住宅ローン保険
契約者死亡時に住宅ローンの返済がゼロに!?団体信用生命保険とは

契約者死亡時に住宅ローンの返済がゼロに!?団体信用生命保険とは

住宅ローンは、長期で返済をし続けなければいけないものです。しかし、契約者が万が一死亡した場合、収入がなくなれば残りの住宅ローン返済は厳しくなりますよね。返済が滞れば、家を手放さすことになるかもしれません。

ただ、そんな”万が一”に備える保険として、団体信用生命保険があります。契約者死亡などの状態になったとき、残りのローン返済をゼロにするという魅力的な保険です。

団体信用生命保険とはどのような仕組みなのか、どのような種類があり、保険料はいくらぐらい支払うことになるのか、団体信用生命保険の基本情報を徹底解説していきましょう!

住宅ローン契約時には必須!?団体信用生命保険(団信)とは

団体信用生命保険は、どのようなものなのでしょうか。

団体信用生命保険とは

住宅ローン契約者が返済中に死亡、または高度障害状態(※)になった場合、住宅ローンの残高が保険金で支払われることでローン返済を終えることができるというもの。

(※)高度障害状態とは

両目の視力を失う・著しい障害によって常に介護が必要・手足を失うまたは使えなくなるなどの状態である、と定義されています。

つまり、団体信用生命保険に加入すれば、住宅ローンの契約者が死亡した場合は住宅ローンを返さなくて良い、返済がゼロになるということです。

団体信用生命保険ってめちゃめちゃ大事な保険じゃん!これ、入った方が良いよね。

むしろ、入らない人っていいるの?

ほとんどの金融機関では、住宅ローン契約時に団体信用生命保険に加入することは必須となっています。

つまり、団信へ加入できなければ住宅ローンの契約が出来ないのです。

団体信用生命保険は、住宅ローンのための保険商品です。住宅ローンを考えたときには、万が一の保障として団信があるということも把握しておきたいですね。

フラット35は団信が任意契約

現在では団信への加入が基本とされているフラット35は、団信を付けずに加入することも可能となっています。

団信は万が一の特に住宅ローン返済の負担から解放されるものですから、加入を考えるのが普通なのでは?と思う人もいるかもしれません。

しかし、団信は保険なので当然保険料が発生し、ローンの返済総額が高くなってしまうデメリットがあります。

なのでフラット35を利用する際は、加入を希望せず保険料を削減するという選択もアリなのです。

フラット35の団信について興味がある方は、ぜひこちらの記事をチェックしてください。

ただ、万が一何かあったとき、住宅ローンの返済が大きく負担になるリスクを避けたいのであれば、やはり団信への加入は検討しておきたいところです。

気になる団信の保険料については、後程詳しくご紹介します。

団信に加入できなければ住宅ローンは利用できない!?

団信は、生命保険の一種です。

つまり、団信の加入には審査があり、それに通る必要があります。

団信への加入が必須となっている住宅ローンでは、団信の審査に落ちた場合住宅ローンを利用することができなくなってしまいます。

健康状態に不安がある人は、団信に加入できるかどうか確認が必要です。

もし団信の審査に落ちてしまった場合、「ワイド団信」という、通常の団信よりも少し審査の基準が甘い団信を選ぶことができます。

その分金利も0.3%ほど上がってしまいますが、団信に入ることが出来なければそもそも住宅ローンを借りることができないことが多いため、必要に応じてこちらも検討してみましょう。

団信の種類をチェック

団体信用生命保険は、1つではありません。その保障範囲などによっていくつかの種類に分けられます。

それが主に次の3つです。

通常の団信ではない三大疾病保障つき、または七大・八大疾病保障付きなどは、特約付き団信と呼ばれています。

それぞれの特徴を簡単に比較してみましょう。

団信種類 保険料 保障内容
団体信用生命保険 支払い不要(金利に含む)
*フラット35は別途負担
死亡・高度障害
三大疾病保障付き団信 住宅ローン金利に
0.3%程度上乗せ
死亡・高度障害
がん・脳卒中・急性心筋梗塞
七大疾病保障付き団信
八大疾病保障付き団信
借入金額やローン残高等に応じて
別途保険料を負担
死亡・高度障害
がん・脳卒中・急性心筋梗塞
高血圧性疾患・糖尿病・
慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎
このように、団信は種類によって保障される範囲が異なっています。そして、保障範囲が広くなればなるほど、保険料も高くなるわけです。

