住宅ローンを滞納したらどうなる?段階を追って詳しくご紹介
住宅ローンの返済は、毎月決められた指定日に自動的に引き落とされるのが通常です。ただ、引き落とし口座に入金するのを忘れてしまうということは、ありえない話ではありません。収入が減って返済が厳しくなることもあるでしょう。
住宅ローンを滞納した場合、すぐに家を手放さなければいけないというわけではありません。段階を追って住宅ローンの支払いを要求され、最終手段として家を手放すということになります。
この記事では、住宅ローン滞納から家が競売にかけられるまでの流れについて、段階ごとに詳しくご紹介していきましょう。
住宅ローンの支払いに遅れたら遅延損害金が発生!
住宅ローンの返済に遅れたら、どうなってしまうのでしょうか。
まず、住宅ローンの返済に遅れると1日ごとに遅延損害金が発生します。
遅延損害金は商品によって異なりますが、法律で最高年14.6%まで設定可能としています。つまり、14.6%もの利息を支払う可能性があるということです。
数日の遅れであれば数百円程度の負担で済みますので、返済遅れに気づいたらすぐに返済をする、振り込むということが重要になります。
遅延損害金は商品によって異なりますので、しっかりとチェックしておきましょう。
住宅ローンの返済に遅れたらどうなる?基本的な流れとは
住宅ローンの返済に遅れたら、次の流れで手続きが進んでいきます。
②催告書が届く
③期限の利益喪失通知が届く
④代位弁済通知書が届く
⑤競売開始決定通知が届く
少し安心しても良いということでしょうか。
返済に遅れたときは、出来るだけ早く対処することが大切なのです。
それぞれの段階について、ご紹介していきましょう。
①支払い請求書が届く
まず引き落とし日に引き落としができなかった場合は、再度引き落としを行うことを伝える再引き落としの案内が届きます。
再引き落としで無事に引き落としができれば、遅れた分の遅延損害金を支払うだけで済みます。
ただ、再引き落としもできなかった場合は滞納扱いとなってしまいます。
1~2か月滞納すれば、返済に遅れていることを知らせるために支払い請求書が届きます。
記載されている内容は、以下の通りです。
- 住宅ローンの滞納期間(回数)
- いくら滞納しているか
請求書が届いた段階で返済できれば、家を手放す心配はありません。
②催告書が届く
滞納が2~3か月になると、催告書が届きます。こちらに記載されている内容は以下の通りです。
- 指定日までに滞納している金額を支払うこと
- 支払いが行われなければ期限の利益を喪失すること
ここで重要視しなければいけないのは、期限の利益を喪失する、という点です。
住宅ローンを分割で返済する権利を失うこと
つまり、催告書に記載された指定日までに延滞分を支払えなければ、残りの住宅ローンを全額一括返済しなければいけなくなってしまうのです。
ここで返済できなければ、もう後がないので気を付けたいところです。
③期限の利益喪失通知が届く
住宅ローンを3か月以上滞納してしまい、催告書にも従わないとなればいよいよ期限の利益喪失通知が届いてしまいます。
この通知が届けば、残りの住宅ローンを一括返済することを求められます。
どうすれば良いのですか?
つまり、もう家を手放すことは決まってしまうのです。
ただ、期限の利益が喪失する前であれば金融機関に支払い期日について相談することも不可能ではありません。
基本的に、3か月以上滞納した時点で期限の利益喪失となり、その債権は金融機関から移行してしまいます。
移行後は、もう分割返済をすることは不可能となりますので、出来るだけ早い段階で金融機関に相談することが大切なのです。
④代位弁済通知書が届く
代位弁済通知は、保証会社が代わりに金融機関に残高を返済したことで届くものです。つまり、もう金融機関に自分で住宅ローンを返済することはできません。
ただ、保証会社が代わりに支払ってくれてよかった、というわけではなく、支払先が金融機関から保証会社に変わっただけで返済しなければいけないことは変わりません。
また、一括返済が出来なければいよいよ競売手続きが進められることになります。
⑤競売開始決定通知が届く
一括返済が出来なければ、家を手放してそのお金で残高を返済するしかありません。そのために行われるのが、競売です。
競売開始決定通知は、滞納後およそ6~10か月程度で届きます。
担保となる家が差し押さえられたことを通知するものであり、裁判所の執行官と不動産鑑定士が家の調査を行います。
あとは、入札期間の通知があり、競売入札がスタートして最高額を入札した人が落札者となるのです。
ただ、入札価格が住宅ローン返済残高に届かなければ、残りの金額を支払わなければいけません。
残高は分割でも返済可能ですが、新たに発生する家賃支払いに上乗せとなりますので厳しい生活になることが予想されます。競売で必ず住宅ローンが完済できるとは限らないということは、認識しておきましょう。
住宅ローンは1日の遅延で延滞になるの?
