国民年金とは?仕組みなど分かりやすく解説します!
日本国内に住む人が20歳になったら、必ず加入するのが「国民年金」。
満20歳から満60歳まで40年間保険料を納めることになっており、保険料を納付することによって、原則65歳から老齢基礎年金を受け取ることができます。
国民年金保険料の納付は義務です。滞納したままでいると、最終的に財産を差し押さえられてしまうんですよ!
それでは国民年金の保険料や支給額、そのほか国民年金に関するお役立ち情報をお伝えします。
国民年金とは?加入者は『第1号被保険者』
国民年金とは、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の人が加入する年金保険のこと。次のいずれかに該当する人が、被保険者(国民年金の第1号被保険者)です。
- 自営業者
- 農業・漁業者
- 学生
- 無職
国民年金の第1号被保険者には、国民年金保険料の納付が義務付けられています。
会社員や公務員など厚生年金の被保険者は国民年金の「第2号被保険者」となり、厚生年金保険料は半分、雇用主が負担してくれます。
国民年金の保険料は前納すると最大14,520円安くなる!
国民年金の保険料は月額16,410円(平成31年度)。全国一律で、年ごとに決められています。
ちなみに平成31年度から施行の「産前産後期間の保険料免除制度」の施行も、保険料の額に影響するんですよ。
国民年金保険料の最新情報や計算方法については、次の記事で詳しく説明しています。
国民年金保険料の納付期限は「納付対象月の翌月末日」と決まっています。忘れずに納めましょう。
また国民年金保険料は「前納」することによって、安くすることも可能です。
国民年金保険料の前納区分は2年・1年・6カ月・当月末(口座振替のみ)の4つ。
割引額が一番大きいのは「2年前納」を「口座振替」によって行った場合。保険料を15,760円も安くすることができます(平成31年度)。
国民年金保険料の前納による割引額や、前納の手順・注意点については、次の記事を参考にしてくださいね。
国民年金の保険料を払えないときの対処法!
先ほどもお伝えしたように、国民年金保険料の納付は義務です。
国民年金保険料を払わないと、電話や郵便、訪問による督促が行われ、それにも応じないと財産を差し押さえられてしまいます。
その他にも、国民年金を納めないと次のようなデメリットが生じるのです。
- 老齢基礎年金の支給額が減る
- 老齢基礎年金がもらえない場合がある
- 障害基礎年金がもらえない場合がある
- 遺族基礎年金がもらえない場合がある
経済的な事情により国民年金保険料の納付が難しい場合は、国民年金保険料免除・猶予制度を利用できるか確認しましょう。
免除・猶予制度の種類と内容は、次のとおりです。
制度 | 内容 |
---|---|
保険料免除制度 | 納めるべき保険料の全額または一部が免除される |
保険料納付猶予制度 | 一定期間、保険料の納付が猶予(先送り)される |
学生納付特例制度 | 在学中の保険料納付が猶予される |
これらの制度を利用した場合、2年以内であれば保険料を後払いできます。
また国民年金保険料の追納分は社会保険料控除の対象。所得税や住民税を軽減することも可能です。
国民年金保険料を払わないとどうなるか、払えないときはどうすればいいか知りたい方は、次の記事を読んでみてください。
国民年金の支給額はいくら?【平成31年度最新版】
国民年金保険料を納めた人は、65歳から老齢基礎年金を受け取ることが可能。
加入期間である20歳から60歳になるまでの40年間分すべて納付した場合は、満額の月額65,008円(平成31年度の場合)を受給できます。
ただし老齢基礎年金を受給するには、国民年金保険料を原則10年以上納めなければなりません。
国民年金の受給額については次の記事で、いくらもらえるのか、どのように計算されるのかなど詳しく解説しています。
国民年金の加入者必見!老後の年金を増やす方法
国民年金のデメリットは、厚生年金の被保険者に比べ将来もらえる年金が少ないことです。
持ち家ではなくアパートやマンションに住んでいたら、家賃や光熱費を払うと手元に残るお金はわずかです。
年金を受給しながら働ければいいのですが、体力的に働くのが難しくなる場合も。
老後の収入が国民年金しかなかったら、ある程度の貯蓄があっても不安ですよね。
国民年金の被保険者でも、次の方法で将来もらえる年金を増やせます。
ただし「付加保険料の納付」と「国民年金基金への加入」を両方行うことはできません。それぞれの方法について説明するので、自分に合う方法を選びましょう。
【1】国民年金の付加保険料で将来もらえる年金を増やそう
国民年金の保険料は月額16,410円(平成31年度)ですが、さらに月額400円の「付加保険料」を納めると将来もらえる年金を増やすことができます。
