
国民年金or厚生年金で異なる遺族年金!子供なしの場合でももらえる?
家族に万が一のことがあった場合。そのような時に頼れる公的保障が遺族年金です。
ただし、この遺族年金は
・被保険者が加入している年金の種類
・年金を受け取る人の性別や年齢
によって受給できる期間や支給額が大きく異なることをご存知でしょうか?
特に子供なしの場合ですと、子供がいるご家庭よりも受給額が少なくなる傾向にあります。
そのため「遺族年金があるから万が一の場合の保障はいらない」と考えていると、いざという時に生活費が足りない!なんて現象も。
そこで今回は、子供なしの場合の遺族年金について、国民年金or厚生年金など年金の種類別に詳しく解説していきたいと思います。
子供なしの場合だともらえないことも?遺族年金について説明します
万が一夫(妻)が亡くなってしまった場合、残された配偶者の生活を保障するために遺族年金はもらえるもの…と思ってはいませんか?
実は子供なしの場合、遺族年金をもらえない可能性があるのです。
そこで、まずは遺族年金とはどういう仕組みなのか?について押さえておきましょう。
遺族年金ってどんな仕組み?遺族年金の種類や受給資格を押さえよう!
さて、ひとくちに「遺族年金」といっても大きく2種類に分かれます。
- 遺族基礎年金
- 遺族厚生年金
遺族基礎年金は、年金の被保険者が亡くなってしまった場合に支給される年金のこと。
ここでいう「年金」は国民年金ならびに厚生年金どちらも対象ですが、遺族基礎年金を受給するためには「18歳までの子供がいること」が条件となっています。
一方で遺族厚生年金は、厚生年金の被保険者が亡くなってしまった場合に遺族へ支給される遺族年金のこと。
遺族厚生年金の条件にで子供の有無はみられませんが、支給対象となる遺族には優先順位があったり、年齢制限が設けられていたりするので要注意です。
なお、こちらの記事では遺族年金の手続きやよくある疑問にお答えしています。詳しい内容を知りたい方は、ぜひご覧ください。
遺族基礎年金は、子供なしの場合だともらえない
先ほどご説明したとおり、遺族基礎年金はお子さんがいなければ受給対象となりません。
ちなみにお子さんが18歳を過ぎると、「子供なしの場合」であるとみなされてします。
つまり子供が大きくなり親元から巣立っていく頃には、それまでもらえた遺族年金の受給額が減る(もしくは支給終了)となるということ。家族のライフプランの変化に合わせて、万が一の生活設計を考えるようにしたいものですね。
国民年金と厚生年金で違う!子供なしでももらえる遺族年金とは?
子供なしの場合でももらえる遺族年金はあります。
ただし、亡くなった方が国民年金?それとも厚生年金?どちらの被保険者だったかでもらえる遺族年金は異なるのです。
そこで、国民年金と厚生年金で受け取れる遺族年金の違いについてみていきましょう。
【厚生年金の場合】遺族年金をもらえる可能性はあるが、条件あり
まず、厚生年金の被保険者が亡くなった場合。
子供なしの場合でも、受給要件と対象者の要件を満たせば遺族年金(遺族厚生年金)をもらえる可能性があります。
気になるのは、遺族年金を「誰」が受け取れるのかではないでしょうか?
遺族厚生年金を受給できる対象者は、次のとおり。
- 妻
- 子・孫
- 55歳以上の夫・父母・祖父母
これらの誰もがもらえるのではありません。
受給権は妻、妻がいなければ子、夫、そして父母…という順番で移ります。
ちなみに妻が受給する場合は、30歳未満の方ですと5年間のみの有期年金となり、また夫が受給する場合は55歳以上でないと受給できません。
厚生年金の被保険者である配偶者に万が一のことがあった場合、残された家族が遺族年金を受け取れるなら生活費の足しになるはず。しかし、年齢制限があるので万が一の生活設計を考える際にはこれらの点を考慮しつつ、組み立てる必要があります。
【国民年金の場合】寡婦年金以外は、基本的に受給できません
では、自営業者などが加入している国民年金の第1号被保険者だった方が亡くなった場合はどうでしょうか?
子供なしの場合ですと、残念ながら(基本的に)もらえる遺族年金はありません。
ただし例外として、60歳以上65歳未満の妻には「寡婦年金」が支給されます。寡婦年金の支給要件は次のとおり。
- 亡くなった夫の保険料納付期間が10年以上(免除期間含む)(※1)
- 婚姻期間が10年以上
- 生計を維持されていたこと
これらの要件を満たす場合、妻は夫がもらえるはずだった老齢基礎年金の4分の3を受け取ることができます。
遺族年金の受給資格がなくてももらえるかも?「死亡一時金」を解説
ここまでは、国民年金の場合・厚生年金の場合にわけて遺族年金の受給資格についてみてきました。しかし、いずれにも該当しない、いわゆる「遺族年金をもらえない方」は何も受け取れないのでしょうか?