住宅ローンは、1日返済が遅れただけでも延滞となります。延滞とは、支払いが遅れることを意味するためです。
ただ、多くの人が気になるのは1日の延滞でもブラックリスト扱いになってしまうかどうか、という点では無いでしょうか。
結論から言えば、1日の延滞でブラック扱いになることはありません。
ブラックリストに載る、つまり個人信用情報機関に事故情報が登録されるのは、61日以上の延滞もしくは3回目の支払い日を超える場合となっています。
住宅ローンは、1日の延滞もしくは1回の支払い遅れでブラック扱いになることはないのです。
住宅ローンの未払いに気づいたらすぐに返済を!
住宅ローンの未払いに気づいたら、すぐに返済することを心がけなければいけません。では、もし住宅ローンの返済を忘れてしまった場合、どうすれば良いのでしょうか。
住宅ローンの未払いに気づいたら、速やかに金融機関に連絡をしましょう。
特に、うっかり支払いを忘れてしまった場合であれば、すぐに支払える場合も多いはずです。金融機関に連絡して、いつ返済できるかを伝えておくことが重要となります。
また、支払い忘れに気づかないケースもあります。金融機関からの通知が届いていれば、確実に内容を確認するように心がけておくことも大切です。
支払い口座への入金を忘れてしまう人は自動送金の活用も
住宅ローンの支払い口座が、給与の受取口座と違う場合は毎月支払い口座への入金をしなければいけません。
それを忘れてしまう場合は、毎月指定日に一定額を自動で送金してくれるサービスを活用するという方法もあります。
ただ、サービスの利用には手数料が発生しますから、そこは確認が必要ですね。
住宅ローンの返済が厳しくなった時にやるべきことをチェック
住宅ローンの返済が厳しい、負担になっているという方も、早いうちに金融機関に相談してください。
元金返済据え置き、返済期間延長で毎月の返済額を抑える、リスケジュールを検討することも可能です。一時的に収入が落ちている、支出が落ちているだけであれば、この方法を選択することもできるでしょう。
住宅ローンは、返済期間が長くなれば毎月の返済額が少なくなります。住宅ローンの年数については、こちらの記事でご紹介しています。
住宅ローンの返済が厳しい人が考えるべき3つの選択肢
住宅ローンの返済が今後も厳しいことが予想される場合、一時的に返済額を押さえても意味がありません。
その場合は、次の3つを選択肢として検討してみましょう。
- 借り換え
- 任意売却
- 個人再生の住宅ローン特則の利用
利率の低い住宅ローンへ借り換えをすることで、返済額を抑えることもできます。
また任意売却を選択した方が競売よりも高値で売れる傾向にあり、住宅ローンの残高が少なくなる可能性が高くなるのです。
債務整理の1つである個人再生には、住宅ローン特則があります。
滞納している住宅ローンを分割で返済するよう計画し、月々の住宅ローンにプラスで支払うことで期限の利益を回復することができるのです。
ただ、月々のローン返済にプラスという負担増加はありますし、個人で行うことはできないので弁護士など専門家に依頼する必要が出てきます。
だからこそ、延滞する前に、少しでも厳しいと感じるのであれば早めに金融機関に相談するなど対策を取らなければいけないのです。
いずれにしても、住宅ローンを利用するときは無理せず完済できるような返済計画を立てなければいけません。
住宅ローンの返済額目安について悩んでいる人は、ぜひこちらの記事をチェックしてくださいね。
住宅ローンを滞納したらすぐに金融機関に連絡・相談しよう
ただ、住宅ローンの滞納が続けば、最終的に競売にかけられることになります。
競売までには多少猶予はありますが、分割払いの権利を失う期限の利益が喪失してしまえば一括返済しない限り家を手放すことは避けられません。
返済が苦しい場合は、金融機関に相談する、借り換えをする、任意売却を検討するなど、対応について早めに考えるようにしたいですね。
返済が苦しくなりそうな状態になったらまず住宅ローンの金融機関に相談することです。
返済困難な理由が一時的なものであれば、あるいは半年ぐらいで元の状態に戻せる手段があれば、リスケージュールに応じてくれる可能性があります。
個人再生は住宅ローン以外にも借金がある場合の手段です。望ましいのは任意売却でしょう。
中古住宅・中古アパートの媒介業務・調査業務に従事し、現在は札幌市内の宅建業者にて専任の取引士を務めている。
2006年より、住宅に関する無料の相談サイトを開設し、住宅リフォームや中古住宅購入の相談に応じている。