増え続けるダブルケアの危機!どんな対策がある?
「ダブルケア」という言葉をご存知でしょうか?これはまだ出来てから時間が経っていない言葉ですので、知らない方も多いかもしれません。
しかし日本の社会構造の変化にともなって、ダブルケアは深刻な問題化しつつあります。知っておいたほうが良いでしょう。
このページでは、ダブルケアとは何であり、どんな問題点があるのかについて説明しています。またダブルケアへの対策についても説明します。
育児と介護の「ダブルケア」が増えている
ダブルケアとは、「育児」と、親の「介護」を同じ時期におこなわなくてはいけない状態を言います。
育児と介護、どちらか一つだけでも大変な作業です。そのため2つが重なってしまうと、負担が非常に大きくなってしまいます。
ダブルケアは最近できた言葉ですが、もちろんこの言葉ができる前から育児と介護を同時にやっている人はいました。問題なのは、ダブルケア状態になっている人が増えてきているということです。
晩婚化と高齢出産の増加
昔は、まず子供を育て、子供が独立したくらいの時期に介護が始まるという流れになっていました。これなら問題は少なく、ダブルケア状態には陥りません。
しかし最近は「晩婚化」と「高齢出産」が増え、子育てをする時期がどんどん遅くなっています。必然的に、介護をする時期と子育て時期が重なりやすくなってきています。
少子化による負担の集中
日本を含め先進国の出生率は、低くなっています。この「少子化」も、ダブルケアが増えた原因の一つです。
昔は兄弟が多かったため、介護の負担も分散することが可能でした。しかし一人っ子の場合、自分が親の介護をするしかありません。
ダブルケアの問題点
ダブルケアは最近になって認知された社会問題です。そのため、社会の対応が追いついていません。
行政の支援制度が整っていないのはもちろんですが、国民のダブルケアに対する危機感の欠如も問題になります。
ダブルケアへの危機意識が低い
まずダブルケアという言葉自体を知らない人が多数派です。ソニー生命保険が2018年におこなった調査では、ダブルケアを知っていると答えた人は全体の「17.5%」にすぎません。
また、ダブルケアをたいした問題ではないと、安易に考えている人が多くいます。
これは2017年のデータですが、ダブルケア未経験者のうち、「29.5%」がダブルケアは負担ではないと予想しています。特に男性は、37.7%が負担ではない、と軽く考えています。
しかしじっさいにダブルケアを行った人のアンケートでは、負担がなかったという人はわずか「1.4%」にすぎません。特に男性の場合、負担を感じなかったという人は0%となっています。
ダブルケアの支援体制は整っていない
今はダブルケア問題が顕在化しつつある時期であるのため、行政のサポートが追いついていません。
じっさいにダブルケアをおこなっている人からは、公的な支援は不十分だという意見が出ています。
公的な介護サービスについては「74.8%」、公的な子育て支援サービスについては「73.7%」の人が不十分だと感じています。
特にダブルケアになってしまっている人に対しての優遇措置などが整備されていないため、ダブルケアの負担が軽減されていないという問題があります。
ダブルケアを1人でこなすのは無理がある
今でも育児や親の介護は女性の仕事、と思っている人が多くいます。じっさいにダブルケアを、女性一人でおこなっているケースは珍しくありません。
しかし1人で育児と介護をおこなうのは、非常に負担が大きくなります。女性が職を持っている場合などでは、離職の原因になってしまいます。
また、まだダブルケアをやってきた先輩や、ダブルケア用の相談機関も少ないため、悩みを相談することも難しく、ダブルケアをしている人は孤立しがちになります。
ダブルケアの対策にはどんなものがある?
ダブルケアの対策としては、以下のようなものが考えられます。
- 家族で話し合う。
- 情報収集をおこなう。
- 自治体などに相談する。
- 在宅介護サービスを利用する。
- 老人ホームへ入居してもらう。
家族のサポートが大切
介護と育児について、家族でよく話し合っておくことが大事です。
まず親が元気なうちに、介護をどうするのか話し合っておいたほうがよいでしょう。体が動かなくなった場合に、施設に入るのか、入る場合は費用はあるのかなど確認しておきましょう。
また親族で、親の介護が必要になったときの費用の負担や、誰が介護をおこなうかなどの話し合いをしておくのも重要です。
早めに情報を集めておく
子育てや介護について、どんな支援制度があるのか、情報を集めておくのも重要です。
またダブルケアの経験者の話を聞いたり、ダブルケアに関する研修会に参加しておくとあとあと役に立つでしょう。
ダブルケアの相談窓口はまだ少ないが
一部の自治体では、ダブルケアに対応した相談窓口を設けています。こうした取り組みをしてくれている自治体なら安心です。しかしそうした専用窓口がなくても、福祉課などでダブルケアの相談をすることは可能です。
また、「地域包括支援センター」も有効活用してください。地域包括支援センターでは介護保険の申請をするだけではなく、介護に関する相談をすることもできます。
在宅介護サービスの利用で負担を軽減
家族だけで育児と介護をやろうとせずに、外部のサービスを利用するのもよいでしょう。
特に介護は、経験豊富な専門家に任せたほうが安全でもありますので、在宅介護サービスの利用はおすすめです。要介護認定を受けていれば、低額で介護サービスを利用可能です。
介護サービス以外でも、配食サービスを利用して料理の負担を軽減したり、ハウスキーパーに掃除や洗濯をしてもらうなど、負担を減らすために使えるサービスは多くあります。
在宅介護サービスの種類を学びましょう。
老人ホームへの入居も視野にいれたい
どうしてもダブルケアが難しい場合は、老人ホームへの入居も考えた方がよいでしょう。
介護をやりながらだと、どうしても子育てがおろそかになりがちです。じっさいにダブルケアをやっている人のアンケートでは、子育てを十分にできないという意見が多くなっています。
高齢者向け施設への入居には抵抗を感じる人が多いかもしれませんが、自宅介護より介助がいきわたるなどのメリットも多くあります。最初から否定せずに、検討してみる価値はあるでしょう。
ダブルケアを乗り切るためには周囲の協力がほしい
自分がダブルケアをおこなわなくてはいけないという事態も起こりえますので、準備をしておいたほうがよいでしょう。
すぐに実行可能で効果があるのが、家族や親族との話し合いです。じっさいに介護が必要になる前に相談しておきましょう。