最適な墓地・霊園の選び方!比較で役立つ知識やポイントを解説
墓地や墓所、霊園など「お墓」について話しをするとき、言葉選びに困ったことはありませんか?それぞれの言葉が、なんとなく”お墓がある場所”を意味することはわかりますが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。
言葉の使い分けで認識のミスが起きないよう、正しい意味をしっかりと理解しておきたいですね。
この記事では墓地という言葉の意味や、お墓の種類による違い、墓地選びの大切なポイントをご紹介します。悔いのないお墓選びをするために、わかりにくい言葉は曖昧なままにせず、きちんと理解していきましょう。
『墓地』ってどんな意味?墓地の存在意義と法律的な立ち位置を知ろう
そもそもお墓はなぜあるの?墓地の存在意義
「墓地」と聞くと、墓石が建ち並ぶエリアをイメージする人も多いのではないでしょうか?今では石材でつくられたお墓のイメージが定着していますが、その昔は遺骨を埋めた場所に土を高く盛るお墓や、木を墓標にしたお墓などその形態はさまざまでした。
なぜ昔から、人々はお墓を建てるのでしょうか?お墓には、故人が成仏できるように供養するという目的があるだけではありません。
故人の遺骨が眠るお墓には、子孫たちにとって先祖とのつながりを感じることができ、安心感をもたらす場所としての役割があります。
お墓があることで、別れてしまった故人の存在を感じることができ、残された遺族にとって慰めを与える場にもなります。お墓という存在が今を生きる人々にとって、精神的な支え一助になっていると言えるでしょう。
このようなお墓を設けるための区域を『墓地』と呼びます。
お墓の形態は時代や国によってもさまざまであるため、広義の意味では「墓石」の有無に限らず、ご遺体やご遺骨を埋葬するお墓を設ける区域のことを墓地といいます。
墓地、埋葬法で定義づけられている「墓地」の意味
日本の法律では、昭和23年に施行された「墓地、埋葬等に関する法律」のなかに『墓地』の定義が規定されています。
つまり、日本における墓地は都道府県知事の許可を受けた区域である必要があります。
遺骨は、この墓地埋葬法に規定のある通り、自治体による許可を得た場所でなければ埋葬することができません。もし無許可の場所に遺骨を埋葬した場合、刑法の「死体遺棄罪」として罰せられる可能性もあります。
墓地・霊園・墓所、ことばが違うのはなぜ?各使い分けと種類をご紹介
墓地 | ご遺骨を埋葬するお墓を建てる区域のこと。一般的には、お墓のある場所から管理事務所、休憩所や駐車場等の施設も含んだ区域全体のことを指す。 |
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墓所 | 墓地のなかにある個々のお墓が設けられた各区域のこと。「ぼしょ」「はかしょ」「はかどころ」と呼ぶ場合もある。 |
霊園 | 一般的には、寺院以外が管理・運営する墓地のこと。寺による檀家制度がなく、宗旨・宗派に関係なくお墓をつくることができる。 |
墓地、墓所、霊園はどれも、遺骨を埋葬するお墓を建てる区域として同じような意味を持ちます。しかし、あえて言葉を使い分けることによって、それぞれの意味合いを区別する場合があります。
墓地と墓所の使い分け
墓地と墓所は、どちらも自治体の許可を得たお墓の経つ区域を指すので、基本的に同じような意味で使われます。
細かく区分けをする場合、墓地はお墓や施設を含めた区域全体のことを意味し、墓所は墓石を建てる各区域を意味する言葉として使われます。
お墓によっては、すべてを「墓地」で統一して呼ぶこともあります。お墓の管理者や地域によっても呼び名が異なるため、環境に合わせて使い分けるようにしましょう。
墓地と霊園の使い分け
墓地と霊園を使い分ける場合は、寺院墓地か霊園墓地かを区別する際に用いられます。
寺院墓地とは、名前の通りお寺が管理・運営する墓地のことを指します。一方、霊園墓地は民営霊園や公営霊園など、民間企業や自治体といった寺院以外が管理・運営する墓地のことです。
メリット | デメリット | |
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墓地(寺院墓地) | ・お寺により手厚いサポートを受けることができる | ・檀家になることが必要なケースがある ・宗派・宗旨が制限されることがある |
霊園(民営霊園・公営霊園) | ・基本的には宗派・宗旨に制限がない ・お墓の形式やスタイルの自由度が高い |