一般的な団信であれば、その保険料は基本的に金利に含まれていることが多くなっています。また、最近では、金利上乗せではなく、銀行側が保険料を負担してくれるケースもありますからチェックしておきたいですね。

団信は所定の状態を満たさなければ適用されない!

団信は高度障害だけではなく、三大疾病や七大疾病なども保障してくれるものがあるのですね。

脳卒中や高血圧性疾患などは、症状が軽くても団信の対象になるのですか?

いえ、実は三大や七大といった疾病保障付きの団信でも、所定の状態を満たさなければ保険金を受け取ることはできません。

詳しく見ていきましょう。

三大疾病など特約を追加した場合はどうでしょうか。いくつか金融機関をピックアップしてみます。

金融機関名
商品名
適用条件
りそな銀行
3大疾病保障特約
がん→がんと診断されたとき
急性心筋梗塞・脳卒中→所定の状態が60日以上継続
または手術を受けたとき
イオン銀行
8大疾病保障特約
がん→がんと診断されたとき
急性心筋梗塞・脳卒中→60日以上継続したとき
高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎→就業不能状態が12ヶ月以上継続したとき
住信SBIネット銀行
全疾病保障特約
就業不能状態が
1年以上継続
*病気怪我による就業不能状態が
返済日まで継続した場合も
月々の返済額を保障

いずれも、所定の状態が60日以上続くなどの日数条件を満たすことが必要になってきます。

この中で特徴的なのは、住信SBIネット銀行の保障でしょう。

住信SBIネット銀行の場合は、病気怪我によって入院し、就業不能状態になった場合の返済額も保障対象となっていますし、就業不能状態が1年以上続けば住宅ローン残高はゼロになります。

各金融機関の特約内容、保障内容について、どのような範囲までカバーしてくれるのかしっかりチェックしておきたいですね。

団体生命保険の保険料はいくら?無料の場合もあるって本当?

ここで、団体信用生命保険の気になる保険料についてご紹介しましょう。

上記でもご紹介した通り、保険料の支払いには主に2種類あります。

  • 追加で保険料を支払う(フラット35など)
  • 保険料が金利に含まれているもの(一般的な民間金融機関)

ここで注意したいのは、金利に含まれている団体信用生命保険でも、特約を追加する際には険料を金利に上乗せしなければいけないという点です。

ただ、最近では保険料が無料で団信に加入できる金融機関も出てきています。先ほど紹介した住信SBIネット銀行も、保険料無料で特約を付けられる商品です。

では、各金融機関の団信に特約を付けた場合の保険料について見てみましょう。

金融機関
団信・特約名
保険料 特約内容
住信SBIネット銀行
全疾病保障団信
無料 すべての病気・怪我で
就業不能になった場合も対象
じぶん銀行
ガン50%保障団信
無料 ガンと診断されれば
住宅ローン残高が半分になる(※)
イオン銀行
ガン保障特約付き団信
借入金利に
年0.1%上乗せ
生まれて初めてガンと診断されれば
進行程度に関わらずローン残高ゼロ
りそな銀行
団信革命
借入金利に
年0.2%上乗せ
三大疾病で所定の状態になる
または病気・怪我で所定の状態になれば
ローン残高がゼロになる
ソニー銀行
三大疾病保障特約付き団信
借入金利に
年0.3%上乗せ
三大疾病で所定の状態になれば
ローン残高がゼロになる
※2019年3月より、全疾病に対して180日以上継続入院した場合、ローン残高が0円になるという保障が追加されました。

住宅ローンを選ぶときには、借入金利や手数料だけではなく、団信の保障内容や特約、保険料についてもチェックしておきたいですね。

フラット35の機構団信特約料はいくら?

