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売れない市街化調整区域の土地を売却する為の重要ポイントを徹底解説

市街化調整区域という言葉は、聞いたことがあるという方も少なくないかもしれません。しかし、実際には人がほとんど住んでいない地域でもあるため、実際に詳しく知っているという人は少ないでしょう。

市街化調整区域とは都市計画において重要な概念で、むやみに土地開発を進められるのを防ぎ、計画的な市街化を実現するために都道府県によって定められるエリアのことです。

市街化調整区域を知っている人や所有している人の中には、市街化調整区域内の土地は「非常に売りにくい特殊な土地」というイメージをお持ちの人もいるでしょう。また実際に、売却処分したい人の中には売れなくて悩んでいる人もいるかもしれません。

今回の記事では、そのような人のために市街化調整区域の特徴や売りにくい理由についてお伝えするとともに、上手く売却する方法についても解説していきます。

実際に売却を成功させるためには、いくつかの大切なポイントがあります。是非最後までお読みいただき、参考にしてみてください。

市街化調整区域とは?売りにくい他の区域との違いも確認しよう!

市街化調整区域の土地は売れないと聞いたことがあるけど、一体どんな土地なのかしら?
市街化調整区域とは、建物が自由に建てられない厳しい規制のかかった地域のこと。ここでは、ほかの区域も含めて特徴を説明しますね。

日本の土地は、都市計画法によって次の2種類に分けられています。

日本の土地の内訳(国土交通省)
区域 割合(全土のうち)
都市計画区域
(準都市計画区域を含む)
25%
都市計画区域外 75%

都市計画区域は、国土の都市化を推進するために定められた土地。私たちが住む土地のほとんどが、都市計画区域内にあります。

しかし無秩序に開発が進められては、快適な暮らしを作ることができません。そのため都市計画区域内の土地を、さらに次の2種類に分けています。

都市計画区域の内訳(国土交通省)
区域 割合(全土のうち)
市街化区域 5%
市街化調整区域 20%
簡単に言えば、市街化区域は優先的に街づくりをしてよい地域、市街化調整区域は街づくりをなるべく制限しておきたい地域のことです。

市街化区域は日本の国土の約5%しか該当しませんが、ほとんどの住民はこの区域内に住んでいます。

ちなみに東京23区の土地は、河川敷以外は全てこの市街化区域に該当しているんですよ。

一方の市街化調整区域には、反対に農林や森林を無秩序な開発行為から守るため「建物が自由に建てられないような厳しい規制」がかけられています。

このため、東京都内の多摩の一部エリアや神奈川県、埼玉県、千葉県など首都圏であっても、多くの市街化調整区域があり、生活に必須の上下水道などのインフラの整備がされていない箇所があります。

市街化調整区域の土地が売れない4つの理由を解説!

市街化調整区域がどんなものかはわかったけど、どうして売りにくいんですか?
土地の利用にたくさんの制限があって買い手が限定される点が一番大きな理由ですね。

市街化調整区域の土地が売れない理由には、次の4点があげられます。

市街化調整区域の土地が売れない4つの理由

詳しく見ていきましょう。

売れない理由その1:建物の建築に開発許可が必要だから

市街化調整区域は街づくりを抑制された地域なので、その区域内で建物を建てるには「行政からあらかじめ開発許可を受ける」必要があります。

例えば市街化調整区域に多い農地に住宅を建てるには、一般的に「農地転用」や「農転」と呼ばれている農地から宅地への形質変更が必要となり、その変更には開発許可が必要となります。

農地を簡単に宅地へ変更することを認めてしまうと次から次へと変更申請がおこなわれ、結果として市街化調整区域は無計画に開発されてしまうことにもなりかねません。

そのため、開発許可を取得するのは非常に難しく、許可を得るには様々な要件を満たさなければならないという高いハードルがあります。もし、開発許可が下りなければ、建物を建てられずに実質価値のない土地になるリスクがあります。

