株の自動売買とは?トレードステーションを例に特徴や注意点を解説
銀行の金利が低い今の時代、たとえ大金を銀行に預けても得られる利息収入は雀の涙ほどです。銀行に預けるくらいなら、配当金や値上がりが期待できる株に投資をしたいと考える人はきっと多くいることでしょう。
ただ、専業の投資家と違い、普段は仕事で忙しい会社員の方ともなると、なかなか株式投資に時間を割くことができません。せっかく値上がりのチャンスがあったとしても、トレードに時間を割けないのでは折角のチャンスをみすみす逃してしまうことになります。
株の自動売買とは、そんな忙しい方であっても株式投資でチャンスを掴むことができる取引のスタイルです。
裁量トレードと違って、自動売買ならばシステムが自動的に株の売買をしてくれるので、忙しい会社員の強い味方となっています。
今回は株の自動売買における特徴とメリット、デメリット、注意点などを紹介します。
株の自動売買とは?
まず、株の自動売買とは一体何なのでしょうか?
投資のスタイルには、自分の判断で取引をする裁量トレードとは別に、システムが投資家に代わって判断を下し、自動で売買を繰り返すシステムトレードと呼ばれる投資スタイルがあります。自動売買は、このシステムトレードに分類される投資スタイルです。
自動売買といっても、怪しいことはありません。最近は自動売買のツールを証券会社自ら提供しているほどです。例えば、マネックス証券のトレードステーションなどが、まさに証券会社が提供している自動売買ツールです。
このような自動売買ツールに限らず、指値注文や逆指値注文も、考えようによっては自動売買ツールの一つでもあります。
ただし、指値注文や逆指値注文のような部分的な自動売買と違い、マネックス証券のトレードステーションは、取引のすべてがシステムに依存する自動売買ツールのため、一旦プログラムをスタートさせてしまえばすべての売買が全自動で行われます。
自動売買では、システムが投資家に代わって株の売買をしてくれます。
プログラムが一旦起動すれば、あとはシステムが投資家に代わって株の購入と売却をすべて引き受けてくれるため、普段は仕事で株の取引ができない会社員の方であっても、自動売買のツールを使用すれば、仕事をしながらであっても株の取引を行えます。
どんなツールがあるのか?
株の自動売買のツールというと、先ほど紹介したマネックス証券のトレードステーションなどがあります。
取引手数料こそかかりますが、トレードステーションを利用するためのコストなどは基本的にかからないため、投資家は無料でトレードステーションを使用することができます。
トレードステーションのような、証券会社自らが提供する自動売買ツールとは別に、証券会社以外の個人や法人が開発したシステムトレードをするためのソフトウェアも存在します。
この手のシステムトレードのソフトウェアの中には無料でダウンロードできるソフトもあれば、有料のソフトもあります。フリーソフトを使用することで、自分以外の第三者が作成したストラテジーを使用して、自動売買を実践できるようになります。
ただし、フリーソフトの中には上級者向けのツールもあるため、必ずしも初心者向けとは限りません。なにより、フリーソフトの中にはバックテストが不十分で、信憑性が薄いモノも多いです。
できるだけ安全に株の自動売買を始めたいなら、証券会社が提供している自動売買ツールを使用することをオススメします。
トレードステーションとは?
