住宅ローンの金利

住宅ローン金利とは?その仕組を分かりやすく解説します

住宅ローンを利用する上で、住宅ローン金利は非常に重要な意味を持ちます。この金利がたった0.1%違うだけでも、大きな支払い総額の差になってくるためです。

でも、住宅ローン金利は低ければ良いというわけではありません。固定金利、変動金利、どちらの金利プランを選ぶかによって、大きく損をしてしまうリスクもあるのです。

住宅ローンの固定金利、変動金利はどう選択すれば良いのか、金利をお得に利用するための方法はないのか、住宅ローン金利が変動する要因など、気になる仕組みを分かりやすく解説していきましょう。

住宅ローン金利はどう決まる?その仕組みをご紹介

まず、住宅ローン金利の仕組みについてご紹介します。

住宅ローンの金利は、長期金利または短期金利に連動して決まります。

長期金利に影響を受けるのが固定金利、短期金利に影響を受けるのが変動金利ですね。

では、この金利はどういうときに変動するのでしょうか。

金利は、景気が良くなれば上がり、景気が悪化すれば下がります。物価や株価、消費が上がれば金利が上がり、逆に物価や株価、消費が落ち込めば金利が下がる要因になるのです。
景気の動向を見ていれば、金利が上がるか下がるかが見えてくるということですね。
そうですね。特に、固定金利は10年国債※に影響しますから、10年国債の価格が上がるか下がるかをチェックしておくと良いでしょう。

(※)国債とは、国がお金を借り入れるために発行する証券で、国債を持っていると満期時にお金が返ってくる+毎年(年に2回)利息が支払われるというものです。その期間が10年のものを10年国債や長期国債と呼びます。

固定金利の仕組みについてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事をチェックしてみてください。

住宅ローンの金利プランは3つ!それぞれの特徴とは

住宅ローンの金利は、1つだけではありません。3つのプランから選択することができます。

  • 固定金利
  • 変動金利
  • 固定金利選択型

この3つのプランの違いを、比較してみましょう。

金利プラン 特徴
固定金利 ・全期間金利が変わらない
・契約時に返済総額が確定
・金利変動リスクに強い
・当初金利は他の2つのプランより割高になる
変動金利 ・半年ごとに金利を見直す
・返済額変更は5年ごと
・返済額アップは125%まで
・当初金利が最もお得
・金利が大きく上昇すれば返済負担が大きくなるリスクあり
固定金利選択型 ・一定期間固定金利
・固定金利期間終了後は変動金利
・増額125%までの制限なし
・変動金利移行後に大きく返済額が上がるリスクがある

この中で契約時の金利が最も低いのは、変動金利です。

ただ、変動金利は金利変動リスクがあるため、将来的に大きく金利が上がれば返済負担が一気に増えてしまう危険もあります。

特に、今は超低金利時代です。いつ上がるかというタイミングは分からなくても、今後の金利上昇は確実だと言えます。だからこそ、変動金利選択は慎重に考えるようにしたいのです。

変動金利については、こちらの記事で解説しています。

固定金利と変動金利はどっちがお得?

金利プランを選ぶ際、やはりお得な方を選びたいですよね。では、実際固定金利と変動金利はどちらがお得なのでしょうか。

実は、固定金利と変動金利は返済が終わってみるまでどちらがお得だったのかは分かりません。

金利が上がらなければ変動金利がお得になりますし、金利が上がることになれば固定金利がお得だった、ということになるのです。

金利は景気によって変動しますが、その時期や程度について正確に予想出来る人はいません。だからこそ、どちらがお得なのか断言できないのです。

固定金利と変動金利の選び方について興味がある方は、こちらの記事がオススメですよ。

固定金利と変動金利のどっちが得か分からないって、選びようがないじゃん!
最終的にどちらが得をするか分からなくても、選ぶためのポイントはあります。

そのポイントについて、次でご紹介しますね。

金利タイプを選ぶための3つのポイント

では、どのように金利を選べば良いのでしょうか。金利タイプを選ぶ3つのポイントが、こちらです。

  • 返済期間
  • 収入見通し
  • 支出見通し

まず、返済期間が短期であれば、低金利のうちに元本を大きく減らすことが出来る可能性があるので金利変動リスクを下げることができます。つまり、変動金利を選んでもリスクは低いのです。

