり相場よりも安い売却価格となることがほとんどですが、立地や建物の状態が良ければそれなりの価格で売却できる余地もあります。
ポイント2:売れやすいタイミングを考える
売却のタイミングを最も購入意欲の高い時期にすることで、売却しやすくすることも可能です。
例えば4月は子供の新学期や新年度の始まりということで、その時期までに不動産を購入したいという人の割合が高くなります。従ってその時期に合わせて購入する人の多くが2月から3月に購入する傾向があります。
そのような購入者をターゲットとする場合、前年の12月から翌年1月くらいまでに売却をスタートさせると成約に結び付きやすくなります。
ポイント3:掃除をするなどで、なるべくキレイに見せる
たとえ耐用年数が過ぎた古い物件であっても、キレイに手入れをしておくことで買い手によい印象を与えることができます。
家の隅々まで清掃して、部屋をきれいにしておくだけでも効果はあるもの。また、部屋の照明を明るいタイプのものに切り替えると部屋の印象が良くなり、購入意欲を高める可能性もあります。
ポイント4:信頼できる不動産会社に仲介を依頼する
耐用年数が経過した不動産ほど、信頼できる不動産会社に仲介を依頼しましょう。
不動産会社を選ぶには、まず対象となる不動産の査定を依頼しましょう。
物件がどれくらいで売れるかは耐用年数よりも築年数や立地、不動産相場の占める割合が高いことはお伝えした通りですが、それと同様に仲介してくれる不動産会社の実績や実力によっても大きく異なります。
不動産会社に査定依頼をする場合、不動産会社を1件ずつ回っていたのではとても非効率。
不動産の一括査定サイトを利用すれば、対象となる不動産の基本情報を1回だけ入力するだけで複数の不動産会社に同時に査定依頼することができて便利です。
不動産一括査定サイトに査定依頼すると後日、担当者から連絡が入る場合がほとんど。
一括査定サイトで提示された査定額はあくまで限られた入力データから付近の相場も考慮して計算されたものです。より正確な金額は、担当者が実際に物件の管理状況などを調査して査定されます。
担当者と直接会う機会には、その担当者の売却に対する方法や実績について確認するよいチャンスです。疑問に思ったことは何でも聞いてみましょう。
不動産一括査定サイトについては次の記事「おすすめな不動産一括査定サイトを厳選してご紹介!」でも詳しく紹介しています。
また不動産会社を選ぶポイントについては、次の記事でさらに詳しく紹介。ぜひ確認してみてくださいね。
耐用年数が過ぎた不動産でも売却は可能!まずは不動産会社へ相談を
不動産を売却する場合、いくらで売れるかは非常に重要です。そのため売却価格がいくらになるかは気になるところですが、その売却価格を決めるのは耐用年数よりも築年数や立地、不動産市況といった要因が優先します。
とはいっても耐用年数は、銀行からの借り入れ条件や減価償却費、さらに譲渡所得税の税額にも影響しますのでチェックしておきましょう。
また耐用年数が過ぎた不動産でも、売り方を工夫すれば売却できる可能性は十分にあります。
不動産売却には、不動産会社選びがとても重要。不動産一括査定サイトなどを有効活用し、信頼できる不動産会社を選びましょう。
住宅を売却したときの譲渡所得税は、建物の減価償却によって大きく税額に影響がありますが、土地の取得費も大きな要素です。
土地の取得がすごく古い場合、親や祖父が取得した土地を相続して住宅を建てていた場合や、土地取得費が不明な場合などは土地の売却益がかなり高額になり譲渡所得税が高くなることがあります。

中古住宅・中古アパートの媒介業務・調査業務に従事し、現在は札幌市内の宅建業者にて専任の取引士を務めている。
2006年より、住宅に関する無料の相談サイトを開設し、住宅リフォームや中古住宅購入の相談に応じている。