このため、市街化調整区域の土地は敬遠されやすいのです。

売れない理由その2:生活インフラが整備されていない可能性がある

市街化調整区域の多くは、下水道や電気・ガスなど生活に必要なインフラ基盤が整備されていません。

そのため市街化調整区域だった土地に開発許可が降りて住宅の建築が可能になったとしても、快適に暮らすには次のような整備を個人で行う必要があります。

市街化調整区域に住む前に必要な整備の例
  • 個人でのプロパンガス、浄化槽の整備
  • 通行しやすいような公道の整備

避暑などのために1年のうちの数週間だけ暮らす別荘としての利用の場合ならまだ受け入れられる状況ですが、1年中暮らすには条件的に厳しいということが言えるでしょう。

売れない理由その3:住宅ローンがほとんど受けられないから

市街化調整区域の場合、建築確認ができなかったり開発許可が降りなかったりといった状況では、住宅ローンの利用ができません。

そのため現金購入できる人に限定されてしまい、買い手を探すのが非常に困難です。

よほど自己資金が潤沢にある人を除き、住宅を購入する場合には通常、住宅ローンが利用されます。しかし、住宅ローンの融資には「誰でも利用可能な土地」という条件が必要。

住宅ローンを組めるようにしたい場合は、建築確認ができるようにしたり、開発許可の申請をしてましょう。

売れない理由その4:市街化調整区域でも特に売れない条件の土地だから

ここまでの3つの理由は市街化調整区域全般についての傾向でしたが、最後にあげる理由はその区域でも特に売れない条件の土地に該当するケースだった場合です。

このケースに該当する条件の土地には、以下のようなものがあります。

市街化調整区域内でも特に売りにくい土地
・無許可で建てられた違法な建物とその土地
再建築のための開発許可を受けることは不可能。

・宅地などへの形質変更を伴う農地など
農地の転用には農地法による許可が必要。

・市街化区域から離れた土地
開発許可を得ることが難しい。

これらの土地では、開発許可を受けることはまず不可能です。

宅地としての用途以外の土地(資材置き場等)として売却せざるを得ず、売れても相当に安い売却価格になる可能性があります。

売らずに土地活用ができないかも検討してみましょう。土地活用について詳しくは、次の記事でも紹介しています。

そのほかの処分方法については、次の記事で詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてください。

市街化調整区域の土地売却のためのポイント!!不動産会社選びも大切

ここまでお伝えしたように、市街化調整区域に該当する土地の売却は非常に難しいということがおわかりいただけたでしょう。

そんなに売るのが難しいなら、諦めるしかないのかしら・・・
大丈夫!諦めないでください。市街化調整区域に該当する土地でも、次のポイントを確認してみましょう。売却に向けたヒントが見つかるかもしれませんよ。
市街化調整区域の土地売却における大切なポイント

詳しくみていきましょう。

市街化調整区域でも、売却しやすい条件が備わっていれば売却可能!

建物の建築へのハードルがほとんどない土地の売却であれば、それほど困難ではない可能性があります。

たとえば次のような場合であれば、比較的売りやすいといえるでしょう。

市街化調整区域内でも売りやすい場合
・開発許可が不要
農業従事者が住む農地付きの住宅や、畜舎・温室・サイロなど農業・漁業用の建築物をそのまま同業者が利用する場合であれば許可は不要。

・過去に開発許可を受けたことがある
同業者であればそのまま利用したり、同じ条件で再建築することも可能。

・開発許可が受けられる可能性が高い
市街化区域に隣接しているなどの場合、開発許可が受けられる可能性が高い。

うちの土地は市街化区域に隣接しているから、許可を受けやすそうだな!
そうとも限りませんよ。なかには、40戸や50戸以上の建築物が区画をまたいで繋がっている土地(連担といいます)でなければ許可申請できない自治体もあります。

