変動金利から固定金利は難しい!?金利プラン変更で損しない方法とは
住宅ローンの金利プランには、変動金利と固定金利があります。契約時に選択する金利プランですが、金利の動き次第で「変更したい」「こっちにしておけば良かった」そう思うことがあるかもしれません。
金利プランの変更は、不可能ではありません。ただ、金利プランの変更が出来ないケースもありますし、金利プランを変更したせいで損をしてしまう可能性もあります。
住宅ローンの変動金利から固定金利へ、または固定金利から変動金利へ変更するときに注意したいポイントについてご紹介していきましょう。
固定金利と変動金利は変更することができる!
固定金利は、指定した期間は同じ金利での返済が続くというもので、返済額が確定している安心感はありますが、変動金利よりも最初は割高になってしまいます。
一方、変動金利は最初は固定金利よりも低金利ですが、金利の変動に大きく影響を受けるので金利が上がった際に返済額が大きく膨らむ可能性があります。
固定金利と変動金利、どちらがお得か知りたいという方には、こちらの記事がオススメです。
ただ、金利はいつ、どの程度変動するか、それを契約の時点ではっきり断言することは誰にも出来ません。
固定金利がお得だと思っていたけど変動金利の低金利がずっと続いて魅力に思えてきた、金利が上昇傾向にあって変動金利じゃ不安になってきた、そういうことは、十分に起こり得るわけです。
その際、固定金利から変動金利、変動金利から固定金利それぞれの変更で注意すべきポイントがあるのでご紹介しましょう。
金利プラン変更時にチェックしておきたいポイント
金利プラン変更時には、しっかりと押さえておくべきポイントがあります。それが、以下の2点です。
- 固定金利、変動金利が上昇するタイミング
- 手数料
まず、固定金利と変動金利が上がるタイミングについてです。
金利が上がるとき、変動金利よりも先に固定金利が上昇する傾向にあります。
それは、固定金利が長期金利※に影響を受けるためです。
10年物の国債の利回りのことです。固定金利は国債の影響を受けますが、現在では日本銀行がこの国債を買い入れるなどしてコントロールしています。
金利の上昇が予想されたとき、それは債券価格が下落することを意味します。つまり、これからどんどん債券価格が下落すると思えば、短期債より長期債を持っている方が損をする可能性が高まるのです。
ですから、短期債よりも長期債を売る動きが活発化します。それが結果的に長期金利の上昇を早めるわけです。
変動金利が上昇すると予想されるタイミングでは、すでに固定金利が上昇しているものとして考えておく必要があるわけですね。
あとは、手数料もチェックが必要です。同じ銀行内、同一商品での借り換えができれば特に心配はありませんが、他行への借り換えは諸費用※が発生します。
- 住宅ローン新規手続きに関する保証料や事務手数料
- 現在の住宅ローン完済のための繰り上げ返済手数料
- 登記手続きのための抵当権の抹消費用と設定費用
諸費用の総額は、借入金額や金利、返済期間によって異なりますが、30万円~80万円ほどかかるものです。
この諸費用を支払うことで、結果的に損をするリスクもあることを考えておきたいですね。
固定金利から変動金利へ借り換える際のポイント
では、固定金利から変動金利へ借り換える際のポイントをチェックしていきましょう。
まず、固定金利から変動金利へ借り換える際に最も注意すべき点は、今後の金利上昇リスクです。
結局、変動金利には変えない方が安心だということでしょうか。
変動金利にしても比較的リスクが少ないケースというのもありますので、ご紹介していきますね。
変動金利について詳しく知りたい方は、こちらの記事をチェックしてくださいね。
固定金利から変動金利に変更するのがオススメの人
固定金利から変動金利に変えても比較的リスクが少ないのが、以下のケースです。
- 完済まで期間が短い・繰り上げ返済の予定がある
- 借入残高が少ない
- 今後しばらく金利が上がらないと見込める
完済までの期間が短い人、もしくは繰り上げ返済で返済期間を短縮できる人は、変動金利による金利上昇リスクを軽減することが可能です。
また、借入残高が少なければ金利上昇のリスクによる影響も抑えることができますし、変動金利のデメリットである金利上昇にならなければ固定金利との金利差の分だけお得になるのも事実です。
これらの理由で必ずしも変動金利に借り換えた方が得をするということではありませんが、固定金利から変動金利に変更する場合は、この3つのポイントをしっかりチェックしておきましょう。
固定金利から変動金利の借り換えは同じ銀行では不可能!
