
タワーマンション売却のタイミングと方法について徹底解説
タワーマンションには、かつて成功した人だけが住めるシンボルとされていた時代がありました。
しかし1997年に建築規制法が緩和されてからは、タワーマンションが一般の人でも買えるほどの価格で大量に供給が開始。眺望の良さや資産価値の高さなどから、大人気となりました。
2013年頃から日本国内の株式市場は上昇し、不動産市場もタワーマンションを中心に活性化し、過去にないほどの価格高騰を見せてきています。
そのような不動産相場はまさに不動産バブルとも呼ばれていますが、2019年に入ると世界景気の後退の兆しや2020年開催の東京オリンピックを前に、そのバブル崩壊が予測されてきています。
既に過去にないほどの高騰ぶりを見せている都心のタワーマンションもそれに合わせて売り物件が増えており、台風被害による災害への脆弱性が知られるようになったこともあって、ますますその流れが続くものと予想されています。
今回はそんなタワーマンションの売却や売り時を検討中の方を中心にタワーマンションの現状や近い将来に起こり得る状況、さらに高く売るにはどうすればいいのかについてお伝えしていきます。売却すべきかで悩んでいる方は、是非参考にしてみてください。
今後もタワーマンションを持ち続けることへの不安要素とリスク
タワーマンションは資産価値や眺望などのメリットがある反面、所有し続けることで待ち受けている様々なリスクがあります。
たとえば、次のようなリスクが考えられます。
- マンション供給過剰とバブル崩壊の可能性がある
- 大規模な修繕をしなくてはいけない
- 少子高齢化と空き家問題により、今後売りづらくなる可能性がある
詳しくみていきましょう。
マンション供給過剰とバブル崩壊懸念
2003年頃から広く市場に出回り始めたタワーマンションですが、2013年から始まったアベノミクスによる官製相場とそれに呼応した不動産相場の上昇に合わせるように、数多くのタワーマンションが販売されました。
特に2016年頃まで続いた中国人富裕層の投機目的による購入もあり、その間にタワーマンションは供給過剰になるほど売られました。
しかし購入して5年を超えると、不動産売却時の譲渡所得に対する税率が下がります。そのため投機目的で購入した中国人による投げ売りも懸念され、実際に売りも出始めています。
また、不動産市場では2020年の東京オリンピック開催が不動産市場のピークと考えられていることから、売りが売りを呼ぶバブル崩壊が懸念されています。
特に投機性の高いタワーマンションの場合、いったん売りが始まると一気に売却価格が急落するリスクもゼロではないでしょう。
価格が高いタワーマンションの場合、売却価格を下げても買い手が見つかればまだいいのですが、そうなってくると同じマンション内でも売り物件が増えることになります。
同じマンションのオーナー同士による値下げ競争ともなりかねず、売却を検討されている方は売り時をしっかりと見極めて早目の行動に出たほうがいいでしょう。
大規模修繕のピークを迎える多くのタワーマンション
タワーマンションが大規模修繕を迎えるのは、引渡しから15年ほどです。数多くのタワーマンションが売り出された2003年頃の物件が、ちょうど今その時期を迎える頃となってきています。
タワーマンションはジムや会議室といった共有施設やエレベーターの数も多く、豪華仕様で多くのコストがかかっていることから、大規模修繕も普通のマンションよりも非常にコストがかかります。
修繕積立金が足りず、修繕積立金が増額されるタワーマンションも増えていくことが懸念され、オーナーの中には大規模修繕を迎えるタイミングで売却しようとする人も数多く出てくることが予想されます。
少子高齢化による人口減少と空き家問題
少子高齢化の影響で日本は既に人口減少が始まっています。それとともに空き家が増えてこれからますます問題が大きくなっていくことが懸念されています。
住宅市場は家が必要な世帯数に対して明らかに供給過剰な状態が続いており、売れる不動産への選別が厳しくなっていきます。
タワーマンションにおいても、人口減少は国力と経済力の低下ともリンクすると考えらえるために住宅に対する需要減少に対して全く影響がないとは言い切れません。それは不動産市場全体に影響する問題だからです。
つまり、これからの日本の不動産市場にとって人口減少や空き家問題は向かい風ともいえ、それはタワーマンションの売却についてマイナスにこそなれ、プラスになるとは考えにくいと言えるでしょう。
タワーマンションを高く売るコツ!タワマン売却に強い会社を選ぶこと
タワーマンションを高く売る最も重要なポイントは、タワーマンションの売却に強い不動産会社を選ぶことです。
不動産会社によって得意とするエリアや建物の種類、対象となる顧客層が異なるからです。
タワーマンションの購入に強い不動産会社であれば、都心でも超一等地にある「億ション」と呼ばれてきた高級マンションの他、注文住宅を建てることを前提とした都心の土地や中古の高級戸建ての購入を検討する顧客を常に抱えている可能性があります。
さらに、個々の分譲マンションのブランドごとの特徴や低層階・高層階のそれぞれのメリットについて熟知しているでしょう。
タワーマンションは大手分譲によるものが主流であり、立地や建物の仕様などから高額の物件です。
従って顧客対象もおのずと富裕層を対象として都心近郊の物件が中心となり、そのような顧客層や物件を数多く抱える不動産会社に売却の依頼をしたほうが、高く売りやすいでしょう。
なお不動産会社の選び方については、次の記事でも詳しく紹介しています。
タワマン販売に強い不動産会社選びは、不動産一括査定サイトの利用が有効です。
不動産一括査定サイトの利用は、とても簡単。売りたいマンションについての基本的な情報をサイト内に入力すると、無料で査定額を提示してくれる不動産会社が複数紹介されます。
その中から実績や評判の良い会社を選び、その会社の担当者に訪問してもらってさらに詳細な査定を依頼する流れとなります。
なお不動産一括査定サイトに関しては、次の記事「おすすめな不動産一括査定サイトを厳選してご紹介!」でも詳しく紹介しています。ぜひ試してみてくださいね。
高層階、低層階ごとに異なるアピールポイントをおさえよう!
