医療保険に通院特約は必要?保障内容から必要性をチェックしよう
医療保険の通院保障とはどのようなものか知っていますか?医療保険の通院保障とは「医療保険に特約としてつけることができる保障」で、病院に通院した際に給付金をもらうことができる制度です。
「通院でも給付金をもらうことができるの?」とお得に感じるかもしれません。ですが、給付金をもらうには条件があります。ほとんどの通院保障の場合、入院や手術をする原因となった病気やケガを治療するための通院の場合のみ、給付金をもらうことが可能なんです。
今の自分の状況を考えつつ、通院保障をつける必要があるのかないのか勉強しながら考えていきましょう。
医療保険の通院保障ってどういうもの?
医療保険の通院保障とは、通院した際に給付金をもらうことができる保障のこと。
ただし、一般的に医療保険には通院保障がついておらず、特約として付加することで保障を受けることができます。
というのも、はじめから医療保険に含まれているのは一般的に「入院給付金保障」と「手術給付金」の2つ。
入院給付金とは「病気で入院した際にもらうことができる給付金」のこと。1日当たり5,000円というように日額が決まっており、入院した日数によって給付金の金額が変わります。
手術給付金とは「手術を受けた際にもらえる給付金」のこと。手術の内容によって給付金の金額は変わり、一般的に重い手術のほうが給付金の金額が高くなります。
これら2つの保障を基本としているのが医療保険です。その医療保険に様々な特約をつけることで、より充実した保険にすることができます。
通院保障の給付金はどのようなときに出るの?
医療保険の特約である通院保障。病院に通院したときにもらうことができるものですが、風邪などで通院した場合でも給付金をもらうことができるのでしょうか?
実は、給付金をもらうことができるケースは限られています。どのようなケースでもらうことができるのか、みていきましょう。
給付金がもらえるケースはほぼ決まっているって本当なの?
医療保険の通院保障で給付金がもらえるケースは、入院する原因となった病気やケガを治療するために通院する場合のみということがほとんどです。
そのうえ、医療保険の通院保障では保障が適用される期間が明確に決まっています。保障期間は保険によっても異なるもの。
とある保険では入院前60日退院後120日が保障期間で、最大30日分給付金がもらえます。ですが、他の保険では入院前の通院に関してはもらうことができません。その代わり退院後180日最大30日分もらうことができます。
医療保険ではなくがん保険の場合にも通院保障があります。がん保険の場合は治療期間が長期に渡るもの。そのため、通院のみの場合でも給付金がもらえる場合もあります。
実は、入院する患者の8割が入院の前後に通院を経験するといわれています。
それは、手術するための検査や術後の治療を行うため。そのようなケースで通院した場合、通院保障に加入していた方は給付金を受け取ることができます。
ですが、通院給付金の日額は入院日額の半額以下であることが多いもの。入院給付金とはもらえる額が異なることを覚えておきましょう。
ケガで通院した場合、給付金はもらえるの?
何らかの原因でケガをしてしまい通院することになった場合、医療保険の通院保障の給付金は出るのでしょうか?
先ほども説明した通り、医療保険の通院保障においては入院するほどのケガではなく通院だけで治療ができる場合、給付金をもらうことはできません。ですが、共済など一部の保険においてはケガによる通院でも給付金がもらえる場合もあります。
また、医療共済ではなく傷害保険の場合は、ケガでの通院で給付金をもらうことができます。というのも、医療共済が病気やケガでの入院に特化しているのに対し、傷害保険はケガでの入院や通院に特化しているため。
傷害保険において、病気での入院や通院は保障の対象外です。あくまでケガのみに特化している保険といえます。
日帰り手術で通院した場合、給付金はもらえるの?
手術には様々な手術があり、病院に泊まることなく手術することを「日帰り手術」といいます。
「痔疾患」や「内視鏡ポリープ切除」などの手術は日帰り手術となることが多く、病院に泊まることなく手術を行うことが可能です。日帰り手術の場合、手術であるとみなされると通院保障の範囲内ではなく医療保険の対象として扱われます。
日帰り手術でも手術給付金が払われる対象となっている手術の場合、手術給付金が支払われる可能性もあります。自分の加入している医療保険の内容を確認し、どのような手術ならば日帰り手術でも手術給付金が支払われるのか知っておくといいでしょう。
また、日帰り手術といっても外来手術扱いになる場合と日帰り入院扱いになる場合があります。
最近では日帰り入院から保障する保険も多くなってきました。そのような場合、日帰り入院でも入院給付金と手術給付金が支払われることも多いです。
また外来手術扱いか日帰り入院扱いの手術なのかによって給付金が変わる場合もあります。保険内容をしっかりと確認しておくことが大切です。
どんな点を詳しくみるべきかは次の記事で解説しています。
リハビリで通院した場合、給付金はもらえるの?