フラット35に関しては、団信の加入自体も任意であり、加入する場合は別途保険料を支払わなければいけないということを説明しました。

では、フラット35の特約料、つまり保険料はいくらぐらいかかるのでしょうか。

今回は、借入金額3,000万円、返済期間35年、借入金利1.5%の場合を見ていきます。

そして、三大疾病保障をつけた場合とつけなかった場合、それぞれの費用をご紹介しましょう。

三大疾病保障なし 三大疾病保障あり
2,025,100円 3,182,600円

つまり、総額で200万円~300万円を超える保険料が必要となる計算になります。

この金額が、毎月の返済額に含まれることになります。返済負担が大きく増えることになりますから、しっかりシミュレーションしておきたいですね。

ただ、現在は超低金利なので返済負担自体は比較的少なくなっています。そんな今だからこそ、しっかり団信で保障をつけることができると考えられないわけではありません。

フラット35の機構団信特約料は住宅ローン残高等と特約料率により算出した額によって決まります。

そのため一概に金額を断言することは難しいですが、「住宅金融支援機構」の公式HPにて住宅金融支援機構のシミュレーションが行えます。

現在の住宅ローン金利や今後の見通しについて気になる方は、こちらの記事をチェックしてみてください。

住宅ローンの団体信用生命保険に特約は必要?

住宅ローンを利用する際には基本的に団信の加入は必須なのですが、特約は任意となっています。つまり、付けても付けなくても良いのです。

団信の特約は必要なのでしょうか。これは、契約者それぞれの考えによって異なります。

確かに万が一の保障として団信に付与できる特約は魅力ですが、団信は保険契約の1つです。

つまり、他に加入している生命保険や医療保険で、住宅ローン残高をカバーできるようなものがあれば、追加で付与する必要はありません。

なるほど。一度自分が加入している保険の内容を見直してみて、特約を検討すると良いのですね。
特約付き団信の場合は、契約時の年齢制限があるケースもあります。

年齢をオーバーして付与できないという可能性もありますから、そこも確認してください。

注意しておきたいのは、特約付き団信は途中での追加は出来ないということ、そして途中で特約のみを解除することが出来ないケースがあるということです。

借り換えをすれば、特約無しの住宅ローンに変更することも可能ですし、もっと条件の良い特約をお得にプラスすることもできます。

ただ、借り換えには手数料や手間がかかることを忘れてはいけません。

借り換えに関してかかる費用について興味がある方には、こちら住宅ローンの借り換えには手数料が必要。諸費用も借りるのはアリ?の記事がオススメです。

特約は、何かあったら不安だという方にはオススメのものです。特約を申し込むときには、かかる費用などしっかり計算した上で慎重に検討しましょう。

住宅ローンの団体信用生命保険は万が一が起きた場合の大切な保障

住宅ローンの団信は、契約者死亡などの状態になれば返済が免除になるというもので、団信の加入が住宅ローンの利用条件の1つになっているところも多くなっています。

病気やケガなど保障範囲を拡大した特約を付けることも可能ですが、相応の保険料が必要となる場合があります。任意で特約をつける場合は、保険料や保障内容についてしっかり確認しておくようにしましょう。

万が一のときの返済負担を大きく軽減する団信。要チェックですね。

※記載の情報は2019年11月現在のものです。

監修者メッセージ

団信の内容は、日々様々な見直しが競合しながら行われているため、検討時には最新の情報をしっかり踏まえたうえで比較検討することが大切です。

最近ではネット銀行などもローンやワイド団信に力を入れている傾向が見られます。

それだけ選択肢が広がってきているということは、ユーザーにとってありがたいものです。

プロフィール
不動産売却カテゴリー記事監修(吉田成志)
吉田成志
宅地建物取引士、マンション管理士、消防設備士などの資格を保有。
4年ほど専任の宅建士として不動産業者に勤務し、現在はマンション管理士・消防設備士として独立。
宅建士としての知識や立場を活かし、不動産売買時の疑問点などの相談を受けている。