これらの判断がつかない場合は、自治体や不動産会社などの専門家へ相談してみましょう。

市街化調整区域を購入する可能性がある人に絞って、売却交渉を進める

市街化調整区域の土地を売却する場合、既に同じような土地を扱っている人に限定して売却を進めると、売りやすいことがあります。

市街化調整区域の土地を購入してくれる可能性が最も高いのは、隣地所有者です。

隣地所有者というのは通常の宅地の場合でもそうですが、自分の土地の広さに不満をもっており、できればもう少し広く所有したいと考えている所有者もいます。

隣地は似たような条件の土地であることが多く、隣地を購入して自分の土地を広くしたいと考える所有者を探すことは非常に有効です。

また売却する土地が農地の場合、農家や農業関係者を中心に交渉するのもオススメですよ。

農家の中には、「チャンスがあれば農地を広げて生産規模を拡大したい」と考えている人もいます。同じ市町村内だけでなく、それほど離れていない周辺の市町村の農家も対象となるでしょう。

また建築や土木関係の事業主も、建築資材置き場としての土地を探している場合があります。なかには既にそのような土地を確保していても、より近隣の便利な土地が売りに出されていれば購入したいと考える事業主も。

近隣にどんな目的で使われている土地があるのか、まずは調べてみてもよいでしょう。

市街化調整区域の土地の売買に強い不動産会社に、仲介を依頼すること

非常に数多くある不動産会社はどれも同じというわけではありません。例えば、賃貸専門や新築住宅専門の会社、さらに空き店舗など商業用不動産専門の会社までそれぞれに得意な分野と苦手な分野があります。

さらに市街化調整区域の土地は、通常の不動産以上に買い手が限定されてしまいます。

売却の仲介を依頼する不動産も、市街化調整区域の土地の売買に長けた会社を選ぶことが売却を成功に導く鍵となります。

どうすればそんな不動産会社が見つかるのかしら・・・。
まずは今回ご紹介する、おすすめの不動産一括査定サイトを利用してみてはどうですか?

不動産一括査定サイトを利用すれば、インターネット上で売却したい土地の情報を送信するだけで、無料で不動産査定の依頼や相談を受けられます。

不動産一括査定サイトについては、「おすすめの不動産一括査定サイトを厳選してご紹介!」でも詳しく紹介しています。

初心者の方やどのサイトを利用したらいいのか決められない方は、ぜひ参考にしてみてください。自分の土地売却においてベストな不動産会社を選ぶのに、きっと役立ちますよ。

なんだか希望が見えて来ました・・・!頑張っていい会社を見つけます!
希望の売却ができるとよいですね。

市街化調整区域の土地売却のためのポイントをしっかり確認しよう!

今回の記事では、市街化調整区域の特徴や売却が困難となる理由についてお伝えし、そのような区域内の土地を売却するために大切なポイントもご紹介しました。市街化調整区域内の土地といってもそれぞれ条件も異なり、対策や考え方も違ってきます。

売却したい土地がご紹介した「売却のためのポイント」に該当していないかをよく確認し、同時に不動産会社選びもしっかりと行いましょう。

特に不動産会社選びは、売却を成功させる上で非常に重要なポイントです。

その会社の得意分野やこれまでの実績をよくチェックし、自分の土地を仲介してもらうのにベストな会社を選びたいところです。

また市街化調整区域の売却に長けた不動産会社の中には、市街化調整区域内の土地の購入希望者を抱えている場合もあります。できればそのような会社を選ぶと、より成功に近づくでしょう。是非不動産一括サイトを有効活用して、最適な不動産会社を見つけてみてください。

監修者メッセージ

市街化調整区域の土地取引きは活発ではありませんが、2014年の国土交通省の「土地保有移動調査」では、土地取引件数が市街化区域=約81万件、市街化調整区域=約15万件との結果があります。

実は、市街化調整区域の売買事例は少なくないのです。

時間がかかるかも知れませんが、情報発信しておくことが大切です。

プロフィール
不動産売却カテゴリー記事監修(弘中純一)
弘中 純一
宅地建物取引士、一級建築士の資格を保有。
中古住宅・中古アパートの媒介業務・調査業務に従事し、現在は札幌市内の宅建業者にて専任の取引士を務めている。
2006年より、住宅に関する無料の相談サイトを開設し、住宅リフォームや中古住宅購入の相談に応じている。