訪問介護とは?サービス内容、料金、負担の軽減方法を紹介
「介護保険のサービス」と聞くと、一番に「訪問介護」が思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか。
「うちはヘルパーさんに来てもらってるの」という話を、ご近所さんや親戚から聞いたことがあるかもしれませんね。
でも、訪問介護って具体的にどんなことをしてくれるサービスなのか、そもそも誰が利用できるのか、よくわからない人も多いのでは?
訪問介護の仕組み、サービス内容や料金についてご紹介します。
訪問介護ってどんなサービス?対象者や利用方法を紹介します
訪問介護は、訪問介護員(ホームヘルパーとも呼ばれます)が利用者の自宅に来て、食事、トイレ、お風呂などの介護や、家事の支援などをするサービスです。
訪問介護を利用できる人の条件や利用方法を紹介します。
訪問介護を利用できるのは要介護1~5!要支援は介護保険対象外
介護保険で訪問介護を利用できるのは、要介護1~5の人です。
要支援1~2だと介護保険での訪問介護利用はできず、「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業とも呼ばれます)」で同様のサービスを受けます。
訪問介護を担当するホームヘルパーは介護の資格を持つスタッフ
訪問介護員(ホームヘルパー)は、介護に関する資格を持っています。
最も一般的なのは「介護職員初任者研修」です。介護の基礎知識や実技について勉強し、試験に合格した人がとれる資格です。
訪問介護の利用方法は?説明が丁寧な事業所を選ぶのがおすすめ
訪問介護を利用するためには、ケアプランに訪問介護を組み込む必要があります。
ケアマネージャーに訪問介護を利用したいと伝えましょう。
その後、訪問介護を行っている事業所と契約をして、サービス利用を開始します。
訪問介護を行っているところは多いので、複数の事業所からパンフレットを取り寄せたり、担当者と会ったりして、比較して選んでください。
以下のようなことを丁寧に説明してくれるところがいいですね。
- サービス内容(できること、できないこと)
- 費用や支払い方法
- スタッフが持つ資格
- キャンセル手続きやキャンセル料
- 事故や緊急時の対応
- 相談・苦情窓口
- 担当ヘルパー交代の手続き方法
- 契約終了時の手続き方法
もちろん、利用開始後に事業所を変えることも可能です。
訪問介護のサービス内容とは?ヘルパーさんにお願いできること
訪問介護のサービス内容は、大きく身体介助、生活援助、通院等乗降介助の3つにわかれます。
それぞれの具体的な内容について紹介しますね。
食事やトイレの介助を行う身体介助!見守りも含まれます
身体介助は、利用者の体に直接触れて行うサービス。食事、トイレ(おむつ交換含む)、
入浴の介助などです。
- 食事介助
- 排せつ介助
- 清拭(体を拭くこと)、入浴介助
- 整容介助(爪切り、耳掃除など)
- 体位変換、移動・移乗、外出介助
- 起床・就寝介助
- 服薬介助
- 見守り的援助
事前準備として、健康チェック、換気やベッド周辺の簡単な整頓なども行います。
「見守り的援助」というのが少しわかりにくいですね。これは、利用者が自分でできることを増やしていくために、すべてを手伝わずに安全を確保して見守ることです。
例えば「転倒しないよう気を付けながら、そばについて歩く」とか「利用者と洗濯物をたたむなど、見守りながら一緒に家事をする」などです。
掃除や家事をお願いできる生活援助!できないこともあるので注意
生活援助は、身体介助以外の「日常生活の援助」を行うサービスで、掃除や洗濯などの家事があてはまります。
- 掃除
- 洗濯(手洗い、アイロンがけ含む)
- ベッドを整える
- 服の整理や補修(ボタン付けなど)
- 調理や配膳
- 買い物
- 薬の受け取り
掃除できる範囲は、サービス利用者本人が使用する部屋やトイレなど。洗車とか、窓ガラス磨きはお願いできません。
また、流動食など特別な配慮が必要な調理は、生活援助ではなく身体介助になります。
通院等乗降介助とは?ひとりでの通院が難しい人に嬉しいサービス
通院等乗降介助は、いわゆる介護保険タクシーのサービス。介護職員初任者研修などの資格を持っているスタッフが運転する車で、病院などへの送迎を行います。