・公営の場合応募者多数で抽選となるケースがある |
一般的に「寺院墓地」はお寺の敷地内にあるお墓のことを指します。お布施を払ってお寺の檀家になることで、僧侶の手厚いサポートを受けられる点が特長的です。霊園には大きく分けて2パターンあり、運営母体によって民営霊園と公営霊園に分けられます。
霊園は寺院に属さない墓地のことを指し、基本的には宗旨・宗派に縛られません。「民営霊園」は、お墓の施設サービスやデザインなどの選択できる幅が特長的です。
「公営霊園」は比較的価格が安い傾向にありますが、住民票を置く自治体でしか応募をすることができないうえ、人気のエリアでは抽選式になるため、落選してしまう可能性もあります。
墓地や霊園はどうやって選ぶ?上手なお墓の探し方
ポイント1.運営母体ごとの墓地、霊園を比較検討しよう
墓地や霊園の違いでご説明したように、お墓は管理母体によってその施設の特徴やサービスの違い、価格にも大きな差があります。
故人やご遺族が望まれるお墓は、どの形態がよいのか運営母体ごとの特徴によって判断をしていきましょう。墓地、霊園を探す第一歩として「宗派・宗旨」をどうするか確認することが大切です。
先祖代々お世話になっている寺院があれば、その檀家に入るという選択肢があります。また、宗派・宗旨に制限がない場合は、比較的自由度の高い霊園を選択することもできます。運営母体を軸におきながら、お墓の形態や予算を検討していきましょう。
ポイント2.アクセス、立地、設備サービスを確認する
墓地、霊園選びの際に重視をしたいのは「お墓参りのしやすさ」です。
限られた予算の中で価格を重視することも大事ですが、せっかく建てたお墓もアクセスが悪く立地や設備に問題があれば、管理が滞りお墓として先祖を弔う役割を果たせなくなってしまうでしょう。
駅からのアクセスがよいところや、送迎バスの有無、駐車場が完備されているかなど、お墓だけでなく施設全体の条件を事前に確認してくださいね。
墓地や霊園の購入方法、必要な手続きと流れ
墓地(または霊園)の購入にあたり、候補地が見つかったら必ず事前見学をすることがおすすめです。ホームページや資料だけで、正しく墓地の雰囲気を適切に把握することは難しいでしょう。直接足を運ぶことで、お墓参りのしやすさも実際に確認することができます。
- 墓地(または霊園)を選定する
- 墓地を事前見学する
- 墓地の申し込み、契約をする
- 石材屋で墓石を購入する
- 墓石の建設工事をする
- お墓の引き渡し
墓地が決まったら、購入する墓地に合わせてお墓に建てる墓石を選びます。墓石は基本的に石材店から購入しますが、墓地によっては石材店を指定されるケースがあります。墓石は石材やデザインによって価格がさまざまです。いくつか見積もりをとって検討するとよいでしょう。
墓地を購入する際には、墓地運営者と「墓地使用契約書」を取り交わしたり、墓石建設工事の際に「工事契約書」を提出したりする必要があります。基本的には、墓地購入に際して特別な難しい手続きは必要ありません。
しかし、実際に購入したお墓へご遺骨を納骨する場合は、自治体に「死亡届」を提出し、「死体埋葬許可証」を発行してもらう必要があります。
ご遺骨の埋葬については、必ず自治体のルールに従うようにしましょう。
永代使用料 | 60万円〜100万円程 |
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墓石代 | 30万円〜200万円 |
管理費 | 年間1万円前後 |
その他 | 卒塔婆立て費、物置台設置費、文字彫刻費など |
墓地は、運営団体や立地、設備サービスによってかかる費用が大きく異なります。自治体が運営する公営霊園は、誰でも平等に利用できるよう比較的料金が安い傾向にあります。寺院墓地と民営霊園の相場は大体同じ程度で、公営霊園に比べると高い料金設定となっていることが多いです。
しかし、運営母体が同じでも郊外や設備条件によって価格には大きな差がでてきます。
たとえ比較的安い価格の墓地を見つけたとしても、アクセスが悪くお墓参りするたびに時間や交通費の負担がかかってしまい、結局割高になってしまう可能性もあります。長い視点で見て、安心できる施設条件と料金設定を選ぶことが大切です。
墓地、墓所、霊園、それぞれの違いを知ったうえで上手なお墓選びを!
検討しなければならない項目が多いお墓選びだからこそ、基本的な言葉を正しく理解し、慎重に比較検討していきたいですね。墓地という言葉をよく理解したうえで、故人や親族の気持ちを尊重できるお墓選びをしていきましょう。