株式投資の勉強
ファンダメンタルズ分析を解説!株式投資で上がる株の見つけ方

ファンダメンタルズ分析を解説!株式投資で上がる株の見つけ方

株式投資をするにあたって、株価の今後の動向を分析する手法というと、大きく分けるとテクニカル分析とファンダメンタルズ分析の2つに分類することができます。

テクニカル分析の分析対象といえば株価チャートになるのですが、ファンダメンタルズ分析では一体何が分析の対象となるのでしょうか?

ファンダメンタルズ分析では、経済の基礎的要因が分析の対象となります。チャートからでは読み取れない経済情報をヒントに今後の動向を予測することになります。

この記事では株式投資におけるファンダメンタルズ分析の特徴について解説します。

ファンダメンタルズ分析とは?

ファンダメンタルズ分析の「ファンダメンタルズ(Fundamentals)」とは、経済状態を表す基礎的な指標のことで、例えば経済成長率や物価上昇率、失業率などがこれに該当します。

株式投資におけるファンダメンタルズ分析とは、特定の企業の財務諸表や業績などを分析して将来の価格を予測することです。

財務諸表以外にも、その企業を取り巻く環境や、国内外の経済の流れなども、株価を予測する上で重要な指標となるため、ファンダメンタルズの分析対象となります。

もちろん、ファンダメンタルズ分析を行ったからといって、必ずしも狙い通りに株価が上昇するとは限りません。時には予測が外れることもあります。

ファンダメンタルズ分析はこれからの成長が期待できる企業を探すときに使おう

株のファンダメンタルズ分析を行う場合、特定の企業の現在の指標をまず分析します。その結果、株価が割安だと判断したら、その株を買うことになります。その反対で、指標を見た結果、現在の株価が割高だと判断したら、株価が落ちる可能性が高いので、そうなる前に株を売却することになります。

企業の財務諸表や業界の展望などを分析した結果、将来の成長が期待できそうであれば、安いうちにその株を購入し、値上がりしたら売却をするということです。

ファンダメンタルズ分析では、将来の値上がりを期待して株を購入することが多く、長期投資家向きの分析方法でもあります。

長期投資にファンダメンタルズ分析が向いている理由が知りたいなぁ。
長期投資に向いているというより、ファンダメンタルズ分析では中長期の投資しかできないんです。

ファンダメンタルズの指標が株価に影響を与えるには長い時間がかかるということですね。

ファンダメンタルズ分析をする場合は、半年から1年は株を保有するつもりで投資をした方が良いでしょう。

ファンダメンタルズ分析のメリット

ファンダメンタルズ分析のメリットを2つ紹介しましょう。

メリット1 中長期的な展開を予測することができる

テクニカル分析は確かに現在のトレンドを読む上では非常に便利な分析法ですが、中長期の展望までは流石に読めないです。しかし、ファンダメンタルズ分析ならば、1年以上先の展開まで分析した上で投資をするため、目の前の動きに左右されることなく、安定したトレードを実践できます。

もちろん、ファンダメンタルズ分析の結果が必ず当たるとは限りません。時には外れることもあります。しかし、確固たる情報に基づいた予測であれば、当たる可能性はとても高いです。

メリット2 余計なリスクを事前に回避できる

ファンダメンタルズ分析では、チャート上には表れないデータ、例えば業績や財務状況などをヒントに投資をします。

そのため、テクニカル分析よりも早く業績の悪化に気づけたり、今後の展望が危ぶまれる業界を見つけることができます。

今後、業績が悪化する懸念材料のある企業を見つけた場合、その懸念が当たる前に株を売却することで、リスクを事前に回避することができます。

ファンダメンタルズ分析では、企業の業績などの情報を分析し、将来の値上がりを期待して株を購入することになります。その企業が本当に価値のある企業ならば、時間こそかかるかもしれませんが、将来的には価値を高め、株価を上げることができるでしょう。

その反対で、将来が不安な企業に対しては投資を控えることで、リスクを事前に回避することができます。

ファンダメンタルズ分析は、余計なリスクを回避しつつ、安全に利益が狙える投資手法です。

ファンダメンタルズ分析のデメリット

一方でファンダメンタルズ分析にはデメリットもあります。

デメリット1 情報量の少なさ

ファンダメンタルズ分析を成功させるためには、その企業に関するあらゆる情報が必要です。それも正確な情報でないと意味がありません。

証券会社やヘッジファンドに勤めている投資家であれば、この手の金融関係の情報を得るパイプはいくらでもあります。しかし、個人投資家ともなると、なかなか株の値上がりに関わる情報を仕入れるのは難しいでしょう。