既にお伝えしたように富裕層を中心としたタワーマンションの販売に強い不動産会社は、低層階・高層階のそれぞれのメリットについて詳しいです。
実際の販売戦略においてもそれぞれの魅力を最大限に活かした販売活動をおこない、なるべく希望に近い価格での売却をすすめてくれるでしょう。
例えば高層階の売りのポイントには、次のようなものがあります。
- 眺望の良さ
- 希少性
- 資産価値
また、一見すると不利に見られる低層階についても、低層階ならではのメリットを全面に出すことで不利な点がカバーされます。
低層階の売りのポイントは、次のとおりです。
- 高層階よりも低い価格でジムなどの共用施設が使える
- エレベーターの待ち時間が少ない
- 固定資産税が抑えられる
ブランドや立地面から気に入っているタワーマンションでも、低層階は高層階よりコストパフォーマンスの優れている点がアピール材料になるのです。
戸建てや低層マンションの常識とは異なるタワーマンションのポイント
とくに次のような場合において、タワーマンション特有の売却ポイントがあります。
・北向きのほうが高い評価が得られる
・希少性から資産価値が高く評価される
詳しくみていきましょう。
北向きのほうが高い評価が得られる場合
一般的に南向きの物件は日当りや採光の面から人気がありますが、タワーマンションの場合必ずしも当てはまりません。
それは高層階が眺望の良さから人気や評価が高いのと全く同じ理由で、マンションの立地によっては北向きの部屋がそのマンションで最高の眺望が得られる場合があるからです。
眺望については北向きの部屋のほうが、太陽の位置関係から眺める景色が順光となってよく見えるという理由もあります。
またなかには、眺望以外の理由で積極的に北向きが好まれる場合があります。
それは都市部ではヒートアイランドで夏場の暑さから南向きは日当りが良すぎて、北向きのほうが過ごしやすいからです。
タワーマンションは高気密で高断熱に加え、眺望の良さを高めるために窓面積が大きいハイサッシが採用されています。
そのため、夏場の強い直射日光が容赦なく差し込み、特に真南の部屋の室温はエアコンが効かないほどの高温となり、カーテンを閉めっぱなしの状態となるケースが多く見られます。
希少性から資産価値が高く評価される場合
一部のタワーマンションはターミナル駅に直結、ないし歩いてすぐの好立地にあり、資産価値が高く評価される場合があります。
特に駅直結の物件などは、かなりの好条件とされ、その高い希少性から中古でも売却価値が上昇するほどの評価を得る場合があります。
また、都心の超一等地にあるようなタワーマンションも同様の高い評価が得られ、財産価値が長い期間にわたり高止まりするような場合もあります。
不動産相場やタワーマンション固有の事情を考慮した売却戦略を練る!
タワーマンションの売却を成功させるには、不動産相場の現状と今後の見通しについて着目すると同時にタワーマンション固有の特徴を十分に考慮した戦略が大切です。
特に一般の戸建てや低層マンションを売却する常識とは、異なる考え方や売り方があります。
そして高く売却する上で最も重要なことの一つはタワーマンションの売却に強い不動産会社を選ぶことになります。
そのため不動産一括査定サイトを利用して、そこで得た各社からの情報や売却に関する実績、さらに不動産会社の担当者の知識や売却活動に関する方針を見極め、慎重に業者選定を進めていきたいところです。
タワーマンションは新築時の企画段階から「特殊な物件」といえるものです。記事にあるように大規模修繕を含めたメンテナンス費用は通常物件とは異なり、ターゲットとなる顧客層も自ずと特殊なものとなっています。
売却にあたっては、このような特殊な顧客層へのアプローチが可能な不動産仲介会社へ依頼することが重要です。

中古住宅・中古アパートの媒介業務・調査業務に従事し、現在は札幌市内の宅建業者にて専任の取引士を務めている。
2006年より、住宅に関する無料の相談サイトを開設し、住宅リフォームや中古住宅購入の相談に応じている。