
失敗しない住宅ローンの繰り上げ返済をご紹介
住宅ローンの返済方法に、繰り上げ返済があります。通常の返済に加えて返済をすることでメリットが得られるわけですが、正しい情報を把握していないと失敗してしまう恐れも…!
繰り上げ返済と言っても、2つの種類があります。また、繰り上げ返済はすればするだけ良いというわけではなく、デメリット・リスクもあるのです。
住宅ローンの繰り上げ返済を失敗しないために知っておきたい情報を、1つずつチェックしていきましょう。
住宅ローンの繰り上げ返済は2種類!
住宅ローンの繰り上げ返済は、通常の返済にプラスして返済をするというものです。元金を効率よく減らすことが出来るので、支払総額が少なくなるメリットがあります。
ただ、住宅ローンの繰り上げ返済方法は1つだけではありません。それが、次の2種類です。
- 期間短縮型
- 返済額軽減型
2つの特徴を簡単に比較してみましょう。
項目 | 返済期間短縮型 | 返済額軽減型 |
---|---|---|
返済期間 | 短くなる | 変わらない |
毎月の返済額 | 変わらない | 減る |
繰り上げ返済の2つの繰り上げ返済方法の違いは、返済期間と毎月の返済金額です。
いずれの方法を選択しても、元金が減ることによる支払利息総額の減額効果が期待できます。
例として、3,000万円を金利1.5%、35年の固定金利で借り入れしたケースを考えます。
5年後に100万円を繰り上げ返済した場合、2つの繰り上げ返済にどのような違いがあるのかを見ていきましょう。
項目 | 繰り上げ返済なし | 返済期間短縮型 | 返済額軽減型 |
---|---|---|---|
残存返済期間 | 30年 | 28年8か月 | 30年 |
毎月の返済額 | 91,855円 | 91,855円 | 88,404円 |
返済総額 | 38,579,100円 | 38,055,635円 | 38,336,740円 |
期間短縮の場合は返済総額が50万円ほどお得に、そして返済額軽減の場合でも返済総額が20万円ほどお得になることが分かります。
返済総額としては、期間短縮型の方が支払い利息を軽減できるので金額的なメリットが大きいと言えます。
ただ、毎月の返済額を軽減することで毎月の家計負担が楽になるメリットもありますので、どちらが良いのかは慎重に考える必要があります。
繰り上げ返済の2つの種類の特徴については、次の項目で更に詳しく解説していきましょう。
繰り上げ返済①期間短縮の特徴
期間短縮型の場合、やはり支払い利息総額を大きく減らすことができる点が最大の魅力です。また、期間短縮型を選択すると、住宅ローンの返済を従来の予定よりも早めることができる、早く完済できるというメリットもあります。
住宅ローンの返済が終われば、毎月の支出を大きく減らすことが可能です。特に、収入は減るのに支出は増える可能性がある老後の生活を考えると、早めに返済を終えることはとても重要になります。
住宅ローンは、40代からでも35年ローンを組むことは不可能ではありません。
定年後もローンを返済することが前提となっていますが、やはり退職後の収入減少で住宅ローンの負担は大きなものになりますし、退職金は老後資金としてしっかり確保しておくことが望ましいのも事実です。
できるだけ早く返済したい、今の毎月の返済が苦ではないという場合は、期間短縮型を選択すると良いでしょう。
支払い利息軽減は住宅ローン控除よりもお得?
