不動産売却の流れ
不動産の相場を自分で調べたい!売却を始める前にできる4つの方法

不動産の相場を自分で調べたい!売却を始める前にできる4つの方法

よし!知り合いの不動産業者に頼んで、自宅の相場を調べてもらおう。
お待ちください。まずは自分で売りたい不動産の相場価格を調べることが、大切です。
なぜ自分で相場を調べる必要があるんですか?
あらかじめ相場を知っておくことで、不動産業者とのトラブルを未然に防げます。

何もかもを業者に任せてしまうと、商売のために上手く利用されてしまうかもしれません。

売却したい不動産の相場価格は、インターネットの不動産情報サイトを使って、調べられます。

いきなり不動産業者に自宅の査定をお願いすることに、抵抗を感じる人でも安心ですね。

当記事では、売りたい不動産の相場を調べられるサイトや、自分で相場を調べる大切さについて紹介。

情報サイトの使い方や、相場を調べる手順も画像付きで解説します。

不動産の相場を知る前に価格の基本的な考えをおさえよう

不動産はまったく同じものが存在しない、個別性の強い資産です。

同じマンションでも階数や間取り、部屋の管理状況によって、価格が大きく異なります。

また鉄道駅の新設や、大型ショッピングモールの開発など、周辺環境の変化に伴って、不動産価格が左右されることも。

そして最終的な売却価格は、不動産の売主と買主、双方の合意によって決定するのです。

不動産を売却する場合、次の3段階で価格が決められていきます。

不動産売却における価格設定の流れ
価格 詳細
【1】査定価格 おおむね3カ月以内に売れる価格として、不動産業者から提示される価格
【2】売出価格 「査定価格」を参考に、不動産業者と売り主が打ち合わせして、市場に売り出す価格
【3】成約価格 売主と買主の合意により、不動産売買の契約が成立した価格
「成約価格」をイメージするには、売りたい物件や土地の相場価格を知ることが大切です。

次の章で紹介する情報サイトを使って、自宅の相場を調べてみましょう。

不動産の相場価格を自分で調べられる4つの情報サイト

不動産の相場価格を調べられる情報サイトは、次とおり。

マンション・戸建て・土地の相場が分かる4つのサイト
情報サイト名 調べられること
レインズ・マーケット・インフォメーション 過去に取引された、近隣物件の成約価格
不動産取引価格情報検索 過去に取引された、近隣物件や土地の成約価格
国土交通省地価公示・都道府県地価調査 国や都道府県が公表する、適正な地価
不動産ポータルサイト(SUUMO、アットホーム、HOME’Sなど) ・近隣物件や土地の売出し価格
・土地価格相場
どのサイトもスマホで利用できます。

