住宅ローンの返済
完済したら終わりじゃない!住宅ローンを払い終わったら何が必要?

完済したら終わりじゃない!住宅ローンを払い終わったら何が必要?

住宅ローンは、最長で35年にわたる長期の返済をし続けるものです。だからこそ、完済したときの安心感や達成感は大きいですよね。

ただ、住宅ローンを完済すればそれでOK!とはなりません。なぜなら、住宅ローンを完済してからもやらなければいけない手続きが残っているのです。

住宅ローンを払い終わった後に何が必要になるのか、その手続きを忘れたらどうなるのか、しっかり押さえておきましょう。

住宅ローン完済後に必要となる手続きをチェック

まず、住宅ローンを完済した際にどのような手続きがあるのかをご紹介します。考えられる手続きとしては、次の2つが挙げられます。

  • 抵当権の抹消手続き
  • 火災保険の質権消滅手続き

それぞれの手続きについてご紹介していきましょう。

抵当権の抹消手続き

住宅ローンを完済した後は、抵当権の抹消手続きをしましょう。

住宅ローンを契約する際、不動産を担保とするために抵当権が設定されます。ただ、住宅ローンを完済すれば当然抵当権を付ける必要がなくなりますよね。

ただ、抵当権は住宅ローンを完済しても自動的に抹消するわけではなく、自分で抵当権抹消の手続きをしなければいけないのです。

必要ないので抵当権を外す、という手続きがあるということは覚えておきましょう。

火災保険の質権消滅手続き

住宅ローンを契約する際、火災保険にも加入することが一般的です。

火災保険が質権設定契約となっている場合は、万が一火災が起きた場合に保険金を金融機関が優先して受け取ることができるようになっています。

火災が起きても住宅ローンについて金融機関が回収できるための保険となっているわけです。

質権設定契約となっている場合は、勝手に契約の変更等をすることができません。住宅ローンの完済後には、質権証明承認請求書が送付されてきますので、それをもとに手続きをするようにしましょう。

ただ、火災保険を解約しなければいけないというわけではありませんし、追加の保険料が必要となるわけでもありませんん。

受取人が金融機関ではなく契約者になるということですから、必ず手続きをしておきましょう。

住宅ローンは完済したからって言って安心しちゃダメなんだ。

覚えておかなきゃヤバイね。

一括返済後も手続きは必要!

紹介した手続きは、住宅ローンを繰り上げ返済で一括返済した場合も同様です。

一括返済をした場合は特に、まとまった金額を一度で返済すること、事前に金融機関への連絡が必要な事で、その後の手続きについて頭が回らないかもしれません。

一括返済についての注意点は、こちらの記事でもご紹介しています。

住宅ローンの返済が終わったからと言って安心せず、必要な手続きをきちんと済ませるようにしておきましょう。

住宅ローン完済後は必須!抵当権抹消手続きの方法とは

では、抵当権抹消手続きの具体的な方法についてご紹介していきましょう。

まず、抵当権抹消手続きに必要な書類がこちらです。

  • 抵当権設定契約証書
  • 抵当権解除証書または弁済証書
  • 代表者事項証明書または登記事項証明書
  • 金融機関からの委任状
  • 抵当権抹消登記申請書

このうち、自分で用意するのは抵当権抹消登記申請書のみです。抵当権抹消登記申請書は、法務局のホームページから無料でダウンロード・印刷することができます。

抵当権抹消登記申請書の記載方法についても、ホームページで紹介しています。

他の書類は、住宅ローン完済後に金融機関から届きますのでしっかり確認しておきたいですね。

金融機関から届く書類のうち、自分で記載するのが必要なのは抵当権解除証書または弁済証書、そして金融機関の委任状にある空欄です。

日付や物件について記載をしてください。

では、具体的な流れを見ていきましょう。

①必要書類を用意
②法務局で手続き
③登記完了後、法務局で書類を受け取る

書類さえそろえば、あとは法務局で手続きをするだけです。最寄りの法務局については、法務局のホームページから検索することが可能です。

法務局の担当者に相談がしたい、ということであれば、予約制である場合もありますので事前に問合せておきたいですね。

特に不明なことがなければ郵送で手続きすることも可能ですし、申請用総合ソフトをダウンロードすれば、オンラインで申請することもできます。

抵当権抹消登記申請は、必要書類はほとんど金融機関が送ってきてくれるのですね。

これは、専門家に相談しながら申請することが必要なのでしょうか。

抵当権抹消登記申請は、自分で行うことが可能です。

詳しくは次でご紹介しますね。

抵当権抹消手続きは自分でも出来る!

抵当権抹消手続きは、司法書士に依頼することもできます。ただ、手続き自体は特に難しいものではありませんので、自分自身で手続きをすることもできます。

自分で手続きするメリットとしては、費用を抑えられる点が挙げられます。

自分で手続きした場合 司法書士に依頼した場合
不動産1つにつき1,000円
*土地と建物であれば合わせて2,000円
不動産1つにつき1,000円
*加えて、依頼手数料・諸費用で
 5,000円~20,000円程度

また、これとは別に抵当権を抹消したことを証明する登記事項証明書に、不動産1つにつき600円が必要となります。

手続きについては法務局で教えてもらえるので、自分で手続きしようと思ったときはまず書類を揃えて最寄りの法務局に行ってみると良いですね。

抵当権抹消手続きは早い方が良い?

