知らなきゃ損する住宅ローン繰り上げ返済のメリット・デメリット
住宅ローンをよりお得にするためには、繰り上げ返済をした方が良いと聞いたことはありませんか?確かに、繰り上げ返済をすることで住宅ローンの支払総額を抑えることが可能となります。
ただ、住宅ローンの繰り上げ返済はむやみに行えば良いという訳ではありません。結果的に損をしてしまう可能性もゼロではないのです。
住宅ローンの繰り上げ返済を検討している人ならぜひチェックしてもらいたい繰り上げ返済についての情報、メリットやデメリットも併せて徹底解説していきましょう。
住宅ローンを早く返すとお得!前倒しで返済する方法とは
住宅ローンは、申し込み時に何年で返済するかを決めます。ただ、この期間必ず返済し続けなければいけないというわけではなく、もっと早く完済できるのであれば早く完済しても良いのです。
住宅ローンを何年で組むか迷っている人には、こちらの記事がオススメです。
当初予定よりも早く返すためにどうすれば良いのか、その方法が繰り上げ返済です。
繰り上げ返済をすると、その分だけ元金を減らすことができます。そして、元金が減ったことで次の2つを選択することが可能となります。
- 期間短縮
- 月々の返済額減額
申し込み時に考えていたよりも余裕が出来たから多めに返済したい、出来るだけ早く完済したいから追加で返済したいという場合は、繰り上げ返済を検討してみましょう。
住宅ローンの繰り上げ返済はいくらから可能?
少しでも早く元金を減らしたいと思っても、1,000円や1万円といった金額の繰り上げ返済は意味があるのでしょうか。そして、その金額での繰り上げ返済は可能なのでしょうか。
繰り上げ返済の金額については、金融機関によって異なります。
金融機関名 | 繰り上げ返済可能金額 |
---|---|
イオン銀行 | 1万円以上 |
住信SBIネット銀行 | 1円以上1円単位 |
じぶん銀行 | 1円以上1円単位 |
住信SBIネット銀行 | 1円以上1円単位 |
三菱東京UFJ銀行 | 期間短縮…毎月の返済額単位 毎月の返済額減額…1円から1年単位 |
りそな銀行 | 1万円以上1万円単位 |
フラット35 | インターネット手続き…10万円以上 窓口手続き…100万円以上 |
民間銀行やネット銀行であれば、1円または1万円からの繰り上げ返済が可能ですが、フラット35の場合は10万円もしくは100万円単位となっていますので注意が必要です。
ただ、少額からの繰り上げ返済が可能な場合でも毎月1万円程度の繰り上げ返済をする意味は本当にあるか疑問ですよね。
ここで、次の条件の場合を考えてみます。
- 借入金額…3,000万円
- 借入金利…固定1.5%
- 借入期間…35年
この条件で、毎年10万円の繰り上げ返済をした場合、そして10年ごとに100万円を繰り上げ返済をした場合、どのような差が出てくるかを見てみましょう。
毎年10万円繰り上げ返済 | 10年ごとに100万円繰り上げ返済 | |
---|---|---|
利息の減額分 | およそ94万円 | およそ71万円 |
つまり、まとめて100万円返済するよりも毎年コツコツ返済した方が結果的に得をするのです。
毎年10万円の繰り上げ返済となれば、1か月あたり1万円もかかりません。毎月1万円を繰り上げ返済するだけでもかなりお得になることが分かります。
住宅ローンの繰り上げ返済のメリット
住宅ローンの繰り上げ返済のメリットは、返済負担が減るという点です。
返済期間を短くすれば、支払い利息総額が抑えられます。月々の返済額を軽減させれば、毎月の支出が減って生活に余裕が出ます。
繰り上げ返済で返済期間を短くするメリットは、ただ返済総額が抑えられるだけではありません。
返済期間が短くなり、定年前に完済できればその後の生活がだいぶ楽になります。
定年後は、収入が大きく減ることになります。退職金は老後の生活資金として確保しておきたいところですから、住宅ローンは定年前に完済することが望ましいのです。
思ったより退職金が少なかった、病気やケガによる医療費が膨らんでしまった、そういったケースに備えるためにも、繰り上げ返済を活用して定年前の完済を目指したいですね。
毎月の住宅ローンの返済額はどれくらいが良いのか気になる方は、こちらの記事をご参照ください。
住宅ローンの繰り上げ返済のデメリット
住宅ローンの繰り上げ返済には、デメリットもあります。
返済総額が抑えられるのにどうしてデメリットがあるのでしょうか。その理由としては、以下の2つが挙げられます。
- 返済手数料がかかる場合がある
- 急な出費に対応できない可能性がある
まず、繰り上げ返済をする際には手数料がかかる場合があります。この繰り上げ返済手数料、1回ごとに発生しますので、その金額次第ではせっかく支払い利息の減額に成功したとしても、結果的に支払い手数料の方が高いという事態が起きかねないのです。
また、繰り上げ返済は余裕があるとき、貯金がたまったときなどに行います。このぐらいは大丈夫だろう、と思っていても、繰り上げ返済後に予想外の出費が生じた場合は現金がなくて困ることも考えられるのです。
繰り上げ返済に回しても生活に支障は出ないか、貯金と繰り上げ返済のバランスをどうするのか、そのあたりもルール決めをしておきたいですね。
回数を重ねればそれなりに金額も大きくなるので、しっかりチェックしておきたいですね。
住宅ローンの繰り上げ返済手数料をチェック!