このような株に関わる情報というのは、テレビや新聞などを通じて発表されることが多く、そのようなマスメディアを通じて情報を仕入れている時点で既に手遅れとなります。

株価に関わる様々な情報を仕入れることができる機関投資家と違い、個人投資家にはそのような有力な情報をメディアよりも先に仕入れるだけのコネやパイプなどは滅多にないものです。

そのため、情報量が少ない個人投資家ほど、ファンダメンタルズ分析を諦め、テクニカル分析の道に進むことが多くいます。

デメリット2 必ずしも株価の高騰が期待できるわけではない

たとえ企業が成長することができたとしても、株価が上がらなければ投資をした意味が無くなってしまいます。

将来の値上がりを期待して投資した企業の株価が今後、どこまで上がるのかは誰にも予測がつきません。もしかしたら少ししか上がらないことも。

そのため、投資をする際には一つに限定せず、様々な株に分散して投資をした方が良いでしょう。多くの株に投資をすることで、実際に値上がりする株に巡り合う確率を上げることができます。

デメリット3 完璧にその企業のことを把握することはできない

ファンダメンタルズ分析の対象の幅はとても広く、一朝一夕で調べられるものではありません。おそらく、株価に関わりのあるすべての情報を完璧に知ることは不可能でしょう。

いつ、どこで、どんな情報がその株価に影響を与えるのか、それは誰にもわかりません。この世に存在するすべてのファンダメンタルズに関わる情報を調べることはまず無理でしょう。

不可能である以上、ファンダメンタルズ分析をする際には、この程度の情報で十分だと線引きをする必要があります。

デメリット4 売り買いのタイミングがわかりにくい

例えば、企業の財務諸表を見て、割安だと感じたとします。この場合、将来的に株価が値上がりする可能性が高いのですが、ではいつ株を買えば良いのでしょう?そしていつ売れば良いのでしょうか?

具体的に何時ごろに買えば、もっとも割安な時に買えるのでしょうか?そして何日後に売れば、もっとも高値になった時に売却できるのでしょう?

短期の視点が欠けているファンダメンタルズ分析には、売買のタイミングがわかり難いという欠点を抱えています。

そのため、ファンダメンタルズ分析を使う際には、同時にテクニカル分析を併用し、売買のタイミングを見つけることが多いです。

ファンダメンタルズの指標を紹介

ファンダメンタルズ分析では、株価に影響を及ぼす情報を調べ、将来の動向を予測することになります。ただ、株価に影響を与える情報といっても量が多く、すべてを網羅的に調べることはまずできません。

なにより、情報の中には株価への影響度が低いものから高いものまで、千差万別です。

ファンダメンタルズ分析をする際には、株価への影響度が高い指標を対象に分析をすることになります。

ここでは株価に影響を及ぼす可能性の高い重要な指標を紹介します。

PER(株価収益率)

PERとは、株価収益率のことで、株価を1株あたりの利益で割った時に算出される数値のことを指します。この1株あたりの利益のことをEPSと呼びます。

株価が割安か否かを判断する指標の一つとして使用されることが多いです。

このPERが高いと現在の株価は割高、PERが低いと割安だと判断されます。

上場企業のPERは約15倍であることが多いので、15倍よりもPERの数値が低ければ割安だと判断できます。その反対で、15倍よりも高ければ、割高だと判断できます。

PERをもっと詳しく知りたいという人は次の記事も参考にしてくださいね。

PBR(株価純資産倍率)

PBRとは、株価純資産倍率のことです。株価が割安か否かを判断するための指標としてよく用いられます。PBRの計算式を見てみましょう。

PBR=株価÷1株純資産

PBRの数値を算出することで、現在の株価は1株純資産の何倍に相当するのかを知ることができます。

純資産というのは会社の総資産から負債などを差し引きした金額のことで、その企業における本当の資産と言えます。純資産は株主から預かっているお金でもありますので、もしも企業が解散すると、この純資産が配分され、株主に還元されることになります。

健全な企業のPBRを算出した場合、その数値は1倍を超えるでしょう。もしもPBRが1倍以下ということは、純資産よりも会社の価値が低くなってしまうからです。

じゃあPBRが1倍未満の会社は、必ずしも赤字を沢山抱えている企業ってこと?
そのようなことはありません。確かに赤字を抱えている企業や、業績が悪化している企業はPBRが1倍未満になることがあります。

