介護保険は世帯分離がお得!?そんな噂の真相に迫る!
介護サービスを受ける際、その介護の必要度に応じて介護サービスを受けることができます。もちろん、利用したサービスの分だけ自己負担はかかってしまうのですが、世帯分離をすれば介護保険制度の利用はお得になると言われているのです。
世帯分離をすればお得になるというのは本当なのか、それはどうしてなのか、詳しくご紹介していきましょう。
世帯分離って何?介護保険の基本情報から徹底解説!
まずは、介護保険の基本情報を見ていきましょう。介護保険は、40歳になった時点で加入することが定められているもので、所得に応じた保険料を支払います。
介護保険を支払っていると、65歳以上で介護が必要になった場合、もしくは40~65歳でも国が定める特定疾患に該当する場合は利用することができます。
介護保険制度は、介護の程度によって介護サービスの利用限度額や自己負担額が決まるようになっています。それが、次の通りです。
介護度 | 介護サービス 利用限度額 |
自己負担限度額 (1割) |
自己負担限度額 (2割) |
---|---|---|---|
要支援1 | 50,300円 | 5,003円 | 10,006円 |
要支援2 | 104,730円 | 10,473円 | 20,946円 |
要介護1 | 166,920円 | 16,692円 | 33,384円 |
要介護2 | 196,160円 | 19,616円 | 39,232円 |
要介護3 | 269,310円 | 26,931円 | 53,862円 |
要介護4 | 308,060円 | 30,806円 | 61,612円 |
要介護5 | 360,650円 | 36,065円 | 72,130円 |
このように、介護が必要な程度によってサービス利用限度額と自己負担額が決まるのです。
要介護5の場合72,130も個人負担になると思うと…なかなか厳しいのですが。
自己負担の上限額については、この後説明しますね。
介護生活の悩みを解消してくれる情報を、こちらの記事で特集しています。興味がある方はぜひチェックしてください。
高額介護サービス費について
介護保険制度の自己負担額は、世帯収入による上限額も定められています。
段階 | 条件 | 自己負担限度額 |
---|---|---|
第1段階 | ・生活保護受給 ・世帯全員が市町村民税非課税で 老齢福祉年金を受給 |
月額15,000円 |
第2段階 | ・世帯全員の市町村民税が非課税 ・公的年金等収入額と合計所得金額が 年間80万円以下 |
月額15,000円 |
第3段階 | ・世帯全員の市町村民税が非課税 ・第1段階と第2段階に該当しない |
月額24,600円 |
第4段階 ・ 一般世帯 |
・第1段階から第3段階に該当しない | 月額37,200円 |
第4段階 ・ 現役並み 所得者 |
・第1段階から第3段階に該当しない ・現役並みの所得者(65歳以上で課税所得145万円以上) |
月額44,000円 |
介護保険は、介護度と世帯収入によって自己負担額が決まるということを覚えておきましょう。
介護は、家族が介護休暇制度を使って世話をすることも可能ですが、介護休暇制度は無給が基本となる上に取得上限日数についても定められています。
介護サービスが必要になった時のことを考えて、自己負担額などの情報をチェックしておくと良いでしょう。
介護費用は世帯分離の方がお得だと言われる理由とは
では、介護費用を支払うにあたって世帯分離をした方がお得だと言われる理由について見ていきましょう。
まずは、世帯分離について説明します。
1つの世帯を2つ以上の世帯に分けること。同じ住所で複数の世帯主の登録が可能。
介護費用の自己負担上限額は、世帯収入の金額に応じて決まるということを先ほど紹介しました。
つまり、利用者本人の収入が少なくても子どもなど他の家族と1つの世帯としてカウントされれば、高額所得者と判断されて自己負担額が上がってしまう場合があるのです。
しかし、世帯分離をして利用者本人のみの所得だけでの判定となれば、自己負担額を抑えることができる可能性が高くなります。
世帯分離をする最大のメリットは、介護保険サービス利用時の自己負担額を抑えられるという点にあるのです。
他にも、世帯分離によるメリットはあります。それが、以下の点です。
- 国民健康保険料の支払額が減る可能性がある
- 国民健康保険の介護納付金額が減る可能性がある
会社員が加入する健康保険や共済組合の場合は関係ありませんが、国民健康保険に加入している人の場合は、世帯分離をすることで今よりも負担が減る可能性があります。
みんなやっちゃった方が良いんじゃないの?
