保険の基礎知識
保険の特約とは?特約の種類や特則との違いを契約前に知っておこう

保険の特約とは?特約の種類や特則との違いを契約前に知っておこう

保険の加入時にチェックしておきたいのが「特約」。特約を保険につけることによって手厚い保障になります。

特約はさまざまな種類があり、特約の名前だけではどんな保障内容なのかわかりにくいと思います。保険の内容を最終的に決めるのは、契約者です。自分で判断する必要があるので内容がわからないままではいけません。

特約の意味と種類を理解して必要なものを見極めましょう。保険会社に特約の内容を説明してもらうことはできますが、自分であらかじめ調べておくことで契約時に窓口で説明された内容が理解しやすくなるでしょう。

保険の特約とはどんな意味や特徴がある?

生命保険や医療保険は「主契約」と「特約」で成り立っています。主契約は万が一亡くなった時の保障部分となり、保険金として支払われます。

この主契約を補うためにあるのが特約です。特約の役割はさまざまで入院や手術時に保険金が受け取れる特約や、先進医療の技術料をカバーする特約などがあります。

特約をつけると保険料が高くなるな〜。特約はどうしてもつけなければならないの?
絶対つけなければいけないものではありません。特約をつけるメリットもデメリットもあるので、いらないと思えばつける必要はありませんよ。

保険の特約をつけるメリット

  • 保障を上乗せできる
  • 主契約部分では対象外となる保障を付加できる
  • 生存給付金を受け取れるものもある

定期特約など死亡保障を上乗せすることによって子供の小さい時期やローンの返済期間など資金が必要な一定期間に備えることができます。

また、通院や入院、手術などの医療保障に備えられるような特約を付加することによって、生存中でも医療費をカバーすることができます。

生存中の給付金は保険料が高くなってしまいますが、数年おきにお金をもらえる楽しみがあります。貯蓄が苦手な人はこういった特約で積立する考えもあります。

保険の特約をつけるデメリット

  • 保険料が高くなる
  • 契約時簡単に付加できるので余分につけてしまいがち
  • 特約を付加するより保険を別に加入した方が、保障内容が充実することも

特約を付加すると保障が手厚くなるのでどうしても保険料は高くなってしまいます。

中には無料でつけられる特約もあります。しかし医療保障や給付金など保険金が主契約部分より多く受け取れるような特約は保険料がかかります。

契約時にいろんなケースに備えたいとあれもこれもと特約をつけてしまうと実際には必要のない特約までつけてしまいがちです。本当に必要な特約を見極めて無駄につけることのないように注意しましょう。

ほかにも「がん特約」など、がんと診断された時に保険金が倍になるような特約もありますが、がん特約をつけるくらいならがん保険に加入した方が、がんに対する保障が充実しています。特約だけで済ますのではなく類似した保険商品もチェックしてみるのがおすすめです。

特約と特則の違いは何?

特約に似たような用語で「特則」というものがあります。パンフレットやホームページで見たことがある人もいるのではないでしょうか。

特則も特約と同じく主契約に付加して補う役割を持っています。

しかし特則は特約の保障内容とは少し異なります。

「特約」は身体的な保障に備えるのに対し、「特則」は割引になったり免除されたりする保険料に関するものや、窓口に来店できないような状態になった時の代理人を指定するものなどです。

代表的な特則には以下のようなものがあります。

代表的な保険の特則
指定代理請求特則 あらかじめ指定した人であれば代理で保険金の請求手続きができる
非喫煙者割引特則 1年以上喫煙していない健康体であれば保険料が割引になる
出生前加入特則 一定の日数条件に当てはまれば出産前でも保険に加入できる
特定疾病保険料免除特則 がん、脳卒中、急性心筋梗塞の場合保険料の支払いが免除される

特則は一度付加すると外すことはできませんので、注意しましょう。

特約は契約後にも後付け・解約できるが注意が必要

やっぱりつけたい特約があったという時は後から付加することは可能なのですか?
保険商品によって違いはありますが、つけられない場合も多いです。もしつけることができる場合は責任準備金を支払ったり、告知や医師の審査が必要になったりします。

特約は契約後に後付けする場合、再度告知が必要になりますが、もし健康状態に異常がある時は特約を付加することができません。保険料は特約部分が付加する時点の年齢で計算されます。

一方で契約時に必要と思ってつけたものの、後から必要なくなったという人もいるのではないでしょうか。

保険の特約は解約をすることができます。

例えば月々の保険料が高くてもう少し安く抑えたいという場合、特約を解約することで保険料を下げることができます。

ただし、一度解約してしまうとまたつけることができない場合やもう一度付加する時に面倒な手続きが必要になる場合があります。解約は保障がなくなるということなので解約したいと思った時はよく考えてみましょう。

