
マイナス金利の今は住宅ローンをお得に利用できるチャンス!
日銀が導入したマイナス金利政策。これは、普通預金や定期預金の金利が下がってしまうことで損だと感じている人も少なくないかもしれません。
ただ、住宅ローンを利用している、これから利用するという人にとっては、お得に利用できるチャンスでもあるのです。
マイナス金利だとどうして住宅ローンがお得になるのでしょうか。住宅ローンとマイナス金利の関係、そして、これからの見通しについて詳しくご紹介していきましょう。
ゼロ金利政策とは
そもそも、ゼロ金利政策とは何なのでしょうか。
日本銀行が一般の銀行に貸し出すときの金利をほぼゼロにするという金融政策。これにより、一般の銀行の倒産リスクが少なくなります。
つまり、ゼロ金利政策は銀行の倒産リスクを回避するためのものなのです。
また、似たような言葉としてマイナス金利というものがあります。
日銀にお金を預けている銀行の金利がマイナスになるというもの。銀行がお金を預けるだけ損をすることになるので、貸出しやすくなり、物価の上昇を目指す。
住宅ローン金利との関係については、次で詳しくご紹介しますね。
住宅ローンとゼロ金利政策の関係をご紹介
では、住宅ローンとゼロ金利政策、マイナス金利政策はどのように関係しているのでしょうか。
実は、住宅ローンの固定金利は10年ものの国債の価格を基準としています。つまり、10年国債の金利が上がれば固定金利は上がり、10年国債が下がれば固定金利も下がります。
マイナス金利が実施されることで10年国債の金利が下がったので、結果として住宅ローンの固定金利も下がることになったのです。
固定金利について興味がある方は、こちらの記事を参考にしてください。
マイナス金利で変動金利も下がる!
では、変動金利はどうでしょうか。
変動金利は、短期金利の影響を受けて変動します。短期金利の基準となるのは、銀行同士の貸し借りで用いられる無担保コールレートと言われる金利です。
短期金利は、銀行同士の貸し借りで用いられる政策金利でもありますから、この無担保コールレートがほぼゼロ(0.15%)とさだめられたことで、結果的に変動金利も下がることとなりました。
ただ、金利が下がることで支払った住宅ローン利息額よりも、住宅ローン控除によって戻ってくる金額の方が大きく、結果としてマイナス金利状態になる可能性はあります。
住宅ローン控除で結果的にマイナス金利!?
では、金利が下がることで結果的にマイナス金利になるような例を見ていきましょう。
ここでは、借入金額3,000万円、返済期間35年という条件で、全期間固定金利が違う場合のケースを見ていきます。
金利 | 10年間の住宅ローン控除額 | 10年間の支払い利息総額 |
---|---|---|
0.8% | 約257万円 | 約209万円 |
0.9% | 約258万円 | 約236万円 |
1.0% | 約259万円 | 約263万円 |
住宅ローン控除は元金の1%を控除するというものですから、金利が上がれば支払い利息の方が金額が高くなるのは当然です。
ただ、低金利での借り入れによっては実質的なマイナス金利扱いになる可能性があるということは押さえておきましょう。
住宅ローン控除については、こちらの記事で詳しく解説しています。
マイナス金利で住宅ローンをお得に利用するための方法
では、マイナス金利で住宅ローンがどうお得に利用できるのか、その方法についてご紹介していきます。
ここでは、今から住宅ローンを申し込む場合と、現在住宅ローンを利用している場合に分けて説明しましょう。
今から住宅ローンを申し込む場合
住宅ローンを今から申し込もうと考えている場合は、色々な金融機関を比較して金利だけでなく融資条件なども確認しましょう。
特に、繰り上げ返済手数料、一括返済手数料の有無は重要。
繰り上げ返済手数料は、〇〇円までなら無料、ネットバンキングなら無料、というように金融機関によってそれぞれ設定されています。将来的に、余裕が出たら毎月の返済額よりも多く返済し返済期間を短くしたいと考えている人は、返済手数料を必ず確認してください。
また、変動金利と固定金利を選択する際には、将来的な金利上昇リスクについても考えるようにしておきたいところです。
金利上昇リスクを把握しておくことが大切です。
金利プランの選択について悩んでいる方は、こちら住宅ローン金利は固定と変動どっちがお得か分からないって本当!?の記事を参考にしてくださいね。
現在住宅ローンを利用している場合
現在住宅ローンを利用している人は、今利用している住宅ローンより他の商品の方が金利が下がっている可能性が高くなっています。
つまり、借り換えをすることでお得に住宅ローンを利用できる可能性があるのです。
住宅ローンは、金利が低い商品に借り換えることで金利差の分だけお得に利用することが可能となります。例を挙げてみましょう。
ローン残高が2,500万円、残りの返済期間が20年。借入金利が「全期間固定の2.0%の場合」と「残20年の時点で金利1.5%のローンに借り換えた場合」を比較します。
毎月返済額 年間返済額 |
総返済額 | |
---|---|---|
借り換えなかった場合(全期間固定2.0%) | 126,471円 1,517,652円 |
30,352,892円 |
借り換えた場合(1.5%) | 120,637円 1,447,644円 |
28,952,604円 |
このケースだと、金利が0.5%下がるだけで借り換え後は140万円ほどお得になる計算になります。
ただ、借り換えをする際にはローン残高などによって30~100万円程度の諸費用がかかります。
借り換えを検討する際には金利差によって得をする金額だけでなく、この諸費用を考えても得になるかどうか、しっかりシミュレーションするようにしておきましょう。
また、借り換えを検討するにあたって他行の仮審査を受けることで、現在利用している住宅ローンの金利交渉に使える可能性もあります。
金利交渉について興味がある方には、こちらの記事がオススメです。
マイナス金利で住宅ローンがお得に利用できるのはいつまで?
マイナス金利が続くのであれば、これからも住宅ローンをお得に利用できる可能性があると言えます。ただ、このマイナス金利はいつまで続くのでしょうか。
具体的にいつになったらマイナス金利が解除される、ということは断言できません。ただ、このマイナス金利が永遠に続くわけではなく、いずれ金利が上昇する時期は必ずやってきます。
物価が目標値まで上昇すれば、マイナス金利、ゼロ金利は解除され、金利が一気に上昇するリスクはあるのです。
今は低金利ですが、これが20年、30年と長期で継続するとは考えにくいので、変動金利で長期ローンを組むときには十分注意しましょう。
出来るだけ繰り上げ返済などを利用し、短期間で返済することがリスク回避に繋がります。
金利が上がる可能性があるなら固定金利にしておくべきなのでしょうか。
固定金利は今が最低水準にあるということは間違いありませんし、今のうちに低い全期間固定金利の住宅ローンを契約・借り換えすることも検討してみましょう。
マイナス金利は住宅ローン契約・借り換えの良いタイミング!
ただ、マイナス金利は永遠に続くものではなく、いつ金利が上がるかは分かりません。長期ローンを組む場合は、いずれ訪れる金利上昇のことを考えて金利プランを選択する必要があります。
何年で完済できるか、しっかりシミュレーションした上で住宅ローンを選びたいですね。
マイナス金利政策は、リーマン・ショックをきっかけとして、欧州に続いて日本では2016年から導入されています。そして2019年の現在、その是非については議論が絶えないため、これまで気にしたことがなかったという方も、ぜひ折に触れて注意してみてください。いろいろな気づきが生まれるはずです。

4年ほど専任の宅建士として不動産業者に勤務し、現在はマンション管理士・消防設備士として独立。
宅建士としての知識や立場を活かし、不動産売買時の疑問点などの相談を受けている。
一般市民には関係ないのか。