17種類の土地活用法を解説!最適な活用方法の選び方・相談先も紹介
土地活用は「土地が余っている」「土地の相続税対策をしたい」「土地を使って資産を増やしたい」などの際、よく選択される方法。うまくいけば、節税しながら不労所得を得られます。
しかしよく検討せずに活用方法を決めてしまうと、予想外の出費に苦しんだり、収益を得るどころか損をしたりする可能性も。
当記事では、土地活用の種類と具体的な方法例についてまとめました。また土地活用で失敗しないよう、最適な活用方法の選び方や依頼・相談先の例も紹介しています。所有する土地の扱いに困っている方は、ぜひ確認してみましょう。
土地活用は大きく3種類!自分に合った活用方法を選びましょう
土地活用とは、低利用地や未利用地を有効的に活用すること。一般的には資産の増加や保全、また節税のために行われます。
土地活用は、大きく次の3つの種類に分けられます。
種類 | 特徴 |
---|---|
土地を貸す | 土地の所有者:自分 事業主:土地を借りた人 地主の収入:土地の賃料 |
自分で活用する | 土地の所有者:自分 事業主:自分 地主の収入:事業収益 |
共同で活用する | 土地の所有者:契約期間中は銀行や業者へ移行 事業主:銀行や業者 地主の収入:配当など |
土地を貸す:田舎や山林は太陽光発電、都心の狭小地は貸し農園も
土地を人に貸せば、開業の手間や失敗リスクなく、一定期間の地代収入が得られます。
貸し出した土地を借地といいます。借地としての活用は、「手間や費用をかけたくない」「老後の安定収入にしたい」といった場合にオススメの方法です。例として、次のようなものがあります。
- 住宅用(一軒家、アパートなど)
- 事業用(事務所など)
- 路面店舗(コンビニなど)
- 太陽光発電(ソーラーシステム)
- 老人ホーム
- サービス付き高齢者住宅
- 資材置場
- 貸し農園
いずれも事業主は借地人となるので、事業に携わる手間なく地主は地代を得られます。
またそれぞれ、次のようなメリットもあります。
活用方法 | メリット |
---|---|
・住宅用 ・サービス付き高齢者住宅 |
節税効果や補助金制度がある |
・事業用 ・路面店舗 |
安定的な高い地代が期待できる |
・老人ホーム ・太陽光発電 ・資材置き場 |
田舎の土地でも借り手がつきやすい |
・貸し農園 | マンション住まいで庭がない方向けなど、都心の狭い土地でも借り手がつきやすい |
建物が建った借地には、借地借家法によって「最低存続期間」が設けられます。たとえば借地人がアパートなどの居住用住宅を建てる場合、最低でも50年は貸す必要があるのです(建物を地主が買い取る場合は30年)。
コンビニなどの事業用であれば、10年まで期間を短く設定可能。ただし居住用住宅を建てた場合ほど、節税効果は期待できません。
しかし貸付後に小屋を建ててしまうと借地権※を主張され、長い間土地が返還されない可能性があります。そのため建築予定のない貸し出しでも、契約書に「建物を一切設置しない」と明記が必要です。
もし「数年だけできる活用方法を探したい」「土地活用がうまくいかなければ、その段階で売却したい」といった場合、自分が事業主となる活用方法を選択するのがオススメです。
自分で行う土地活用:成功すれば大きな副収入も得られます
地主が事業主となれば、土地の転用や売却についても自分で決めやすいです。
また成功すれば、単に土地を貸すだけよりも大きな収益が見込めます。「短期間だけ活用をしたい」「高収益を得たい」「節税のために土地活用をしたい」といった場合にオススメです。
具体的な活用例は、次のとおり。
- 賃貸アパート・マンション
- 戸建賃貸
- シェアハウス
- 賃貸併用住宅
- 駐車場
- トランクルーム
- コインランドリー
一般的なのは、賃貸住宅や駐車場の経営。アパートの賃料や駐車場料金などの利益を全て受け取ることができます。
そのほかの活用方法も含め、それぞれのメリット・デメリットは次のとおりです。
・家賃収入による高い収益が見込める
・需要がある程度安定している
・専門知識が不要
・節税効果が大きい
デメリット
・空室によるリスクがある