逆に返済期間が長期になるようであれば、全期間固定金利にすることで金利変動リスクを避けておくと安心ですね。

収入が今後アップする見通しで、金利アップによる返済額の増額に対応できるということであれば、変動金利もしくは固定金利選択型を選ぶことも可能です。

ただ、教育資金など将来的に支出が増える見込みがあるのであれば、その時期に金利が上昇すると返済が苦しくなる可能性があります。返済額が一定の固定金利が安心だと言えるでしょう。

実際には、変動金利はこの20年間ほとんど変動していません。

この事実を根拠に変動金利を選ぶ方もいれば、そろそろ何かが起こるかもしれないと思って固定金利を選ぶ方もいます。

最終的にどちらを選ぶかは自分次第なのですが、総返済額や返済期間と照らし合わせてしっかりシミュレーションして検討することをおすすめします。

金利タイプを選ぶときは、住宅ローンの返済期間や自分の家計状態を考えて選ぶことが大切なのですね。

住宅ローンの基準金利(店頭金利)・適用金利って何?

住宅ローンには、基準金利(店頭金利)と適用金利があります。

実際に住宅ローンを契約するときの金利が適用金利、基準金利は定価のようなものです。

基準金利をもう少し詳しく説明するならば、「プライムレート」という指標を用いて金融機関ごとに決定している金利です。

そしてプライムレートとは、金融機関が優良企業に対して、「一番優遇された金利で貸し付け」する場合を考えた指標です。

そのプライムレートに数%をプラスしたものを基準金利として定めることが通常です。

基準金利から各金融機関が優遇をして、適用金利を設定しているので、実際の適用金利は各金融機関で異なります。

たとえば、審査により基準金利「金利引き下げ幅」が金融機関から提示されます。

そこで、固定金利選択型なら〇%下がり、全期間タイプなら△%下がる…という風に、選択するタイプによっても適用金利は変わってくるのです。

また、特定の条件を満たせば適用金利から更に優遇してもらえるサービスを設けている金融機関もあります。

給与引き落とし口座を作る、金融機関提携のクレジットカードを作る、カードローンを利用するなど、金融機関によって条件や優遇率が異なりますので、しっかりチェックしておきたいですね。