とくに不動産ポータルサイトはスマホでも調べやすいため、通勤など移動時間の利用がおすすめです。

各サイトでの調べ方を、見ていきましょう。

不動産相場をレインズ・マーケット・インフォメーションで調べよう

国土交通大臣指定の「不動産流通機構」が運営・管理をおこなう、レインズ・マーケット・インフォメーション。

近隣で過去2年間に取引された、物件1㎡あたりの成約価格を調べられます。

ただし公表されるのは、マンションの専有部分や土地+戸建ての価格であるため、土地のみの成約価格は分かりません。

土地だけの相場価格を調べたい人は、ほかの情報サイトを活用しましょう。

レインズ・マーケット・インフォメーションを利用する場合、まずはトップページで検索したい不動産の種類と地域を選んでください。

レインズの使い方その1

「検索」ボタンをクリックすると、次の取引情報が見られます。

レインズ・マーケット・インフォメーションの不動産取引情報

【1】直近1年の取引情報グラフ
【2】地域別取引情報の一覧
【3】直近2年間の平均的な取引動向

それぞれの詳細を、見ていきましょう。

【1】不動産の相場観を「直近1年の取引情報グラフ」からイメージ

画面左側のグラフでは、選択した地域で取引された成約価格を、不動産の築年や土地面積、建物面積ごとに表せます。

次の画像は、東京都心5区と港区で取引された、不動産の成約価格(万円/㎡)を築年ごとで設定したグラフです。

レインズの使い方その2

グラフの軸項目は、画面右側にある「検索条件」で設定できます。

レインズの使い方その3

マンションでは、グラフの横軸を「築年」「成約時期」に設定可能。

戸建ての場合は「土地面積」「建物面積」に設定して、グラフを表示できます。

【2】売りたい不動産の相場を「地域別取引情報」で把握しよう

「地域別取引情報の一覧」では、直近1年間で取引された不動産の情報を地域別に表示。

成約価格はもちろん、土地面積や間取り、築年などのデータが閲覧できます。

レインズの使い方その4

検索条件を設定すれば、表示される取引情報の絞り込みも可能です。

売りたい物件と似た条件の取引情報を探して、だいたいの相場価格を掴みましょう。

【3】不動産の相場を地域の取引動向から考えてみよう

画面下にある「直近2年間の平均的な取引動向」では、選択した地域での不動産の取引動向をグラフで確認できます。

次のグラフは東京都港区で直近2年間に取引された、マンションの間取り別件数の推移を表したものです。

青が2部屋以下、緑が3部屋以上で、横軸は成約年月、縦軸は成約件数を表しています。

レインズの使い方その5

期間ごとの推移はあまり変わっていませんが、成約件数は間取りの少ない(2部屋以下)マンションのほうが多いことが分かります。

このほかにも「築年別件数」「土地面積帯別件数」などの推移を、グラフで確認することが可能です。

レインズ・マーケット・インフォメーションのデータを参考に、あらゆる情報から売りたい不動産の相場価格を考えてみましょう。

売りたい物件や土地の相場を不動産取引価格情報検索で調べよう

「不動産取引価格情報検索」は、国土交通省が運営するサイト「土地総合情報システム」より利用が可能です。

不動産取引をおこなった人のアンケート結果をもとに、全国の不動産取引価格情報を公表しています。

東京都内など取引件数の多い地域の人は、スマホよりもパソコンやタブレット端末で、サイトを利用するのがおすすめ。

スマホの場合、1ページに1~2件ずつしか検索結果を表示できないため、知りたい情報が見つかるまで、画面をスクロールし続けなければなりません。

パソコンやタブレットの画面では、検索結果を1ページ20件ずつ表示できるため、調べる時間を少しでも短縮できます。

ではこのサイトを使った、相場価格の調べ方を見ていきましょう。

【1】トップページより「不動産取引価格情報検索」

不動産取引価格情報検索の使い方その1

【2】条件を入力し、検索ボタンを選択する。

不動産取引価格情報検索の使い方その2

「地図を表示」をタップすれば、地図上で地域を選ぶこともできます。

不動産取引価格情報検索の使い方その3

【3】売りたい不動産に似た条件の取引情報を探す

検索結果から自宅と同じ地域で、面積や築年など似ている条件の取引情報を見つけましょう。

不動産取引価格情報検索の使い方その4

検索結果の地域名をタップすれば、次の詳細情報を閲覧できます。

所在地/最寄り駅/駅までの距離/取引総額/間取り/面積/改装の有無/構造/都市計画/建ぺい率/容積率/取引時期など