入院して手術をしそのリハビリのために通院する場合は、入院手術が原因であるため医療保険の通院保障から給付金が支払われます。ですが、入院手術をせずリハビリのみで通院する場合は、給付金は支払われません。
交通事故で通院した場合、給付金はもらえるの?
交通事故で手術や入院をせず通院だけする場合は、通院保障のみの特約では給付金をもらうことはできません。仮に通院保障とともに医療保険に「災害通院特約」などケガに特化した特約を付けていた場合、ケガ通院は災害通院特約の範囲内となるため給付金が支払われます。
通院保障をつけていただけでは、交通事故による通院では給付金をもらうことはできないと覚えておきましょう。
風邪で通院した場合、給付金はもらえるの?
風邪で通院する場合は、入院したわけでも手術したわけでもないため通院保障の範囲外となり給付金をもらうことはできません。
また、ケガをしたわけでもないため、傷害保険などでも適用の範囲外となります。風邪などの病気で通院する場合には、自分で治療費を出す必要があると覚えておきましょう。
傷病手当金って?健康保険加入者ならお金がもらえるって本当なの?
民間の医療保険の通院保障について説明してきましたが、実は私たちが加入している健康保険にも通院の保障を行ってくれる制度があります。それが「傷病手当金」という制度です。
傷病手当金とは、ケガや病気になり一定期間仕事ができず給与をもらえなくなった場合に健康保険から手当金をもらえる制度のこと。
会社員ではない国民健康保険加入者でも関係ありません。健康保険に加入していれば誰でも受け取ることができる手当金です。ただし、傷病手当金を受け取るには、いくつかの条件を満たしている必要があります。
傷病手当金を受け取るには次の4点すべての条件を満たしている必要があります。
- 業務外での病気やケガによる療養であること
- 仕事をすることができないこと
- 連続3日間を含む4日以上仕事ができないこと
- 仕事ができない間、給与の支払いがなかったこと
業務中のケガなどにより仕事ができない場合は、労災保険の対象となるため傷病手当金をもらうことはできません。また、仕事ができず給与をもらうことができない人を助けるための制度です。仕事ができなくても給与をもらっていた場合には対象外となります。
また、3日間連続で休んだうえ、その3日間を含む4日以上仕事ができない日があることも条件となります。
傷病手当金は、最長1年6カ月もの間もらうことができる制度です。そのうえもらえる日額は、標準報酬月額を30で割り3分の2を掛けた額。要は給与の3分の2もの金額をもらうことができるという制度です。
病気やケガで働けなくなった場合には、傷病手当金以外にもお金が受け取れる制度があります。次の記事でまとめて紹介しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
結論!通院保障が必要な人はこんな人だった!
医療保険の通院保障が必要な人は、「通院するために別の費用が必要になる人」または「通院するための貯蓄がない人」です。
他にも、病院が遠方で通院するたびに高額な交通費が必要となる場合もあります。そのような可能性がある場合は、通院保障をつけておくとよいでしょう。
また、通院するために必要なお金の貯蓄がない人も特約として通院保障をつけておくと安心です。ですが、通院費用は特別な事情がない限りそこまで高くないもの。その金額も払えないほど貯蓄がない場合には保障を手厚くするのではなく、家計を見直しまずは貯蓄を増やすことを考えましょう。
ただ医療保険の保障内容を手厚くしたい、通院保障があった方が安心だと考える場合には、入院前の通院も保障されるタイプの通院保障をつけることをおすすめします。
医療保険の通院保障は特別につける必要はない特約!
入院する人のうち8割もの人が入退院前後に通院するデータはありますが、通院の費用はさほど高いものでもありません。ましてや健康保険に加入している人ならば給与をもらえない場合、傷病手当金というお金をもらうことも可能です。そのため、通院保障の必要性は低いといえます。
病院に通院する際、子どもを預ける費用が必要になる、病院が遠方にあるため高い交通費が必要などという特別な事情があるならば、通院保障をつけておいてもいいかもしれません。ですが、それ以外の人にはあまり必要がない保障といえるでしょう。