出産に保険は必要?妊娠からかかる費用と公的制度・民間保険の活用法
妊娠がわかると嬉しい気持ちになりますが、出産する時にどんな費用がかかるのか心配にならないでしょうか?出産には「出産一時金」などの公的な制度を活用することができますが、民間の保険を利用することもできます。妊娠中・出産にはどんな費用がかかるのか確認していきましょう。
もし妊娠を希望しているのであればどんな保険に加入すべきなのかチェックしておくことをおすすめします。公的制度や保険を利用してうまく費用を抑えてください。そして出産後には民間の保険に加入することができるのか説明していきます。
妊娠・出産にかかる費用は?種類と金額
それでは妊娠・出産にかかる費用はどのくらいなのでしょうか?まずは費用の種類をチェックしていきましょう。
- 検診費用
- 衣服などの日用品
- おむつなどの準備費用
- 出産費用
妊娠したことが発覚した時にまず必要な費用は「検診費用」です。妊娠中は毎月妊婦検診に通う必要があり、10回ほど病院へ行くことになります。続いてかかるのが衣服などの「日用品」です。
お腹が大きくなっていきお腹を圧迫するようなズボンなどは着ることができないためマタニティウェアを準備しましょう。
次に出産に関する費用として赤ちゃんのオムツや衣服などの「準備費用」が必要になります。これらは出産後すぐに使うので出産前に準備しておきましょう。そしていよいよ「出産費用」です。出産費用には病院や部屋によって値段の変動があります。
自然分娩(正常分娩)
自然分娩で出産する場合、妊娠してから以下の金額かかると予想されます。
項目 | 費用 |
---|---|
妊婦健診 | 約9~10万円 |
マタニティ用品 | 約5万円 |
ベビー服 | 約1~2万円 |
おむつ・おしりふき等 | 約2~3万円 |
出産 | 約40~80万円 |
合計 | 約100万円 |
自然分娩(正常分娩)費用内訳平均
平成28年度の「公益社団法人 国民健康保険中央会」の情報によれば全国平均では505,790円出産費用が必要とされています。1番費用が少ないのが熊本県で415,923円、1番費用が高いのが東京都で621,814円となっています。
自然分娩での費用について説明しましたが、分娩方法によって費用は違ってきます。
帝王切開の費用
最近では帝王切開で出産をする人も増えてきています。だいたい20万円〜22万円手術費用としてかかると言われています。そのほかに入院日数が伸びるため、入院費用も増加します。
吸引分娩の費用
吸引分娩とは赤ちゃんを速やかに出産させた方が良いと判断された時の緊急の出産方法です。会陰切開(えいんせっかい)をしてカップを挿入し、赤ちゃんの頭から吸引します。吸引分娩が難しい時には帝王切開をする場合もあります。
通常の出産費用に追加費用として6,000円〜25,000円ほどかかります。
健康保険が適用される場合は3割となります。
妊娠・出産時の公的な制度にはどんなものがあるか確認!
健康保険が適用となる出産は公的な制度を利用することができます。どんなものがありそれぞれどういう特徴があるのか確認していきましょう。
出産育児一時金
出産一時金は一児産むごとに42万円支給されます。ただし産科医療補償制度に加入していない医療機関で出産した場合は39万円となります。
支給条件は被保険者または被扶養者が妊娠4ヶ月以上で出産すること。(早産・死産・流産・人工妊娠中絶を含む)
出産育児一時金の受け取り方として「直接支払制度」と「受取代理制度」があります。
直接支払制度
健保協会が出産した医療機関に直接支払う制度です。被保険者(被扶養者)は窓口で出産育児一時金を超過した分の費用のみ支払うこととなります。まとまった資金を準備する必要がないので負担が軽くなります。
受取代理制度
この制度は事前に申請が必要となります。出産する医療機関が代理となり出産育児一時金を受け取ります。直接支払制度を導入していない医療機関はこの制度を利用することで直接支払制度と同様に窓口での支払が差額分だけで済みます。
出産費貸付制度
出産費貸付制度は出産育児一時金が支払われるまでの間、1万円単位・無利子で出産育児一時金支給額の8割まで借りることができます。
この制度を利用するには以下の条件があります。
- 出産予定日まで1ヶ月以内の人
- 妊娠4ヶ月以上で、病院へ一時的に支払いが必要な人