ただ例外的に財務状況がしっかりしている優良企業なのに、一時的にPBRが1倍未満まで落ち込むこともあるのです。

このような企業は、現在はたまたま運悪くPBRが落ち、株価が下落しているだけなため、将来的には再び株価が上昇する可能性がとても高いです。

つまり優良な企業なのにPBRが1倍未満の企業の株は今後価格が上がる可能性が高いため、買いのチャンスであるということ。

優良企業なのに株価が低迷する原因というと、例えば国内の景気が悪化し、株式市場全体の株価が悪化している時などがまさにそれです。

このような、企業とは関係のない部分が原因で株価が落ちた時こそ、実は買いのチャンスとなるのです。

ROE(自己資本利益率)

ROEとは、自己資本利益率のことです。

ROEの数値は、当期純利益を純資産で割り、その数値を100倍にすることで算出できます。

ROE=当期純利益÷純資産×100

ROEの数値は、株主の資本に対して、どれだけの利益を出すことが出来たのかを示しています。

ROEの数値は5%から7%以上あると良いとされます。ROEの数値が高い企業は、企業としての成長率が高いため、将来が期待できます。

テクニカル分析とファンダメンタルズ分析ではどちらが良いのか?

テクニカル分析もファンダメンタルズ分析も、どちらにも一長一短があるため、必ずしもどちらかが優れているというわけではないです。

テクニカル分析にはファンダメンタルズ分析にはないメリットがありますし、ファンダメンタルズ分析にはテクニカル分析にはないメリットがあります。

例えば、テクニカル分析は短期間における売買のポイントを探る上で役立つ手法です。その一方で、チャート以外の情報が取得できないため、どの株が将来値上がりする見込みが高いのか、有望株を見つけることが難しく、長期投資には向いていません。

他方でファンダメンタルズ分析の場合、短期的な視点が欠落しているので、売買のポイントを探るのが難しいです。その反面、将来の値上がりが期待できる有望な株を見つけるのが得意なため、中長期の展望を読みやすいです。

テクニカル分析は短期トレード向き、ファンダメンタルズ分析は長期トレード向き

投資による利益を狙うのであれば、本来であればファンダメンタルズ分析とテクニカル分析、両方を極めた方が良いでしょう。

そもそも、人によって分析方法との相性はそれぞれ違うため、こちらの方が優れた手法だと一概に見なすことはできません。どれほどファンダメンタルズ分析が素晴らしい手法だったとしても、実際に使用してみて相性が悪いのであれば、テクニカル分析を選んだ方が良いです。

その反対で、テクニカル分析ではまったく勝てず、利益が出ないという方は、ファンダメンタルズ分析を試した方が良いでしょう。

テクニカル分析とファンダメンタルズ分析は、両方学んだ方が良いのかしら?
テクニカルとファンダメンタルズの両方を使うと、お互いの欠点を補完することができます。どちらも投資の役に立つ分析方法だから、両方覚えておくのがおすすめですよ。テクニカル分析に興味がある人は「テクニカル分析とは?株価チャートで移動平均線の使い方を解説」の記事も読んでみてくださいね。

テクニカル分析とファンダメンタルズ分析の応用例

株式投資で利益を得ようと思うなら、テクニカル分析とファンダメンタルズ分析の両方を習得しておけば、余計なリスクを排除しつつ、尚且つ値上がりが期待できる株に絞って適切なトレードができるようになるため、効果的な投資が行えます。

いくらテクニカル分析の技法を学んだところで、将来の値上がりが期待できない企業の株価チャートでは、手の出しようがありません。テクニカル分析の技法を発揮させるためには、値上がりが期待できる企業の株価チャートを参考にトレードをする必要があります。

ファンダメンタルズ分析で、将来の値上がりが期待できる有望な株を見つけたら、その後はテクニカル分析を使用して売買のポイントを探してみましょう。

このように、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析、両方を併用し、お互いの欠点を補完することが、株式投資で結果を出すためのコツです。

ファンダメンタルズ分析を行って「上がる株」を探してみよう!

ファンダメンタルズ分析を行うことで、将来株価が上がる見込みの高い企業を見つけることができます。そのような企業に投資をすれば、将来的には値上がりした分の利益を得ることができるでしょう。

ただ、ファンダメンタルズ分析にもデメリットがあります。このデメリットを解消するにあたって、テクニカル分析が役立ちます。

ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析は対称的な分析方法です。それだけに、併用して使用すると、お互いの弱点が克服され、より効果的な運用が可能になります。株式投資を始める際には、ファンダメンタルズだけでなく、テクニカルも一緒に学んでみましょう。