
国民年金の前納で保険料が安くなる!割引額や注意点・申込方法を解説
ちなみに前納してすぐ厚生年金への切り替えがあった場合、厚生年金の加入期間分は保険料の割引がありません。
また国民年金の前納は半年~2年分の保険料を一括で払うので、まとまったお金が必要です。このような注意点も、一緒に確認していきましょう。
国民年金前納の仕組み・保険料の割引額
「国民年金の前納」とは、まとまった期間分の保険料を前払いすることです。「6カ月前納」「1年前納」「2年前納」の3種類があります。
支払い方法は現金払いと口座振替、クレジットカードから選択可能。
現金での納付方法は次のとおりです。
- 金融機関や郵便局の窓口、コンビニで支払う
- インターネットバンキングで支払う
口座振替は、保険料が一番お得になるのでオススメです。
納付対象となる期間・支払い方法によって保険料の割引率は異なるため、無理なく払える範囲で一番お得なものを選びましょう。
では国民年金前納の仕組みや、支払い方法ごとの保険料額について説明していきます。
国民年金前納の仕組み!どの期間分を、いつ払えばいいの?
国民年金の前納には、次の3種類があります。
- 6カ月前納
- 1年前納
- 2年前納
半年分を前払いする「6カ月前納」は次の2パターンです。
- 4月~9月分を、4月末に支払いまたは引き落とし
- 10月~翌年3月分を、10月末に支払いまたは引落とし
1年前納の場合は、4月~翌年3月分を4月末に納付する(または自動引き落としされる)仕組みになっています。
2年前納も1年前納と同様、納付月は4月末。4月~翌々年3月の分を一括で納めます。
次の章で詳しくお伝えしますね。
国民年金前納の割引額は?2年分を口座振替すると一番お得!
国民年金を前納した場合の保険料額・割引額は次のとおりです。
保険料額 | 割引額 | |
---|---|---|
6カ月 | <口座振替> 97,340円 <現金・クレジットカード> 97,660円 |
<口座振替> 1,120円 <現金・クレジットカード> 800円 |
1年 | <口座振替> 192,790円 <現金・クレジットカード> 193,420円 |
<口座振替> 4,130円 <現金・クレジットカード> 3,500円 |
2年 | <口座振替> 379,640円 <現金・クレジットカード> 380,880円 |
<口座振替> 15,760円 <現金・クレジットカード> 14,520円 |
国民年金の前納は、クレジットカードでもできます。カードのポイントを貯めたい人にオススメです。
国民年金の前納にはデメリットも!申込前に必ず確認して
国民年金の前納は、誰にとってもお得とは限りません。次のデメリットについても確認していきましょう。
・一括払いなので納付金額が大きい
・保険料を免除されている人は、口座振替の前納ができない
・厚生年金に入ると前納不可となるうえに、手続きが面倒
・2年前納で全額社会保険料控除を受けた場合、厚生年金に入ると修正申告が必要
前納する額は大きい!負担がかかると感じる人はやめよう
金銭的に余裕がない人や、近々大きな出費がある人などは、国民年金の前納による負担が重くなる恐れがあります。
国民年金を当月末(通常の期限は翌月末)に納めることで、保険料が各月50円割引される制度のこと。納付方法は口座振替のみです。
初回は前月分(割引なし)・当月分(割引あり)の2カ月分を、合わせて納める必要があります。
早割は割引額が小さいですが、長期的に行えば保険料をしっかり節約できます。また納付方法は口座振替なので、コンビニへ支払いに行く手間が省け、納付忘れを防ぐことも可能です。
ただし残高不足で口座振替できなかった場合、次の振替日までは割引のない翌月末振替になるので注意しましょう。
保険料の免除制度を利用している人は、口座振替の前納不可
経済的な理由で国民年金保険料を納めるのが難しく、保険料の免除制度により一部免除を受けている人は、口座振替の前納ができません。
保険料免除制度については、次の記事で解説しているので参考にしてください。
