住宅ローン金利は固定と変動どっちがお得か分からないって本当!?
住宅ローンを申し込むときに最も悩むポイントは、固定金利と変動金利、どちらを選ぶか、という点では無いでしょうか。
もちろん、誰だってお得な方を選びたいですよね。ただ、固定金利と変動金利はどちらがお得なのか、申し込む時点ではっきりと断言することはできません。完済してみなければ、分からないのです。
しかし、固定金利と変動金利どちらを選んだ方が良いのかを判断するポイントはいくつかあります。固定金利と変動金利を選択するために知っておきたい情報、ぜひチェックしてくださいね。
固定金利と変動金利の違いを比較
まず、固定金利と変動金利にどのような違いあるのかを見ていきましょう。
固定金利 | 変動金利 |
---|---|
・決められた期間金利が変わらない ・市中金利が変動しても影響を受けない※ ・借入時の金利は高め |
・市中金利により半年ごとに見直し※ ・返済額は5年ごとに見直し ・借入時の金利が最も低い |
固定金利は金利が決まっている、変動金利は状況に応じて変動する、というのが特徴となります。
一部期間だけ固定金利の固定期間選択型とは
住宅ローンの金利には、固定期間選択型というタイプもあります。
固定期間選択型とは、契約時に決めた一定期間のみは固定金利、期間終了後は変動金利に移行するというものです。
固定期間は金融機関によって3年、5年、10年、15年など選択可能となっています。当初金利は、固定期間が短いほど低くなる傾向にあります。
固定金利の種類についてもっと詳しく知りたい方には、こちらの記事がオススメです。
固定金利と変動金利のメリット・デメリット
では、固定金利と変動金利のメリットとデメリットをチェックしていきましょう。
金利タイプ | メリット | デメリット |
---|---|---|
全期間固定金利型 | ・金利が変動しない ・支払総額が変わらない ・ライフプランが立てやすい |
・比較的金利が割高になる |
変動金利型 | ・固定金利より低い金利設定 ・金利が低いときなら 支払い利息が少なくて済む |
・金利変動によって 返済額が膨らむ恐れがある ・返済総額が見えない |
固定期間選択型 | ・全期間固定金利より低金利 ・金利変動リスクが低くなる |
・固定期間終了後に返済額が 大きく増額する恐れがある |
固定金利は変動金利と比較すると割高です。
しかし実際バブル崩壊以後の住宅ローンは超低金利が継続している状態です。現在でも固定金利と変動金利での単純な金利差は1%未満になっています。
変動金利型は将来的に金利が上がれば返済負担が大きくなる可能性もあります。しかし直近の数十年間、変動金利を恐れるべきというような目立った金利の上昇はありません。
全期間固定金利よりも金利も低くなっているという点も、メリットだと言えます。
それぞれのメリットとデメリットについて、しっかり認識しておきたいですね。
固定金利と変動金利の利用者はどちらが多い?
実際に住宅ローンを利用している人のうち、固定金利と変動金利の利用者はどちらが多いのでしょうか。
住宅金融支援機構の調査によると、2016年3月~2019年3月までの民間住宅ローン利用者の推移は次のようになっています。
調査期間 | 変動型 | 全期間固定型 | 固定期間選択型 |
---|---|---|---|
2016年3月~9月 | 49.2% | 13.9% | 36.9% |
2016年10月 ~2017年3月 |
47.9% | 17.0% | 35.1% | 2017年4月~9月 | 50.4% | 12.6% | 36.9% |
2017年10月 ~2018年3月 |
56.5% | 13.3% | 30.1% | 2018年4月~10月 | 57.0% | 17.7% | 25.3% |
2018年10月 ~2019年3月 |
60.3% | 14.6% | 25.1% |
直近(2018年10月~2019年3月)では6割以上が変動金利を選んでおり、固定期間選択型は25%程度まで大幅に減少しています。
変動金利には金利上昇のリスクがありますが、ここ数十年の実績を考えると低金利で安定していることが選ばれやすい要因だといえます。
ただ、将来的に金利が上昇する可能性が否定できませんから、金利がアップしたときに返済できるかどうかについてしっかり検討しておきましょう。
今後の金利が上がると想定されれば固定金利の利用者が増える!