トレードステーションは、マネックス証券が提供する株式投資のためのツールのことで、このツールを活用すると売買戦略の作成からバックテスト、さらにはシステムトレードまで行えます。
システムトレードを0から始めようとした場合、本来であれば株などの金融の知識とは別に、プログラミングの知識も必要になります。しかし、トレードステーションならば、プログラミングの知識は不要になります。
というのも、トレードステーションではプログラミングの知識なしでもシステムトレードを始められる環境が整っているからです。つまり、トレードステーションならばプログラミングの知識がない投資家であっても気軽に自動売買ができるということです。
トレードステーションの特徴
トレードステーションでは株の自動売買だけでなく、裁量トレードも行えます。
デイトレードをするための簡易な操作画面や、テクニカル分析に必要なチャート機能、スピーディに約定するための注文機能など、投資家のためになる機能が多く揃っています。それはシステムトレードに関しても同様です。
トレードステーションを使用すると、売買戦略をチャート上に描画することができます。そのため、視覚的に売買戦略を分析しやすいです。
売買戦略を作成したら、次にトレードステーションのバックテスト機能を使用し、本当に役立つ戦略なのかチェックしましょう。
バックテストを行うことでパフォーマンスを検証したら、次に問題点を解決するなどして最適化させましょう。
自動売買といえど、必ずしも利益が出るとは限りません。間違った戦略を基に取引をすれば、いくら自動売買といえど失敗することでしょう。
しかし、バックテストを繰り返すことで、問題点を探し、改善をすることで、システムトレードの失敗を未然に防ぐことができます。
トレードステーションの自動売買ツールは、システムトレードをするにあたってとても役に立つツールなのです。
自動売買のメリットとは?
自動売買は今のようなコンピュータが発達した時代ならではの新しいトレードスタイルです。もちろん、裁量トレードにも自動売買にはないメリットがあるのですが、他方でシステムトレードには裁量トレードでは決して真似できないメリットもあります。
自動売買のメリット1、取引時間の短縮
取引をシステムに任せる事で、取引に割く時間を省くことができるという利点があります。
裁量トレードの場合、たとえスイングトレードやポジショントレードのような中長期のトレードだったとしても、常に取引の動向を投資家自身が見守る必要があります。場合によっては、仕事を一時中断し、株の取引をしないといけないこともあるでしょう。
しかし、システムトレードならば、売買をシステムが自動的に行ってくれるので、投資家は取引画面のチェックこそすれ、取引に積極的に参加する必要が無くなります。
普段は仕事をしているという兼業の投資家の場合、仕事があるためなかなか日中の取引に参加することができません。兼業投資家である限り、専業の投資家のように、デイトレードを実践することは難しいでしょう。
しかし、自動売買を始めれば、会社員であってもスイングトレードどころか、デイトレードのような短期売買だって行えます。
もちろん、いくらデイトレードができるからといって、裁量トレーダーよりも利益率が悪ければ意味がありません。その点はどうなのでしょう?
裁量トレードと自動売買、どちらの方が利益率が高いのかは一概には判断できません。ただ、自動売買は裁量トレードと違い、感情的な判断で失敗することがまずありません。
人が直接取引をする裁量トレードの場合、つい感情的になるあまり、冷静に判断できず、取引に失敗するというミスが発生しやすいです。しかし、自動売買ならばそのような失敗はまず起こりません。
自動売買のメリット2、感情に左右されない
感情が原因で取引に失敗することがないという点こそ、自動売買の最大のメリットでしょう。
感情的になるあまり、取引に失敗するという投資家はとても多いです。感情を抑えることができない限り、株式投資で成功することはなかなか難しいでしょう。
しかし、最初から感情がない自動売買ならば、どのような場面であってもプログラム通りに売買をしてくれるため、感情が原因の失敗が起こりません。
忙しく、論理的な売買をした人に自動売買はおすすめ!
