住宅ローン保険

住宅ローンに関わる保険について分かりやすく解説!

住宅ローンを契約する際、考えておきたいのが保険です。万が一のときに住宅ローンの返済負担を軽減する保険、そして火事などの災害時に補償をするための保険など、様々な種類があります。

保険は、いざという時の大切な補償です。保険の内容や料金について気になる情報を詳しくご紹介していきますので、自分にとって必要なのはどの保険なのか、どの保険に加入すべきなのかについてを判断する参考にしてください。

住宅ローン契約時には必須の団信をチェック

住宅ローンを契約する際、基本的に加入することが必須となっている保険が団体信用生命保険、略して団信です。

団信は、住宅ローンの契約者が死亡した、高度障害状態に陥ったという場合に、ローンの残高がゼロになるという保険です。正確には、保険会社から金融機関に住宅ローンの残高が全額支払われることで、契約者の家族の返済負担がゼロになるわけです。

団信は、金融機関にとっては確実なローン返済のための保険であり、契約者にとっては自分に万が一のことがあった時に家族に返済負担をかけないための保険なのです。

ですから、住宅ローンを契約する際には団信への加入が基本的に必須となります。逆に言えば、団信に加入できなければ住宅ローンを契約することができないのです。

団信の保険料については、住宅ローンの金利に上乗せされていることが一般的です。

つまり、団信の保険料を別途支払う必要はありません。

団信については、こちらの記事で更に詳しく解説しています。

住宅ローンを利用するためには団信の審査にクリアしなきゃダメってこと?でも、生命保険ってことなら加入の審査とかあるんじゃないの?

落ちたら住宅ローン組めないとか!?

確かに、団信の審査に通らないことが原因で住宅ローン契約が出来ないケースはゼロではありません。

ただ、団信の審査に落ちても住宅ローンを利用する方法はあります。次で詳しくご紹介しますね。

団信の審査に落ちたら考えたい2つの選択肢とは

団信は、住宅ローン専用の生命保険です。通常の生命保険と同様に審査があり、それに通らなければ加入することができません。

団信の審査でチェックされるのは、健康状態と年齢です。気になるのは健康状態についてどこまでチェックされるのか、ということだと思います。

ただ、団信の審査で健康診断書の提出を求められることはあまりありません。過去3か月以内に医師の治療を受けたか、過去3年以内に特定の病気で手術を受けたか、などの告知書を提出するだけでOKです。

該当するものがあったとしても、現在きちんと治療を続けている、完治しているということであれば、審査に大きく影響しないこともあります。

大切なのは、正確に告知書に記載するかということです。

もし告知義務違反があれば、保険金が下りなくなってしまう恐れがありますので注意しましょう。

仮に、嘘をついたり不利になる事項を隠していたことが発覚して、保険金が下りなくなってしまった場合、自分が返済できなくなれば配偶者や子供がその返済を背負うことになります。

そのため、審査を通したいがために嘘をつくとか、不利になりそうなことを隠してしまうことのペナルティはかなり重いと言えます。

全て正直に申告することがベストです。

団信の審査について興味がある方には、こちら団体信用生命保険の審査内容と加入できなかった場合の対処法の記事がオススメです。

では、もし団信の審査に落ちてしまったらどうすれば良いのでしょうか。方法としては、次の2つが挙げられます。

  • ワイド団信に申し込む
  • 団信不要で申し込めるフラット35を検討する

ワイド団信は、通常の団信よりも審査基準が低いので健康状態に問題がある人でも加入できる可能性があります。ただ、通常の団信よりも保険料は高めになってしまう点は注意が必要です。

また、フラット35は基本的に団信つきの住宅ローン商品ではありますが、団信を外して契約することも可能となっています。

通常のフラット35商品よりも、団信を付けない分だけ低金利での借り入れが可能であるメリットはあります。

ただ契約者に万が一のことがあっても、住宅ローンの返済は残りますので「一般の生命保険」「収入補償保険などへの加入」などの方法で対策を考えておきたいですね。

フラット35の団信については、こちらの記事で特集しています。

団信の保障内容を充実させるならオプションで特約を付けるのもアリ!