土地の場合は「坪単価」「前面道路の幅員」などの、取引情報を調べることが可能です。

売りたい不動産の相場を地価公示・都道府県地価調査で調べよう

「地価公示・都道府県地価調査」は、国土交通省によって毎年公表される土地の価格を調べられるサイト。

先ほど紹介した「不動産取引価格情報検索」と同様に、「土地情報システム」を経由して利用できます。

取引件数の多い地域を調べる場合は、スマホよりパソコンやタブレットでの検索がおすすめ。

全国2万カ所以上の「標準値」「基準値」で調査された、1㎡あたりの価格を知ることが可能です。

売りたい物件や土地の近くにある「標準値」または「基準値」の地価を調べれば、おおよその相場価格が掴めます。

「標準値」と「基準値」の違いは、なんですか?
地価調査をおこなう組織が異なります。

「標準値」は国、「基準値」は都道府県によって、調査が実施されているのです。

「地価公示・都道府県地価調査」による、相場価格の調べ方は次のとおり。

【1】トップページより「地価公示・都道府県地価調査」を選択

地価公示都道府県地価調査の使い方その1

【2】地域を入力して「検索」を選択

地価公示都道府県地価調査の使い方その2
専門的な内容の条件は、未入力でもかまいません。

【3】近隣にある調査地点の情報を探す

地価公示都道府県地価調査の使い方その3

所在地や、最寄り駅、利用現況などを見て、売却したい不動産になるべく近い条件の情報を探してみましょう。

取引件数が極端に少ない地域では、地価公示や地価調査をおこなわない場合があります。

売りたい不動産から1km以内で情報が見つからない場合は、そのほかのサイトを参考にしてください。

不動産の相場を簡単に調べられるポータルサイトを活用しよう

SUUMOやアットホーム、HOME’Sなどのポータルサイトでは、近隣物件の売出し価格や土地の相場価格を簡単に調べられます。

自身の不動産価格が「高過ぎて全く売れない」「低過ぎて大損した」などの、売却で不利になるリスクを避けられるメリットも。

自宅や土地を売り出す際、適正な価格設定をおこなうためにも、近隣物件の情報は必ずチェックしておきましょう。

また「駅から〇〇分」「富士山が見える」など、近隣物件のアピールポイントを確認することも大切です。

近隣物件(ライバル)のアピールポイントを確認することで、自身の物件にしかないアピールポイントが見つかり、売却の成功に繋げやすくなります。

不動産の相場を調べておくことで悪質な業者を避けられる!

「相場価格を知りたいから」と、いきなり複数の不動産業者へ査定を依頼するのは、おすすめできません。

各不動産業者の査定価格にバラつきが出た場合、どれが相場に見合った価格なのか判断できないからです。

なかには契約を取るために、あえて高額な査定価格を提示してくる業者もいます。

不動産会社の査定

実際に不動産を売却するのは、不動産業者ではなく売主。業者はあくまでも、不動産売買の仲介をおこなうだけの存在です。

「不動産のプロだから」といって、何もかもを業者に任せると、売主だけが大損してしまうことも。

悪質な不動産業者を見抜くためにも、必要最低限の知識をおさえておきましょう。

不動産売却を成功させるために自分で相場価格を調べておこう

いざ不動産を売却しようと思ったときに、あらかじめその相場価格を調べておくことは、とても大切。

売主からの媒介契約が欲しいだけで、相場よりも高額な査定額を提示する、悪質な仲介業者を避けられるからです。

また近隣の売出し物件や土地を調べることで、自分たちのライバルとなる不動産を知ることができます。

不動産の売却は仲介業者ではなく、売主自身が主体となっておこなうもの。自身が率先して、さまざまな情報や知識を得ることが、不動産取引の成功につながります。

当記事で紹介した4つの情報サイトを上手く活用して、売却したい不動産の相場を調べてみましょう。

※記載の情報は2019年7月現在のものです。

監修者メッセージ

不動産の査定と聞くと難しいものと思いがちです。

基本的には固定資産評価額や相続税を計算する時の路線価、そして公示地価などの客観的な土地価格に関するデータと、最近の取引事例から算出する「時価」などにより求めます。

少し慣れると誰でも計算できますので、是非やってみましょう。

プロフィール
不動産売却カテゴリー記事監修(弘中純一)
弘中 純一
宅地建物取引士、一級建築士の資格を保有。
中古住宅・中古アパートの媒介業務・調査業務に従事し、現在は札幌市内の宅建業者にて専任の取引士を務めている。
2006年より、住宅に関する無料の相談サイトを開設し、住宅リフォームや中古住宅購入の相談に応じている。