住宅ローンを利用している人は、出来るだけお得に利用したいと思っているはずです。当然、住宅ローン控除制度もチェックしていることでしょう。
住宅ローンの減税措置。住宅ローンの年末残高の一定割合が、所得税から控除される。
繰り上げ返済をすると、返済残高が減ってしまいます。それによって住宅ローン控除の金額が減ってしまうことを気にする人も少なくないでしょう。
実は、繰り上げ返済による住宅ローンの支払い利息軽減効果の方が、住宅ローン控除の金額よりもお得になるというケースも少なくはありません。
住宅ローンの返済期間短縮のメリットは、住宅ローン控除よりも効果がある可能性が高いのです。
しっかりシミュレーションすることが大切ですね。
住宅ローン控除については、こちらの記事で特集しています。
繰り上げ返済②返済額軽減の特徴
返済額軽減型の場合、毎月の返済負担を減らすことができる点がメリットとなります。
子どもの教育資金など、今後月々の支出が増えることが予想できるのであれば、繰り上げ返済によって月々の返済金額を減らすことで負担を軽減することが可能です。
無理なく返済を続けるためにも、将来の支出増加が見込まれる場合は返済額軽減を選択すると良いでしょう。
詳しくは、次で説明しますね。
繰り上げ返済のメリットやデメリットについて更に詳しく知りたい方には、こちらの記事がオススメです。
将来収入が減るかもしれないケースとは
基本的に、1つの勤務先で働いていれば収入はどんどん高くなる傾向にあります。ですから、将来的に収入が下がるということは、なかなかイメージしないかもしれません。
収入が減ると思われるケースを考えてみましょう。
- 現在は共働きでも将来出産などで働き手が減る
- 定年退職
- 病気・怪我
貯金を全額繰り上げ返済は危険!手元にいくら残すべき?
繰り上げ返済をすれば、総返済額が抑えられるのでお得になります。ただ、だからといって貯金を全額繰り上げ返済に充てるのは危険です。
支出は、住宅ローンだけではありません。
- 冠婚葬祭
- 医療費
- 教育資金
様々なタイミングで、急な出費を求められる場合があるわけです。その際、現金が用意できなければ困りますよね。
住宅ローンの金利は、カードローンやフリーローンの金利よりもかなり低いものです。
フラット35 | 大手消費者金融 | 銀行カードローン |
---|---|---|
1.4~2.5% 借入期間21年以上 |
18%前後 | 3.5~15% |
現金が不足してキャッシングやカードローンを利用することになれば、せっかく繰り上げ返済をしてお得になった金額よりも損失の方が大きくなってしまうのです。
ですから、貯金はしっかり確保しつつも余裕がある範囲で繰り上げ返済をすることが望ましいのです。
貯金と繰り上げ返済のタイミングは?
繰り上げ返済をするにあたって、どのくらい貯金を残しておけば安心なのでしょうか。
実は、一概にいくらとは言い切ることはできません。なぜなら、いつ、どのくらいの金額が必要となるかはその家庭によって異なるためです。
住宅を購入してから10年は、住宅ローン控除の対象となる期間でもあります。この間に、どのくらいの支出が今後見込まれるのか、しっかりと考えておくことが大切です。
そして、将来の見通しをしっかりと立てた状態で、貯金額と繰り上げ返済の金額を考えるようにしましょう。
自分の生活に負担をかけないのが繰り上げ返済の賢い返し方
ただ、今後収入が減る、もしくは支出が増えるといった可能性がある場合は、月々の返済金額を軽減しておくことで無理なく返済を続けることが可能となります。
どちらを選択した方が良いのかは、その人ごとのライフスタイルによって異なります。無理なく返済できるよう、負担が少なくなるよう、よく考えて選択するようにしたいですね。
新築住宅を購入してから10年以上経過すると、大きな金額のリフォーム工事をしなければならないこともあります。
リフォーム工事の資金を、リフォームローンにより賄う場合、リフォームローンは住宅ローンより金利が高く返済年数が短いのが一般的です。
繰り上げ返済する資金をリフォームの資金にする考えもあるでしょう。

中古住宅・中古アパートの媒介業務・調査業務に従事し、現在は札幌市内の宅建業者にて専任の取引士を務めている。
2006年より、住宅に関する無料の相談サイトを開設し、住宅リフォームや中古住宅購入の相談に応じている。