個人年金保険の保険料で所得控除を受けるための4つの条件とは
個人年金保険の保険料は、特定の条件さえ満たせば個人年金保険料控除という所得控除を受けることが可能です。
実は、個人年金保険料控除は大きな節税効果が見込めるものとなっています。ですから、個人年金保険をお得に利用したいという方はぜひ押さえておきたい情報なのです。
個人年金保険料控除を受けるためにはどのような条件をクリアする必要があるのか、そしてどのくらいの金額がお得になるのか、詳しくご紹介していきましょう。
個人年金保険料控除を受けるための4つの条件
まずは、個人年金保険料控除がどのようなものかについて説明します。
1年間に支払った保険料に応じて、所得税や住民税が安くなるという制度
つまり、この制度を利用する事で得をすることができるわけです。
ちなみに、個人年金保険料は支払いが厳しくなった際に払い済み保険に変更することで、以降の保険料支払いが不要となるお得な仕組みもあります。
個人年金保険の払い済み保険については、こちらの記事を参照してください。
では、まず個人年金保険料控除を受ける条件についてご紹介しましょう。
個人年金保険料控除を受けるためには、4つの条件を満たさなければいけません。
- 年金受取人の名義が契約者または配偶者のどちらかである
- 年金受取人は被保険者と同一である
- 保険料を払い込む期間が10年以上である
- 受け取り年金の種類が、確定年金・有期年金の場合は、年金開始日における被保険者の年齢が60歳以上で、年金受取期間が10年以上である
契約する個人年金の種類や払込期間によっては個人年金保険控除を受けられない場合がありますので注意が必要です。
個人年金保険の種類について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてくださいね。
その場合は他の保険料控除の対象となりますので、これからご紹介しますね。
個人年金保険の基本的な情報について詳しく知りたいという方は、ぜひこちらの記事をご覧ください。
個人年金保険の保険料は一般の生命保険料控除の対象にもなる!?
個人年金保険で、保険料を一括で支払ってしまった場合、また、他の要件を満たすことが出来なかった場合は、個人年金保険料控除を受けることはできません。
しかし、個人年金保険料控除を受けられない年金保険については、一般の生命保険料控除の対象となります。
一般の生命保険料控除額は、他の終身保険や医療保険も対象となります。すでに他の保険料支払いで控除額の上限に達している場合は、新たに控除を受けることができませんので注意しておきましょう。
ちなみに、一般の生命保険料控除額の上限は最大50,000円となっており、各区分の中で一番大きな金額を生命保険料控除額とすることが可能です。
新生命保険料に係る 控除額 |
旧生命保険料に係る 控除額 |
両方の適用を受ける場合の 控除額 |
---|---|---|
30,000円 | 50,000円 | 40,000円 |
この区分は、任意で選択することが出来ます。
なお、保険に関する控除には生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除がありますが、合計して最高で120,000円までという上限がありますので、いくら保険料を多く支払っていても120,000円を超える控除を受けることはできません。
どのくらいお得?個人年金保険の控除額を計算してみよう
個人年金保険料控除を用いることでどのくらいお得になるのか、実際に計算してみましょう。
個人年金保険料の控除額については、支払い保険料などに応じて変わります。
平成24年1月1日以降に契約した個人年金保険の場合は、以下の計算式で控除額を計算することが可能です。
年間の支払い保険料 | 控除額 |
---|---|
20,000円以下 | 支払い保険料等の全額 |
20,000円超~40,000円以下 | 支払い保険料等×1/2+10,000円 |
40,000円超~80,000円以下 | 支払い保険料等×1/4+20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
これより前の契約だと計算とか違ってくるとか?
新旧制度の違いについては、次で説明します。
個人年金保険料控除を使えば、新制度でも最高で40,000円分の控除を受けることができるのです。
所得税率が10%の方であれば40,000円×10%の4,000円、所得税率が20%の方なら40,000円×20%で8,000円が節税できる計算になります。
ちなみに、個人年金保険料控除によってお得になるのは所得税だけではありません。住民税についても、新制度の場合は最高で28,000円の控除が受けられます。住民税の税率は一律で10%となっていますから、28,000円×10%の2,800円お得になるという計算です。
ですから、所得税率が10%の人は最大4,000円+2,800円=6,800円節税できるという計算です。
個人年金保険料控除の上限額をチェック
先ほど、一般的な生命保険料控除額については上限があり、個人年金保険料控除と介護保険料控除を合算して最高120,000円までが適用限度額となることをご紹介しました。
では、個人年金保険料の詳しい控除限度額がどうなっているのか見ていきましょう。
新契約に基づく場合の 控除額 |
旧契約に基づく場合の 控除額 |
両方の適用を受ける場合の 控除額 |
---|---|---|
40,000円 | 50,000円 | 40,000円 |
個人年金保険料控除は、新契約か旧契約か、併用するかによって控除限度額が違ってくるわけです。
個人年金保険は、条件さえ満たせば個人年金保険料控除を用いて大きく得をすることができます。ただ、個人年金保険にもメリットとデメリットがありますので、それをよくチェックしてから申し込むようにしたいですね。
個人年金保険のメリットとデメリットが気になる方には、こちら申し込む前に要チェック!個人年金保険のメリットとデメリットの記事がオススメです。
個人年金保険料控除は年末調整での申告が必要!その書き方とは
個人年金保険料控除は、ただ黙っていれば受けられると言うものではありません。
個人年金保険料控除を受けるためには、年末調整もしくは確定申告の手続きが必要となります。
一定の条件をクリアした個人年金保険料については、年末調整の保険料控除申請書にある個人年金保険料欄に記載します。
記載する内容は、以下の通りです。
- 保険会社名
- 年金名称
- 年金の支払い期間
- 年金の受取人名
- 年金の支払い開始日
- 新・旧区分
- 控除証明書に記載してある申告額または参考額
- 新旧それぞれの合計額
- 新旧それぞれの控除額を計算して金額を記入(上限は新契約40,000円、旧契約50,000円)
- 新旧の合計額(上限は40,000円)
- 新旧それぞれの控除額と、合計額のどちらか大きい方を記載
これは、保険会社から送られてくる生命保険料控除証明書を見れば簡単に記載することができます。
ただ、控除額だけは自分で計算しなければいけませんので、間違えないように慎重に計算するようにしましょう。
個人年金保険は4つの条件を満たせば個人年金保険保険料控除が適用!
また、住民税でも最高で2,800円の節税効果がありますので、個人年金保険を契約している人、契約を考えている人はしっかり押さえておきましょう。
控除限度額は、新契約か旧契約かで上限が異なります。自分の契約がどちらに該当するかについても、しっかりチェックしておきたいですね。
すでに保険料を一括で支払ってしまっていたら、その場合はどうなるのでしょうか。