団信は、基本的に契約者が死亡したとき、または高度障害状態になったときに保険金が支払われます。ただ、住宅ローンの返済が苦しくなるのは、契約者が死亡した時だけではありませんよね。

高度障害までならなくても、契約者が病気やケガで働けなくなって収入が減ってしまう、医療費がかかってしまうことでローン返済が苦しくなる可能性は十分あり得ることです。

そこでチェックしておきたいのが、団信の特約です。団信の特約には色々ありますが、代表的なのが次の2つでしょう。

  • 三大疾病保障付き団信
  • 八大疾病保障付き団信

それぞれの特徴についてご紹介していきます。

ガン・脳卒中・心筋梗塞も対象の三大疾病保障付き団信

三大疾病(※)保障付き団信は、契約者の死亡・高度障害時に加えてガン・脳卒中・心筋梗塞になった際も保険金の支払い対象となります。

三大疾病とは、次の3つの病気を指すものと定義されています。

・がん
・急性心筋梗塞
・脳卒中

ただ、注意しなければいけないのはこの3つの病気になればすぐに保険金が支払われる、住宅ローン残高がゼロになるわけではないという点です。

特に、脳卒中や心筋梗塞の場合は手術をした、60日以上所定の状態が継続したなどの条件があり、それをクリアしなければいけない点は押さえておきたいところです。

更に、三大疾病保障付きの団信は保険料として通常の団信に+0.3%程度の金利上乗せが必要となります。

住宅ローンの借入金額によっては、三大疾病保障を付けることで返済総額が200万円程度変わってくることもあります。

自分は三大疾病保障をつけるべきかどうか気になる方は、ぜひこちらの記事をチェックしてみてくださいね。

より広範囲をカバーする八大疾病保障付き団信

八大疾病保障付き団信は、先ほどの三大疾病保障付き団信よりもさらに充実した保障を受けられる団信です。

プラスとなる5つの疾病が、こちらです。

  • 高血圧症
  • 糖尿病
  • 慢性腎不全
  • 肝硬変
  • 慢性膵炎

こちらも、先ほどの三大疾病保障と同様にこれらの病気になってすぐに住宅ローンの返済が無くなるわけではありません。

三井住友銀行の場合は、次の条件を満たす必要があります。

  • 就業不能状態が1か月を超えて継続で返済相当額を最長12か月保障
  • さらにその就業不能状態が13か月を超えて継続→ローン残高がゼロに

この就業不能状態についても、基準があります。医師の診断書が必要で、本人の業務が一切できないことを証明する必要があるのです。

八大疾病保障を付ける場合も、当然保険料が金利に上乗せされることになります。金融機関によって0.4%程度上乗せされる場合もありますので、負担がどのくらい変わるかはしっかりシミュレーションしておきたいですね。

万が一の備えとしては考えておきたい保障ですが、やはり保険料が気になるところですね。

三大疾病や八大疾病の特約を付けることしか、万が一の対応はできないのでしょうか。

病気によって働けなくなったとしても、他の医療保険や会社の制度を利用する事で住宅ローンを返済できるのであれば、これらの特約は不要だとも考えられます。

万が一のとき、自分が住宅ローンを返済できるかどうかを基準に検討すると良いでしょう。

八大疾病保障については、こちらより広範囲で万が一のリスクを保障!団信の八大疾病保障を徹底解説の記事で詳しくご紹介しています。

加入する火災保険は自分で選ぶことが可能!

住宅ローンを契約する際、団信だけでなく火災保険の加入も義務としている金融機関がほとんどです。

ただ、金融機関の勧める火災保険に加入しなければいけないわけではありません。

加入する火災保険は自分で選ぶことができるのです。

火災保険に加入することによるメリットは、火災時に保険金を受け取れるので生活資金の確保、または住宅ローン返済に充てることができるという点です。

住宅ローンの返済については、火災保険が質権設定になると自動的に保険金が金融機関へと支払われることになります。生活資金として火災保険を考えている人は、気を付けておきたいところです。

火災保険に加入すれば、火災などで損害が生じたときに保険金が支払われるという安心感があるのは分かります。

でも、保険料もそれだけ高くなってしまいますよね?