・利便性や住環境などの立地が重視される
・狭い土地でも建築できる
・駅から遠くても入居してもらいやすい
・中古一戸建てとして売却しやすい
・節税効果が大きい
デメリット
・空室になると収益がなくなる
・家賃収入による高い収益が見込める
・専門知識が不要
・節税効果が大きい
・各居室にキッチンやトイレなどをつけない分、初期費用を抑えることができる
デメリット
・住民間のトラブルが起こりやすい
・郊外での認知度が低い
・将来2世帯住宅にもできる
・家賃収入が得られる
・住宅ローンとして融資を受けられる※
デメリット
・オーナーと入居者の距離が近いことでのトラブルが起こりやすい
・売却しづらい
・初期投資が少ない(機械式駐車場以外)
・短期間での利用も可能
・ほかの用途に転用しやすい
・(コインパーキング)運営会社に管理を依頼できる
デメリット
・収益性が低い
・(月極)料金滞納によるリスクがある
・初期投資が少ない
・変形した土地でも可能
デメリット
・収納ニーズのある住宅地や事業所が多い地域でなければ、収益性が低い
・初期投資が比較的少ない
デメリット
・洗濯機の種類を周辺ニーズに合わせる必要がある(単身者向け、家族向けなど)
・競合店が多い地域では収益性が低い
またあまり初期費用をかけたくない場合、銀行や業者と共同で土地活用をする方法もあります。詳しくは、次の章にまとめましたので、確認してみましょう。
共同で活用:土地活用のプロと低コストで高額な資産運用ができる方法
土地活用を自分で行うと、多額の初期投資が必要となることも。足りない場合は銀行などから借り入れる必要があります。
土地活用を共同で行う相手を見つけられれば、少ない投資で収益確保が期待できます。
具体的な方法は、次のとおり。
方法 | 内容 |
---|---|
土地信託 | <相手> 信託銀行・信託会社 <特徴> ・信託先に土地の所有権を移転する ・土地の運用で得た利益から配当を受け取る ・契約期間終了後は建物ごと受け取れる ・運用利益がなければ配当がないこともある ・配当を受ける権利の売却も可能 |
等価交換 | <相手> 土地開発業者(デベロッパー) <特徴> ・土地の一部と建物の一部を等価になるように交換して、双方が土地と建物を所有する ・等価交換分の収益を得る ・相続税の減額が期待できる ・共同所有のため、売却できないことがある |
ただし成功する見込みがない土地の場合、断られる可能性もあります。
土地信託について詳しくは、次の記事でも詳しくお伝えしています。一度確認してみてくださいね。
土地活用の成功例&失敗例から学ぶ、最適な活用方法の選び方
土地活用は成功すれば、節税や収益獲得に繋がります。
しかし失敗すると、予想外の出費に苦しんだり損をしたりする可能性も。
土地活用の成功例や失敗例として、次のようなものがあります。
活用方法 | 成功例と失敗例 |
---|---|
アパート・ マンション |
<成功例> ・老後の安定的な不労収入にできた ・節税ができた <失敗例> ・1棟だけ建てた後、子どもが相続争いをした ・競合激化により、家賃を下げざるを得なくなった |
駐車場 | <成功例> ・子どもの結婚に伴い、すぐに転用して居住地としての贈与ができた ・コインパーキングにして、固定資産税を上回る収入を得られた <失敗例> ・コインパーキングに不向きの土地で、収益が得られなかった |
等価交換 | <成功例> ・無借金で、多額の年間収入を得られた ・相続税対策ができた <失敗例> ・先祖代々の土地を手放すことになり、親族から非難を受けた ・節税どころか、支払う税金が増えた |
土地活用で成功するためのポイントは次のとおり。
それぞれ、具体的にみていきましょう。
土地活用をするなら目的を決めてから!安易に進めるのは危険です
土地活用の方法によって、得られる結果は異なります。
土地活用で成功するには、きちんと目的を決めることが大切です。
例として、次のような目的とその状況を挙げました。
分類 | 目的例 |
---|---|
収益 | ・高収益を得たい ・老後の安定収入にしたい |
費用・予算 | ・初期費用を抑えたい ・手間や管理費をかけたくない |
