一般NISAとつみたてNISAはどっちが得?あなたに合った選び方
2014年からスタートした少額投資非課税制度「NISA(ニーサ)」には3つの種類あります。
- 一般NISA
- つみたてNISA(積立NISA)
- ジュニアNISA
ジュニアNISAは未成年を対象とした一般NISAのため、20歳以上の人は「一般NISA」もしくは「つみたてNISA」を選ぶことになります。
一般NISAとつみたてNISAの両方を併用できない以上、NISAを利用する際にはどちらかを選ばないといけません。
つみたてNISAと一般NISA、どっちが良いかというと、それは利用者の価値観や投資戦略に依存します。
時間をかけてじっくり投資をしたいという方ならつみたてNISAの方が、短期間で大きく稼ぎたいという方は一般NISAが向いています。
その理由を詳しく見ていきましょう。
一般NISAとつみたてNISAを比較
種類こそ違いますが、つみたてNISAも一般NISAも、NISAであることに違いはありません。そのため、共通している部分も多くあります。
- 運用益に対する税金が非課税になる
- いつでも引き出しが可能
- 併用できない
- 損益通算と繰越控除ができない
しかし一般NISAとつみたてNISA、どちらも他のNISAとの併用ができず、一人一口座までしか保有できません。
Aの証券会社で一般NISAの口座を開設し、Bの証券会社でつみたてNISAの口座を開設するということはできないので、注意しましょう。
一般NISAとつみたてNISAの違いは次のようになります。
NISAの種類 | 一般NISA | つみたてNISA |
---|---|---|
対象年齢 | 20歳以上 | 20歳以上 |
取引方法 | 自由 | 積立買付 |
ロールオーバー可・不可 | 可 | 不可 |
年間非課税枠 | 120万円 | 40万円 |
非課税期間 | 5年間(ロールオーバーを利用すると最大10年間) | 20年間 |
制度の終了年 | 2023年まで | 2037年まで |
非課税枠の総額 | 600万円 | 800万円 |
投資対象 | 上場株式、公募株式投資信託、ETF、REIT、ETNなど | 条件を満たしている投資信託とETF |
引き出し | 自由 | 自由 |
非課税期間について
NISAは確かに税金を非課税にすることができる制度なのですが、無期限で非課税にできるわけではありません。一般NISA、つみたてNISA、ともに非課税にできる期間があります。
非課税期間についてですが、一般NISAは5年間まで、つみたてNISAは20年間までとなります。
2018年は、現状においてロールオーバーができる最後の年となります。2018年のうちに一般NISAを始めれば、2023年のロールオーバーに間に合うので、非課税枠を最大10年まで延ばせるでしょう。
ただし、ロールオーバーができたとしても、つみたてNISAの非課税期間は20年間と、一般NISAの非課税期間の倍となります。
できるだけ長期にわたって資産運用をしたい方からすると、つみたてNISAの方が相性が良いでしょう。
ロールオーバーができるのは一般NISAのみ
ロールオーバーは、一般NISAで利用できる制度であり、つみたてNISAにはありません。
過去の一般NISAの資産を新しい非課税枠に移せる制度のことで、利用すると一般NISAの非課税期間を延長することができます。
一般NISAの非課税期間は本来は5年なのですが、新しい非課税枠に移すことで、非課税期間をさらに5年延長することができます。
ロールオーバーができる一般NISAに対し、つみたてNISAはロールオーバーができません。そのため、最大20年間の非課税期間を延長することはできないのです。
一般NISAとつみたてNISAでは、非課税枠に違いがある
一般NISAとつみたてNISAでは、非課税枠に違いがあります。
NISAの種類 | 一般NISA | つみたてNISA |
---|---|---|
年間非課税枠 | 120万円 | 40万円 |
非課税期間 | 5年間(ロールオーバーを利用すると最大10年間) | 20年間 |
一般NISAの非課税枠が年間で120万円であるのに対し、つみたてNISAの年間の非課税枠は40万円です。
一見すると、一般NISAの方が非課税にできる金額が高そうに感じられます。しかし、つみたてNISAの方が非課税期間が長いため、実際に非課税にできる総額はつみたてNISAの方が高いです。
非課税総額は一般NISAが600万円であるのに対し、つみたてNISAは800万円となります。
このような違いがあるため、短期投資ならば一般NISAの方が有利なのですが、長期投資になるとつみたてNISAの方が有利になります。
少額から運用を始める場合、一般NISAの非課税枠を使いきれない恐れがあります。