申込に必要な書類を全国健康保険協会へ提出する必要があります。出産育児一時金が支給されたら返済に充てます。そして残りの分は指定された金融機関に振込して返済します。もし返済がされなかった時は返納通知書が送られてくるので、用紙を利用して期限までに返済してください。
出産手当金
出産手当金(産休手当)は健康保険に加入している会社で働いている人が受け取ることができます。
国民健康保険に加入している人は対象外となりますので注意してください。
出産で退職する人も出産手当金を受け取ることができますが、以下の条件を満たす必要があります。
- 健康保険の加入期間が1年以上
- 退職日が出産手当金の支給期間であること
- 退職日に会社へ出勤していないこと
支給される金額は「標準報酬比例日額の3分の2の額」です。手続きは会社を通してできる場合があるので会社に相談してみましょう。会社を休んでいてもお給料を受け取っている場合は出産手当金との差額分が支給されることになります。
出産育児一時金と混同して覚えてしまいがちなのでしっかりと違いを確認しておいてください。
高額療養費制度
高額療養費制度は自然分娩では利用できないですが、吸引分娩や帝王切開では利用することができます。そもそも高額療養費制度は病気やけがの時に利用するものです。自然分娩は病気などではないことが利用できない理由です。
1ヶ月(1日〜月末)で医療費の自己負担限度額が超えた場合、超過分が還付される制度なので切迫早産や切迫流産で超えた時には活用しましょう。
この制度の利用方法や注意点は次の記事で解説しています。
傷病手当金
傷病手当金は切迫早産や悪阻(つわり)で仕事を4日以上休んだ時に休んだ日数分支給されます。計算方法は「出産手当金」と同様です。
ただ4日以上休むだけではなく、休んでいる間にお給料がもらえない・健康保険に1年以上加入しているなどの条件があります。仕事に就くことができないという医師の診断も必要です。
傷病手当金は出産手当金と重複して受け取ることはできません。
このような国の制度だけでなく、妊娠・出産時には都道府県などの自治体から補助金がでることも。詳しくは次の記事で紹介していますので、こちらも読んでみてくださいね。
出産するとき民間の保険ではどんな保障がある?
出産したときに民間の生命保険を利用できることをご存知ですか?保険会社によりますが帝王切開や吸引分娩は対象となる可能性が高いです。自然分娩による出産も対象とする民間の保険もあります。
入院費用と手術費用が医療保険や生命保険の特約で保障されます。民間の保険に加入することで出産費用が戻ってくるうえ、プラスになることもあります。
適用対象なる可能性があるもの
- 帝王切開
- 吸引分娩
- 切迫早産
- 切迫流産
- 子宮頸管無力症
- 早期破水
- 子宮外妊娠
- 前置胎盤
- 妊娠中毒症
- 死産
入院費用に関しては基本的に「異常妊娠による入院」が対象となります。
妊娠中・妊娠後に民間の保険に加入することは可能なのか
妊娠後・妊娠中でも保険に加入することは可能です。ただし全ての保険が加入できるわけではなく、数が少ないでしょう。
月2,000円程度で加入できるちょっとした保障がある保険もあります。出産のために保険に加入する人であればそういった保険の検討も良いでしょう。
自然分娩 | 帝王切開 | 死亡保障 | |
---|---|---|---|
Co-op共済(女性コース) | × | ◯ | ◯ |
ABC少額短期保険(おかあさん保険) | ◯(加入後の妊娠) | ◯ | ◯ |
NKSJひまわり生命(フェミニーヌ) | × | ◯ | ◯ |
オリックス生命保険(新CURE Lady) | × | ◯ | × |
自然分娩以外の出産方法だった場合、子宮など出産に関する病気は保障されなくなってしまうおそれがあります。できれば妊娠発覚する前に保険に加入しておくのが良いですよ。
妊娠前の保険加入をおすすめするのは、妊娠中に保険に加入した場合「特定部位不担保」となる可能性があるからなんです。
保険商品によっては制限がついてしまう場合があるので、加入前にその点を確認しておきましょう。
妊娠・出産には公的制度と民間の保険をフル活用しましょう
公的な医療制度はもちろん、民間の医療保険に加入して差額ベッド代や日用品に保険金を充てることも検討してみることをおすすめします。初めて出産する人はとても不安だと思いますが、家族と相談しながら精神的にも金銭的にも安心して出産に臨めるように準備しておきましょう。