現在は利用者が少ない全期間固定金利ですが、実は2006年の調査では全期間固定金利を選択する人が70%以上となっていました。変動金利を選択した人は、わずか7%程度だったのです。
その時点では、今後の景気が上がり、金利が上がると予想されていたために安定・安心を求めて固定金利を選択する人が多かったわけですね。
景気の見通し次第で、固定金利と変動金利の選択が変わるということですね。
変動金利の金利推移については、こちらの記事で紹介しています。
どうして景気次第で選ぶ金利タイプが異なるのか、それは、住宅ローンの返済総額を出来るだけお得にしたいと考えるからですよね。
しかし、実際は最終的にどの金利タイプがお得だったのか、完済してみるまで分かりません。金利が上がるか下がるか、それは契約時点ではっきり見えないためです。
どの金利タイプを選べばお得か、ということも大切ですが、自分が無理なく完済できる金利はどのタイプか、ということを考えることが大切なのです。
住宅ローン金利で変動と固定を迷ったらココをチェック!
では、実際住宅ローンの金利は変動と固定、どちらを選べば良いのでしょうか。迷ったときにチェックしてほしいポイントが、次の3点です。
- 返済期間
- 余剰資金(今後の見通しや、資金状況など)
- 今後の収入
では、それぞれのポイントについてタイプ別にオススメの人をチェックしていきましょう。
全期間固定型
全期間固定型は、完済まで金利が変わらないので、安定した返済を望む人におすすめです。
金利の変動を、長期間気にし続けるのがストレスになる方にも、全期間固定型はおすすめですね。
また、以下のポイントも押さえておきましょう。
ポイント | 内容 |
---|---|
返済期間 | ・比較的長期を考えている |
余剰資金(今後の見通しや、資金状況など) | ・返済以外に資金をかけたい ・教育資金などが必要となる |
今後の収入 | ・今後の収入が大きく上がるわけではない |
このように「先々のライフイベント・予期せぬトラブルに備え返済額を一定にすることで、返済計画が立てやすい」というのが全期間固定型のメリットです。
これらのポイントに当てはまるのであれば、全期間固定金利の選択を検討してみましょう。
変動型
変動型は、現在の低金利によるメリットを受けたいという方にオススメです。他にも、次の点をチェックしておきましょう。
ポイント | 内容 |
---|---|
返済期間 | ・比較的短期 ・長期でも繰り上げ返済で期間短縮を検討 |
余剰資金(今後の見通しや、資金状況など) | ・返済のための貯蓄が可能 ・教育資金などが早めに落ち着く |
今後の収入 | ・夫婦共働きで余裕がある ・収入がアップする見込み |
変動金利を選択する際は、金利が上がった時の返済能力があるかどうかが重要となります。
ただし、変動型は返済額の増額は5年ごと、しかも125%以内という制限がありますので、その金額を用意できるのであれば問題ありません。
あとは、低金利のうちにできるだけ元金を減らすため、計画的な繰り上げ返済をすることも大切ですね。
繰り上げ返済を行えば返済期間または毎月の返済額をへらすことができますが、急な出費に対応することが難しくなる可能性もあるため注意が必要です。
固定期間選択型
固定期間選択型は、今後の金利上昇が不安だけど全期間固定よりも低金利で借り入れがしたいと考える人オススメです。
他のポイントを見てみましょう。
ポイント | 内容 |
---|---|
返済期間 | ・固定金利終了後、早めに完済できる見込み |
余剰資金(今後の見通しや、資金状況など) | ・固定金利終了後の金利上昇に対応できるだけの 十分な貯蓄が可能 |
今後の収入 | ・夫婦共働きで安定 ・収入アップが見込めるので余裕がある |
固定期間選択型の場合、固定期間終了後の返済に対応できるかどうかが大きなポイントです。
ただ、変動金利移行後に金利が下がっていれば良いのですが、金利が大きくアップしていれば返済額が一気に増えるリスクの方が怖いものです。
固定金利期間終了後、金利変動リスクを考えて出来るだけ早い完済を目指したいですね。
ベストな住宅ローン金利の選び方は人それぞれ!
安定して返済し続けたいなら全期間固定金利型、金利変動に対応できる余力があるなら低金利の変動型、一定期間の固定金利を希望するなら固定期間選択型、それぞれのメリット・デメリットをチェックした上で検討しましょう。
最終的にいくら返済することになるかを考えて金利タイプを選ぶというより、自分が無理なく完済するためにどの金利プランが適しているかを考えたいですね。
近年において目立った金利上昇がなかったということは事実です。しかし、だからと言ってこの状況を楽観的に捉えすぎてしまってはいけません。景気は常に動く可能性を秘めているものですから、(気にしすぎることもよくないですが)変動金利は「常に変動リスクに晒されている」という認識は持っておかなければなりません。
4年ほど専任の宅建士として不動産業者に勤務し、現在はマンション管理士・消防設備士として独立。
宅建士としての知識や立場を活かし、不動産売買時の疑問点などの相談を受けている。