仮に月3万円ずつ運用を始めた場合、12ヶ月における運用額の合計は36万円となり、一般NISAに非課税枠が余ってしまいます。
いくら非課税枠が高いからといって、余ってしまうのもったいありません。
つみたてNISAは、月々少額ずつ資金を積み立て、運用したいという方向けの制度でもあるのです。
一般NISAのほうが投資対象が幅広い
一般NISAとつみたてNISAでは、投資対象に違いがあります。
NISAの種類 | 一般NISA | つみたてNISA |
---|---|---|
投資対象 | 上場株式、公募株式投資信託、ETF、REIT、ETNなど | 条件を満たしている投資信託とETF |
株やETF、REIT、ETNなど、様々な金融商品に投資ができるのが一般NISAの強みです。
対して、つみたてNISAは金融庁が定めた条件を満たすことができる特定の投資信託とETFのみが投資対象となります。
つみたてNISAも投資信託を取り扱っているのですが、条件を満たすことができる一部の投資信託に限定されるため、一般NISAで扱っている投資信託が必ずしもつみたてNISAでも扱われているとは限りません。
つみたてNISAは買い付け方法の選択肢が少ない
買付方法に関しても、自由に売買ができる一般NISAと違い、つみたてNISAは積立買付のみです。
つみたてNISAでは、資金を拠出すると、事前に定めた運用計画に従って定期的に買い付けることになります。
一方で、一般NISAの場合、いつでも好きなタイミングで購入し、そして売ることもできます。
配当金が出る前に株を買い、配当金が出た後に株を売却するという方法も、一般NISAなら簡単に行えます。
取引の自由性に関して言うと、つみたてNISAよりも一般NISAの方が優位性があります。
つみたてNISAのメリットとデメリット
それではここまで見てきたつみたてNISAのメリットをまとめていきましょう。
- 非課税期間が長い
- 非課税総額が高い
他方で、一年間における非課税枠が小さい、買付方法が積立だけ、投資信託とETFしか選べない、などのデメリットがあります。
- 一年間における非課税枠が小さい
- 買付方法が積立だけ
- 投資対象が条件を満たしている特定の投資信託とETFだけ
つみたてNISAとは、長期投資に向いていますが、短期投資には向いていない制度となります。
一般NISAのメリットとデメリット
一般NISAのメリット・デメリットは次のとおりです。
- 一年間の非課税枠が高い
- ロールオーバー可能
- 投資対象の幅が広い
- 自由に売買できる
他方で、非課税期間が短い、非課税の総額が少ない、2023年に制度が終了する、などのデメリットがあります。
- 非課税期間が短い
- 非課税の総額が少ない
- 2023年に制度が終了する
ただでさえ一般NISAは非課税期間が短い制度です。このデメリットについて、以前までならばロールオーバーをすることで解消することができたのですが、2019年以降より一般NISAを始めた方はできないでしょう。
というのも、一般NISAは2023年に制度が終了する予定だからです。2024年以降はロールオーバーができないでしょうから、今後は一般NISAのロールオーバーができるというメリットが失われるでしょう。
一般NISAは短期投資には向いていますが、長期投資には向いていない制度です。
一般NISAとつみたてNISAは、ちょうど正反対の性格を有している制度となります。
つみたてNISAと一般NISA、それぞれが向いている人
既に投資経験が豊富で、短期間で運用益を出せる自身があるという方の場合、一般NISAの方が向いているでしょう。
では、つみたてNISAが向いている方とはどういうタイプでしょうか?
つみたてNISAは、経験者よりも未経験者、上級者よりも初心者向けの制度です。
投資対象の幅が狭く、選べる余地が少ないつみたてNISAの場合、選択肢が少ないのであれこれと悩む必要がありません。
自分にとって最適なポートフォリオが完成したら、あとはそれに従って積み立てるだけなので、投資経験がない初心者の方でも気軽に運用を始められます。
まだ投資を始めたばかりで、どうやって資産運用をすれば良いのかわからないと悩んでいる方は、つみたてNISAを選びましょう。
一般NISAとつみたてNISAはメリット・デメリットが異なる
非課税期間が長く、非課税額の総額が高いつみたてNISAは長期投資向けの制度です。対して、非課税期間が短いものの、一年間の非課税枠が高額な一般NISAは、短期投資向けの制度であると言えるでしょう。
どちらにも一長一短があるので、もっとも相性の良いNISAを選択しましょう。どちらを選んでも、税金が安くなることに違いはありません。
ただ、つみたてNISAと一般NISAでは、非課税期間や非課税枠、ロールオーバーの有無などで違いがあります。どこが違うのか、どのようなメリットがあるのかを把握してから、オススメのNISA口座を開設しましょう。