プロパーローンは住宅ローン難民の救命船となるか?
「プロパーローン」という言葉をご存知でしょうか。多くの人にとって耳慣れない単語だと思われます。
しかし住宅ローンを組む時に、プロパーローンのことを知っておくと、最終手段として活用できる可能性があります。
このページでは、プロパーローンの意味や、メリット・デメリットについて詳しく説明していきます。
プロパーローンとはどんなもの?
「プロパーローン」とは、提携ローンなどのパッケージをされていない、一般融資全般を指す不動産用語です。これではわかりにくいと思いますので、服でたとえてみましょう。
パッケージされた提携ローンというのは、つまり普通のお店で売っている「既製品」の服です。対してプロパーローンというのは、客の希望に合わせて作られる「オーダーメイド」の服です。
※提携ローンに関する特集記事はコチラです。
住宅ローンにおけるプロパーローンとは?
本来プロパーローンは、1つ1つの企業に合わせた特別なローンという意味を持っています。
しかし住宅ローン関係でのプロパーローンは、保証会社を通さないローン、というような意味で使われています。
保証会社を通す普通の住宅ローンは、一律で条件が決まっています。プロパーローンは、保証会社を通さないことで、住宅ローン希望者それぞれにマッチした融資条件を決めることが可能になっています。
プロパーローンを住宅ローンで使う3つのメリット
プロパーローンを住宅ローンで使う場合、以下の3つのメリットがあります。
- 保証料が不要。
- 審査基準が違う。
- 居住用以外に使用可能。
保証料がいらない
プロパーローンは保証会社を通さないローンです。そのため、保証会社に払うはずの「保証料」が不要になります。
借りるお金が高額になる住宅ローンでは、保証料もかなりの額になります。銀行ごとに差はありますが、数十万から数百万円の保証料はかかるのが普通でしょう。
高い保証料がなくなるなんてすごい、と思われるかもしれませんが、1つ注意点もあります。
プロパーローンは、保証料がないぶん「事務手数料」を高額に設定してあることも多いということです。
保証料分が手数料にまるまる乗っかっていれば、結局プラスマイナスゼロになってしまいます。
むしろ借り換えの時に無駄になってしまう分、事務手数料が高いほうが損になってしまうこともありえます。
プロパーローンなら審査に通ることも
普通の住宅ローンでは、保証会社と銀行による二重の審査がなされます。プロパーローンなら、銀行の審査に通るだけでお金を貸してもらえることになります。
住宅ローンに落ちた理由が、保証会社の審査だった場合、銀行審査だけのプロパーローンにすれば、審査に通る可能性が出てきます。
また、保証料を事務手数料に上乗せしているようなプロパーローンの場合、保証料の分だけ銀行の利益が増えます。
利益が大きいということは、銀行側もできるだけ契約を取りたいということです。その点からも、審査に通る可能性が高まることが期待できます。
※住宅ローンの審査に落ちた方はコチラの記事をチェック!
別荘や投資目的の物件にも適用可能
住宅ローンは、居住用の物件にしか使えない、と決められています。しかしプロパーローンなら、居住用以外の物件購入にも利用可能です。
住宅ローンで別荘を買ったり、店舗併用の住宅を買ったりするのは、条件が厳しくなりますが、プロパーローンにすればそうした悩みを解消できます。
プロパーローンの6つデメリット
プロパーローンにはメリットだけでなく、以下のような6つのデメリットもあります。
- 金利が高い。
- 借入可能額が減る。
- 連帯保証人が不可欠。
- 審査が特別甘いわけではない。
- 審査に時間がかかる。
- 手続きが面倒。
プロパーローンは金利が高い
一番わかりやすいデメリットは金利です。
プロパーローンは、ふつうの住宅ローンよりも、ずっと金利が高くなります。
プロパーローンは、顧客それぞれに合わせたローンですので、金利にもかなりの差異はでます。しかし、どんなに安くても通常の住宅ローンよりも安い金利になる、というパターンは考えられません。
ただし、これはプロパーローンが高すぎるというよりも、住宅ローンの金利が安すぎると言ったほうが良いかもしれません。
住宅ローンの金利は、その他のローン商品と比べて、非常に安く設定されているのです。
借入可能額が減る
これはプロパーローンの金利が高い、という事から発生するデメリットです。
金利に関わらず、自分が返済できる金額の上限というのは決まっています。金利で使われるお金が増えるということは、その分だけ物件購入に割り当てられる金額が減るということです。
たとえば現在の住宅ローンの固定金利0.7%で、4000万円を30年借りた場合、金利は「436万円」ほどになります。
もしも金利が3%のプロパーローンを借りたとすると、金利だけで「2071万円」ほどになってしまいます。
住宅ローンの4400万円と同程度に総支払額を抑えようとすると、借りられる金額が「2900万円」くらいにまで減ってしまいます。
連帯保証人が必須になる
プロパーローンは保証会社の保証が無いため、連帯保証人が必要になります。連帯保証人が用意できなければ、契約はできません。
審査が甘いという保証はない
たしかにプロパーローンなら普通の住宅ローンに落ちた人でも、審査に通る可能性はあります。
しかしプロパーローンは、住宅ローンと審査基準が違うというだけで、特別審査が甘いというわけでもありません。
プロパーローンなら通るだろう、というのは甘い考えです。あくまで1つの可能性として、プロパーローンという別の道もあるのだ、と理解してください。
審査に時間がかかる
プロパーローンは個別の案件のため、審査に時間がかかります。通常のパッケージされたローンの方が銀行も楽なので、どうしても優先度が下がります。
また、プロパーローンに申し込むという事自体、どうして普通の住宅ローンに申し込まないのか、と疑われる要因ですので、しっかりと時間をかけて信用調査をされます。
手続きが面倒
今はネット上で、簡単に住宅ローンの審査申し込みができるようになってきています。しかしプロパーローンの場合は、そうはいきません。
自分で銀行におもむき、銀行の担当者と話し合いながら、すべての手続きをやっていかなくてはいけません。
ただし、担当者と話し合うということは、うまく自分の状況を説明できれば審査に通りやすくなるというメリットでもあるとは言えます。
プロパーローンは最後の手段!なるべく他の方法で
プロパーローンはデメリットも多いため、家を買いたい人が最初に選ぶような選択肢ではありません。
何か問題があって、通常の住宅ローンに通らない人が試してみる、最後の方法と考えるべきでしょう。
プロパーローンを住宅購入資金として利用するケースは非常に少ないです。
しかしながら中小企業の経営者など、住宅ローンの審査をおこなう保証会社の審査では不利な結果になることも現実です。
フラット35の利用を考えるか、もしくは経営する会社が取引する銀行のプロパーローンを申込むというケースが実際にあるものです。
中古住宅・中古アパートの媒介業務・調査業務に従事し、現在は札幌市内の宅建業者にて専任の取引士を務めている。
2006年より、住宅に関する無料の相談サイトを開設し、住宅リフォームや中古住宅購入の相談に応じている。