繰り上げ返済のデメリットになる返済手数料は、金融機関によって変わります。各金融機関の繰り上げ返済手数料をご紹介しましょう。
金融機関名 | 一部繰り上げ返済手数料 | 全額繰り上げ返済手数料 |
---|---|---|
三井住友銀行 | インターネットバンキング …無料 窓口 …専用パソコン5,400円 書面16,200円 |
インターネットバンキング …5,400円 窓口 …専用パソコン10,800円 書面21,600円 |
イオン銀行 | 無料 | 54,000円 |
住信SBIネット銀行 | 無料 | 無料 *固定金利適用期間中は 32,400円 |
じぶん銀行 | 無料 | 無料 *固定金利適用期間中は 32,400円 |
三菱東京UFJ銀行 | インターネット …無料 電話 …5,400円 テレビ窓口 …5,400円 窓口 …16,200円 |
インターネット …16,200円 テレビ窓口 …21,600円 窓口 …32,400円 |
りそな銀行 | *変動金利型 インターネット …無料 店頭窓口・パソコンテレビ電話 …5,400円 *固定金利型特約期間中 インターネット …無料 店頭窓口・パソコンテレビ電話 …32,400円 |
*変動金利型 インターネット …取り扱い不可 店頭窓口・パソコンテレビ電話 …10,800円 *固定金利型特約期間中 インターネット …取り扱い不可 店頭窓口・パソコンテレビ電話 …32,400円 |
繰り上げ返済の手数料は、金融機関によって異なります。
手続き方法によっても繰り上げ返済の手数料は違いますので、しっかりチェックしておきたいですね。
住宅ローンを繰り上げ返済しないほうがいい状況もある!?
住宅ローンの繰り上げ返済をすると、当然借入残高が減ります。その時にチラッと頭をよぎるのが、住宅ローン控除ではないでしょうか。
住宅ローン控除は借入残高の1%が控除されるというものですから、借入残高が減れば控除される金額も少なくなってしまいます。
ただ、借入金額が多い、金利が高いという場合は、住宅ローン控除よりも返済期間短縮による支払利息減額効果の方がお得になることがほとんどです。
住宅ローン控除と繰り上げ返済でどちらが得なのか気になる方は、きちんとシミュレーションをしてみるようにしましょう。
借り入れ状況によって損得は変わりますから、一度しっかりシミュレーションしてみることをオススメします。
繰り上げ返済のタイミングについて興味がある方には、こちらの記事がオススメです。
繰り上げ返済は無理をして行うものではない!
繰り上げ返済をすれば、ローンの返済総額が抑えられるというメリットがあります。ただ、繰り上げ返済をすることで生活が苦しくなり、普段のローン返済に支障が出てしまえば意味がありません。
繰り上げ返済は、あくまでも無理のない範囲で行うのが基本です。
教育資金などで支出が増えることが予想される際には、繰り上げ返済で期間短縮ではなく月々の返済額減額を選択することも検討してみましょう
住宅ローンの繰り上げ返済は手数料をチェックして無理なく計画的に!
ただ、繰り上げ返済は金融機関によって最低金額や繰り上げ返済手数料が設定されています。手数料が高ければ、繰り上げ返済をむやみに行うと結果的に支払い利息の減額よりも手数料の支払いが高くなる可能性もあるので注意が必要です。
また、繰り上げ返済をすればお得にはなりますが、繰り上げ返済で生活が苦しくなっては意味がありません。無理のない範囲で、計画的に行うようにしたいですね。
繰り上げ返済はできるだけおこなったほうがよいのですが、無理に返済するのはよくないことです。
例えば繰り上げ返済を優先して預金を取り崩し、車を買い替えるのにマイカーローンを新たに借りるなどはとんでもないこと。
金利は高いし返済年数は5~7年と短く、住宅ローンに比べると返済負担は大きくなります。
中古住宅・中古アパートの媒介業務・調査業務に従事し、現在は札幌市内の宅建業者にて専任の取引士を務めている。
2006年より、住宅に関する無料の相談サイトを開設し、住宅リフォームや中古住宅購入の相談に応じている。