車の乗り降りの介助はもちろん、病院内での移動や薬の受け取りもサポートしてくれます。
介護保険で利用する場合、利用目的は通院や選挙などに限られます。
介護保険タクシーについてはコチラをご覧ください。
訪問介護のサービス利用料はいくら?追加料金や負担軽減策も紹介
訪問介護の利用料を紹介しますが、利用料は、住んでいる地域や利用する時間帯などによって変わります。
実際に利用するときには、契約する事業所やケアマネージャーから納得いくまで説明を受けてくださいね。
訪問介護の費用の目安を紹介!地域によって金額が変わるので注意
訪問介護の利用料の目安を表にまとめました。自己負担額は、それぞれの自己負担割合に応じて、以下の金額の1~3割となります。
身体介助 | 20分未満 1,650円 20~30分未満 2,480円 30~1時間未満 3,940円 1時間~1時間半未満 5,750円 以降30分ごと 830円 続いて生活援助を行う時 660円(20分から起算、25分ごと加算) |
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生活援助 | 20~45分未満 1810円 45分以上 2230円 |
通院等乗降介助 | 980円(別途運賃が必要) |
(2018年9月15日現在)
この表では1単位=10円で計算していますが、都市部を中心に、1単位=11.40円とか11.12円で計算するところがあります。
それらの地域では利用料が高くなるので注意してください。
初回加算や特定事業所加算ってなに?追加料金が発生するケースとは
地域だけではなくて、利用時間帯などによっても訪問介護にかかる料金は変わります。
例えば、次の場合などには追加料金が発生します。「加算がつく」ともいいます。
加算がつくケース | 加算の内容 |
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初めて訪問介護を利用 (初回加算) |
1月200単位 |
早朝、夜間、深夜に利用 (早朝・夜間加算、深夜加算) |
早朝・夜間(6:00~8:00と18:00~22:00)は25%増 深夜(22:00~6:00)は50%増 |
ケアプランにない時間帯に利用 (緊急時訪問介護加算) |
1回100単位 |
特定の条件を満たす事業所を利用 (特定事業所加算) |
満たしている条件によって5~20%増 |
(2018年9月15日現在)
利用時間帯による加算については、サービスの開始時間で加算がつくかどうかが決まります。
例えば17:30~18:30に利用したら、サービス終了時間は18:00を過ぎていますが、利用開始時間は17:30なので、加算はつきません。
一方、朝5:30~6:30まで利用した場合は、開始時間が深夜の時間帯なので、深夜加算がつきます。
訪問介護の費用負担を減らす方法は?医療費控除が使える可能性あり
介護保険を使えば、訪問介護を1~3割の自己負担で利用できます。それでも、利用回数が多かったりすると、金銭面での負担は大きいですよね。
そのため、訪問介護の経済的負担を減らす制度が設けられています。
例えば、以下の介護サービスなどとあわせて訪問介護を利用するなら、訪問介護も医療費控除の対象になります。ただし、生活援助が中心の訪問介護は対象外です。
- 訪問看護
- 訪問リハビリ
- 居宅療養管理指導
- 通所リハビリ
- 短期入所療養介護
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
医療費控除や高額介護サービス費の払い戻しなど、介護にかかる費用負担を減らす制度についてはコチラで紹介しています。
訪問介護の料金は地域や利用時間帯で変わるので注意
利用する場合はケアプランに盛り込む必要があるので、ケアマネージャーに相談してください。
訪問介護の料金は、住んでいる地域、利用する事業所、利用する時間帯などによって少し違います。
ちゃんと確認しないと「思ったより高いな」という事態になりかねません。契約前には、事業所やケアマネージャーから、料金やサービス内容についての説明をしっかり受けてくださいね。