実は、抵当権抹消手続きに期限はありません。いつまでにしなければいけない、という決まりはありませんし、抵当権抹消手続きが義務付けられているわけでもありません。

抵当権抹消手続きをせずにいると、登記簿に抵当権がついたままになってしまいます。

住宅ローンが完済されていない物件だと思われるので、家を売る時に買い手がつきにくくなってしまうのです。

抵当権抹消手続きに必要な書類の中には、有効期限が発行後3か月となっているものもあります。できるだけ早めに手続きしたいですね。

住宅ローン完済後は火災保険はどうなるの?

住宅ローンを契約する際、火災保険への加入が義務付けられていることがほとんどです。

では、住宅ローンを完済したらその火災保険はどうなるのでしょうか。

火災保険は、住宅ローンを完済することで自動的に解約されると言うものではありません。火災保険の満期までは、そのまま継続することが可能です。

ただ、満期を迎えてしまえば火災保険の適用外となります。その後、火災が起こっても保証はされません。

住宅ローンを完済していれば火災保険は加入しなくても良い?

住宅ローンを返済しているときは、火災保険は欠かせないものです。

万が一火災で家具や家を失うことになれば、新たに住む家の家賃に加えて、住宅ローンの返済が重くのしかかってきますからね。

ただ、住宅ローンを完済していれば、万が一火災が起きてしまったとしても新たな負担は家賃や失った家財分のみで済みます。

火災保険は、決して低い保険料ではありませんよね。

何となく加入した方が良いと思っていましたが、入らないという選択をしても良いのでしょうか。

いつ起きるか分からない火災に備えて支払い続けることと、万が一のときのために貯蓄をしておき、いざとなれば使える資金があるのは、どちらが良いか考えておきたいところです。

また、火災保険はその商品によって補償範囲が異なりますので、細かくチェックしておくことも重要です。

住宅ローン契約時に一緒に契約する特約火災保険は、ローンを完済した際に解約することも可能です。解約返戻金もありますので、確認しておくと良いでしょう。

火災保険の補償は様々!必要なものを見極めることが大切

火災保険には、様々な補償をつけることができます。ただ、いろいろ補償をつけても保険料が上がるだけです。

  • 火災リスク
  • 日常災害リスク
  • 風災や水災リスク
  • 日常災害補償

必要なものがどれかを見極め、選択しましょう。

住宅ローンを払い終わっても貯蓄が必要!

住宅ローンを完済したのであれば、毎月のローン返済がなくなることで家計に余裕が出てきます。

ただ、だからといって住宅ローン返済に充てていた金額を自由に使って良いというわけではありません。

住宅ローンの返済金額と同様の金額は、毎月しっかり貯蓄しておくことをオススメします。

住宅ローン完済後も、現金が必要になる状況は多々あります。

  • 教育資金
  • 冠婚葬祭
  • 医療費
  • 老後資金

特に、定年後は収入が大きく減りますので、そのための生活資金を定年までにしっかり用意することが大切です。

老後資金としては65歳から90歳までで3,000万円が必要になるとも言われています。

ただ、必要となる資金は得られる年金額や毎月の生活費などによって異なります。

必要となる老後資金の金額について、コチラで特集しております。

住宅ローンを完済したからって言って贅沢できるわけじゃないってことか。
完済して毎月の支出が減るからこそ、しっかり貯蓄することを心がけておけば老後貧乏のリスクを減らすことができますね。

住宅ローン完済後は抵当権抹消手続きを忘れずに!

住宅ローンを完済したら、それで終わりというわけではありません。住宅ローン契約時に設定した抵当権は、自分で抹消手続きをしなければいけないのです。

ただ、抵当権抹消手続きに必要な書類はほとんど金融機関から送付されますし、手続き自体も自分で行うことが可能なのでそこまで手間がかかるものではありません。

抵当権を抹消しなかった場合、登記に抵当権が記載されたままになるので住宅ローンを完済していないように思われてしまいます。出来るだけ早めに手続きするようにしたいですね。

監修者メッセージ

抵当権の解除は金融機関から書類が届いたら、さっさと済ませてしまったほうがよいでしょう。

書類の有効期限が経過したら、いざ抹消登記をしようとする場合、わざわざ連絡して書類を送ってもらわなければなりません。

金融機関の合併などの変化もあり、時間が経てばたつほどわかりにくくなるものです。

プロフィール
不動産売却カテゴリー記事監修(弘中純一)
弘中 純一
宅地建物取引士、一級建築士の資格を保有。
中古住宅・中古アパートの媒介業務・調査業務に従事し、現在は札幌市内の宅建業者にて専任の取引士を務めている。
2006年より、住宅に関する無料の相談サイトを開設し、住宅リフォームや中古住宅購入の相談に応じている。