どんな特約がある?それぞれの特約の内容を紹介

特約には以下の表のようなものがあります。生命保険(死亡保険)に特約を付加した場合の内容を説明していますが、医療保険になると多少特約の内容が変わります。

特約名 特約の内容
通院保障特約 入院後に引き続き、通院した場合保険金が受け取れる
入院保障特約 病気やけがで入院した時に保険金を受け取れる
定期保険特約 一定期間死亡保障が主契約に上乗せされる
先進医療特約 先進医療の治療を受けた時に給付金が受け取れる
女性疾病特約 女性特有の疾患だった場合に保険金を受け取れる
三大疾病特約 がん、急性心筋梗塞、脳卒中と診断された時に保険金を受け取れる
がん特約 がんと診断された時に給付金が受け取れる
災害死亡割増特約 災害で万が一亡くなった時に上乗せされて死亡保険金が受け取れる
収入保障特約 死亡・高度障害の時に残された遺族が年金として受け取れる
払込免除特約 所定の状態になった時に以後の保険料の支払いが免除される
リビングニーズ特約 余命6ヶ月以内と診断された時に生前に死亡保険金を受け取れる
ファミリー特約 被保険者の家族が亡くなった・高度障害の時に保険金が受け取れる

ファミリー特約は「家族型」と「夫婦型」の2種類あります。

夫婦型の対象は配偶者のみであり、家族型の対象は配偶者と子供です。医療保険につけた場合、入院や手術に対する保険金が受け取れます。

リビングニーズ特約は余命6ヶ月以内と診断されたら保険金が受け取ることができ、保険金を利用して残された時間は治療に専念することもできます。もし6ヶ月以上生存していても保険金を戻す必要がありません。この特約は保険料がかからないので付加しておくと良いでしょう。

もし家族が余命6ヶ月以内と宣告された時、本人には余命6ヶ月以内と知られたくないのですが保険金の受取人は本人以外の人でも大丈夫ですか?
原則受取人は本人と決まっています。もし知られないように請求するのであれば、あらかじめ指定代理人請求特約をつけておくと指定された家族が代理で請求手続きをできます。この指定代理人請求特約は最初から保険についているケースも多いですね。

特約の必要性とつけるときの注意点

特約はうまく活用するととても便利なものです。ただ、たくさんの特約をつけすぎしまうと保険が複雑になってしまいどんな保障があるのかわかりにくくなってしまいます。

特約をつける時は必要なものだけを選んでつけるようにしましょう。

特約をつける時の注意点
  • 多くつけると保険料が高くなってしまう
  • 主契約の保障がなくなると特約も消滅する
  • 一時払の時は払込免除特約がつけられない
主契約の保障がなくなると特約はなくなってしまうんですね!
保険は特約のみを残すことができません。そのため主契約に保障期間がある場合は一緒になくなってしまうのです。

特約をつける場合の選び方は?

特約の種類が多すぎてどれをつけたら良いのか迷ってしまいます・・・。
保険によってつけられる特約に違いがあったり、向いている特約は違ったりします。選び方のポイントを確認して検討してみましょう。

保険の保障のメインとなるのは主契約です。あまり余計なものをつけずに主契約の保障を強化するような特約をつけるといいでしょう。まずは定期保険特約やリビングニーズ特約などチェックしてみてください。

医療保障となる入院保障特約やがんを重点的に保障するがん特約は、生命保険(死亡保険)につけるのではなく医療保険・がん保険に別で加入した方が良い場合もあります。

特約は一つの保険にまとめられるので利便性もありますが、まとめてしまうと主契約が消滅した時に一気に保障がなくなります。保険の契約を分けることで、もし解約したり満了したりしても保障がゼロになることを防ぐことができます。

無駄な特約をつけるのは避けましょう

特約はさまざまな保障があって魅力的ですが必要ないものまでつけてしまう傾向があります。現在加入している生命保険の特約に無駄なものはありませんか?新しく加入する保険だけではなく、既存の保険の特約を見直してみましょう。

必要のない特約をつけることによって毎月保険料を損している可能性もあります。

特約の意味をきちんと理解して自分に必要な特約なのか見極める力をつけましょう。

特約は保険会社によって取り扱っているものは異なります。いろんなものを比較したい時は保険窓口にあるパンフレットや来店型保険ショップで相談してみましょう。