医療保険でも訪問看護が利用できる!介護保険や自費利用との違いとは
訪問看護は、高齢者や介護保険に限ったサービスではありません。
「訪問介護などの介護保険サービスを利用しながらも、訪問看護は医療保険で利用している」という人もいますし、子どもでも利用ができます。
また、介護保険も医療保険も使わず、全額自腹で保険外の訪問看護サービスを受ける人もいます。
公的保険を使った訪問看護と自費(保険外)の訪問看護を併用することも可能です。
それぞれの訪問看護でのサービス内容の違いや、利用できる人の条件、費用についてご紹介します。
保険内と保険外の訪問看護はどう違う?制度やサービス内容の違い
介護保険でも、医療保険でも、自費でも、訪問看護は主治医の指示に基づいて、利用者に必要な医療処置や療養上の世話が行われます。
自宅で受けられる医療処置などに大きな違いはありません。
ただ、利用回数の上限などに違いがあります。制度やサービス内容の違いを紹介します。
自己負担割合や保険料の有無が違う!制度上の違いを紹介
まずはそれぞれの訪問看護の保険料、自己負担割合、支給限度額の有無の違いについて紹介します。
保険料 | あり(40歳以上の国民全員) |
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自己負担割合 | 収入により1~3割 支給限度額を超えた分は全額自己負担 |
支給限度額 | あり 要介護度に応じて変わる |
保険料 | あり |
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自己負担割合 | 年齢により1~3割 |
支給限度額 | なし |
保険料 | なし |
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自己負担割合 | 全額自己負担 |
支給限度額 | 該当なし |
医療保険では利用回数や時間に上限がある!利用に関する制限の違い
公的保険で利用する訪問看護では、1回あたりの時間や、1週間に利用できる日数に制限があります。
利用時間 | 1回あたり90分が上限 |
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利用回数 | 上限なし |
利用時間 | 1回あたり90分が上限 特例として週1回だけ90分以上の訪問看護を受けられる場合あり |
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利用回数 | 週3回まで 特例として4日以上認められる場合あり |
1回あたり | 時間の上限なし |
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利用回数 | 上限なし |
介護保険では利用回数に制限はありませんが、頻繁に利用して支給限度額を超えると、自己負担額が大きくなります。
医療保険では使える訪問看護ステーションの数にも制限があり、原則1か所しか利用できません。利用者の状態によって、2~3か所の利用が認められることもあります。
自費なら旅行や冠婚葬祭への同行も可!サービス内容の違い
医療保険、介護保険、自費での訪問看護では、共通して以下のようなことができます。
- 健康管理
- 病状観察
- 療養上の世話(お風呂やトイレの介助など)
- 主治医の指示に基づいた医療処置
- 服薬管理
- リハビリ
- 利用者や家族からの相談への対応
自費なら、上記に加えて、保険内の訪問看護ではできない、以下のようなサービスも可能です。
- 旅行や帰省に同行
- 冠婚葬祭への出席に同行
訪問看護を利用する場合にはどうしたらいい?利用手続きの違い
介護保険での訪問看護利用なら、要介護認定を受けた後にケアマネージャーを通すことになります。
保険外のサービスの場合は、直接業者と連絡をとります。
それぞれの利用手続きは、特集記事の「利用手続き」の項目をご覧ください。
介護保険と医療保険の訪問看護には利用条件あり!利用対象者の条件
訪問看護を介護保険と医療保険のどちらで利用するのかは、自分で選ぶことはできません。
介護保険の対象者なら原則として介護保険が優先されますが、特定の病気や状態にあてはまる人(病状や症状が重い人)は医療保険で利用します。
介護保険で訪問看護を利用する条件は?要介護認定を受けること
介護保険で訪問看護を利用する条件は以下の通りです。
- 要支援1~2または要介護1~5
- 主治医が訪問看護が必要と判断している
介護保険の対象は40歳以上なので、対象は40歳以上になります。
40~64歳と65歳以上では、介護保険の対象となる条件が違います。条件はコチラで紹介しています。
医療保険で訪問看護を利用する条件は?年齢による制限はなし
医療保険で訪問看護を利用する条件は以下の通りです。
- 主治医が訪問看護が必要と判断している
- 介護保険の対象外
年齢による制限はありません。
介護保険の対象者が医療保険で訪問看護を利用する条件は、以下の通りです。
- 厚生労働大臣が定める病気である
- 特別訪問看護指示書が出ている
- 認知症以外の精神疾患である(精神科訪問看護)
対象になる病気や特別訪問看護指示書が出る条件など、詳しくは「介護保険と医療保険は併用できる!覚えておきたい条件をご紹介」の「医療保険と介護保険の使い分け」の項目をご覧ください。
自費での訪問看護には利用条件なし!必要なら誰でも利用可能
自費による訪問看護は、年齢、病気、症状による制限はなく、誰でも利用できます。
医療処置を行う場合は、主治医の指示書が必要ですから、主治医が訪問看護の必要性を認める必要はあります。
公的保険での訪問看護と組み合わせて利用することも可能です。
利用料金の計算方法は保険によって違う!自費サービスの費用も紹介
介護保険、医療保険、自費での訪問看護利用は、それぞれ料金体系が異なります。
介護保険と医療保険は法律で決められていますが、自費での利用の場合は業者が自由に決めており、料金設定はさまざまです。
それぞれの料金について紹介します。
医療保険・介護保険の利用料金はスタッフや利用時間帯で異なる
介護保険で訪問看護を利用する場合、料金は、利用する事業所の種類や、訪問するスタッフが持つ資格、利用者が住んでいる地域などによって異なります。
医療保険で利用する場合も、看護師と准看護師では利用料金が変わりますし、入院中の外泊時には別料金になったりします。
また、基本料金以外にも、利用時間帯や、訪問するスタッフの人数、利用者の症状などによって追加料金がかかります。
介護保険と医療保険の料金体系は「訪問看護の料金はいくら?介護保険と医療保険での費用の違いを解説」で紹介しています。
自費での訪問看護ってやっぱり高いの?利用料金の例を紹介します
自費でのサービスは、訪問看護の業者によって料金が異なります。1時間当たりの単価が決まっていたり、1回あたりで計算したりとさまざまです。
いくつか例をあげますので、参考にしてください。
業者 | 料金設定 |
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A社 | 1時間まで 9,800円/時間 2~3時間 7,500円/時間 4時間以上 6,000円/時間 |
B社 | 3時間まで 20,000円/回 3時間を超える分 3,000円/30分 20:00~8:00は30%割増 |
それぞれ、交通費は別途かかります。
自費なら制限なしで自由!保険内の訪問看護には制約あり
介護保険と医療保険には、利用するための条件があり、時間や日数の制限があります。自費でのサービスには、利用条件や制限がほとんどありません。
保険外での訪問看護サービスは決して怪しいものではありません。
介護保険・医療保険の訪問看護を提供している事業者が、保険外サービスを提供している事例も多いですし、厚生労働省も保険外サービスの充実や拡充を目指していますよ。
「介護保険・医療保険での訪問看護では足りない」と感じるなら、検討してみることをおすすめします。