節税 | ・相続税対策をしたい ・固定資産税を抑えたい ・収益で税金を支払いたい |
リスク | ・損をしたくない |
転用性 | ・20年だけ活用したい ・いつでもやめられる方法がいい |
もし先祖代々の土地は手放したくない場合、所有権を移転する等価交換は難しいでしょう。
このように、事前にしっかりと目的を決めておくことで、適した活用方法を選びやすくなります。安易に利回りや楽さのみで進めないようにしましょう。
自分の土地に関わる法律や環境は調査必須!希望の活用が不可な場合も
土地活用をするうえで、その土地をとりまく環境はとても重要です。環境によって、その土地活用が成功するかどうかが左右されることもあります。
自分の土地の周辺環境についてしっかり調べてから、土地活用を進めましょう。
調べたい土地環境は、次のとおり。
・新しい建物を建ててよい土地か
・用途地域※による建設制限はないか
需要
・競合物件が周囲にどのくらいあるか
法規制により、希望の建物が建てられない土地があります。
たとえば「市街化調整区域」にある土地の場合、環境保全のため一部公的な建設以外は認められません。特に田舎の土地などの郊外地は、該当しないか確認が必要です。また建築基準法の改正により、建物を解体すると新しく建てられないことがあります。
大型マンションやコンビニを建てたくても、用途地域が「第一種低層住居専用地域」の場合は建てられません。この地域では、賃貸住宅や駐車場が主な活用方法となるでしょう。
また競合物件の数など、「この活用方法が周囲にとって必要なものかどうか」つまり「収益を上げる見込みがある方法か」を調べることも重要です。
駅近であればコインパーキング、周囲に集合住宅が多ければ月極駐車場にするなど、駐車場という活用方法ひとつにしても環境により内容がまったく異なることがあります。
土地活用の相談は専門家に!税理士やFPなどにお金の相談もオススメ
土地活用で成功するには、信頼できる専門家からアドバイスをもらうことも大切です。
悩みや状況に合わせて、次のような専門家に相談してみましょう。
相談先・依頼先 | 特徴・相談できる内容 |
---|---|
不動産会社 | ・土地活用全般(不動産情報や地域特性など)の相談ができる ・ほかの必要な専門家や業者を紹介してくれる |
ハウスメーカー や工務店 |
・どんな建物を建てるかについて相談できる |
信託銀行 | ・資産運用について相談できる ・土地信託の依頼ができる |
税理士や 行政書士 |
・税金の相談(具体的な税額計算など)ができる ・土地活用における書類手続について教えてもらえる |
ファイナンシャルプランナー | ・全般的なお金の相談ができる |
複数の専門家の中から、自分に合った相談相手や活用方法を探してみるとよいでしょう。
土地活用は失敗すると大損するかも!売却して資産の組み換えも検討を
また土地活用で希望の結果が得られない可能性がある場合、土地を売却して資産の組み換えも検討しましょう。
たとえば、田舎の土地をおもいきって売却し都心の高立地なマンションに買い換えると、より大きな収益や節税が期待できます。また広大な土地を保有し続けるより、売却して子どもたちそれぞれの為の不動産を購入する方が、相続争い防止にもなることも。
もちろん、先祖代々の土地を守り続けたいという気持ちも大切ですよね。自分や家族のために、土地活用がいいのか、売却する方がいいのか、じっくり検討しましょう。
当サイトでは、不動産を売却する流れや不動産の一括査定サイトなども紹介しています。一度確認してみてくださいね。
「土地の有効活用」とおおげさに考えると、何から手をつけてよいのか分からないかもしれません。
まず最低限「荒れ地のまま放っておく」ことはやめましょう。
記事にあります17種類の活用法から、できそうな活用法を消去法で絞ってみると考えが整理されると思います。
中古住宅・中古アパートの媒介業務・調査業務に従事し、現在は札幌市内の宅建業者にて専任の取引士を務めている。
2006年より、住宅に関する無料の相談サイトを開設し、住宅リフォームや中古住宅購入の相談に応じている。