空き家
空き家の固定資産税はどうなる?住宅用地と更地の違いにも注目!

空き家の固定資産税はどうなる?住宅用地と更地の違いにも注目!

親から相続した田舎にある空き家。今は住む予定はないけれど解体するほどでもないし、なんとなく残しておこうかな?と考えてはいませんか?

そもそも住宅用の土地は、建物が残っていると固定資産税が優遇されるという制度があります。そのためわざと空き家を残したままでいようと考えている人も多いようです。

しかし、本当にそのままでも良いのでしょうか?特に「特定空き家」に指定された場合は、固定資産税が6倍になるというウワサもあるようです。

そのため今回は、そのような空き家の固定資産税についてご紹介していきたいと思います。

空き家の固定資産税はいくら?住宅用地の特例を考える

土地や建物といった資産には所有しているだけで固定資産税がかかります。それは空き家も例外ではありません。

ただ、固定資産税は毎年課税されるので負担も重いですよね?そこで税額を軽減されるような制度も存在するのです。

それでは固定資産税の軽減制度や空き家の固定資産税について、わかりやすく解説していきましょう。

住宅用地の特例って何?

固定資産税は、毎年1月1日時点で土地や建物を所有している人に課税されるものです。その土地や建物が住宅であれ商業施設であれ、例外はありません。

ただ、自宅を所有していながらも評価額のとおりに税金がかかってしまってはそこに住む人も少し大変かもしれません。

そこで「人が住んでいる土地=住宅用地」なら固定資産税を軽減されるという制度、これが住宅用地の特例です。

具体的には、次の表にある計算で出した固定資産税評価額から出した課税標準額に税率を乗じたものが税額となります。

通常の土地 固定資産税評価額×1/1
一般住宅用地 固定資産税評価額×1/3

小規模宅地の特例を適用した場合、固定資産税はいくら?

一般住宅用地の特例に当てはまる土地の中でも、さらに固定資産税が軽減される制度があります。これが小規模宅地の特例です。

小規模宅地の特例とは、住宅用地の200㎡までの部分の税金をさらに減額するという制度です。具体的には次のような計算になります。

一般住宅用地 固定資産税評価額×1/3
小規模宅地の特例 固定資産税評価額×1/6

ちなみに、小規模宅地の特例を超える200㎡を超えた部分は一般住宅用地の特例が適用されます。(ただし家屋の床面積×10倍まで)

住宅用地の特例を適用させた固定資産税の計算は、次の記事で詳しく解説しています。

空き家の固定資産税も住宅用地の特例が適用される

さてここから本題。空き家の固定資産税でも住宅用地の特例は適用されるのでしょうか?

結論から述べますと、基本的には適用されます。

誰も住んでいない空き家でも、人が住むための建物=住宅であるなら、その空き家が建っている土地の固定資産税は住宅用地の特例や小規模宅地の特例が適用されるのです。

逆に言うと、この空き家が建っていなければその土地の固定資産税は通常通り課税されるということ。

空き家がないだけで固定資産税は上がるということかのぉ?そうならば、あえて空き家を壊す必要性もありませんな。
おっしゃるとおりです。固定資産税のアップを避けるために、あえて空き家をそのままにしている方も多いのですよ。

ただこの特例を利用しようとするあまり、廃墟同然の危険な空き家ですらそのまま放置されていることが今社会問題となっているのです。

空き家の固定資産税払わないとどうなる?3つの想定例を検証してみた

今後住む予定もないけれど、とりあえず放置している空き家。この空き家がどうなるか?将来的な状況として想定される次の3つのパターン

  1. 空き家の固定資産税を払わない
  2. 空き家を解体する
  3. 特定空き家に指定されてしまう

を検証してみたいと思います。

①空き家の固定資産税を払わない

誰も住んでいない空き家の固定資産税を払うのは面倒だし、お金の負担もイヤだな。今年から払うのをやめてみようかな?と少しでも考えている人はいますか?

住んでもいない家の税金を払うなんてまっぴらごめんだぜ~!
確かにそうですが、納税は義務なので払わなければなりません。

固定資産税を払わなくてもいいかな?という考えは通用しません。なぜかというと滞納になってしまうからです。税金を滞納したことにより所有者であるあなたの財産を差し押さえられてしまうことも…。

したがって、空き家や土地を所有し続けている限り固定資産税からは逃れられないことを覚えておいてくださいね。

もし固定資産税の支払いが厳しい場合は、納付期限前に必ず市町村へ相談するようにしましょう。(※東京の場合は都へご相談ください。)

②空き家を解体して更地にするとどうなるのか?