実は、第1号被保険者の方が亡くなった場合で保険料納付期間が36カ月以上ある場合には、遺族に「死亡一時金」というものが支給されます。
死亡一時金は、老齢基礎年金や障害基礎年金を受給せずに亡くなった場合に支給されます。受給できる対象者は次のとおり。
- 配偶者
- 子
- 父母
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹
対象者はこのようになっていますが、亡くなった被保険者と生計を同一にしていたことが条件です。
死亡一時金の支給額は、12万円~32万円(保険料の納付実績に応じて異なる)。
また36カ月以上の付加保険料納付実績があれば、8,500円が加算されるとのこと。もし寡婦年金の受給資格がある場合は、どちらかを選択することになります。
遺族年金って具体的にいくらもらえる?【共働き子供なし夫婦の場合】
遺族年金の受給要件やもらえる対象者がわかったところで、具体的に遺族年金はいくらくらいもらえそうなのか?という点は知りたいですよね。
そこで共働きでかつ子供なし夫婦場合で考えられる以下のパターンで見ていきたいと思います。
詳しくみていきましょう。
ケース1:夫が亡くなった場合
まず、夫が亡くなった場合。
どの種類の年金に加入していたのか?によって、妻が受け取る年金は異なります。
夫が会社員の場合 | 妻は遺族厚生年金を受給+40歳以上なら中高齢寡婦加算 |
---|---|
夫が自営業の場合 | 死亡一時金 |
夫が会社員の場合、妻は遺族厚生年金を受給できます(ただし妻が30歳未満なら5年間の有期年金)。
遺族厚生年金は夫の報酬に比例するので一概にいくら?とはいえませんが、残された妻は年間およそ51.4万円(月額4.2万円)ほど受け取れることになります(夫の年収が500万円、年金への加入月数が300月の条件で計算)。
また、妻が40歳以上なら中高齢寡婦加算として年間およそ58.5万円が加算されます。(65歳まで)
では夫が自営業者だった場合はどうでしょうか?
基本的に妻へ支給される遺族年金はありません。
例外的に妻が60歳以上65歳未満の場合は寡婦年金が支給されます。(ちなみに寡婦年金の支給額は夫がもらうはずだった老齢基礎年金の4分の3です。)
ただし、年金ではないですが夫の付加保険料納付実績が36カ月以上ある場合、死亡一時金として12万円~32万円(36カ月以上なら+8,500円)が妻に支給されます。
ケース2:妻が亡くなった場合
反対に、妻が亡くなった場合はどうでしょうか?
妻が会社員の場合 | 夫が55歳以上なら遺族厚生年金(ただし支給は60歳以降) |
---|---|
妻が自営業者の場合 | 死亡一時金 |
妻が会社員だった場合、厚生年金の被保険者となっていても、たいていの場合夫は年齢制限により遺族厚生年金を受給できないケースが多いです。
受給額は会社員の夫が亡くなった場合と同様の計算、つまり妻が老後もらえるはずだった厚生年金の4分の3が目安となります。ちなみに男性の場合、寡婦年金はありません。
また妻が自営業者だった場合ですが、こちらは死亡一時金のみとなり、夫が亡くなった場合と同じように12万円~32万円(付加保険料納付実績が36カ月以上なら+8,500円)となります。
子供なしの場合だと遺族年金は少ない?加入先の年金内容をチェック!
そのため、もし夫・妻のどちらかに万が一のことが起きた場合、残された配偶者は働きにでる・もしくは働き続けるという選択肢になることが多いでしょう。
しかし、それでも生活費が足りない・または働けないといった場合には、必要な額の死亡保障を用意しておくことが重要です。
ただ、「死亡保障を」といっても夫(妻)がどの種類の年金に加入しているか?によってもらえる年金額が異なりますので、まずは保険のプロに相談してみるのも手ですね!
遺族年金は、子のない世帯よりも子のある世帯の方が手厚く、また、妻にだけ寡婦年金の権利があったり、夫が遺族厚生年金を受け取れるのは55歳以上という条件があったりと、妻に比べて夫の方が条件が厳しいのが特徴です。
遺族年金の特徴をしっかり把握した上で、将来の計画を立てるようにしましょう。

日本年金機構、社労士法人勤務を経て開業。中小企業の労務管理に従事する一方、年金相談窓口や無料相談会などで年金相談を受けている。