付加保険料を納めることができるのは、次の条件を満たす人です。
- 国民年金第1号被保険者
- 任意加入被保険者※
たとえば付加保険料を30年間納めた場合、月々の老齢基礎年金に上乗せされる金額は6,000円です。
国民年金の付加保険料については「★内部リンク予定」で、上乗せされる年金額や付加年金額の受給資格を詳しく説明しています。
【2】国民年金基金に加入して年金を『2階建て』にしよう
国民年金基金とは、国民年金に上乗せして加入できる公的年金制度のこと。国民年金の被保険者の老後保障を目的として設けられました。
そのため国民年金基金の加入者は、厚生年金と同様に将来もらえる年金を「2階建て」にできるのです。
国民年金基金の特徴は、老後の年金が増えることだけではありません。ほかにも次のようなメリットがあります。
- 掛け金が少ない
- 掛け金の全額が所得控除の対象となる
- 月々の掛け金を増減できる
国民年金基金には、「全国国民年金基金」と3つの職種別に設立された「職能型国民年金基金」の2種類があります。そこから住んでいる地域または従事している職種の基金を選んで加入します。
ただし一度加入したら、自己都合で脱退したり、他の国民年金基金へ移ったりすることはできません。
よく考えてから加入しましょう。
国民年金基金に加入できるのは、それぞれの対象者が次の条件に該当する人です。
- 20歳以上60歳未満で国民年金の第1号被保険者(※1)
- 60歳以上65歳未満または海外居住で国民年金の任意加入被保険者(※2)
厚生年金に加入していない国民年金加入者のこと。自営業者や農業者とその家族、また学生・無職の人などで、原則20歳以上60歳未満の人が該当します。
国民年金の加入期間は原則60歳までですが、60歳になるまでに「老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない」「納付期間が不足している(40年未満)ので年金を満額受給できない」といった理由で、60歳以降も引き続き加入する人のことです。
厚生年金の被保険者やその被扶養配偶者、国民年金保険料を免除されている人は、国民年金基金への加入はできません。
国民年金基金のメリットや受給資格、注意点などは、次の記事で解説しています。
【3】個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」で掛け金を運用!
個人型確定拠出年金(iDeCo)とは、加入が義務づけられていない私的年金制度のこと。確定拠出年金法に基づき実施されています。
- 掛け金の金額を設定して積み立てる
- 定期預金や保険商品、投資信託などの運用商品で掛け金を運用する
- 掛け金の合計額や運用成績に応じて、老齢給付金を受け取る
iDeCoの場合、掛け金の拠出は60歳まで行い、60歳になったら老齢給付金を受け取れるようになります。
iDeCoのメリットは主に次の5つです。
- 掛け金が全額所得控除の対象となる
- 運用益を非課税で再投資できる
- 受取方法は「年金」と「一時金」の2通り
- 受け取る年金は公的年金等控除の対象となる
- 受け取る一時金は退職所得控除の対象となる
iDeCoの掛け金は全額、所得控除の対象。
また定期預金や投資信託の場合は利子や運用益から税金が引かれますが、iDeCoの運用益は非課税です。
国民年金保険料の免除制度を利用している人も対象外。しかし障害基礎年金を受給している場合は加入可能です。
個人型確定拠出年金(iDeCo)の仕組みや利用方法・注意点については、別記事「iDeCo(イデコ)完全ガイド!運用のポイントと注意点を徹底解説」で詳しく解説しています。
国民年金保険料は前納で安くなる!もらえる年金を増やす方法もある
将来もらえる国民年金(老齢基礎年金)を増やす方法は、次の3つでしたね。
・付加保険料の納付(月額400円)
・国民年金基金の利用
・個人型確定拠出年金(iDeCo)の利用
自分に合った方法で、老後資金をしっかり準備していきましょう。
経済的事情により国民年金を払えない場合は、自分が利用できる免除・猶予制度を利用してください。未納のまま放置していると、最悪の場合財産を差し押さえられてしまいます。早めに対処してくださいね。
国民年金の保険料をまとめて前納しても毎月納めても、将来もらえる老齢基礎年金の額は同じですので、まとめて前納した方が断然お得です。また、まとめて前納した後に就職して厚生年金に加入した場合でも、厚生年金と重複している期間分の国民年金保険料は還付され、二重払いにはなりませんので、安心してください。
日本年金機構、社労士法人勤務を経て開業。中小企業の労務管理に従事する一方、年金相談窓口や無料相談会などで年金相談を受けている。