厚生年金に入ると前納不可!還付手続きで過払い分は戻ってくる
自営業が転職、または学生が就職して会社員(サラリーマン)などになった場合は、国民年金から厚生年金へ自動的に切り替わることが多いです。
しかし冒頭でもお伝えしたように、前納制度は国民年金加入者(第1号被保険者)のみの制度。厚生年金に加入すると利用できなくなるのです。
還付手続きを行う場合は、「国民年金保険料還付請求書」に必要事項を記入し、最寄りの年金事務所に提出しましょう。
加入条件については次の記事をご覧ください。
日本年金機構から送付される案内を確認し、還付請求を行ってください。
2年前納して厚生年金に入ったら、修正申告が必要な場合も
国民年金の前納対象期間が終わる前に厚生年金に入った人は、修正申告が必要になる可能性があります。それは2年前納して全額分の社会保険料控除を受けた場合です。
厚生年金の加入期間分も社会保険料控除を受けていることになってしまうため、修正申告する必要があるんですよ。
2年前納した場合の、年末調整での申告については「国民年金を2年前納した場合、社会保険料控除の方法は2つから選べる」の章でお伝えします。
国民年金前納の申込方法【申出書の提出期限に注意!】
国民年金前納の申込方法は、それぞれ次のとおりです。
納付方法 | 申込方法 |
---|---|
口座振替 | 口座振替用の申出書を、次のいずれかへ提出 ・近くの年金事務所 ・口座振替を利用する金融機関の窓口 |
現金 | <6カ月・1年前納> ・通常送られてくる納付書で期限までに支払う <2年前納、それ他の月数の前納> ・年金事務所へ申し出て、納付書を送付してもらう |
クレジットカード | クレジットカード用の納付申出書を年金事務所に持参または郵送 |
前納は行う期間が決められているため、次のように申し込みには期限があります。
提出期限 | |
---|---|
6カ月前納 | <4~9月分の前納> 2月末 <10月~翌年3月分の前納> 8月末 |
1年前納 | 2月末 |
2年前納 | 2月末 |
郵送する・書類に不備があるなどの場合は、手続きが間に合わない恐れがあります。なるべく早めに手続きしましょう。
国民年金を2年前納した場合、社会保険料控除の方法は2つから選べる
ここまで国民年金保険料の前納の方法や注意点、申込方法について説明してきました。
年末調整で社会保険料控除を受けるには、「1年間に納めた保険料」の金額を申告する必要がありますよね。2年分を前納した場合は、どう申告すればいいんですか?
- 前納した年に、全額を控除
- 各年に、それぞれの保険料相当額を控除
2年前納したら、全額控除(1)を希望する場合は、そのまま添付しましょう。各年に控除を受ける(2)場合は、申告する年の控除証明書のみを切り離して提出してください。
国民年金の前納で保険料を節約!厚生年金に入ったら還付手続きを
納付方法は口座振替がオススメ。現金払い・クレジットカード払いより保険料が安くなるうえに、自動で引き落とされるため払い忘れを防げます。
しかし前納は半年~2年分の保険料を一括で納付するため、金銭的な負担も大きいです。無理なく納付できるかどうか、前納する場合の保険料を見て判断しましょう。
また前納した期間中に厚生年金への切り替えがあった場合は要注意。厚生年金に加入した月からは、前納による保険料の割引がありません。また国民年金・厚生年金2つ分の保険料を支払う形になってしまうので、還付手続きは必ず行ってくださいね。
前納制度を上手に利用すれば、保険料の負担を抑えることができますが、無理のないように利用することが大切です。
一度まとめて前納した保険料は、基本的には戻ってくることはありません。
2年前納で一気に約38万円も納めるのが不安だという人は、まずは6か月前納や1年前納から始めてみるのもいいかもしれません。

日本年金機構、社労士法人勤務を経て開業。中小企業の労務管理に従事する一方、年金相談窓口や無料相談会などで年金相談を受けている。