空き家はもう古いし維持管理も大変だから、いっそのこと解体してしまおうとなった場合。もちろんこの選択肢もありです。

しかし、空き家を解体して更地にするのにもコストを考えなければなりません。

例えば空き家を解体するには解体費用がかかります。さらに(空き家①)の記事でも解説しましたが、空き家の解体作業前には害虫駆除を行った方がよい場合もあります。そのため害虫駆除の費用も見積もっておいた方が良さそうです。

また更地にしてしまうと、住宅がなくなってしまうので住宅用地の特例が適用されずに固定資産税のアップは避けられません。

さらに再建築不可の物件だった場合。次に新しい建物を建てられなくなってしまうというリスクもあるのです。

以上のように空き家を解体するのもリスクがあるので覚えておきましょう。

更地にかかる固定資産税の詳細は、次の記事を参考にしてください。

③特定空き家に指定されてしまうとどうなるのか?

「特定空き家」という言葉を聞いたことはありませんか?空き家の中でも、著しく危険を及ぼす可能性があったり景観を損ねる恐れがあったりする空き家を、自治体が「特定空き家」に指定できるというもの。

この特定空き家に指定されてしまうと、空き家が建っている状態なのに住宅用地の特例がなくなってしまいます。

特に小規模宅地の特例を適用していた場合は、1/6の減額がなくなるので6倍になるというウワサも…?

詳しくはこちらの記事でも解説しておりますのでご覧ください。

今後空き家は解体(更地)または残すべきか?固定資産税も考えよう

放置していても固定資産税がかかる。解体するには費用もかかる。特定空き家に指定されたら税制優遇もなくなるどころか、自治体からの指導を受けるかもしれない。

ではいったい空き家をどうしたらいいのでしょうか?土地活用の判断基準について考えてみたいと思います。

空き家をどうする?選択肢を考えてみよう

まずは空き家を今後もどうしたいのか?選択肢は複数あります。

  • そのままにしておく
  • 空き家に住む
  • リフォームして賃貸に出す
  • 売却する
  • 空き家を解体して更地にする

など、様々な選択肢を考えられます。

まずは、空き家を将来的にどう活用したいのか?考えてみてはいかがでしょうか?

そうよね、いくら思い出の詰まった実家だったとしても、将来的に住む予定がないならいつかは売却なども考えないと。
そのとおりです!思い出の詰まった家だからそのままにしておきたい気持ちはわかりますが。すでに別の土地にマイホームがある場合などは、値がつくうちに売却なども検討してみてはいかがでしょうか?

困ったら行政や土地活用の専門業者に相談してみよう

困ったら行政に相談してみるのも手です。行政も特定空き家に指定されるような状況は望んでいません。

特に、空き家解体費用を助成してくれるような制度が存在するかもしれません。行政も放置されるくらいなら事前に対策してもらいたいと考えているので相談してみましょう。

また土地活用の専門業者へ相談してみるのもおすすめです。

このままでは固定資産税を払い続けるだけの「負」動産になるはずだった空き家も、土地活用によって新たな収益を生み出してくれる資産になりえるのか?状況に即したアドバイスをもらえます。

空き家の固定資産税を払い続ける前に検討を!業者への相談がおすすめ

空き家は所有し続けている限り、固定資産税が発生します。空き家が建っている限り、その土地には一般住宅用地の特例や小規模宅地の特例が適用され固定資産税が減額されますが、果たしてそのまま放置しておくことが良いのでしょうか?

もちろん解体して更地にするとコストはかかります。しかし適切に維持管理せず特定空き家に指定されてしまうと固定資産税もアップしてしまうことは今回ご紹介させていただきました。

空き家はこのまま所有し続けた方がいい場合もありますし、売却したり空き家を土地活用して新たな資産に蘇らせたりする方が良いケースもありますよね?しかしその判断は知識がない方には難しいのが一般的です。

もし空き家の対処にお困りであれば、行政や土地活用の専門業者へ相談してみるのも手ですよ。