【住宅ローン控除】2年目以後は年末調整で減税可能!
住宅ローン控除を受けるためには、自分で申請しなければいけません。そのため確定申告をおこなうわけですが、住宅ローン控除の実施期間は10年間もあります。2年目以降はどうすればよいのでしょうか。
このページでは、2年目以降の住宅ローン控除について、どのような書類を用意するのかなど詳しく解説します。また、会社員と自営業者では手続きが異なりますので、そのあたりの違いについても説明していきます。
住宅ローン控除を年末調整でおこなえるケースとは?
住宅ローン控除を受けるためには確定申告が必要ですが、状況によっては年末調整で申請が可能です。それには2つの条件を満たしていなければいけません。
- 給与所得者であること。
- 控除を受けるのが2回目以降であること。
会社員の場合は手続きが簡略化され、「年末調整」で会社を通して住宅ローン控除の申請ができます。自営業の方は、残念ながらこの方法は使えません。
初年度は必ず確定申告で申請しなくてはいけませんが、2年目から10年目までの控除申請は税務署に行かずにおこえるため手軽です。
初年度の確定申告に関しては、特集記事がありますので、そちらを参考にしてみてください。
年末調整に必要な2つの書類
年末調整で住宅ローン控除の申請をするためには、以下の2つの書類を用意しなくてはいけません。
- 「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」兼「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」。
- 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書。
住宅借入金等特別控除申告書の入手法
「住宅借入金等特別控除申告書」は、確定申告をした年の10月ごろに送られてきます。ただし役所によっては、11月の上旬に送られるケースもあります。
11月の中旬を過ぎても住宅借入金等特別控除申告書が送られてこない場合、確定申告時に提出した「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」の記入漏れが疑われます。
住宅ローン控除の申請書類には、「住宅借入金等特別控除申告書が必要かどうか」という質問があります。これに必要だとチェックしていない場合は、住宅借入金等特別控除申告書が送られてこないわけです。
記入漏れが合った場合、税務署で「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請書」を提出する必要があります。
交付申請書の支給事由は3番の「その他」にチェックし、「年末調整で使用するため」と記入します。
交付申請書の「交付申請書類の対象年分」には、確定申告で控除を受けた年数から9年分を記入します。つまり、控除を受けたのが平成29年度なら、申請書には平成30年分から平成38年分と書き込むことになります。
住宅借入金等特別控除申告書を失くしたらどうすれば良い?
住宅借入金等特別控除申告書は、2年目分から控除期間の上限である10年目分までの「9枚」が一度に送られてきます。
最初の年は問題ないでしょうが、数年後に紛失してしまう事は考えられます。
住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書の入手法
年末残高証明書は、ローン契約をした金融機関から自動的に送られてきます。送られてくる時期は、どの金融機関でもだいたい10月ごろとなっています。
注意したいのが、「ローンの繰り上げ返済」や「借り換え」をした場合です。
金融機関がローン残高を計算した時期以降(9月以降)に繰り上げ返済などをすると、年末残高証明書の記載と、実際のローン残高が違ってきてしまいます。
繰り上げ返済後のローン残高証明書を再送付してくれる金融機関もありますが、そうでなければ、自分で再発行を頼まなくてはいけません。詳しくは、契約した金融機関で聞いてみてください。
年末調整のやり方:連帯債務の人は要注意
だいたい11月から12月ごろになると、会社から「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書」と「給与所得者の保険料控除申請書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」という年末調整の書類が配布されます。
住宅ローン控除申請をする場合、年末調整の書類といっしょに、「住宅借入金等特別控除申告書」と「年末残高等証明書」を提出します。
あとは経理課なり総務課なり、あなたの会社の担当部署が申請手続きをやってくれます。
具体例を挙げます。4000万円のローン残高が有り、夫と妻の持分割合が50%づつの場合、夫の控除対象になるのは、4000万円×50%で2000万円となります。控除額はローン残高の1%であるため、所得税から20万円分減税される計算になります。
いくら控除額があっても、納税している金額以上に控除を受けることはできません。そのため、収入が多い方の持分割合を多くして、無駄が出ないようにしたほうが良いでしょう。
住宅ローン控除2年目の年末調整をド忘れした!
年の瀬は忙しく、住宅ローン控除の書類提出を忘れてしまうようなこともあるかもしれません。書類を紛失して、再交付してもらうのが間に合わないケースもあるでしょう。
年末調整で住宅ローン控除の書類を提出しなかった場合、取るべき方法は2つあります。
- 会社にもう一度年末調整をやってもらう。
- 自分で確定申告する。
年末調整をやり直してもらう
法律上、1月中なら年末調整の修正をしてもらうことが可能となっています。住宅借入金等特別控除申告書とローンの年末残高証明書を用意して、担当部署に提出しましょう。
ただし担当者にすれば、年末調整をやり直すのは面倒な事です。嫌がられてしまう可能性は高いでしょう。担当者によっては、年末調整のやり直しを拒否するケースも無いとは言えません。
自分で確定申告する
最初の年と同じように、自分で確定申告をすることも可能です。最初の年に必要な資料を提出しているため、2年目以降は確定申告がやや楽になります。確定申告で使う書類は以下の3つです。
- 源泉徴収票。
- 住宅ローンの年末残高証明書。
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書。
源泉徴収票は会社から配布されます。年末残高証明書は金融機関から、住宅借入金等特別控除額の計算明細書は税務署で入手できます。これらの書類に必要事項を記入して、管轄の税務署に提出します。
この時、2年目の申請であることを税務署の担当者に告げましょう。初年度の申請だと思われると、登記事項証明書や不動産売買契約書が必要だと勘違いされてしまう可能性があります。
ちなみに、住宅借入金等特別控除申告書は年末調整で使う書類ですので、確定申告の時は用いません。
自営業者の2年目以降の住宅ローン控除はどうする?
自営業者の場合、年末調整で処理することができません。そのため、毎年確定申告の時に住宅ローン控除の申請もおこなうことになります。
自営業者の場合、以下の書類を用意します。
- 確定申告書。
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書。
- 年末残高証明書。
- 源泉徴収票。
確定申告書と住宅借入金等特別控除額の計算明細書は、税務署で入手できます。年末残高証明書は、金融機関から送られてきます。
源泉徴収票については、仕事の内容などによって変わってきます。フリーランスで、自分ひとりで仕事をしている人などは、源泉徴収の必要がない場合があります。
しかし個人で働いていても、執筆業やデザイン業などをしている人では、クライアントが源泉徴収をおこなっています。
実際のところ、個人事業主の源泉徴収の扱いは複雑ですので、税理士など専門家に助けてもらうか、税務署の職員に教えてもらうのが無難です。
2年目以降の住宅ローン控除は年末調整でやるのがラク!
サラリーマンのかたであっても、住宅ローン控除ができる10年の間には「転職」するケースもあるでしょう。
退職した年内に再就職できるとよいのですが、万一年内に再就職できなかった場合は確定申告が必要です。
ほかにも自営業者として独立した場合も同様です。税金から還付される制度を忘れず活用しましょう。
中古住宅・中古アパートの媒介業務・調査業務に従事し、現在は札幌市内の宅建業者にて専任の取引士を務めている。
2006年より、住宅に関する無料の相談サイトを開設し、住宅リフォームや中古住宅購入の相談に応じている。