住宅ローンをお得に利用する2つの方法

住宅ローンは、金利によってお得に利用することが出来ます。それは、ただ低い金利の金融機関や商品を選ぶ、というだけではありません。

住宅ローンをお得に利用するための方法が、次の2つです。

  • 借り換え
  • 金利交渉

それぞれの方法について見ていきましょう。

借り換え

現在住宅ローンを利用している場合、今よりも低い金利の住宅ローンに借り換えることで、金利差の分だけ返済総額を抑えることが可能となります。

特に、今より高い固定金利を利用している人は、最低水準に近い現在の固定金利に借り換えることで大きく負担が減る可能性もあります。

今まで返済をしてきて元金が減っている場合も、低金利となっている変動金利で一気に返済できればお得になるでしょう。

確かに、今よりも高い金利で返済しているならそれだけで損をしている気がしますね。

ちょっとでもお得になるなら、借り換えた方が良いですね。

ただ、注意しなければいけないのは、借り換えには手数料がかかるという点です。

借り換え手数料に加えて、更に諸費用(登記費用や印紙代など)も必要になるため、借り換え前のシミュレーションは重要です。

一般的に借り換えをすることでメリットが受けられるのは以下の条件に当てはまる人だと言われています。

1.借り換えをすることによって金利を1%以上下げられる
2.返済期間が10年以上残っている
3.残総返済額が1000万円以上ある

つまり、ただ金利を下げることだけを目的に借り換えに飛びついてしまったとしたら、損をしてしまうこともあります。

ご自身の状況をしっかりと把握し、綿密なシミュレーションを心がけるようにしましょう。

金利交渉

住宅ローンの金利は、交渉によって下げることができる場合があります。金利交渉の方法としては、住宅ローン契約時と住宅ローン利用中で異なります。

ちなみにローン利用中の金利交渉や借り換えなどについては、自分自身が主体となって動くことになります。

まず、住宅ローン契約時には色々な金融機関の金利をチェックし、自分の希望する金利条件を不動産仲介業者などに提示します。

この金利であればそちらの金融機関で契約できる、という交渉をしていきます。

住宅ローン利用中であれば、借り換えを考えているが金利を下げてもらえればこのまま継続する、という交渉をしていきます。

このとき、実際に借り換えを検討している金融機関の仮審査結果などを提示することで、借り換えの意志を強く示すこともできますね。

金利交渉について興味がある方は、ぜひこちらの記事も読んでみてください。

住宅ローンの金利プランは途中での変更も可能!

住宅ローンの金利プランは、契約時に決めるものです。しかし、住宅ローン利用中に変動金利から固定金利、固定金利から変動金利に変更できないわけではありません。

固定金利から変動金利に変更する場合は、同じ商品内での変更はできません。決められた固定期間終了前に金利が低い変動金利に変えてしまうと、銀行が得られる利息収入が失われてしまう為です。

つまり、固定金利から変動金利に変更する際には、借り換え(=新たにローンを組みなおす)をする必要があるのです。

ただ、変動金利から固定金利に変更を希望する場合は、契約内容変更手続きのみで対応してくれる場合もあります。借り換える必要がないので、手数料を抑えられるメリットがありすね。

金利プラン変更についての情報は、こちら変動金利から固定金利は難しい!?金利プラン変更で損しない為の方法で詳しくご紹介しています。

現在の住宅ローン金利はお得ってホント?今後の見通しをチェック

現在は、超低金利時代と呼ばれています。ゼロ金利やマイナス金利といった政策が打ち出されていることで、過去にないほど住宅ローン金利も下がっている状態ですね。

つまり、今から借り入れをする人はもちろん、現在すでに住宅ローンを利用している人も、借り換えや金利交渉でお得に住宅ローンを利用できる状況にあるわけです。

低金利によって住宅ローンがどうお得になるかについての情報は、こちらマイナス金利の今は住宅ローンをお得に利用できるチャンス!です。

ただ、今度金利が上がっていけば、当然返済負担は変わってきます。特に変動金利や固定金利選択型を選んだ場合、金利上昇に伴う返済額増加リスクには十分気を付けておきたいところです。

今後何年で住宅ローンが上がるかを今の時点で知ることは難しいのですが、今が最低水準であることを考えれば上がることは確実です。

住宅ローンは、金利が上がることも頭に入れて考えるようにしましょう。

住宅ローン金利は今が最低水準!今後の金利上昇を考えた選択を

住宅ローン金利は、長期金利や短期金利に影響を受けて変動します。今はマイナス金利の影響で低い水準となっていますが、今後金利が上がってくるのは間違いありません。

金利プランは、返済期間や今後の収入・支出を考えて選択することが大切になってきます。また、金利プランは途中で変更することも可能ですが、借り換えをする場合は手数料がかかるので注意しておきましょう。

住宅ローン金利は、少し変わるだけで返済負担が大きく違ってきます。今後のことを考え、慎重に検討するようにしたいですね。

監修者メッセージ

金利の動向や借り換えの判断基準については「この場合には絶対にこう!」という、明確なルールが存在しないのがつらいところです。

しかし、これまでのノウハウや経済動向などをよく把握した専門家であれば、極力お客様が損をすることがないようなサポートを心がけていますので、相談してみるというのは有効な手となります。

プロフィール
不動産売却カテゴリー記事監修(吉田成志)
吉田成志
宅地建物取引士、マンション管理士、消防設備士などの資格を保有。
4年ほど専任の宅建士として不動産業者に勤務し、現在はマンション管理士・消防設備士として独立。
宅建士としての知識や立場を活かし、不動産売買時の疑問点などの相談を受けている。

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