固定金利から変動金利に借り換えたいと思った時、今利用している金融機関内で借り換えをすることはできません。
固定金利の適用期間が終わる前に金利プランを変更されてしまうと、本来得られるはずだった金利収入が得られなくなって銀行が損をしてしまう為です。
ですから、固定金利から変動金利に借り換えをする場合は、他行の住宅ローンを契約する必要があります。
この場合、再度申し込み、審査、契約といった手順を踏む必要があるだけでなく、借り換え手数料が発生するので注意が必要です。
また、借り換えにあたっては手数料だけでなく、多大な手間や労力もかかります。
借り換え代行業者を利用することも有効ですが、どれほどの差益が生まれるのかをしっかり検討することは怠ってはいけません。
変動金利から固定金利へ借り換える際のポイント
変動金利から固定金利に借り換える際には、次のポイントを押さえておきましょう。
- 金利メリットの有無
- 変更手数料
それぞれのポイントについて解説していきます。
金利メリットの有無
変動金利から固定金利への変更を希望する人は、変動金利が上がり始めて今後の返済が不安になるからですよね。確かに固定金利であれば、金利上昇の不安からは解放されます。
ただ、最初に紹介した通り金利が上昇する傾向になったとき、先に上がるのは固定金利の方です。
基本的に固定金利は変動金利より割高に設定されていますから、変動金利から固定金利に変更することで大きく返済負担がアップする恐れがあるのです。
つまり、固定金利が上がる前に変更するのが一番望ましいわけですね。
でも、金利上昇のタイミングは事前に察知できるものなのでしょうか。
上がると思っていて金利が一時的に上がっても、実際はそこまで上がらずに下がる、もしくは維持するというケースもあるのが現実ですから、予想するしかありません。
つまり、変動金利から固定金利に変更して得をしたいと考えるのはかなり難しい事なのだと言えるでしょう。
変更手数料
金利プランだけの変更をするのだとしても、変更手数料がかかる場合があります。
最近は手数料無料という銀行も増えていますが、自分が利用している住宅ローンがどうなっているのか、事前に確認することは大切です。
固定金利に変更する際には固定期間選択型に注意
固定金利に変更しようと思ったとき、一定期間だけ固定金利の固定期間選択型を選ぶということもできるでしょう。
実際、全期間固定金利よりも固定期間選択型の方が金利がお得になっているので、そちらが魅力に感じる人もいるかもしれません。
しかし、この固定期間選択型は、固定期間が終了すれば変動金利に移行するというリスクがあります。
せっかく金利上昇リスクを考えて固定金利にしたのに、また変動金利になるのは意味がありませんよね。
もちろん、固定期間中に完済できる、もしくは返済のめどが立つということであれば良いのですが、長期でローンを組むのに固定期間を短期で設定するということはリスクが高いので注意しておきましょう。
住宅ローン固定金利の種類については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
変動金利から固定金利への変更は同じ銀行でも可能!
変動金利から固定金利への変更であれば、同じ銀行でも行うことが可能な場合が多くなっています。
同じ銀行であれば、手数料がかからない場合もあるのは、メリットだと言えるでしょう。
ただ、同じ銀行で変更するよりも他行に借り換えた方がお得になるケースも多くなります。
また、他行への借り換えを前提とした金利交渉が可能なケースもありますね。借り換えの手間をかけずに金利を下げることもできるので、チェックしておきたいところです。
金利交渉について興味がある方は、ぜひこちら住宅ローンの金利は交渉次第で下がるってホント!?の記事を読んでください。
変動金利や固定金利の金利プラン変更時は金利状況や手数料に注意
変動金利から固定金利への変更は、変動金利よりも固定金利の方が金利上昇が早いために、一気に金利負担がアップする恐れがあります。
固定金利から変動金利への変更は、他の銀行での借り換えになるので手続きや手数料が必要となります。また、変動金利はいつ上がるか分からない為、金利が上がれば大きく損をするリスクもあります。
住宅ローンの金利プランの変更を考えるときには、金利の状況、返済残高や返済期間、手数料などをしっかりチェック、比較した上で決断するようにしたいですね。
金利タイプには複数の種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。そして、それらを切り替える方法もまた様々なため、多様性に戸惑ってしまうこともあるでしょう。そんな時は、自分の状況をよく整理し、どう動くのがベストかということを、時に専門家の力を借りながら順番に考えることをおすすめします。
4年ほど専任の宅建士として不動産業者に勤務し、現在はマンション管理士・消防設備士として独立。
宅建士としての知識や立場を活かし、不動産売買時の疑問点などの相談を受けている。