デメリットについてはこれから紹介しますので、しっかりチェックしてくださいね。
メリットだけじゃない!世帯分離のデメリット
世帯分離をすることによって得られるメリットに、大きな魅力を感じる人も多いでしょう。しかし、世帯分離をすることによるデメリットもゼロではありません。
世帯分離のデメリット、それが以下の3点です。
- 高額介護サービス費が利用できない可能性がある
- 国民健康保険料を世帯ごとに支払う必要がある
- 別世帯になるので何か手続きが必要な際に委任状が必要となる
それぞれのデメリットについて見ていきましょう。
高額介護サービス費が利用できない可能性がある
高額介護サービス費は、世帯あたりでかかった介護サービス料の上限が決められているというものです。世帯分離をしてサービス利用者が減れば、高額介護サービス費の上限額に届かず減免を受けられない可能性があるのです。
介護が必要になる人が2人以上いる場合、世帯分離をすることで損をしないかしっかり確認する必要があります。
国民健康保険料を世帯ごとに支払う必要がある
国民健康保険料は、世帯ごとで支払います。そしてその金額は、収入によって決まるのです。
親世帯と子世帯の世帯分離を考えている場合、そのどちらの世帯も一定額以上の収入がある場合は、どちらの世帯でも国民健康保険料を上限近くの金額で支払わなければいけない恐れがあります。
国民健康保険料の支払いが、世帯分離前よりも割高になる可能性があるということを押さえておきましょう。
損をすることがあるのでしょうか。
世帯が2つになれば、所得割額は減るかもしれませんが平等割額が増えてしまいます。そこにも注意したいですね。
別世帯になるので何か手続きが必要な際に委任状が必要となる
同じ世帯であれば、何らかの公的手続きをする際に特に委任状などは必要としません。しかし、世帯が別になってしまうと手続きのたびに委任状が必要になるという手間が生じます。
世帯分離になるための手続きをご紹介
世帯分離は、ある世帯から1部の人を別世帯に分ける手続きです。ですから、同居しているからこそ行える手続きとも言えます。引っ越しなどにより世帯が別になる場合は、世帯分離届け出はなく転居届の対象となります。
世帯分離は、同じ家に住んでいても別の生計によって生活をしていることを意味することになるだけですね。
世帯分離をするためには、どのような手続きが必要となるのでしょうか。その方法についてご紹介していきましょう。
世帯分離手続きの際に必要となるのは、以下の2点です。
- 本人確認が可能な身分証明書
- 印鑑
本人確認証明書については、2点以上必要となる場合もあります。届け出をする際には自治体に確認しておくと良いでしょう。
国民健康保険加入者の場合は追加の手続きが必要
世帯変更の対象者が国民健康保険の加入者の場合、追加で手続きが必要となります。
国民健康保険加入者は新しい健康保険証の交付が必要となるため、現在の国民健康保険証を持参する必要があるのです。
場合によっては保険料納付のための通帳やキャッシュカードが必要となる場合がありますので、やはり事前に各自治体に確認しておくことが望ましいですね。
ちなみに、介護休業給付金については別世帯・同一世帯問わず利用することが可能です。世帯分離をしても問題ありませんので安心してください。
介護休業給付金について知りたい方は、こちらの記事がオススメですよ。
世帯分離はメリット・デメリット双方を理解してから決断を
ただその一方で、 世帯分離をしたことによって国民健康保険料の負担がかえって増えてしまう恐れもあります。世帯分離をして自分が本当に得をするかどうか、一度しっかり計算し、確認してから決断するようにしたいですね。
介護保険は1割負担だったと思うのだけど。