自動売買の主要なメリットとは、システムに取引を任せることで時間的な余裕を作れる事と、システムに売買の判断を任せることで精神的な余裕を作れる事の2点となります。
忙しくてなかなか時間が取れないという投資家や、取引をするとすぐに感情的になってしまって失敗をするという投資家ほど、自動売買は相性の良いトレードスタイルです。
もちろん、プロと同じ戦略だからといって必ず稼げるとは限りません。取引をする時は、必ずバックテストをしてパフォーマンスを検証しましょうね。
自動売買のデメリットから考える売買時の注意点
自動売買のデメリットというと、まず売買戦略を自分で練り、その戦略をプログラム化しなければならないなど、自動売買を始めるにあたって投資の経験とプログラミングの知識が必要になるというハードルの高さがあります。
最近はプログラミング言語不要の自動売買ツールもあるため、必ずしもプログラミング言語に関するスキルが必要というわけではありません。ただ、自分が考案したオリジナルの売買戦略で自動売買を始める場合、どうしてもプログラミングの知識が必須となります。
このようにハードルが高いというデメリットに加え、自動売買は必ずしも儲かるとは限らないというデメリットがあります。
たとえプロが作成した売買戦略を採用したとしても、利益が出るとは限らないです。というのも、株の相場というのは常に複雑に変動しており、売買戦略を無視するような動きをすることがあるからです。
一年前に通用した売買戦略が、今年も通用するとは限りません。
相場が常に変化する以上、売買戦略を練る際には、現在の相場に合うように、ストラテジーを適時修正する必要があります。
システムトレードのデメリットは他にもあります。システムトレードはテクニカル分析に基づいて作られる売買戦略のため、ファンダメンタルズに弱いという欠点を抱えています。
突発的なニュースなどが原因で株価が変動した時、システムトレードでは対処しきれず、損失が発生する恐れがあります。
ファンダメンタルズ要因が原因で相場が変動し、自動売買の売買戦略が通用しなくなった際には、早急にシステムトレードを停止し、相場が元に戻るまで様子見する必要があります。
自動売買の注意点
常に感情的にならず、冷静な取引ができるなど、裁量トレードにはないメリットのある自動売買ですが、システムトレードは必ずしも万能の手法というわけではありません。ファンダメンタルズ要因に弱いなどの短所を抱えています。
相場の変化に弱いという欠点を抱えている以上、自動売買を始める際には適時相場の動きに合わせて売買戦略を修正する必要が投資家にはあります。
この注意点を守らずに、自動売買を放置すると、相場の変化についていけず、やがては取引すればするほど損失が出る悪循環に陥ってしまいます。
そのような事態を未然に防ぐためにも、自動売買を始める際には常に自動売買のストラテジーを分析し、改善点を探すように努めましょう。
自動売買のストラテジーを分析し、現在の相場に相応しい戦略になるように常に修正を繰り返すことで、相場の変化にも柔軟に対処できるようになります。
自動売買を始める際には、必ず定期的に損益をチェックしよう
自動売買に限らず、リスク管理ができないと投資で失敗する可能性が高くなるため、危険です。自動売買を始めたのであれば、定期的に損益をチェックし、問題の有無を必ず確認しましょう。
損益を分析し、問題なく利益が出ているのであればそのまま取引を継続しましょう。その反対で、利益が縮小し、損失が目立つようになったのであれば、一度ストラテジーを修正した方が良いでしょう。
ただし、ストラテジーは修正すれば良いというものではありません。
どれほど利益率の高いストラテジーであっても、短期的に負けが続くこともあります。現在の負けは短期的な負けなのか、それとも戦略に問題があるから負けているのか、どちらが正解なのかわからない場合は、一旦様子見した方が良いかもしれません。
ちょっと問題が発生する度にすぐにストラテジーに修正を加えると、かえって損失が増える恐れがあります。一旦この戦略で自動売買をすると決めた以上は、一定期間は様子見をしましょう。
一定期間、じっくりと時間をかけて検証をすることで、売買戦略の良し悪しを正しく判断することができます。
代わりに株を売買してくれる自動売買ツールを使ってみよう
マネックス証券のトレードステーションのような自動売買ツールを使用すれば、忙しい会社員の方であってもデイトレードのような短期売買を始められるでしょう。
ただし、自動売買は万能の手法ではありません。相場の状況次第では、今までの戦略が通用しないこともあります。自動売買を始めるのであれば、定期的に損益をチェックし、戦略を修正しましょう。
注意点を守って自動売買をしている限り、自動売買のツールは投資家の代わりに株を売買して利益を稼いでくれる優れたツールとして真価を発揮してくれるでしょう。