火災保険の保険料は、マンションか戸建てか、そして耐火構造か非耐火構造かで異なり、その差は10倍近くなってしまうこともあります。

ただ、火災保険は長期契約にすることで保険料がお得になりますから、ぜひチェックしておいてくださいね。

火災保険の選び方については、こちら住宅ローン火災保険の上手な選び方とはの記事で解説しています。

火災保険の必要な特約・不要な特約とは

火災保険には、基本の補償として火災・落雷・破裂・爆発時に保険金が支払われることになります。

ただ、その他にも水災や風災、盗難や水濡れなど、多くの特約を別途プラスすることも可能です。

特約をプラスすればするだけ、保険料の負担は大きくなります。ただ、必要な特約であれば万が一の備えとして付けておくと安心です。

考えておきたい特約に、水災補償があります。これは、台風などによる高潮や土砂崩れによる損害を補償するもので、立地的にリスクがある人にはぜひ検討してもらいたい補償の1つです。

近年、台風などの暴風雨で水災被害を受けるケースを目にします。自宅の周辺環境で不安があれば、水災補償は検討すべき特約だと言えるでしょう。

火災保険の水災補償について興味がある方には、こちらの記事がオススメです。

火災保険とセットで検討したい地震保険

地震によって被災することも珍しくない今、地震保険への加入を考える人も多いでしょう。

実は、地震保険は火災保険とセットでしか加入することができません。

しかも、地震が原因で起きた火災に関しては火災保険だけでは保障されないのです。

火災保険の新規加入時にセットで地震保険に入ることが多いですが、途中から地震保険を追加することもできます。

地震保険は国が保険料について定めていますので、保険会社によって保険料が違う、補償内容が違うということはありません。ただ、地域によって地震のリスクが違うため、地域ごとで保険料が設定されているという特徴があります。

特に東京や神奈川は地震保険料が高額になっています(※)ので、加入を検討する際には保険料をしっかりチェックしておくようにしたいところです。

(※)2019年1月に地震保険料が改訂され、全都道府県において値上げされることとなりました。

一般的なマンションで

・保険期間1年
・保険金額1000万円

という条件を基準とした場合、その地震保険料は
(高額)
東京・千葉・神奈川で約25,000円
(低額)
岩手・福井・長崎などでは約7,100円

となっています。

また、地震保険は火災保険の保険金額に対して30~50%程度の保険金しか設定することができません。地震保険のみで建物を再建することは難しいので、万が一の備えとしては地震保険以外にも考えておく必要があります。

地震保険は支払われる保険金が少ないということですか…。

高い保険料を支払ってまで加入する意味はあるのでしょうか?

地震保険は支払い条件も厳しく、支払われる保険金も損害の程度によって割合が決まっています。

ただ、生活資金や家財購入費用の足しになることは確かですので、貯金が少ない、ローン残高が多い人は検討して良いでしょう。

地震保険は保険料が割高になりますが、割引制度もありますし保険料控除の対象にもなります。まずは、自分が加入する場合の保険料がどうなるのかをチェックしてみましょう。

地震保険について気になるなら、こちら住宅ローン契約時に地震保険は必要?メリット・デメリットを徹底解説の記事をチェックしてみてくださいね。

住宅ローンの契約時の団信と火災保険・地震保険は要チェック

住宅ローンを契約する際には、万が一の備えとして団信と火災保険への加入を求められることがほとんどです。

ただ、加入する際には団信に特約を付けるか、自分が必要とする補償がカバーされている火災保険はどの商品なのか、地震保険をつけるべきなのか、じっくり検討するようにしましょう。

保険は、万が一の備えです。だからこそ、貯蓄の金額や住宅ローンの返済状況をふまえて必要な保険を選ぶようにしたいですね。

監修者メッセージ

火災保険や地震保険は、様々な特約付きの新しい商品が発売されます。

特に2019年は関東地方における多大な台風や大雨の被害が顕著ですから、また新たな保険商品の発売や保険料の改定などが予想されます。

できるだけいろいろな保険について比較検討し、自分にとってベストな保険を選択することをおすすめします。

プロフィール
不動産売却カテゴリー記事監修(吉田成志)
吉田成志
宅地建物取引士、マンション管理士、消防設備士などの資格を保有。
4年ほど専任の宅建士として不動産業者に勤務し、現在はマンション管理士・消防設備士として独立。
宅建士としての知識や立場を活かし、不動産売買時の疑問点などの相談を受けている。

NEW ENTRY

12