がん保険を解約する前に!知っておきたい注意点と解約返戻金
すでに継続して契約しているがん保険。できることとなら解約はしない方が良いですが、まとまったお金が必要な時や保険料が高いと解約を検討するでしょう。
もし解約したいと思った時、解約返戻金(払戻金)がいくら戻ってくるのか気になりますよね。
終身保険や養老保険などの積立タイプの死亡保険はある程度まとまったお金が返戻金として受け取れるイメージもありますが「がん保険」はどのくらい解約返戻金(払戻金)が戻ってくるのでしょうか。もらえるタイミングや税金に関しても説明します。
がん保険を解約する前に知っておくべき注意点
一番気をつけてほしいことは「がん保険を解約してしまうと保障がなくなる」という点です。
もし、解約して新たな保険に加入することを考えているのであれば新規契約が引き受けになってから加入をしましょう。新規契約をしないでがん保険自体を解約して無くしてしまうということであれば、本当に良いのか将来について考えてみましょう。
がん保険を途中解約するデメリット
もしがんと診断されたら給付金が受け取ることができません。使用目的のない貯金が200万円ほどあれば多少は治療に専念することができますが、家族がいれば生活費や教育費もどうにかしなければいけません。
夫婦・子ども1人(2歳)の3人家族あたりの生活費は以下のようになります。
科目 | 費用 |
---|---|
家賃 | 5.5万円〜6万円 |
水道光熱費 | 1.5万円 |
生活用品(消耗品) | 1万円 |
通信費 | 1万円 |
食費 | 4万円 |
娯楽費 | 2万円 |
個人差はありますが、だいたい155,000円ほどかかります。この他に貯金や保険料を含めると20万円を超えるでしょう。急な病気で収入がなくなってしまったらと考えると、保険に加入しておけば安心するのではないでしょうか。
解約はできる限り避けた方が良いと考えましょう。特別な事情があり、がん保険を解約せざるを得ない人もいると思います。そういった人は解約返戻金がどのくらい受け取れるのか次の項目をチェックしてみましょう。
がん保険解約時に発生する解約返戻金(払戻金)とは?
がん保険の多くは保険料を支払うと、一部のお金が積立金として貯蓄されていきます。支払うたびに積み立てられていき、解約をすると積立金が解約返戻金(払戻金)として戻ってくるのです。
しかしがん保険には「積立タイプ」と「掛け捨てタイプ(定期型・終身型)」があり、このタイプによって解約返戻金(払戻金)の額は異なります。
積立タイプはその名の通り積立をする保険ですが、掛け捨てタイプは保険料が安い分、積立部分がありません。
どのようながん保険契約でも解約返戻金(払戻金)は受け取れる?
解約返戻金はどんな保険契約でも受け取れるというわけではなく、掛け捨てタイプは解約返戻金がありません。解約のタイミングによっては受け取れるとこもありますが、解約返戻金の額はかなり少額です。
貯蓄が苦手な人でなければ、解約返戻金を増やすより預金をした方が良いでしょう。がん保険は掛け捨てタイプがメインとなってきているので、掛け捨ての終身型で別で預金をするのが理想です。
受け取れる解約返戻金(払戻金)はどのくらい?
解約返戻金はがん保険の契約タイプによって異なることを説明しました。掛け捨てタイプは基本的に受け取れないため、「積立タイプ」の解約返戻金がどのくらい受け取れるのか説明します。
あくまでも概算なので確実な解約返戻金の金額を知りたい人は窓口へ行って試算してもらいましょう。
解約返戻率の計算方法
解約返戻率は経過年数によって異なります。ここでは一例を紹介しますので、参考として考えてください。
経過年数 | 解約返戻率 |
---|---|
5年経過 | およそ60% |
15年経過 | およそ65% |
20年経過 | およそ67% |
25年経過 | およそ99% |
保険料の払込総額×解約返戻率=解約返戻金(払戻金)となります。
たとえば加入時から5年経過して、払ってきた保険料が約200,000円の場合、200,000×60%=120,000円になります。もしまとまったお金が必要な場合は計算してみて足りるかどうか確認してみましょう。
たりない場合は他の保険の解約返戻金を確認したり、他の方法を検討してみるのも手です。
解約返戻金はいつもらえる?がん保険の解約手続きの方法や必要書類
- 印鑑・通帳
- 保険証書
- 身分証・マイナンバー
身分証は運転免許証・パスポート・健康保険証・住民票・印鑑証明書などいろいろなものがありますが、写真付きの運転免許証やパスポートが一番望ましいです。写真が付いていないものだと本人確認のために2点身分証が必要な場合もあります。
必要なものは基本的にチェック項目のものですが、保険会社によって異なる場合もあるので二度手間にならないよう最初に問い合わせておくと良いでしょう。
解約返戻金に課税される税金と確定申告について
解約返戻金は条件によって以下のような税金が課税されることになります。どのようなケースの場合これらの税金が課税されるのか確認していきましょう。
- 所得税
- 贈与税
解約返戻金受取人=契約者(保険料を支払っている人)の場合
保険料を支払っている契約者の口座に解約返戻金を振込するのが一般的なので、がん保険の場合ほとんどがこのケースだと思います。
このケースは「所得税」が課税されます。しかし、解約返戻金が保険料の払込総額を超えなければ所得税は課税されません。一時所得となる解約返戻金は50万円の特別控除があり、計算は以下の通りです。
所得税は{(解約返戻金−保険料払込総額)−50万}÷2 で計算することができます。
解約返戻金受取人=第三者の場合
他人の口座へ振込をするこのケースは「贈与税」が課税されます。贈与税は1月1日から12月31日の1年間のうち、贈与額が110万円を超えた場合に課税されます。これは預金や他の保険会社の受取金も含まれます。
法人契約の場合は法人税が課される
法人の口座から保険料は負担していた場合は「法人税」が課税されます。解約返戻金を会計処理するときに保険料の積立金を資産計上していれば、差額を算出します。
解約返戻金の方が多く、プラスとなった場合は雑収入(益金)となります。マイナスとなった場合は雑損失(損金)となります。雑収入が発生した場合収入に対して法人税が課税されます。
がん保険を解約するタイミング
がん保険は契約をしてから3カ月(90日間)の「免責期間」があります。がん保険の乗り換えを予定している場合、このことを知って解約の手続きをしないと空白の期間が生まれてしまいます。
もし、免責期間にがんと診断されてしまった場合は契約が無効となってしまいますので注意しましょう。
前契約が解約せずに残っていれば前契約で保障してくれます。必ず責任開始日(保障が開始になる日)以降に解約の手続きをしましょう。
月々支払う保険料の負担が大きい!解約以外の方法
保険料の負担を減らしたい・急な出費でまとまったお金が欲しいけれど、保障はなくしたくないという時、解約以外にも方法があります。
4つを順に紹介していきましょう。
(1)契約者貸付
契約者貸付とは保険を担保に契約者へお金を貸すことです。解約返戻金の額の70%〜90%の範囲で貸付が行われます。
契約者貸付は金利が通常のローンより比較的高い設定になっているので注意が必要です。
利息も含めて解約返戻金を上回ってしまうと保険を解約しなければいけない事態に陥ってしまう可能性があります。借金が膨れ上がらないよう返済をしながらうまく活用をしてください。
(2)減額
減額とは保障金額を減額することです。返戻金があり、保険料は安くなりますが、がんに発症した時の保険金額は少なくなります。
(3)一部解約
一部解約とは保険の解約ではなく、保障部分の一部を解約することです。保険料を安く抑えたい場合、特約を一部外すと安くなります。
(4)払済保険
払済(はらいずみ)保険とは、保障金額を加入時より減らす代わりに今後の保険料を支払う必要がないように設定するものです。
がんへの保障がなくなることの重大さを考えましょう
貯蓄目的で加入した保険などはありませんか?養老保険や終身保険など、利率が良いので解約するのが勿体無いと思っている人もいるでしょう。
解約しなくても減額してまとまったお金を受け取ることもできるので、保険会社に相談してみてください。
また、乗り換え目的でがん保険を解約する場合は先に解約しないように気をつけてください。新契約が引受になったら新しく加入する保険会社にしっかりと責任開始日を確認しておきましょう。